EP56 新しい世界の始まり
唐突な世界のお話。
・・・ゲートへと飛び込んだ雨宮達銀河旅団、そしてヴァルハランテの住人達、その眼前には海楼の城が広がっている。
「あ・・・。」
雨宮の脳裏に一瞬、ラピス置いてきた・・・。と過ったが直ぐに帰れるかと取り敢えず横に置いておく。
「此処は一体・・・。」
つい先ほどまで会話をしていた天使ロウフェルは、豪快にヘッドスライディングをした後のように腹這いになり、突然の景色の移り変わりに目を白黒させていた。
「したようにでは無い!したんだ!凄いスピードだったんだぞ!・・・あーあ・・・神気が無いから鎧もインナーも埃塗れだ・・・。」
「モノローグにツッコミを入れるとか器用な奴だな。」
ロウフェルを含む数多くの巨人や天使達は銀河旅団のクルー達に思いっきりゲートへと投げ捨てられ、あるものはゴロゴロと転がり、あるものは木の枝の上に干され、又あるものは池ポチャしていた。
「第三世界の神域へようこそ。」
ロペはロウフェルの手を引き起き上がるのを手伝い、並んで雨宮の前にやってきた。
銀河旅団のクルー達は、各々割り当てられた居住スペースへと一時帰宅していく。
「二時間後に又ここに集合なー。」
「「「「「「「「「「はーい!」」」」」」」」」」
そうこうしている間に天使、巨人達も何とか起き上がり周りをキョロキョロしながら周囲に集まってくる。
放り投げられてこの神域に辿り着いた者達以外にも、誘導され自らの足で辿り着いた者達もおっかなびっくりロウフェルを中心に集まってきた。
そんな中、人間サイズに戻ったテツとレキオンが、道を空けられ中心へと進んでくる。
「王よ此処は広いな。」
「この神域、前に来た時より発展してないか?」
五万を数えるヴァルハランテ勢はこの後どうしたものかと、王の周りに集まりたそうにしているが、若い衆は命令を無視し第三世界へと侵攻しようとして居た事も有り気まずい空気感を出している、
「で・・・さっき話の途中だったけど、皆ここに住むかい?」
敵対していた時とは打って変わった雨宮の様子に戸惑いながらも一人の巨人が前へと出る。
「我々がここに住むことが出来るのか?」
レキオンは辺りをぐるっと見渡し、改めてこの神域の広さに愕いている。
「此処は今無人に近いからな。」
現状この神域の中には管理を代行しているアイリーンしか居ない、そしてそのアイリーンも以前の状態へと神域を復旧した後、ラピスへと戻ってくる事になっている。
元の状態の神域を雨宮は見た事が無いのだが、ナノマシンを使って復旧をしている現状、そうそう時間は掛からないのだろうとそう考えている。
「こっちは特に何も問題は無いぞ、ヴァルハランテも無くなってしまったのだろう?住処がいるんじゃ無いのか?」
「王がそれで良しとされるのであれば、それを拒む理由など有りますまい。」
レキオンが後ろに集まったヴァルハランテ勢へと視線を送ると、プライドなのか何なのか皆が疲れた顔を見せないように大いに盛り上がって見せた。
「戦争は終わりだ。短い戦争だったが無謀が過ぎた・・・。失った者も多い。」
この第三世界に上手く溶け込めると良いと、雨宮はそう言い中央管制室へと足を向ける。
「・・・待ってくれ!私も付いていっても良いだろうか?」
「好きにすると良いさ。」
ーーーーーーーーーー
海楼の城中央管制室
「お帰りなさいかんり・・・ロペ姉様、銀河兄様。」
(む?)
神域の復旧の為に残っていたアイリーンは、中央管制室のど真ん中に位置する大型の装置を触る手を止め振り向いた。
人工人類型の眷属は、機人種型と同じく表情に乏しい所があるが、徐々にそう言った堅さがとれつつある彼女はにこりと笑顔を振り撒き、すすっと雨宮に近付きごく自然に腕を絡めた。
「70%程復旧が完了しています、ナノマシンはやはり素晴らしいですね。この調子ならあっという間に復旧を完了させ、更に以前より保留していた神域の拡張にも着手出来ます。」
「ほほ・・・?拡張?何の話だ?」
どうせロペ関連だろうと雨宮がロペの方を向くと、にぃと白い歯を覗かせ他ロペはアイリーンと反対側の腕を取り、中央の巨大装置の元へと雨宮を引っ張っていった。
「まだ銀河きゅんが転生してくる前の話なんだょ、此処でねシェルターみたいな機能を持たせてみたらどうかなっ?て言う話になって・・・町をと言うか都市をこの中に造ってみようって考えていたんだよ。」
「都市。」
「そう都市。でも今居るのが巨人も多いから建物の大きさとかも気を付けないといけないかなー。」
今回ヴァルハランテからこの神域にやってきたのは、大体天使七の巨人三位の比率だ、殆ど天使なんだが元々巨人は絶対数が少なかった為特におかしい事では無いのだという。
「そうだなぁ。巨人に小さくなって貰うって言うのは無しなのぅ?」
「うーん。それってナノマシンありきの話じゃ無いか?皆眷属するつもりか?」
一瞬男の巨人達と寝屋を共にする映像が脳裏を過ったが、そうじゃない今は大丈夫なんだよ、どっちもいけるとかそう言う意味じゃ無い。
七番艦での実験データは着々と積み上がり、新しい機能を開発する事に成功した。俺の中で作り出した新しいホストタイプのナノマシンを、直に注入する必要なんかもう無いんだ。
「サーバーの機能も強化出来ているから、ホストタイプのナノマシンを注入器で入れる事が出来る・・・けど待てよ?そうなると彼らは一体何になるんだ?」
ホストタイプのナノマシンは、作ったは良いが雨宮とのリンクを繋がない只の改造用ナノマシンなので、使い捨てになる。
眷属とは違いナノマシン→肉体→ナノマシン。のような組成変化を自由に行う事は出来ない。ナノマシンで一度小さくなると、もう一度ナノマシンホストを注入したとしても、一度完全にスキャンした上で別の構成要素をプラスしない限り元のサイズに戻る事は出来ない。
「えー?そうなの?もっと便利な使い方が出来るんだと思っていたょ?」
「出来なくは無い。だが大きくするのには実リスクがある。」
「ん?リスク?そんなの有るんだ?」
「テツが大きくなった時の事を思い出せよ。アレはなんで起こっていたと思う?」
「・・・。」
ロペは現場に居たから覚えているだろう、あの骨と肉が絶叫していたあの様子を、只その物体を作り出す事は組成変換で可能だ、だがエーテルサーキットはちょっと話が違ってくる。
エーテルサーキットは確認出来ないだけで、そのサーキットの質量は個々人で一定だ。大きくなろうと小さくなろうと変わりは無い、そしてエーテルサーキットは伸縮性を持っている、それが身体の大きさに合わせて、成長に併せて普通は徐々にその長さを変えていく。小さくなる時には単純に伸びていた物が縮むだけで済むのだが、身体が大きくなり長くなる時には又意味合いが変わってくる。
エーテルサーキットは伸びにくく縮みやすいという性質を持っている。これが大怪我などをした際に身体機能を戻すのに苦労する理由の一つだ。
肉体が傷つくとエーテルサーキットは構成要素であるΔエナジーを消費し肉体を活性化し、修復する。即ちエーテルサーキットが短くなり、修復した身体に合わせて細く伸びる。
しかし無理矢理伸ばそうとすると傷を付けてしまう可能性もある、そして傷ついたエーテルサーキットから出て行ってしまうのはその人間の魂・・・精神生命体だ。精神生命体は雨宮の力を持ってすれば作り出す事が出来るのだが、元々存在している物が減ってしまった時に継ぎ足すなどと言う事が普通は出来ない。
例えばクローン人間を赤ん坊の時に作り出し成長させ、全く同じ状況で育て全く同じ人生を歩ませたとしよう。
どんなに短い人生であってもその経験にはある程度の誤差が生じる。同じ人間の精神生命体を二つ造った所でその二つが全く同じ経験を得ると言う事はまず無い。
コンマ単位の差だとしても、ズレがある以上それ別人として認識出来てしまうのだ。エーテルサーキットには個体識別が存在しているとされ、その二つの精神生命体が一つのエーテルサーキットに入った時、奇跡的なバランスを保っていた肉体、精神、エーテルサーキットのバランスは崩壊しその存在は自壊する。
雨宮の場合、減った精神生命体を補う為に根源たる元素の一つ『Δエナジー』を直に注入しその損失を補填する事が出来、自然な形での再生を可能とする。
しかし雨宮がその根源たるΔエナジーを扱う事が出来る理由については、ロペだけが知る所・・・だが未だその記憶は戻らない。
《エーテルサーキット、マナ、Δエナジーの関係については後書きを参照の事。》
「つまり、普通の人間を巨人にしようとすると内包するエネルギーや栄養だけでは足りないと言うのと、エーテルサーキットが肉体の急激な成長に付いていけずに損傷する。」
「じゃ・・・じゃあテツはなんで大丈夫だったの?」
「その場に栄養になり得るモノがあったからな。」
「「「・・・。」」」
「で・・でもエーテルサーキットは?」
「アレは俺なら治せるから。」
「え?・・・あー。」
「ロペ姉様?」
「そうか・・・。そうだよねぇ・・・。そうじゃないと精神生命体を作り出すなんて事出来ないよねぇ・・・。」
ロペは何かを思い出したようでブツブツと一人で思い出した事を反芻し、何かを考えている。
以前朝倉美汐を再構成した時は、雨宮自身も何が起こったのか今一つ判っていなかったが、前世の自分をこの世界に作り出したり、ナノマシンサーバーに保存されたデータから眷属を作り出す等の経験を経て、雨宮は次の段階へとステップアップしていた。
「か・・・神か?貴方は・・・。」
「いや、そう言うのとは違うと思うんだが。」
「卵が先か鶏が先か・・・。」
ロペは思考の迷路に入ってしまったらしく、頻りに首を捻りながらあーでも無いこーでも無いと唸りながら近くの椅子に腰掛けた。
「どうやらこの世界には私の知らない事がまだまだ沢山あるようだ。退屈しないなぁ・・・。」
ロウフェルは知らない事を知る喜びに触れてしまったせいか、アイリーンに色々尋ねアレはなんだこれは何だと、瞳をキラキラさせ質問し強請っている。
(エーテルサーキットの詳しい説明はもうちょっと時間のある時にしておくか。)
本来ならロペがこの説明をしてしかるべき存在なのだが、未だに完全に記憶が戻らないらしく雨宮という存在についての情報が欠落している。
世界の情勢や仕組みについてはぼちぼち思い出してきているようなのだが、情報共有サーバーにロペからアップされるデータは無く、直接雨宮に暗号化された状態で送り届けられる。
知る事が危機を呼び込むような扱いに困る情報が山程有るのだ。
(外の世界の情報はホイホイ思い出して送られてくるのに、俺自身の事については全くと言って良い程情報が無い。)
それ故に雨宮は今可能なありとあらゆる方法を使って、ナノマシンと自分自身に関する情報を実験しながら一つずつ確認している。
先が見えない実験の連続ではあるが、雨宮自身は割と楽しく過ごしている事から、ストレスは感じていないようだ。
「なぁ天使さんや。」
「ん?何だ?・・・あ!天使の皆がいるぞ!おーい!」
(いやいやいや、只の映像だから・・・ってそうか。)
ロウフェルは管制室のあちらこちらをのぞき込み、わざわざ簡単に押せないように蓋をしてあるスイッチまで押そうとしてはアイリーンに止められている。
「銀河兄様、彼女は科学文明とはかけ離れた所で暮らしていた方のですね。もういっそ眷属にしてしまっても良いのでは無いですか?」
天使の眷属・・・その響きだけで雨宮の心は大きく揺れるのだが・・・。
「本人の考えぐらいは聞いておきたい所だな。」
「構わないぞ。」
「「え?」」
「その眷属というのがなんなのかはよく分からないが、私も巨人王と同じ考えでここに居るつもりだ。我々の王として貴方がその力を振るってくれるのなら、私としては嫁いでも良いぐらいだ。」
(・・・。えぇ?そんな感じなの天使って?)
「嫁ぐって、そんな簡単に決めて良いのか?」
「む、失礼な。私としても一大決意なのだぞ。・・・だが貴方は我ら天使族を救ってくれた、私には出来なかった事だ。
それだけでも敬服に値する・・・と私は想っている。飽く迄私個人の話だぞ?」
「お・おう。」
「それだけでは無い。・・・無いんだ。だがそれは今は言え無い。コレは言おうと思えば言えるのだが・・・言ってはいけないととある方と契約を交わしている。」
(似たような話を最近聞いたな。)
「血の契約か?」
「違う。それはヴァルハランテの人々が作り出した劣化術式だ、私が交わした契約はそれのオリジナル。元々ヴァルハランテの管理者で有った者と交わした契約なのだ。」
「ヴァルハランテの管理者だと?今どこに居る?」
「・・・。」
ロウフェルは口を閉ざし、雨宮に背を向ける。
後ろからではよく見えないがその表情に陰りが見えたような気がした。
「死んだ・・・筈だ・・・。」
ロウフェルはヴァルハランテの管理者は死んだという。しかしその確認は出来ずに詳細は不明なのだとか。
「何が有ったら管理者が死ぬような事になるんだ?」
「一回死んだ管理者がここに居ますよっと・・・。」
ロペは漸く思考の迷路から抜け出せたようで、どこかさっぱりとした表情で二人の側にやってくる。
「界獣だよねきっと。」
「その通りだ。巨人王が重傷を負ったあの戦いは、ヴァルハランテの神域を破壊し、管理者を殺した。」
「そして柱も折れたって事だねぇ。」
柱が折れる、それはこの第三世界においてはファムネシアの死を意味する言葉だ。
「そうだ。ヴァルハランテを司っていた管理者ミトトエニー、そしてその管理者が守護していたイグドラルハ・セルンティフオー。共にあの化け物共を向こうの世界に押し返して戻らなかった・・・。」
戻らなかった。その言葉の通り、彼女達は戦いの終わりにその二人の行方を知る事は出来なかった。
それ故に厳密には生死不明、しかし状況はその生還の確率が極めて低い物だと言う事を彼女等に知らしめている。
「だけど世界は崩壊した・・・それが柱の死を意味している、そういう事か。」
「んー・・・それで多分間違いないと思うょ?あの崩壊の仕方は多分そういう事だから。」
ロペが思い出した情報に因れば、突然と言って良い程に勢いよく消え去るあの崩壊の仕方は、世界を世界たらしめるマナの完全な枯渇が引き起こす『消滅』と呼ばれる現象なのだとか。
そしてあの瞬間まであの世界が残っていたと言う事は・・・。
「そんな・・・あの時はまだイグドラルハは生きていたと言うのか!?」
「そういう事になるね、柱の命と世界の命は同一の物だからね。あの崩壊・・・消滅が始まったあの瞬間にそのイグドラルハは死んだんだとおもぅ。」
雨宮はふと思う、もしかしたら巨人王は最後の戦いで異世界へと通じる道を閉じたと言っていた、それで帰ってこれなくなったんじゃ無いかと。
締め出しにしても残酷な話だと思うが、それは飽く迄雨宮の想像であり、恐らく事実とは異なるのだろう・・・と雨宮はその考えを打ち消した。
「最後までヴァルハランテを守る為に戦っていたのかもな。」
「・・・。」
「多分そんな事は無いと思うなぁ。」
「「えっ?」」
「だってあのミトだからねぇ。多分イグドラルハを壊さないように連れて逃げたけど逃げられなかった、戻ろうにも通路も閉じていて帰れなかった・・・そんな所だと思うょ?」
「えぇ~・・・?そんな事がありますか?」
「そうだ、ローちゃんが最後に見たミトは一人だった?」
「・・・確か一人だったと。」
「あ、そりゃ駄目だわ。アレは三人一組の管理者だから、一人欠けてもほぼ無力になるし、戦いの途中で欠けちゃったんだろうけど、その状態じゃ逃げるのも出来ないとおもぅょ?
寧ろ持ち出さないでヴァルハランテに置いておいた方が、柱は安全だったんじゃないかなぁ。」
身も蓋もないとはこのことか。
「ポンコツだなぁ。」
「まぁそんなもんさぁ。」
「わ・・・私があの時這ってでも止めていれば・・・。」
ロウフェルはがっくりと床に膝を付きわなわなと身体を震わせていたが、気にする事はないとロペに慰められ更に肩を落とした。
「まぁ済んだ事を思い返しても、ちょっとした学びにしかならん。建設的に行こうぜ。」
「一体どうすれば・・・。」
「「もう居ないんだし忘れよう。」」
ロペと雨宮の前向き且つ投げやりな言葉にロウフェルは一時呆然とし、二人のにやりとした笑顔に捲かれ小さくため息をつく。
それでいいものかと考えはするが、導き出せる答えなど無く、その答えは自分で選んで進むしかない、それだけだと思いつく。
「そうだな・・・。現に私達は今此処に生きているわけだし、これからの事も考えていかなくてはいけないからな。」
ロウフェルは雨宮に向き直り、ゆっくりと近付く。雨宮はいつの間にか大きくなり過ぎた自分を小さく戻し、以前の二メートル程の背丈に戻っていた。
ロウフェルは静かに雨宮の身体に抱きつき、その決意を新たにする。
「この身を貴方に捧げます、我らが王よ。そして我らの種を守って欲しい・・・。駄目だろうか・・・。」
語尾が消え入りそうになりながら、羞恥で燃え尽きそうな気持ちは力に還元され、雨宮の体を強烈に締め上げる。
(そんな強い力で鯖折りせんでもええのに・・・。あー・・・いたいいたい・・・。)
心で泣く雨宮はそっとロウフェルに手を回し、絹ともサテンとも思えぬ手触りの羽を撫でる。
「分かった・・・解ったから・・・。そんなに締め上げんでくれへんか・・・?」
「っ!」
勢い余って力み過ぎたロウフェルは慌てて離れ、平伏し平謝りするが、その代わりにと雨宮はロウフェルを抱き上げ、自室へと連れ帰る。
その傍らにはロペが、後ろにはアイリーンが付き従い、媚声飛び交う新たな戦いが始まろうとしていた。
エーテルサーキットとマナ、Δエナジーの関係
世界はマナの現象化によって形成され、Δエナジーによって維持される。マナが減りすぎるとΔエナジーの量が多くなりすぎる為多くなりすぎたΔエナジーはエーテルサーキットとなって(人、モンスター)世界に排出される。
死んだモンスターや人はエーテルサーキットをマナに吸収されマナに返る。Δエナジーが減りすぎるとマナを維持出来なくなり、マナを減らす為に世界中で破壊活動が横行する(主に大魔法を使う事や戦争)。それによりベビーブームが起こったり異世界から勇者が召喚されたり強力なモンスターが生み出される。生み出された人々や勇者とモンスターはΔエナジーを生み出す為に繁殖活動を繰り返す。そして大きくマナを使って生み出された者達が死ぬ事で再びマナの量が増える。そうやって世界に必要なマナの量と、そのマナを維持する為に必要なΔエナジーがサイクルとして動き、世界の情勢として反映される。
人が増えると言う事はマナが足りていないと言う事、そしてそれは多くの命が死ぬ事を世界に望まれていると言う事。
人が減りすぎると言う事はマナが多くなりすぎてΔエナジーが足りなくなると言う事。そしてそれは多くの生物が生まれる事を世界が望んでいると言う事。
マナは世界であると同時に人でありモンスターである。
そして・・・Δエナジーとは一定の値を維持しなくてはならない世界の軸でもある。
Δエナジーの大きな減少は世界の崩壊を招き、世界の崩壊とはΔエナジーの消失を意味する。
崩壊した世界のマナは現象化出来なくなり、他の世界へと流出する。
流出したマナを受け入れた世界はΔエナジーとマナのバランスを失い、凶悪なモンスターがはびこる世界へと姿を変える。
そしてバランスを失った世界はΔエナジーを生み出す存在を生み出す。




