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EP40 銀河旅団選抜セレクションその 四

ここまで読んでくれた貴方なら分かるはず。『パン』だよ?


・パン食い競争


 「ついに始まってしまったょ・・・。パン食い競争が・・・。」


 ロペは準備された一直線のコースを見てしみじみと一人呟く。


 銀河きゅん・・・鬼だね。


ーーーーーーーーーー


ミンティリアーー


 どうしようかしら・・・私・・・パンはあんまり好きじゃ無いのよね・・・・。


 っていうか何でパン食い競争なの?運動会かな?


 スタートラインに着き、事前に汚れても良い服装を貸しますと言われ支給された伸縮性のある白い半袖と、紺色のセーフパンツ・・・。


 ブルマちっちゃい・・・。何だか作為的なものを感じるわ・・・。


 ぱんっと裾を直し周囲の視線を気にしてしまう心を静める。


 問題は・・・やっぱりあの白い箱の中よね。あの中にパンがあるって言う事は・・・相当よね・・。


 見た感じ一畳半程のスペースしか無いと思われる箱がコース中頃にそれぞれ配置されている。先ほどから準備をする係のクルーが頻繁に行き来し何かを用意している。


 「ここまでやってこれたんだから、今回もきっと何とかなる・・・はず。


 「ミンティリアはパン嫌いなのー?」


 「え?そ・・・そうね。お米の方が好きかな・・・。」


 「ふうまもご飯の方が好きなのですー。」


 いっしょね。っとお互いニコニコと笑い合うこの一瞬は何だか穏やかで・・・。あんな酷い目に遭うとはみじんも思わなかったの。


ーーーーーーーーーー


ジーナーー


 ぱ・・・パン食い競争って何でしょうか?まさかの食事の休憩ですか?

食べ物まで支給されるなんて素晴らしいです!


 ジーナは庶民の運動会というものを知らなかった。清貧を尊ぶ家庭であったとはいえ、セレブリティと言っても過言では無い家柄に育ったジーナには、パン食い競争も今この全身を締め付ける体操服も、認識の範疇には無かった。


 サイズを間違えて伝えちゃった・・・。きついよー。


 決して太っては居ないスレンダーな体つきなのだが、それでも女性らしさを劇的に押し出すボディを持つ彼女が、その服のサイズを間違える事によって、ヘソ出しのパッツンパッツンのムッチムチに見えてしまう。

体操服の魔力に取り込まれた・・・否。締め上げられた身体が若干悲鳴を上げている。


 周囲に居る男の挑戦者達の視線を一人、釘付けにしながら腿周りや、胴回り内股など締め付けられる部分を一時的に指を這わせ解放する。その指の動き、身体の動く一挙一動に男達の視線が動く。


 恥ずかしいよぅ・・・。早く始まってください~・・・。


ーーーーーーーーーー


レビルバンーー


 何故だろう。揺れる思い。


 これは所謂ふんどしというやつでは無いのだろうか。

確かに汚れても問題の無い服装ではある。だがこの状態を服装というのは些か気がかりではある。


 レビルバンは真っ赤に染め上げられたふんどしを貸与され

首をかしげていたが、それも又良しと、スタート地点へと歩みを進めた。


ーーーーーーーーーー


トリプルミルクティーー


 「ムッキムキにムッチムチ・・・。」


 「テンはだっぼだぼだね?」


 「確かに全然動きにくそうね?」


 二人がそういうのも分かる。私はサイズの申告を間違えた。てっきりさっきの続きでSWの大きさについて聞かれたのかと思っていた。

後でそれを二人に言ったら、おなかを抱えて爆笑された。・・・解せぬ。


 「あの人とかえっこしてくる・・・。」


 「もう無理だろー・・。」


 「そうですよもうスタートしてしまいますし・・・。」


 でもこのままじゃ走りにくい・・・。おっきなブルマは胴回りの部分をぐるぐるに絞って何とか落ちずにすんでいるが、上の服は膝まで届いているのでさっき転んでしまった。

でも汚れても良い服装って言っていたからいいよね?


 「動きにくい・・・。」


 ザミールとウィムリーの二人は、何故か少し小さめの服装を選んで着ている・・・嫌がらせかな?


ぱんっ!


 「ひゃっ!もうなにするのよ!」


バンッ!


 「ほっ!ちょっとテン!」


 ちょっと気に入らなかったので太ももの付け根に掛かるブルマの裾を引っ張ってやった。ゴムが入っているらしくいい音だ。


 「ふんだ。」


 「もー。」


 「大人げないなぁ・・・。」


 しらない・・・。


ーーーーーーーーーー


ーーこれよりパン食い競争を開始します。我こそはと思う方はスタートラインについてください。


 直線十レーンものコースにそれぞれ体操服に着替えた挑戦者達がスタンバイする。ここだけとってみればやはり小学生のコスプレ運動会のようだ。・・・REC


ーーそれではパン食い競争の趣旨説明をさせていただきます。

  この競技では皆様のスタミナそして精神的な強さを測らせていただこうと思います。

  内容は至極簡単です。箱の中にそれぞれ用意された『パン』を食べて、食べ終わったらゴールする。それだけです。

  それでは皆様のご健康をお祈りいたします。


 こらこらネタバレはイカンぞ。


 おっと、強気だなトリプルミルクティ三人とも様子見無しで一気に行くつもりか?


 「雨宮・・・。俺には一つ心当たりがあるんだが・・・。」


 「おっとそこまでだぜ新庄。」


 「そうだな。」


ーーそれで配置について、よーい・・・。


パン


 「さぁ各人一斉にスタートを切りました、ここでの解説は私雨宮銀河と・・・。」


 「ロペ・キャッシュマンがお送りしまーす。」


 「何をやっているんだ二人とも。」


 「さぁ、やはり足が速いのは・・・Sランク冒険者いや・・・レビルバンか!?」


 「でも足が速くってもあんまり意味が無いよねぇ?」


 「確かに。」


 「おっとぉ?テン選手服の裾に躓いて転倒だぁ!」


 「器用だねぇ・・・。」


ーーーーーーーーーー


ミンティリアーー


 勢いに乗じて一番手で走り始めたは良いものの・・・少し様子を見れば良かったと後悔してる。


 レビルバンだったかしら?あのサハギン。めちゃくちゃ足が速いんだけど。トトちゃんももう箱の中に入ってしまった。

急がないと!


バタン!


 勢いよく閉めた扉の音に内心驚きながらも目の前にある椅子とテーブル、そしてカバーをかぶせてある何かが目に入る。


 これは一体何かという事よね・・・。パン・・・らしいけどこの大きさって事はバターロールかしら?

ラッキー!


かぽっ


ーー


青空食品 液体食パン


ーー


 ・・・?ほぇ?


 なにこれ??え?なにこれ?液体?え?食パン!?


 ・・・食パン!?


 ちょっと待って・・・普通のパン食い競争ってあんパンよね・・・。菓子パンじゃ無いの?間違ってない?

・・・じゃなくて!液体って何!?どういうことなの!?私初めて見たんだけど!なにこれ!?


 白と明るい茶色の容器に入ったそれこそ食パンを思わせる色合いの容器にストローが刺さる穴が開いている。

ミンティリアは注意深く容器に書かれた注意書きを読むと・・・良い小麦を使っているようだ。


 「じゃない!」


 まって・・・ストローも食べられますって書いてあるんだけど・・?食べるの?え?飲み物じゃ無いの??


 「意味が分からないわ・・・取り敢えず食べれば良いのよね。」


 内容量二百ミリリットルの割かし小さめの容器に入ったそれに彼女はストローを刺した。


 「爆発したりはしないようね・・・。」


 先ほどのガラスの一件でかなり疑り深くなったミンティリアだったが、この時はまだ注意力が足りなかった。


 「ふぅーっ・・・。ままよっ!」


 気合いを入れたミンティリアはストローに口を付け一気に吸い上げた!


ーー


注:この食品はおなかの中で百倍に膨れ上がる巨人用保存食品です。


ーー


ブハッ!!!!!!!!!!!


ーーーーーーーーーー


ジーナーー


 はぁ・・・はぁ・・・くるしいよぅ!この中なら脱いでも良いよね・・・。


 ずっと体操服に締め上げられていた窮屈さからか、一気に上下を脱ぎ去ったジーナは喉の渇きに耐えかね目の前にあった飲み物を口にし、シームレスに喉に流し込む。


っっっんん!!!!


 「x#%!!z8~=#('A`)」


ゲボァ!


 ちょっと吸い上げやすいように普通のストローより太めに作ってあるそのストローから一気に吸い上げたパンは、腹の中に収まり咀嚼する間もなく胃で百倍に膨れ上がる。


 おおよそ乙女の口からは出ない悶絶のうめき声を上げながら、喉の奥からこれでもかとあふれ出てくる謎の液体を吐き出しつつジーナは思う。


 あ・・・わたししぬんだ・・・。


ーーーーーーーーーー


犬っこーー


 一番なのですー!(勘違い


 トトの目の前には他のコースに配置されているものよりも僅かに小さい『パン』が置かれている。


 「おーーー?」


 三百六十度ゆっくりと見慣れない『パン』を観察する。トトはある事に気がついた。


 ストローが食べられんるんだ!凄い!


ーー


青空食品イチオシ! 液体バナナオムレット!


ーー


 バナナオムレットは食べた事ある・・・よ?でもこれはジュース・・・だよね?


 そう思いながらも食べられるストローを珍しく思い、がじっとさきのぶぶんをかじってみる。


 「ほっ!ばななだ!」


 ストローがバナナだって事は・・・じゅーすは?


 トトの心の奥底で何かのささやきが聞こえた気がした。


 (・・・て・・・よ・・・)


 くんくん・・・お菓子パンの良い匂いなのだ!


 (よく・・て・・・・て・・・!)


 きっとバナナオムレット味のジュースなのだ!


ずごぉおおおおお!!














 胸いっぱいに空気を吸い込むような勢いでその小さな胃袋に他より少し少なめの百七十ミリリットルが吸い込まれた。

















ぶふぉっっっっ!!!!


ーーーーーーーーーー


レビルバンーー


 成る程。外に音が漏れないようになっているのだな。視線から覆い隠すだけでは無いようだ。


 レビルバンは箱の中に入るなり、注意深く周りを観察する。


 目の前には・・・椅子・・・そしてテーブル。そしてその上にクロッシュで覆い隠された何か・・・。


 何だろうか・・・。怪しい所は・・・?


 レビルバンも又先ほどのガラスの罠に掛かり酷い目に遭った一人である。

主催者を疑うのにこれ以上の要素は無い。最大級の警戒を持って挑んでいた。


 部屋の隅々まで視界に収め天井、床、壁、そして出入り口・・・・!?


 なんと!?開かない!しまった!ここが罠か!!!?


 ・・・。


 いや・・・落ち着くのだレビルバン。このような困難は今迄も多く経験してきた。

ダンジョンで閉じ込められた事だって有る。罠に引っかかって狭まる部屋から脱出した事もある。落ちてくる天井から逃げ延びた事だって有った。


 「観察・・・これ以上しても何の意味があるか・・・。」


 無論無い。これが目的のものなのだろう・・・。


 レビルバンは爆発物処理班にでもなったつもりで、狭い部屋の中で最大限に距離をとりクロッシュを開ける。


かぽっ


ーー


青空食品激推し! シェフの気まぐれパンフルコース


三百ミリリットル


ーー


 パンのフルコース・・・?・・・はっ!!!


 レビルバンは外れを引いた。十のコースの中で一番内容量の少ないものは百ミリリットル。そして一番容量の多いものがこの三百ミリリットルである。


 あ・・・青空食品だと・・・。


 レビルバンは知っていた。かつての依頼主、青空食品の前社長とは親交がある。


 きょ・・・巨人用液体保存食ッッ!!!


 レビルバンは決して大食いでは無い。しかしその身体を作る為に普通の成人男性よりはよく食べる方であるとは自負している。しかし・・・しかしだ。


 さ・・・三百ミリリットルだと・・・。しかもフルコース?だと・・・?


 レビルバンは考えた。食えない・・・と。


 いや待て私。これは・・・試練かもしれない。いやそれよりも・・・。精神力を測る試験だと言っていたでは無いか。


 「そうだ。カロリーを摂らなくてはならないのなら、消費すればいいのだっ!」


 そう言って猛烈な勢いでスクワットを始めようとするが・・・。


ガンッ


 ッッ!!


 狭いっ!


 身長二メートルを超えるレビルバンにはこの部屋の中は狭すぎる。


 仕方ない・・・。少しずつでも腹に収めていこうか・・・。


 ストローを容器に刺し、ゆっくりとその内容物を吸い込んでいく・・・。


ーー一番の方ゴールです!あっ!


 !!!!ずるっ!


 うっ・・・ぐっう・・・!!


 何も聞こえないと思い込んでいたレビルバンの頭上から、突如他の選手のゴールするアナウンスが聞こえ身を強張らせたレビルバンはつい・・・、つい容器を思いっきり握りしめた。


 エラから何かが垂れているのが分かる。


 レビルバンは決して出された食事を無駄にするまいと、必死になって喉を絞り逆流を防ぐ・・・事等出来るはずも無い。ほぼ三百ミリリットル、全てに近い内容物が彼の胃袋に滑り込んだ。


ゲハッッッッ!!!!!


ーーーーーーーーーー


リンーー


パタン


 こけた・・・。ちょっとすりむいたし・・・。


 部屋の中にそろりと入り込んだリンは、中を見渡すが特にコレといって怪しい所も無い。ただせまいと思っただけだ。


 「これかな?」


かぽっ


ーー


青空食品セレブ 激ミントチョコアイスパン


ーー


 チョコミント・・・好き。


 でもこれは・・・パン?


 リンとて冒険者の端くれ、好きだからと言って何の警戒も無く手を伸ばすような事はしない。そして彼女も又ガラスの森の被害者であった。


 きっと何か罠があるに違いない・・・。よくみる。


ーー


内容量 百ミリリットル おなかの中で二倍に膨れます


 二倍・・・か。単純に二百ミリリットルのアイスだと思えば良い。そのぐらい私でも食べられる。


 ぷつっ


 ストローを刺しゆっくりと吸い上げる。


 ふおぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!


 なな・・・・なな!?


 さ・・・さむっ・・・・!!


ツーーーーーーーーーン


 ふんんんんんんんんーーーーー!!


 爽やかを通り越して刺激しか感じないレベルのミントが鼻の奥を突き抜け、自然と涙がこぼれ出る。

そして異常に冷たく感じる内容物。口にした瞬間体温が下がったような気がした。


 「はー!はー!はー!はーぁあああああああ!!」


 ミント!?みんとぉおおおおおおお!!!


ーーーーーーーーーー


ウィムリー ーー


 私パンはあんまり好きじゃ無いんだよねー。昔を思い出しちゃう。


がちゃ・・・パタン


 目の前にあるクロッシュ。ウィムリーは何の警戒も無くその中を確認した。


ーー


青空食品大満足 液体焼き肉サンド


ーー


 え?・・・液体・・・?サンド?


 液体なのにサンドとはこれ如何に?容器を持ち上げて説明を読めば確かに焼き肉が・・・焼き肉であろう材料が使われているようだ。


 「のみもの・・・かな?」


 二百五十ミリリットルのそれは僅かに手の中に残る重さを感じさせ、軽く振ってみればちゃぷっと中身が液体である事を改めて認識させられる。


 「パン食い・・・か・・・。」


 ウィムリーは不注意だった。今迄パーティの盾役として警戒は他の二人に任せっきりになっていた。しかし、その不注意が乙女のプライドを蹂躙する。


 「頂きまーす。」


ごくっごくっごくっ


 「はぁー・・・たしかにや・・・おげっ!」


 満足感と共に吐き出した、ため息に続き飛び出す内容物。


 暫くウィムリーは箱の中で泣いた。


ーーーーーーーーーー


ザミールーー


 ザミールは戦慄を覚える。


 見た事有る・・・。聞いた事ある・・・。


 ザミールは旅の途中、巨人族の女性と共に酒を交わした事があり、その女性が手に持っていたのを覚えていた。


ーー


青空食品サプリメント 液体健康五穀米カレーパン


内容量二百五十ミリリットル


ーー


 サプリメントの量じゃ無い!


 ザミールは確認する。絶望的な数字を。


ーー


この食品はおなかの中で百倍に膨れ上がります。


ーー


 彼女が持っていたのは確か焼き肉定食だったはず。・・・ってそんな事どうでも良い。


 「これをどう対処すれば良いかな・・・。」


 全部飲む?・・・絶対無理。


 いっそこぼしちゃおうか・・・ばれている気がする。


 寧ろ何かの罠?・・・だとしても・・・ぉぉ・・・。


 「私・・・ゴール出来るのかな・・・。」


 恐る恐る手を伸ばしたザミールは、少しだけ口に含んで飲み込む。


 今どの位飲んだ?


 容器を少し振ってみるがさほど減っている様子は無い。・・・が。


 はうっ!!


 「はぁああぁあぁ・・・。」


 口が湿るぐらいの量を飲んだつもりだったがそれでも百倍に膨れ上がった内容物は、ザミールの小さな胃袋をはち切れんばかりに引き攣らせている。


 カレーライスがパンの中に入っている様な味がするぅ・・・・。


 おいしいんだけど・・・凄くおいしいんだけどぉ・・・。


 「ぐふっ・・・もう無理・・・。」


ーー一番の方ゴールです!あっ!


 ザミールの長く辛い戦いが幕を上げた。


ーーーーーーーーーー


 うはははははは!!!


 「各選手中々出てきませんねぇ・・・ぷふっ。」


 「銀河きゅん楽しそうだねぇ。」


 「中々厳しいのでは無いだろうか。今回は女性も多い事だし。」


 「あっ!マスター一人出てきたわよ!」


 一番最初に飛び出してきたのは・・・。


 「まさかのトリプルミルクティー。」


 「小さい方なのに頑張ったのですね。」


 リンはふらふらと千鳥足になりながらも、ゴールテープを切りその場に倒れ込んだ。


ーー一番の方ゴールです!あっ!


 「震えていますマスター。」


 「アレは中々キツいか、容量は一番少ないはずだが好みが分かれる所だな。」


 言っておくがまずいものは選んでいないぞ?全部俺が一度喰って・・・飲んで確認している。


 「腹を押さえているな・・・。」


 「何を食べさせたのぉ?銀河きゅん。」


 「アレは間違いなく激ミントチョコアイスパンだな。」


 「名前がなんか凄いな。」


 「あのミントは尋常じゃ無いんだ。多分なれていない奴が喰うと鼻が聞かなくなるんじゃ無いだろうか。」


 「そんな感覚器官に異常を来す食べ物を出さないのよっ!」


 ネシアに怒られた。


 「根性が試される・・・と言う事なんだよ。」


 倒れたリンは中々動かない・・・と言うか動けないのだろう。


 「「「「「あっ。」」」」」


 倒れた彼女の下腹部から噴水が・・・。


 異常事態を察知したクルー達は速やかに彼女を丸洗いに行くのであった。


 「酷い話だ。・・・酷い話だ。」


 「何故二回言う。」


 「あーあ・・・絶対トラウマになるわ。あれ。」


 「必死に我慢していました。」


 他の選手達も暫く間が開いてから、のそっと扉を開けて出てくるが、皆一様に元気が無い。


 レビルバンなんて死んだ魚の目をしている。


 「サハギンになんて事を言うんだ。」


 「怒られるよぉ?」


 え?何も言ってないんだが・・・・。

時々こういうことあるよな・・・皆・・・。


 一人を残し九人の選手達がゴールを切った。


 皆青白い顔になり、心なしか頬がこけているようにも見える。

だが雨宮の見たかったものは見られたようで、うんうんと頷いて、次の選手達の為の準備を指示する。


 「後できっと文句を言われるんじゃ無いかなぁ・・・。あれ?」


 ロペはれーむんは?とキョロキョロと四番手でゴールしてきたレームを探している。


 「ゴールするなりでそのままどこかに走って行ったわよ?」


 ((((トイレだな。))))



ーーーーーーーーーー


とある戦士の失格


 俺はゲッキ、漸く順番が回ってきた。食い物の事なら俺に任せて貰おうか。

太陽系各地を渡り歩き、様々なグルメを探して旅を続けてきた。


 「俺の舌を満足させられるパンなんだろうな!?」


 へっ。と鼻の頭を拭い。スタートする。


パタン


 狭いな。だが、食事に広さは関係ないぜ!


ーー


青空食品大満足 マグマカレーパン


内容量三百ミリリットル


ーー


 なんだぁ?パンかと思ったらパン『味』のジュースじゃねーか。こんな子供だましで俺は満足出来ねーぜ?


 だが俺のプライドが口にしないでいるって言う事を許さねぇ。


 ストローを容器に刺し、ズルッと躊躇無く口の中に滑り込む液体。


!?!?!?!?!?!?


 辛っ!!!???うぐっ!!


 な・・・なんだこれは痛い・・・喉の奥が痛い・・・そして腹が・・・。


 「こんなもん食事じゃねーーーーー!!!」


バシャッ


ーーーーーーーーーー


 ん・・・(怒


 一人の男の入った箱の中を携帯デバイスで観察しながら・・・。


 雨宮は手元のスイッチを押した。


 食べ物を捨てるとは何事か。


 この男は雨宮の逆鱗に触れたのだった。










ゲッキ・ニュウニュウ 象獣人 Bランク冒険者


 様々な食べ物を求めて流離う旅の冒険者。多くのダンジョンに入り特有のモンスターを調理して食べるゲテモノ冒険者として知られ、料理人としての腕は並以上だが、馬鹿舌。

辛いものが大の苦手で、辛く味付けをするのは料理としての逃げであると断言する。だが甘党というわけでは無く、あらゆるものを口に運んで生きてきた。


 作中で雨宮の選んだマグマカレーパンは子供でも食べられる口の中がカッカする程度の甘口、これは雨宮が甘口のカレーが好きだと言うだけで選ばれたもの。

しかしそれでも食べられず投げ捨てた事で雨宮の怒りを誘い、宇宙へと放流された。


 タベモノソマツニスルノイクナイ

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