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EP29 ライプリー・レシュトラブルツアー ~マシン作りたいだけなんだけど~前編

夏・・・つらいです

 ライは、研究施設の片隅に設置されたOS試験用の五感を全てシュミレートすることのできる雨宮一押しの遊び用マシン、5Dシミュレーター感じるくんを起動させ、双子の若干おとなしい方、ミリュ(姉)を中に押し込んだ。


ーー酷いですライさん!私ワーカーなんて動かしたことないです!


 シュミレーターの中からの通信で悲痛な声を上げるが、一度体験しなさいとライは文句を聞き入れることをしなかった。


 「おねぇちゃーん・・・!」


 はわわっと、シミュレーターに張り付き尻尾をピンっと伸ばしたミリア(妹)は中の様子が見える出入り用のハッチから中の様子をうかがっている。


 「それでは、動かしますよ?シートに体を固定してエチケット袋を持ちなさい。」


ーーなっ!!固定するのは分かりますっ!でもっ!


 「固定は確認しました。まぁ、汚れてもナノマシンがきれいにしてくれます。」


ーーほんとーにや・・・!!


ガクンッ 「きゃっ!」

ガンッ

ガンッ

ガクンガクンガタガタガタガタガタガタガタガタ


 「ふぁーーー!!お・・・おねーちゃーん!!」


 突如動き出した5Dシュミレーターに弾かれる様にしりもちをついたミリアは、洗濯機の様に激しく動く球体を見つめて血の気の引く思いを味わっている。


ーーーーー


 それからしばらく天地のひっくり返る勢いで、動き回った球体型シュミレーターは、溜った圧を吐き出すようにゆっくりと初期位置に戻った。


 「これで解ったでしょう。ダウングレードの必要な理由が。」


シュー――――


 完全に密閉されていたシュミレーターのハッチが開き、ミリュが姿を現した、と同時に生理的に不快な臭いが一瞬周りの者を刺激するがナノマシンによりそれも一瞬で消える。

そして白衣のあちこちに大小さまざまなシミを作ったミリュが立ち上がり・・・。


ゴトリ・ゴロン・・ガン


 多少は抗う気持ちがあったのか、頭からシュミレーターを脱出したミリアは僅かな段差を滑り、さらに後頭部をしたたかに勢いのまま打ち付けた。


 「ひやぁ!おねー!クサッ・・ちゃーん!」


 「い・・・今クサって・・・・。げっふ・・・。」


 慌てて抱き上げようとミリアは近づいたが、獣人の鋭い嗅覚には分解したての吐瀉物の残り香がきつかったようで、臭いを感じた瞬間にゆっくりと下がっていく。


 「ふふっ。麗しき姉妹愛・・・でもないですね。なんでそんなに下がりますか。」


 眷属として進化したとはいえ、特に嗅覚が鋭くなっているわけではないライには、ミリアの下がった意味が分からず倒れたミリュを最近必死で鍛え上げた力で持ち上げようと白衣を掴むが・・・。


 「ぅわっ・・あ。」


ゴッ


 空間を汚したブツはすべて分解されていたものの、着衣に染み込んだものは変わらずそのままであった為妙に湿り気を帯び・・・というより、水分とそれ以外のものでぐっしょり濡れていた。

その感触につい勢いよく引っ張り上げた手を離したライは改めてウルテニウムの床に頭部から落ちるミリュを眺めるしかなかった。


 今のミリアの下がり具合はこれのせいですか・・・くさ・・・。


 ライの手には何とも言えない臭いが纏わりついている。そしてその手をそのまま近くに来たミリアの白衣にもっていき、おもむろにぬぐう。


 「わぁ!ライさん酷い!」


 「双子でしょうに。自分のものでもあるのですから気にしなくても良いでしょうよ。」


 「そんな訳がありますかー!!」


 ライの手をふき去り、うっすら緑色にシミを作ったミリアの白衣は、おそらく胃液の色であろうことがうかがえる。

そこから推察すれば、ミリュは胃から全ての物体を吐き出したのだろうと、ライは遠い目をしながらミリアの頭に手を置く。


 「に”ゃ”っ”!?そのままの手で!?」


 驚きのあまり毛の逆立った尻尾を限界までピーンと突っ張らせたミリアが信じられないとライを涙目で見つめている。


 「えんがちょ!らいさんえんがちょー!!」


 えらく古風な反応を見せるミリアに思わず笑みを漏らすライは、未だピクリとも動かないミリュを見て先ほどのシュミレーション中の刹那を思う。


 ロペさんの乗るレイブ高機動型を再現したデータを使ったのですが、随分堪えたようですね・・・。きっと完全に固定されたシートに全身を固定されていたせいで、内側が鍛えられていない彼女は・・・相当にミキシングしたのだろう。


 血の気の引いた青い顔をしたままウルテニウムの床に転がった彼女は不意にライの方を向き、手招きした。


 「どうしましたか?なるべく早くナノマシンを使いなさい?触りたくないですよ?」


 (うぅっ・・・ライさんめぇ・・・。)


 可能な限り近づいたライは、バッサリと切って捨てるがその時歯を食いしばり、口を明いっぱい内容物によって膨らませたミリュはライの胸元を掴み、自らの口元に引き寄せた。


 「ゲフッ・・・うぅぇ。」


 !?!?!?!?!?


 あ!・・あっ!!あつっ!!ぎゃぁーー!!!


 「なにをする!」


 ミリュのどこにこんなにも大量の内容物があったのかと思うほど大量の吐瀉物を素肌に直接流し込まれたライは、あまりの驚きにそのままミリュを掴んで無造作に放り投げる。


 そしてその軽々と放り投げられたミリュは輝くオーロラをまき散らしながらこちらに近づかないように様子をうかがっていた、ミリアに直撃する。


 「ふあーーー!!!」


 ミリュのオーロラを顔面いっぱいに浴びたミリアもまたその場にへたり込み、その膝の上にしっとり濡れた姉を乗せ、もらったオーロラをそのまま滝のように姉の頭の上に吐瀉する。


 「もう何なんだ・・・。掃除するのはナノマシンだから構わないのかもしれないが・・・三人とも自重しなさい?」


 服の内側にこれでもかと吐瀉物を抱えたライはライで、身動きが取れず呆然としている。そして改めて妹のモノを頭からかぶったミリュもまた意識を手放した。


ーーーーーーーーーー


ラビス内共同大浴場


 「ライさんがいけないんですっ!あんなことするからっ!」


 まだ言っていますね。全く・・・。


 「ゲロ娘さん。あれでダウングレードの重要性が分かったでしょう?」


 「ゲ・・・ゲロ娘言わないでください!!わかりましたからぁ!」


 「全く・・・二人とも元気だな・・・。量産型のめどは立ったのか?まだ到着には時間があるが、あまり悠長にしている時間は無いぞ?ボスも何を言い出すかわからないところがあるしな?先んじて行動をしなければ置いて行かれてしまいかねん。」


 「それは確かにそうですね。ですが、さっきのは関係ないですがフィギュアを使う案は案外上手くいくかもしれないので、一般パイロットやクルーにも使えるように、システム的に制限をかける事で、全てのクルーに使えるようにしておこうと考えました。」


 ・・・。ティオレさん・・・凄く・・・大きいです。浮くんですね・・・。


 「なるほど。だがセキュリティに関してはどうする?元海賊どもはいつ裏切るとも知れんぞ?」


 「それは無いと信じたいですが・・・。全クルーに配られている私達専用のID、あれに新たに情報を加えることでセキュリティはクリアできます。」


 「IDを紛失または奪われた場合は?」


 「それこそ問題ありません。あのIDは所有者から五メートル以上離れると溶けてなくなるようになっています。」


 マギアシリーズ全艦に配られているIDカードには様々な権限や情報が込められているため、情報盗難防止用に物理セキュリティが施されている。

 しかしこうやって風呂に入るなどのIDから離れる場合、基本的に持って入って濡らそうが、火で炙ろうが問題のないモノなのだが、皆何故か忘れておいて行ってしまう事が問題視され、脱衣所には個人認証ロック付きのロッカーが設置されている。このロッカーに入れている限りにおいては、勝手にIDが消えてしまうことが無いのだった。


 「そうだったのか・・・。うっかり置き忘れてしまうと無くなってしまうのだな。」


 「そんなことしないでくださいね?この船の中なら、ナノマシンが自分の元迄持ってきてくれるでしょうが、外で無くしてしまったら、もう船に入れませんよ?」


 「それは困るな。私も気を付けよう。」


 そんな二人の会話を聞きながら、湯船にぷかぷか浮かんでいた双子猫達は流れに流され、二人の元迄漂着した。


 「IDをなくすとか自己管理がなっていないのです。」「IDなんか普通無くさないのです。」


 そういいながら二人は腕に巻き付けたお風呂用I防水IDホルダーを見せつける。


 「作ったのか?」


 「暇だったので。」「退屈だったので。」


 「仕事をしなさいよ!」


 そんな話をしている矢先、脱衣所が騒がしくなってきた。


 「もうそんな時間ですか。メンテナンス部の者たちでしょうね。」


 「そんなことが分かるものなのか?」


 「調べればすぐわかりますが、タイムスケジュールの話ですので。」


 「なるほどな。」


 がやがやと、四十人近い人数が扉を開け押し寄せてきた。と同時に、先客に気付いた一団がライたちの方に向かってくる。


 「やぁやぁ博士。新型の開発は進んでいるかな?」


 「ゼルミィさんですか。そういえば今はメンテナンス部に居たのですね。」


 「まーねー。パイロットやろうにも、モノがないしね?まぁそれはメンテも一緒なんだけど。私も開発の方に携わりたかったからさ。時間が取れて、開発PCに触れるここにしてもらったのさ。」


 そんな話をしているライの胸をひっつかみ、双子猫が話に加わる。


 「丁度いいのです。」「テストパイロットして欲しいわ。」「やめさない。」


 ・・・そうですね。彼女たちは言ってみれば普通・・・とは程遠いですが、ほかの幹部たちに比べればほとんど一般人ですからね。


 「つい今しがた、量産型のめどが立ったところですので、よければ乗ってみますか?」


 体を洗う前に話し込んでしまった手前、湯船に漬かる事も無く腕を組み仁王立ちするゼルミィは、嬉しそうに首を振った。


 「うんうん!のるのる!レイブよね?あれの量産型ってなんだか凄そう!」


 「まぁシステム的に制限が掛かっているだけで、先行してボスが作られた物と殆ど変わらない物なのですが・・・。」


 「それでも数はそろうという事よね?安心したわ。私も自分で設計して、銀河君にお願いしてみようと思っていたところだったし。」


 プロの仕事は早いわねーと、体を洗いにゼルミィは去っていった。


 「さて・・・長々とここに居てもしょうがないですね。研究室に戻りますか。」


 「えー!」「まだ仕事するんですかー!?」


 「あなた達は別に戻ったらいいわよ。」


 口を膨らませてムームーと文句を言いながらも、二人はライに続いて風呂を出た。


 「やれやれ、姦しいことこの上ないな。」


 そう呟きながらもティオレも続いて風呂を後にするのだった。


ーーーーーーーーーー


 風呂から上がった四人は、例のフィギュアを巨大化させるべくライの部屋に一度寄り、回収したのち使われていない一般ドックへと足を向けた。


 「さてみんなで等間隔にフィギュアを置いていきましょう。近くに置きすぎると大きくしたときのぶつかりますよ。」


 ライはガラガラと小型のコンテナの様なものを押しながら、ドックの中央にコンテナを置きスライド式の側面を開ける、

するときっちりと整列した無数のフィギュアがほぼ隙間なく詰め込まれていた。


 「ふあー。これ凄くないですか!?いっぱいありますよー!」


 「これが全部小型の本物・・・!?」


 ライは眼鏡をクイっと持ち上げながら、小首をかしげる。


 「あと三つはありますよ?これ。」


 「「「ええーッ!!」」」


 さすがのティオレさんも驚いていますね?一つのコンテナに五十機入っていますから。


 「こんなにあったのなら、前の戦いの時にも使えたんじゃないか!?」


 「いえそれが・・・。」


 このフィギュアは雨宮が一人になった時に少しずつ研究も兼ねて作られているもので、他の誰かといる時に雨宮がフィギュアに手を触れることはほぼ無い。

雨宮の世界で見たアニメのロボットを真似て作られている為、この世界には存在しない謎の機構を持っているマシンが大量に存在する。しかも同じマシンが無い。

だがこの時ライはそのことに気が付いていないのだが・・・。


 「ねぇライさん・・・これ全部違うフィギュア何だけど勝手に使っちゃってほんとにいいの?」

 「なんだか凄く大事にしている物の様な気がするのだけどほんとにいいの?」


 ・・・許可は取ってあります。・・・ありますよ?


 「研究に使っても良いと・・・。」


 「「それ多分ダメな奴!」」


 「分解とか変化とか、ダメな奴じゃないか?」


 三人の意見は一致している。ライの一言を聞いた瞬間、ミリュは取り出そうとしていた手を止めた。


 「ゼッタイ大事にしているよ!」「ゼッタイ観るだけの奴だよ!」


 ステレオで聞こえる双子の声でライも思い直したのか、コンテナの蓋を閉じた。


 とはいえ・・・このフィギュアを使わないとなると、私の力がどの程度のモノを作り出せるのか・・・という話になってきますね。

この娘達は武装やプログラムに特化した技術を持っていますから、実物を作り上げるのには向いていない・・・。


 「ライ。悩んでいるようだが・・・一つ提案してもいいだろうか?」


 「えっ?」


 驚いた。てっきりそういった方面には興味がないものだとばかり思っていたのですが・・・。


 「聞きましょう。」


 「これだ。」


 そういってティオレが取り出したのは、雨宮特製マジックタブレットだった。


 「これは・・・。」


 「以前監獄に居た頃の話だ。男連中から聞いてな。足りないエネルギーはこれで補ってはどうだろうか?ボスの時は大量の食事で賄ったという事らしいが・・・。お前にはそれは無理だろう?」


 そうですね・・・。精神的に食べられそうにないです。一体どれほどの量を食べる必要があるのか?考えるだけでも恐ろしい。


 その話を聞いた双子は、ハンガーの隅に取り付けられたボス専用の食料をこの扉を開き、何かを持ってきた。


 「ライさんこれも使えると思います!」「めいいっぱい飲んで吐くと良いと思います!」


 姉・・・!根に持っていますね?


 「それも一つの案として覚えておきます。」


ーーーーーーーーーー


 「ライ!ギンサーガと強襲型の用意を。」


 結局量産計画は遅々として進まず、私の今の力では一機丸ごと作るのが限界ということが分かった。何故なら、レイブに使われているあの謎のエンジン・・・。

アレを複製するのに丸々三日はかかってしまった。しかも内部機構は不明なままだ。ナノマシンの力を借りて・・・と言うよりほぼナノマシン任せだったのですが・・・。

私に知りえない技術で作られている、それだけが判明した。


 ライは手早く手元の端末を操作し、雨宮の乗るギンサーガとロペの乗るレイブ強襲型を、暇だからと双子によって作られた、マシン射出用カタパルトへと設置する、


 「あれは本当に使えるのか?」


 「ティオレさん・・・。ボスなら・・・きっと・・・。」


 「「二人とも失礼です!ちゃんとしたものですっ!」」


 双子は憤慨しているが、ライはその仕様書や設計図に目を通しレールガンでも作るのかと尋ねた経緯がある。

ティオレにしてもまさか武器ではないものをこの二人が作ることが今一つ信用できない、といった感じでギンサーガのコックピットに乗り込む雨宮を見送る。


 「「無事に出られますように。」」


 ライとティオレは二人して合掌し雨宮を見送・・・。


バババババババババババ!!!!!

ドドドドドドドドドドドドドドド!!!


 「ヒィッ!!」


 あまりの爆音にバトルドレスを着た作業員達が力を無くしふわふわと宇宙空間に投げ出されていく。


 「あ・・あーー!!救助―――!!!」


 ティオレは真っ先に飛び出し、バトルドレスの中で気を失った作業員を救出に向かった。


 端末は・・・動くわね。全く・・・近くに居たら死んでいてもおかしくない音でしたね?


 「二人共懲罰房に入る準備をしなさいね?二時間ぐらいがいいかしら。」


 「「にゃんとーー!!??」」


ーーーーーーーーーー


 ギンサーガも強襲型も移動速度は極めて速い。目標地点まで到着するのに半日もかからないだろう。

今のうちに新しい案を何か・・・。


 ライは双子を懲罰房に押し込んだ後、研究室に戻り量産計画の資料を見直していた。

するとその資料の下に、見慣れないメモリースティックを見つけた。


 これは・・・。まさかロペさん?


 そのメモリーを様々な角度で見ていると、裏側と思われる面に『ろぺの』と書かれている。おそらく油性マジック・・・。


 わざわざ置いて行ってくれたのでしょうか?では早速・・・。


ーーやほ。このメモリーを見ているということは私はもうここにはいない・・・って死んだみたいだねぇ?まぁ出撃しているだけだろうけどね?

 ライちゃんがフィギュアのコンテナを運んでいるのを見てさ。例の計画が進んでいるのか気になったのさぁ。


 むむぅ・・・さすがはロペさん、お見通しですか。


ーー多分、あのフィギュアはいろいろと問題があるから使えないと思う。技術的なものとか、魔術的なものとかいろいろね。

 それに恐らくプロテクトが掛かっているはずだから、下手に解析してみたりしない方がいいと思うょ?


 ・・・。よかった・・・本当に良かった。我慢して本当に良かった。


ーー現状で量産計画を進めようと思ったら、今はウルテニウムは使わない方がいいと思うんだょ。きっとエネルギーが足りないと思うし。

 でね?銀河きゅんから頼まれた買い物のリストに、オリハルコニウムとかミスリルとか、色々あったからそこから使うと良いとおもぅ。

 ちなみに、レイブに使われているエンジンは私も解析できていないから丸ごと作るのはあんまりお勧めしないなぁ。


 やっぱり・・・。どおりでただ丸ごとコピーするだけであんなに大量のエネルギーが必要だったわけですね・・・。


ーーでもエンジンについては、銀河きゅんが色々とデータをソコに残してあると思うから、見てみるよいいょ。

 案外簡単に進むかもしれないしねぇ?にゃははー。


 切れましたか・・・。録画ですよね・・・?これ。


 ライは手元の資料を片付け、研究室のメインコンソールを立ち上げた。


 ・・・。このプログラムでしょうかね?


 ライは見慣れないプログラム起動アイコンを選択し、起動する。


 「これはなんでしょう・・・?ゲーム?」


 モニターの大画面に映し出されたのは・・・。


 『ウルトラロボットクリエイター』


 と、タッチスタートの文字だった。


 そして数秒間を開け、VR機器が接続されていません。と画面下に表示される。


 ぶ・・VR?そんなものあったかしら?ダイブマシンならあるけれどアレはまた違うものだし・・・あ。


 ライは艦内内線を使い心当たりに連絡をしてみた。


ーーーーーーーーー


ラビス内キャンディ・キャッシュマン私室


 「それでしたら、フルダイブ型なら四つは用意できていますわ。」


 出来ている・・・!?


 「何故・・・?」


 「・・・先日銀河さんが新型を購入なさったのを見ていましたのでつい・・・。」


 見ていたって・・・あらぁ?あの時は・・・?えぇ・・・?


 「いえ・・・まぁいいと思いますよ?」


 私・・・何を言っているの?


 「ま・・・まぁゲームのようなものを動かす為に機器が必要になっただけなので・・・ちなみにそれは研究室迄持っていけますか?」


 「問題ありませんわ。既に専用シートを作成済みですから」


 すると空間魔法でしょうか?僅かに開けた胸元から、スルッと人一人、大の大人が二人はゆったりと寝られるぐらいの高級シートが現れました。頭の乗る部分には最新式と思われるVR機器が乗っていますね。


 「このシートに組み込んでありますから、何処へでも持って行けますわ!」


 多分持って行かないと思うんです。ゲームってお家でするものでしょう?


 「で・・・では後二人ぐらい。何があるか分かりませんから、念の為に呼んでおきましょう。」


ーーーーーーーーーー


 「で、私な訳。」


 「はいっ!ゲームしましょう!」


 キャンディの心当たりは、ルミコ、そして妹のパメラだった。二人共VRゲームではかなりの腕らしいが・・・。


 「あの・・・ゲームじゃないので・・・。」


 違うんです。VR機器が貸して欲しかっただけなんです。パメラちゃんのキラキラビームが痛い。


 「四人ならライトバーティーって感じか、ソフトは何がインスコされているんだい?研究室でゲームなんて学生時代を思い出すよ。」


 「あの・・だから・・・。」


 そんな二人をしり目にキャンディは手際よく四人分のVRシートをセットしていく。


 ・・・手慣れている・・!?


 「さぁ、リンクは構築できていますわ。後は出力元は・・・どこに接続すればよろしいので?」


 「ああ・・・それは私がやりますから・・・。」


 変なところを触ったりはしないだろうけど、一応機密扱いなのですよ・・・?この研究室。


 「このモニターに映っているのがそうなの?ウルトラロボットクリエイターって・・・?」


 「お?見た感じサンドボックス系のモノかなそれともクラフト?ロボゲーかぁ。マーズマニア3以来だなぁ・・・。」


 「あら?ルミコさんも3派ですの?実はわたくしも・・・。」


 だから・・・ゲームじゃない・・・・・・ですよね?ボス?


 研究室の端末は他の艦内端末とは隔離されている為、不測の事態が起こってもこの研究所のシステムを使うことで、対処が可能なように完結している。

しかし、衛星リンクを使ってしまうと外部セキュリティを構築しなければならない。元々そんな予定がなかった為、ナノマシンに直接ガードしてもらう必要が出来てしまった。


 「あぁ・・・。私に宿るナノマシン達、お願いしますね?艦内データの流出とかシャレにならないです・・・。」


 ライが、VRシステムに自らのナノマシンを流し込み急ごしらえのネットワークセキュリティを構築する傍ら、何処からか寝間着をもってきていた三人はそれに着替え、既にシートに体を横たえていた。


 「ライさん、大丈夫ですわ。リンクと言ってもネットワーク空間でお互いを見失わないための有線リンクですから、何か大事なことをなさるのですよね?」


 「パメラ君はどうか知らないが、私はボケていただけだぞ?」


 「え?ゲームじゃないの?」


 ライの懸念は杞憂に終わったようだったが、結局三人に事のあらましを説明し忘れていた事を思い出した。


 「そういえば何も説明していませんでしたね・・・。失礼しました。えっと・・・。」


 ライはマシン量産計画の事をかいつまんで三人に伝える、その間に何があったか等は話したくもなかった。


 「確かに、クルーが急に沢山増えましたものね。今までも決して数が足りているとは言えない状況ではありましたが・・・。

しかし・・・しかしですよ?あのテラ娘さん?でしたか。それにレイブ、あれは数を補って余りある過剰戦力の様な気もしませんか?ドルフは今のCEでも最新型のワーカーですのよ?

それを上回っている性能なうえ、あの謎の大量破壊兵器・・・。しかもテラ娘さんは一人じゃありませんのよ?」


 キャンディの中ではテラ娘=ピュリアの図式が出来上がっていない故の一般論だったが、ライは特に気にすることもなく眼鏡を触る。


 「テラ娘の一号機・・・ピュリアはもはやマシンかどうかも怪しいですしね・・・。ただ二号機は未だにOSすら入れていないので動きませんよ。

詳細はまぁ・・・ボスに確かめてください。ですが確かにレイブの性能はこの世界では追随を許さないでしょうね。ですがあれはあくまで対界獣の為の兵器です、そう考えるとボスは全く戦力が足りていないと考えていらっしゃいます。」


 「それゆえの量産計画ということだな。少なくともパイロットの数位は揃えておきたいところだね?」


 海賊娘達が合流したことによって人数が増えたパイロット及びパイロット候補は以前の十倍以上の人数にも及ぶが、肝心のマシンはドルフ、レイブ、それ以外の特殊機体を合わせても、

パイロット全体の一割にも満たない。現在はパイロットはロペが、白兵はティオレが訓練にあたっているが、ただ只訓練するのにも限界がある、ドルフは使い廻しが効くため搭乗訓練にも使われる。

これがあるせいでパイロットの訓練は順番待ちでいつ終わるかわからない状態が続いている。しかも今は臨戦態勢であることもあって正規パイロットが使用中、各艦シュミレーターに順番待ちの行列が出来ている。

ドルフほどの性能ではなくとも、訓練用のワーカーぐらい買っておくべきだったと後悔したところで今は無人の宇宙、しかももう敵性と思われる界獣のほぼ目と鼻の先に居る。

今から買いに戻るわけにもいかない、通販で購入したとしても危険すぎてここまで届けられるようなショップは存在しないだろう。


 ライにはナノマシンを利用した製造能力、クリエイトと呼んでいる能力が備わっている。しかしライはロペやティオレ、ファム、ネシア、などと違い、普通の人間から眷属化しただけのいわば一般人・・・に毛が生えた程度。

散々訓練を受けているとはいえ、超人種から眷属化した者達や、元々冒険者だった者達からすれば、レベル1とレベル2の差など正にドングリの背比べ程度の話でしかない。

ダンジョンに潜って力をつけることも考えたが、そんな時間が無い。雨宮の様に爆食し無理やりナノマシンに成長を促す事も・・・?


 (・・・爆食・・・私は確かに食が元々細かった。もしかしてこのエネルギーの少なさはそのせい?)


 ライは眷属化した幹部達の中では最弱と言ってもいい。今もバトルドレスを着て辛うじてマシンに乗る事が出来るレベルの能力しか発揮できていないのが実情だ。

元々虚弱だったフェインですら既に地獄の特訓を終え遥か高みに上っている。得意分野で雨宮に貢献しようとしていたライにも限界が見えていた。


 「ライさん?起動しますわよ?」


 思考の海に沈みかけていたライをキャンディが覗き込み目を覚まさせる。


 ハッとするほどの美人同じ女として複雑ですね・・・。


 「ふぅ・・・。そうですね今は出来る事をしましょう。」


 四人はそれぞれVRシステムをセットアップし、意識を電子の海へと沈めていく。


ーーーーーーーーーー


 ・・・・・?ここは・・・。


 無限に青い空の様な空間、ライはふと周りを見渡すとそれぞれ色違いのつなぎを着た三人がふわふわと浮かぶように空を・・・ライの頭上にあたる空間を見ている。


 「ライさん!上!上!」


 「ライさん!早くこちらへ!」


 「あー・・。」


ゴッ


 『ウルトラロボットクリエイター』


ちゃったらーちゃーん


 「あがっ!」


 はるか昔の2Dゲームの如く頭上から現れたタイトルの文字が、物理的な物体として上から降って無警戒のライの頭頂部を『ト』の文字がかなりの重みを伴って強打する。


 (なぁ・・・なにがぁ・・・?)


 文字が頭を殴打する、そう表現するのがふさわしいかはさておき、メタリックに武骨な鉄の金具で作られたかのようなタイトルの文字は、ライの意識を刈り取るには余りある勢いだった。

しかしそれは、後に放置していればゆっくり降りてくるものであり、怪我をするレベルのものではない。

パメラの目の前に大きく表示されていた、『タッチスタート』の文字を触りさえしなければ避けられた事故だったとわかる。しかしながらパメラは押すな押すなと言われれば素直に押す、そんな性格をしていた。

 もちろん、その行動はお約束通り、タッチしたのだ。タッチする事により、次のチュートリアルにスムーズに進む為文字がはるか無限に下へと、スピードアップして落ちていく。

電子空間ではその意識の持ち用と、元々のプログラムによってそれぞれの物体の性質が変わってくる。雨宮はそのタイトル自体にメカメカしさを求めて武骨で、金物チックな性質持たせていた。


 運良く頭を打っただけで済んだが、文字に押しやられて進行方向にただ押されようものなら、何処まで押されていたかわからない。

VR空間ではシステムメッセージに従って安全に遊びましょう。


 「だ・だいじょうぶですの?」


 「凄い音だったけど・・あれってただの効果音だよな?」


 「ゴッて・・・。」


 フルダイブ型の弊害ともいえるが、自らが設定を変えない限りプログラムに従った属性の縛りを受ける事となる。

雨宮にとってこの空間はあくまで遊び場であるが、リアルとほぼ変わりのない設定になっている事がこの度の悲劇を招いた。


 「あぁ・・・視界が揺れる・・・。大丈夫みたいですね・・・?金属バットでフルスイングされるとこんな感じなのでしょうか?普通の人間だったら確実に死んでいましたね・・・。」


 (ボス・・・すごく痛かったです・・・。)


 そして何事もなかったかのようにさらに四人の頭上から大量の文字がゆっくり降りてくる。そして恐らく一番初めにこの空間にやってきたであろうパメラの前に再び『タッチスキップ』

の文字が浮かび上がっている。


 (あ・・・。押すしかないよねっ!)


 途端にスピードアップして落ちてくる説明文と思われる大量の文字、慣れないフルダイブの感覚に戸惑いながらも何とか離れることに成功した三人。


スパ―ン!


 「パメラ!スキップするなら先に言いなさい!」


 (何処から取り出したのそのハリセン・・・?)

 「あっぶなかった・・・。」

 

 「二回目は流石に・・・。」


 「えへへぇ。」


 ((クソっ美少女めっ!)いや・・・少女ではないか・・・。)


 ルミコとライの心の声など聞こえるはずもなく、ごめんちゃいと画面が切り替わるのを待ちわびているパメラは悪びれる様子もそこそこに、スキップボタンを押しっぱなしにしていた。


 「パメラさん。早すぎて文字が読めないのですが。」


 「えっ?私読めるよ?」


 「「えっ?」」


 「わたくしは普通に読めますが・・・。」


 ライとルミコは自分達はまだまだ普通の人間だと、改めてそう思う。


 「アドベンチャーゲームってスキップ読みできないと時間かかるからできるようになっちゃったんだー。」


 ライのゲーム遍歴は幼い頃兄がプレイしていたアクションゲームを一緒に遊んだことぐらいしかない。大人になってから触る機会すらなかった。

そのためアドベンチャーとゲームが結び付かないようでしきりに首をひねっている。


 「あー。そんな特技があるんだパメラ君・・・。後でざっくりでいいから内容を教えてくれぃ。」


 そんなやり取りの間も、ものすごいスピードで無限の彼方へ落ちていく説明文、そしてそれを見送る四人傍から見ればシュールの一言だった。


ーーーーーーーーーー


 「わわっ!」「ひっ!」「っと・・・。」「わぁ!」


 説明文が彼方へと去った後、急に視界が閉ざされ、四人は見覚えのない巨大な工場のような建物の前に居た。突如発生する重力感に足元がおぼつかなくなりキャンディ以外はしりもちをついてしまった。


 ライがお尻をさすりながら立ち上がると、目の前に先ほどまでは居なかったはずの、不思議な物体がそこに居た。


ーーようこそ、うるとらろぼっとくりえいたあのせかいへ、わたしはこうじょうちょうのてだすけをする、じゃっく、だ。


 「え?」「え?」「え?」「かっくかくだ・・・。」


ーーこうじょうちょうはこれから、いろんなそざいをつかってさいきょうのろぼっとをつくりたいかいにでてゆうしょうしてください。


 声は聞こえない。四人の目にはジャックの頭上に浮かぶ吹き出しの中の文字が若干高い位置にある為非常に読みにくかった。


 「句読点の位置がおかしい・・・ってパメラ?スキップはやめなさい。」


 (バレタ。)


ーーさあこっちだ!ここがあなたたちのこうじょうです。


 「キャラ付けに迷いが見えますね・・・。」


 四角いブロックで作られたようなジャックに案内され、四人は工場の中に入る。

工場の中は見た事も無いような不思議な機会がひしめき合っていて、何に使うのか全く想像が出来ない。


 「おねーちゃんあれは何?」


 パメラが指さしたのは、先端がスポイトの様になっているクレーンの様なものだ。


 「・・・。適当な事ならいくらでも言えそうですけど、何かを吸い上げる機械なのかしら?」


ーーここがこんとろー


 ・・・?


 急にジャックが話・・・ジャックの頭上に吹き出しが現れ、パメラが反射的にタッチスキップを押してしまった。

一瞬こちらを振り向いたものの、またすぐに別のところに向かって歩き去っていくジャック。


 「ちょっと!」


 「何も聞けなかったじゃないか!」


 「何か言いたそうでしたけど・・・。」


 「ああー・・・。つい・・・。」


 このままパメラに主導権を握られたまま進むのかと思うと不思議と力が抜けていく三人だった。


 「そ・・・それよりほら!ジャックが行っちゃうよ!?」


 慌てて工場の通路をひた進むジャックの後を追うと、今度はとても寝心地の悪そうな角張ったベッドの置いてある部屋にたどり着く。


ーーここがきみ


 「あっ。」


 「ちょ、また。」


 パメラが反射的にスキップをしてしまった瞬間、四人の目の前に謎の文字が浮かぶ。


 ▼はい

  いいえ


 「わからねーーーー!!!」


 ルミコは突如現れた選択肢に向かって吠えては見るものの何も解決しないことも分かっている為、その視線がパメラへと向かう。


 「パメラ。選んで。」


 若干イラつきが見えるルミコとライに比べ、笑いを堪える様に促すキャンティは、現状を若干楽しんでいる様でご機嫌だった。


 「そうだな。内容が分からないし、まぁ死にはしないと思うから君が選ぶんだ。」


 「ぅぇぇ。・・・じゃあ・・・。」


 「ちょっと待ってください。」


 パメラの手を取り、選択肢を選ぶ直前にライがパメラを止めた。


 「その前に聞いてもいいですか?この・・・視界の端に点滅しているアイコンはなんでしょうか?」


 「え?そんなの・・・あるね?なんだろこれ?ぽちっとな。」


 「ちょおま。」


 ルミコがさらにパメラを抑えようとするが間に合わず、何かがパメラの視界に映っているようだった。


 「・・・バグかな?」


 「どういうことですの?」


 「これはこれで押しても大丈夫みたいだから、みんな見てみて?」


 そう促されるが、今までの行動の印象から素直に押せない三人だったが、しぶしぶといった様子でルミコがまずそのアイコンをタッチする。


 ☆ジャックを倒せ0/1


 「何これ?倒せって・・・。」


 「この人別に悪い人じゃなさそうなんだけど?」


 「クエスト・・・でしょうか?」


 「くえすと?」


 ライ一人頭が追い付かないままだが、他の三人は今迄の状況から、推理に入った。


 「ライさん、このアイコンはいつからこうなっていました?」


 「この人?に会ってからずっとよ。」


 「ふむ・・・。敵かな?」


 「パメラ、それで本当に倒してしまって詰んでしまったらどうするの?」


 「それもあるのかな?」


 「じゃぁ・・・。」


 もし仮にジャックが敵だとするなら、先ほどから目の前に現れ、ずっと付いて来るこの選択肢も意味合いが少し変わってくる。

つい先ほどまではベッドルームまで案内してくれた普通のジャックだった。しかしこの選択肢の内容はパメラのせいで解らない。

一体何を問われているのか?


 「このクエストはきっとおにーちゃんのメッセージだよ!」


 (ボスの・・・。)


 「ただのバグだったらどうするんだよ?」


 「あの・・・。」


 あーだこーだと姦しく話し合う三人にライがそっと手を挙げて質問をする。


 「このまま無視する訳にはいきませんか?」


 「「「ソレダ。」」」


 「良くわからない選択肢を選ばないっていう選択!」


 「じゃあ少し工場の中を見て回りましょう。」


 そうと決まれば行動が早いのがゲーマーだ。二人の廃人は我先にとベッドルームを出ようと入口まで移動した。


 ▼はい

  いいえ


 ジャックが見えない速度で出入り口をふさぐ。瞬きをした瞬間にそこに現れる、ある種怪奇現象の様な行動に驚く一同。


 「今どうやってここに移動したの・・・?」


 「テレポート?」


 「はぁ!?」


 素っ頓狂な声を上げるのはライだった。


 「じゃ・・・ジャックが二人に・・・。」


 その声を聞いた三人は先ほどまでジャックがいた方に振り向く。


 「増えた―――!!」


 「ちょ!」


 「ふっっ!!」


 思いっきり顔を背けて必死に噴き出す笑いを堪えるキャンディをしり目に、大爆笑するパメラ。

ルミコももはや笑うしかないといった様子で指をさして笑っている。


 ん?さっき点滅が消えたはずなのにまた・・・。


 ライはもう一度点滅しだしたアイコンをタッチする。


 ☆双子の兄弟ジャックと太郎を倒せ 0/1


 太郎・・・?


 「別人・・・?」


 え?倒せ?何?これはいったい何なの?

私達はここに一体何をしに来たのかしら・・・?ロペさんは私に一体何を渡したの?


 ライが混乱し、他の三人が笑う中、ルミコは興味深げに出入り口をふさぐ太郎と思われる方に近づいた。


 「なんていうか、双子・・・っていうのは分かったんだけど、倒すって具体的にどうすればいいのかね?」


 「SATUGAI!するんじゃないの?」


 「でもそれでは物語が進まなくなるかもしれませんわ。」


 「そもそも物語に一体何の意味が・・・?」


 何はともあれ、四人には三つの選択が与えられている、一つは選択肢ははい。一つは選択肢いいえ。一つは双子を何らかの形で倒す。

雨宮がどういった意図でこのようなものを残したのかはわからない、ロペはきっとこれの意味を知っているのだろう。しかし四人にはそれほど時間があるわけではない。

外では来るべき決戦に備えて、他の者達は準備に追われている。ライもまたその準備の為にここに来たはずなのだが・・・。

 

 「・・・倒しましょうか。」


 不意にキャンディが選択肢を見つめながらそう言う。


 「ふむ。その意図は?」


 「なんとなくではありますが、このミッション・・・クエストかしら。これは銀河さんの意図ではないような気がしています。どちらかと言うと、ロペの様な気がしていますわ。」


 「あ。私もそれ思った。でも、ロペおねーちゃんは意味のないことはしないと思うし・・・。」


 「・・・選択肢を選んだ結果がどうあれ、この二人を倒すことで自由に動き回れるようになることはメリットであると。」


 「この四人なら、ノーヒントでもなんとかなるだろー。」


 ルミコさんそんな適当な・・・。


 「では殺りましょうか。いでよアイスソード!」


 キャンディが目を瞑り、右手を開いて氷を扱う魔法の代表格の一つ、氷の剣を呼び出す魔法を唱えた。


 「・・・。」「・・・?」「?」


 「・・・でません・・・わね?」


 そこはかとなくアイスな雰囲気の中若干頬を赤く染めたキャンディは部屋の中にある手ごろなものを物色しにかかる。


 「どうやら魔法はここでは使えないようだね?」


 「不覚ですわ。」


 「こんな時こそ私の出番だ!」


 大見得を切って太郎の前に飛び出したパメラは、つなぎの袖を捲り右のこぶしを高くつき上げる。

その腕にはあるはずの無い腕輪があった。


 「ここの中にも持って入れるとは思ってなかったけど、これがあるなら私は無敵さっ!」


 「!!!パメラ待ちなさ・・・。」


 「へんっ!!しんっ!!!」


 高く掲げられた腕輪が輝きを放ち、目を開けていられない程の光量を放つ。

そしてその後に、ライは強烈な圧迫感を全身に感じる。


 「ふぐっ!!」


 「さぁ・・・!い”っ!」


 「むあっ!」


 キャンディの言葉も聞き終わらないうちに万力もかくやというほどの力で壁に押しつぶされそうになる三人。


 ・・・ぃ・・・死ぬっ!!パメラさんは何を!!?


 突如何かによって部屋の壁に押し付けられ、早くも全滅かと思われた時、圧迫感が無くなり三人は固い床に崩れ落ちた。


 「ぐ・・・は・・・?」「ぱめ・・・らぁ・・・!」「・・・・。」


 もともと鍛えているキャンディはまだ力が残っているようだったが、ルミコとライはすでに虫の息と言っていい。

そして肝心のパメラと言えば・・・。


 「はがぁ・・・。ぎゅっって・・・ぎゅってぇ・・・・。」


 何故か関節を決められた後の様な妙な形のままで固まり、気を失っていrた。


 ・・・・・・・・


 「パメラ。そこにお座りなさい。」


 このゲーム?の中では時間と共に徐々に体が治っていくようで、小一時間もすると全員ここへ来た時の様に元気な状態に戻っていた。


 「あの・・・。」「ライさん。これは姉妹の問題でもありますので。」「はい・・。」


 ルミコはカクカクのベッドの上に横になったままでそんな二人を見ているが、その間も何事もなかったかのように立ち尽くす、ジャックと太郎を油断なく見張っている。


 「ライさん。さっきのあれってさ、太郎はともかく、ジャックにはダメージ無かったのかな?」


 「そういえばそうですね?・・・普通と言いますか・・・何も無かった様なといいますか。」


 「無傷だよね?あれでダメージの無いあのジャックをどうやって倒す?」


 確かに、人が死んでもおかしくないレベルの圧迫でも、平然と立ち尽くす彼を倒す。元々戦闘員でもないライにはそのような方法は思いつかなかった。

そしてひとしきりキャンディから説教を受け、しぼんだトマトの様になったパメラが話に加わる。


 「破壊不能オブジェクトなのかもしれないね・・・。」


 「破壊不能オブジェクト?ですか?」


 「そう。システム的に守られた存在ってこと。」


 「でもそれではミッションはクリアできませんね?」


 キャンディはあの行動でも何も行動を起こさないジャックを今度は調べ出した。


 「・・・押しても引いても動きませんね。若干人っぽい手触りなのがとても気持ち悪いですわ。」


 「一応NPCだろ。」


 「あっ、転がしてみたりもできないのかな?」


 「そっちの倒すですか?」


 「無理ですね。動かせませんし。」


 「あ・・・そうですか・・・。」


 ほかに倒す・・・と・・・。倒す・・・じゃっくとたろうをたおす・・・。この文字に何か謎があったり・・・?


 「じゃっくとたろうをたおす・・・。」


 「ライさん何か思いついた?」


 「いえ・・・文字自体に何か意味がないかと思いまして。」


 「謎解き・・・か。」


 私は得意だぞ?とルミコは今度は太郎の方を調べて驚いた。


 「おい・・・。こいつの名前・・・。」


 「え?」


 「太郎しか見えないけど・・・。」


 ・・・部屋の中にいる方はその頭上にジャックと書かれた文字が浮かんでいる。

今まで気が付かなかったが、四人の頭の上にもそれぞれの名前が浮かんでいた。


 「ここからならちょっとだけのぞけるんだ。」


 そういいながら部屋の入口の外側を、太郎の足元から見上げてみると・・・。


ジャックと太郎


 「!?」


 「こいつが敵だったか!」


 「酷いよ!見えないよこれ!」


 「むふっ。これは・・・。」


 この入り口を塞いでいるキャラクターの名前が、双子の兄弟ジャックと太郎だった。ふたごのきょうだいじゃっくとたろう・・・。

実は雨宮の意図した名前ではないのだが、その意図を知るには本人に確認するしかない。ぶーぶーと文句を言う三人と、にやにやと笑う一人で一斉に入り口を塞ぐ太郎に襲い掛かった。


 「パメラぁ~・・・・・のどチョップ!」

 

 いきなり危険な技を放つパメラだったが、身長差のせいか、それほどダメージは無いようだった。

 

 「色が変わりましたわね?」


 「敵対してますってことかな?」


 「・・・?」


 パメラの攻撃に反応した太郎はのっしのっしと足を動かし、攻撃をしたパメラの方へとむが・・・向おうとしているらしいが頭が扉の枠に当たり、進めないままのっしのっしと謎の音が足元から聞こえてくるだけだった。

 

 「こいつこっち入れないのかな?」


 「このままハメ殺せんじゃないか?」


 「殺りましょう。」


 「・・・。」


 そして攻撃を加える度に体中にばんそうこうが増えていく太郎。次第に動きが緩慢になり、十分程四人で攻撃を加えたあたりで、キラキラと光るエフェクトを残して消えていった。


☆双子の兄弟ジャックと太郎を倒せ1/1 complete!


ーーーーーーーーーー


 「やったぁ!こんぷりーっと!」


 「はぁ・・・はぁ・・・なにこれ・・・。」


 「ちょ・・元気ですねパメラさん・・・。」


 「二人とも鍛え方が足りませんわね。」


ぴぴろてぃん


 「ほえ?」


ぴぴろてぃん


 「ん?」


ぴぴろてぃん


 「あら?」


ぴぴろてぃん


 「???」


ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん


 「ってなげーな!何回鳴るんだこの音!」


 「きっとレベルアップだよ!」


ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん


 「何か役に立つのかしらこのゲーム?で」


ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん


 「そもそもここに来たのはマシンを作る為であってですね?」


ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん

ぴぴろてぃん


 「鳴りすぎだろ!」


 そして暫く謎のSEが続き、それが消えた後、ジャックが語り出した。


ーおおふたごのきょうだいじゃっくとたろうをたおしたのですね・・・。


 「あ・・なんか話し出したよ?」


 「ルミコさん。」「はいよ。」


 ジャックの吹き出しに文字が走り出した瞬間、ルミコはパメラの両手を後ろ手に抑えた。


 「あいたたた!ちょっとぉー!」


 「タッチしては駄目です。ちゃんと目を通しましょう。」


 「はぃ・・・。」


ーこれでこのせかいもへいわになります。みんなありがとう。きみたちのことはわすれないよ。


 「「「「え?」」」」


 次の瞬間、周りにあった工場が消え、見渡す限り青。

最初にタイトルロゴに痛い目を合わされたあの空間に戻ってきた。


 「追い出されたぞ!?」


 「あれ?なんで?」


 「ぷふっ。ラスボスかしら?」


 「・・・・。」


 展開のおかしさにライは全く頭が付いていかない様で、きょろきょろと辺りを見回していた。

すると足元から、何か平たいものが迫ってくる。


 「あら?あれは・・・はっ!」


 「ライさんしたっ!!したっ!!!」


 「上じゃない!下だ!!下!」


 「へ?」


ドっ


 「あぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


 勢いよく登場したのは、THE END という文字だった。微妙に見難い高さまで上昇して、急にピタッと静止したことにより、勢い余ってライは彼方へと押し飛ばされた。


 「らいさーーーーーーーーーーーーん!」


 「あー・・・。」


 「ぶふーーー!!」


 ついにこらえきれなくなったキャンディが噴出したが、その後THE ENDの文字は更に上昇し、彼方へと去っていった。


 「おねーちゃん吹いてた。」


 「気のせいですわ。」


 「いや、ぶふーって。」


 「気のせいですから。」


 そんなやり取りをしている三人の目の前に、突如人影が現れる。


ーたいへんだこうじょうちょうじゃっくとたろうがふっかつしてまちをおそっているんだ!


 「ジャックですわね。」


 「ジャックだな。」


 「ジャック・・・だよね?」


ーまたこうじょうにきてろぼっとをつくってほしいんだ!


 「またって言いましたわ。」


 「一回も作ってない。」


 「ロボットってどこにあったの?」


ーやつのつくったさいきょうのろぼっとばばーもまーくつーがこうじょうにせまっているんだ!


 「ババーモ?」


 「マークツー?」


 「今?」


ーあなたのつくったろぼっと『あなたのろぼっと』でなんとかして!


 「??」


 「またキャラが変わったぞ?」


 「あなたのろぼっと?」


 突如として慌ただしいセリフを吐き出すジャックだったが、三人は関わったことのない話に全くついていけないが、その後の展開が若干楽しみになっている自分にも気づいていた。


 「要するに・・・プロローグでラスボスを倒してはいけなかったのではないかしら。」


 「負けイベだったか。深読みしすぎもだめだなぁ。」


 「ロボットなんて作ってないよ?」


ーさぁ、もういちどこうじょうにいきましょう!


 「なんかもういいかなーって気になっている私がいる。」


 「そうですの?わたくしは結構楽しんでいますよ?」


 「うん・・・おねーちゃんたのしそうだもん。」


 そして再び視界が暗転し、重力を感じる頃には、先ほどの工場の入口にまたたどり着いていた。


 「もう少し早く教えて欲しかったのですが。」


 「あ・・・。」


 「大事は無かったようですわね。」


 ライは少し不貞腐れながら、座り込む。


 「今度は何が起こったのですか?また最初からやり直しでしょうか?」


 「えっとぉ。」


ーではわたしはこれで。


 「「「「えっ?」」」」

 

 ジャックはスタスタと工場の外に去っていった。


 「えっ?」


 「まだ何も聞けていないのですが?」


 「もしかしてさっき何かしゃべって・・・?」


 自然と三人の視線はパメラに集中するが、パメラは慌てて首を横に振る。


 「ちがうよ!たっちしてないよ!」


 「じゃぁ何も言わずにどっかいったと。」


 「まぁ・・・いうなれば二週目・・・でしょうか?」


 工場の前に立ち尽くす四人は、とぼとぼと工場の中に入っていく。


 「んー?別に変ったところはなさそうなんだけど・・・。」


 「そうね。最初に見た時と同じ・・・全く何も変わっていないわ。」


 「ロボットも見当たらないな。」


 「??」


 一人話の流れが分からないライをよそに、それぞれの考察を交え相談する三人のゲーマー。

ライは手持ち無沙汰になり、近くにあった円形プールの様なものにコンソールが付いた機械に近づいた。


 「これは何の機械でしょうか・・・?」


 おもむろにコンソールに手を触れると、視界の端のアイコンが点滅した。


 「クエスト・・・。」


☆ロボットマシーンの使い方を覚えよう!

 ロボットマシーンでロボットを作ってみよう!

 ロボットに乗ろう!

 ロボットで街に繰り出そう!


 「ライさん?新しいクエストが発生したのですが?あら?」


 「おー。それに触ってるってことは、それがロボットマッシーンだな?」


 「ライさん作って作って!」


 「えっと・・。」


ーーーーー


ロボットマシーンへようこそ


ーーーーー


 ・・・・・?


 「これは・・・。」


 「ん?どうしたの?」


 ライはコンソールに映し出されたプログラムを見てあるものを思い出した。


 「これはひょっとすると、ロペさんの端末の指示用システムプログラムじゃないでしょうか?」

 

 「え?ロペの?何それ?」


 「言葉や思念派を使わず、ナノマシンに直に命令を与えることで、エネルギーを極力消費せずにナノマシンを操作するためのプラグラムです。」


 「・・・そんな高度なプログラムが・・・。でもそれではわたくしは使えませんわね。恥ずかしい話ですが、そういった方面にはあまり詳しくは・・・。」


 「いえ・・・。しかしこのVRプログラムの中なら、プログラムを打ち込むことなく、頭の中で想像するだけで作れるようになっているようですね。・・・でも。」


 「凄い!そんな簡単にロボットが作れるんだね!」


 「・・・ですが、材料が必要になってくるようです。」


 「無から生み出すことは流石にできませんか。」


 「それをしない事でエネルギーの消費を極力なくしているようですね。

このコンソールの内容を見るに、この世界・・・ゲームの中では様々なクズロボというものがその材料となるものを持っているようです。

それらを集めて理想のロボットを作る事が出来るようです。クエストの指示ではTAMAKOの様なものを作れと、指示が出ました。」


 TAMAKOとは・・・お手伝いロボの一つで、球体に細い手足の様なものを生やした自立型ロボである。

 

 「どれどれ・・・あ、待って、他のも選べそうだよ!TAMAKOはやめようよ。」


 「あら、ではどうしましょうか・・・難易度が設定されていますね?」


 「四人でやればそこそこいけるんじゃないか?これにしよう。ハード。」


 表示される難易度は、イージーが先ほどのTAMAKO型、ノーマルが古い時代の作業用機体の様なもの、そしてルミコの選んだハードはレイブによく似た、というかレイブの色違いの機体、そしてそのさらに上の難易度に、見覚えのない機体が表示されていた。


 「ねぇねぇ・・・。この難易度HELLって気になるんだけど・・・。」


 四段階ある難易度の最高難易度、HELL。パメラが興味を示したことで、三人はそれぞれ、ハードを選択しその材料を確認する。


 「やめなさいパメラ。」


 「でも・・・。」


 「やめなさい。」


 「はい・・・。」


 パメラも渋々ながら、ハードを選びその材料を確認した。


ーーーーー


プロトレイブン


 アルマ型ミスリルフレーム 0/1

 オリハルコンコア 0/1

 精密高強度カプセル 0/1

 時空振動センサー 0/1

 ミスリル合金板 0/10

 鋼鉄のメダリオン 0/1


ーーーーー


 「ゲームっぽい!」


 「・・・。これは何というか・・・。」


 「間違った難易度を選んだ気がしてならない。」


 「まぁ、とりあえずやってみましょうか。」


 おおよそ、初心者に進める事の出来ない難易度を選んだ四人は、工場の外に出てまた別の驚きを迎え撃つことになる。

キャンディ・キャッシュマン 33歳 キャッシュマン一族の三女


 全面的にセレブリティな雰囲気をまとうキャッシュマン一族の三女、上から数えると序列は六番目、力の次女アーニー、技の長女エストの二人と違いバランス型の努力する天才。

現在ロペを含むキャッシュマン一族の中で最も戦闘能力が高いが、淑女としての在り方を模索する中でその力を見せることは決してしないと誓いを立てる、しかし雨宮たちがキャッシュマン邸に訪れた際、自分と同レベルの者やはるかに格上の存在を見つけ力を隠す必要性を感じなくなった。

 雨宮の存在に違和感を覚える数少ない一人、キャッシュマン一族の中でも異質な存在ではあるが、家族への愛情は人一倍、特に末妹のパメラに対しては非常に甘い顔を見せる。

 冒険者としてのランクはBランクこれはエストがAランクより上に行かない事から、その一つ下位で良いとの考えであえてランクを上げずにとどまっている。

 姉エストと同じく火星ダンジョンへとソロで侵入し傷一つ無く帰ってくる姿から、『不懐の乙女』と呼ばれているが、パーティを断られた男達からは『ツンドリル』と、陰で呼ばれている。

 趣味はVRゲーム、特にRPGに目が無く幼いころから新旧ソフトウェアを買い漁り、バグゲ~で有名な『エンダーVSジャパン』でトッププレイヤーとして君臨していた。その時のPNは『ねじり棒』


パメラ・キャッシュマン 20歳 超人種 キャッシュマン一族の末娘(六女)


 キャッシュマン一族の末っ子。冥王星圏で大人気の『魔法少女インフェルノミキ』が大好きで、様々なグッズを買いあさるのが趣味。

今年初めて冒険者として登録し、ランクはF、姉のエストの様になりたいと、ソロでダンジョンに潜る日々を続けている。

得意武器はミスリルロッド。魔法は苦手では無いが練習中の為、まともには扱えない。

またアメリアに甘やかされて育ったため、身体能力はかなり低く、超人種としては最低ランクの戦闘力。

特筆すべき特徴の無い普通の美少女。本人はスキルがまともに使えれば凄い。と言っているが・・・?

 姉キャンディよりVRゲームに関する英才教育を受けており、VR空間では無類の強さを誇るが、現実ではそれに追いついておらず現実との乖離に悩んでいる。


ルミコ・イバナガジマ 30歳 人種 元冒険者兼学者


 天王星ダンジョン専門の冒険者と、ダンジョンのモンスターを研究する学者をしていたが、トベツを教育し、ヘルフレムに収監するためにロペに依頼されパーティ『銀河研究会』を結成、三人でダンジョンに潜り油断させたところでトベツをロペの造った地下牢に監禁。自身の知識を叩きこむ。

そして、全ての知識を叩きこんだ後、ロペによって別の場所に軟禁されていたが、生活自体に不便が無かったため、特に不満も無く学者業を続けていた。

 ロペのアパートの近所に住んでいた事も有り、ロペがマギアラビスに引っ越しする際に共について行き、マギアラビスの資源管理官に任命される。

 集会にてトベツと再度で合うが、トベツ自身には特に興味が無く、むしろ不潔な状態を何故か保っていたトベツをあきれた様子で見ていた。

どちらかと言うと研究対象として雨宮の体を調査してみたいと思っている。

 ゲーマーとしての一面も持ち、フルダイブVMMORPGスペースアーク2にてトップクランの一つ、『銀河研究会』クランリーダーも務めるトッププレイヤー。


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