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EP28 繰り返す現実

最近余裕が待たなくなってきたからか非常に更新が遅れました。平にご容赦を。

キャラが多くなってきてバックストーリーやキャラ解説などが要るようでしたらメッセくださいませ。

 まだ襲撃の傷跡の残るアトレーティオ4から飛び立つこと数日。俺は相変わらずだったりする。


 「あぁっ!ああっ!!あああっ!!」


 「はン!!ふにゃぁン!!」


 「きゅぅ!マスッ・・あっ!」


 流石にここ数日毎晩これだからな・・・。数日と言うかラビスで移動し始めてずっとだ。今この部屋・・・俺のプライベートルームには、何と総勢十五人のおなご達がトレーニングに励んでいる。

皆流石に元海賊、元軍人、元冒険者等、体力を使う事を生業としていた者達だ、そのパワーは計り知れない。


 「銀河きゅん私はもう眠たくなってきたょ・・・。」


 俺だってもう眠い。今日は皆おかしい。今日に限っての事では無いが、皆なんかおかしい。今更っちゃ今更だが・・・今日は特にだ。


 「ボス・・・。おはようございます・・・。流石・・・っお元気ですね・・・。」


 部屋に来て暫く俺とトレーニングに励んでいたライだったが、二時間もしないうちに眠ってしまったのだが、五月蠅くし過ぎただろうか?目を覚ましたようだった。


 「ライちんおはよぅ。ぐっすりだったねぇ。」


 「・・・そんなに眠っていましたか・・・。」


 それは仕方がない話でな?眷属化する為に強制的な眠りに入るのが常なのだ。意識があると進化に弊害があるという話だ。

邪魔だから寝てろって事だな。


 「ほっ。そいっ。ライも朝の運動するか?」


 「ああああぁあ!もーむりぃ!あかぁん!はぁーーー!!」


 遂にロデオマシンから降りる事に決めたエクスが力尽き、両手を伸ばした状態でいる俺の腕を枕にして完全に沈黙した。

 彼女は元活動家・・・テロリストだ。元々軍に所属していたらしいが、何がきっかけになったのか、殺しも厭わないテロリストに変貌した。そう聞いている。性格は極めてやんちゃ。そう、やんちゃなのだ。大人しい癖にジャイアニズムを振りかざす悪質な性格をしている。

 今回のこの時間。半日は俺のロデオマシンを占拠していただろう。途中ヒューニやアマリー、コフィ―によってロデオ状態のまま全身マッサージの上電撃迄浴びせられていたというのに、今の今迄彼女はマシンを手放さなかった。


 そして彼女が倒れた今・・・マシンをめぐって新たな戦いが始まろうとしていた。


 「隙ありっ!」


 素早い動きでマシンにアタックを仕掛けるのはコフィ―、ラビスのサブの操舵手だ。


 「私がの体が一番相性がいいんだ―――!」


 「させんっ!」


 そんな彼女の腰を後ろから両手でがっしりと掴み、マシンに手を突く直前で引き寄せたのはデーモンのアマリーだ。彼女の持ち味と言えば力強い斧捌き。海賊殲滅作戦・・・・じゃない。

捕縛作戦ではその斧でブタをホームランしていたらしい。


 「ボス・・・。次は私ですよね?もうかれこれ半日は待っていましたよ?」


 俺の腕枕で進化の昏睡状態に入っているエクスを、ベッドの端ににころころと転がし、そのポジションを奪う。


 ・・・。ややハスキーな声が耳に心地いいな。こう言うのも良いものだ。


 「ふぁぁぁ~・・・。皆元気だねぇ・・・。」


 ロペは何故か俺が眠らないからか、ずっと起きて付き合ってくれている。そら眠いわな。何故かって?もう四日目だからな。・・・・徹夜。


 次々と現れては倒れ、眠っていく。今やベッドの上だけではない俺の部屋の至る所に死屍累々と、女たちが眠っている。

 起きていたのが十五人だ。ベッドの下には眷属化し強制的に眠りに落ちた者達が二十・・・いや三十は居るだろうか。脱衣所やキッチン、果てはトイレの中にも眠っている者たちが居る。今回は既に眷属になった皆には自重してもらっている。船の指揮を執る者が居なくなるからだ。そう。今ここには各艦の艦長等も居るのだ。


 いの一番にやってきた・・・と言うより俺が部屋に寝る為に戻ったらもう居たのだが・・・。

後で自重するより先にするという事で、アンジーやイントたん、エリー等、俺の可愛い眷属達は他の者達が現れる迄、激しい特訓をしていた。

 そして変わるように現れたのが、看守達。最近とんと姿を見せなかったが、ゼルミィ達元看守はこのラピスで新型ワーカーの開発に励んでいたのだという。

何でも、レイブに乗れる者が機体の仕様上眷属にほぼ限られる事が原因なのだという。元の身体能力が一定の水準を越えたものでなければ、バトルドレスを身に纏っても頭が追い付かない為乗りこなせないのだとか。

 そう考えるとアメリアは凄いのだな。自在に乗りこなしていた。流石はキャッシュマン一族。


 その次にやってきた一団は、キャッシュマン一族だ。これは正直意味が分からなかった。まぁ・・・ジェニはともかくとしてな?

その時にロペも加わり、ロペ、アメリア、エスト、アーニー、キャンディ、ジェニ、パメラ・・・こいつ等はバケモンだった。ロペも本性を隠していたと思ったね。

パメラに至っては確かに成人だ。だがまだ多少のあどけなさを残す貴重なロリ枠・・・ゲフンゲフン。妹系なのだが、ファイヤーした時のエネルギーは凄まじいものだった。

エストのねちっこさ、アーニーのパワー、キャンティのテク、ジェニの搦め手、そしてロペ・アメリア・パメラの空間すら超越する自由な動き。俺はこの世の果てを見たね。

もちろんお礼はいはしっかりとした。ツンっぽいキャンティのキャラの変わりようには驚いたが、これ以降エストの距離感が若干俺としては気になる所だ。

もはやゼロ距離待ったなし。


 そして次にやってきたのが、船を副艦長に任せてきたという他の船の艦長たちと、いつの間にか消えていたロペに連れられてやってきた元連合兵・・・ネタローの元クルー達だ。

因みにラムダステイツの乗っていた特殊部隊の戦艦は、五番艦のメンツが制圧し女性士官や女性のクルー達だけを攫ってきた。あとで何か一悶着ありそうだがまぁ・・・。

ロペが何とかしてくれるだろう。どちらかと言えば綺麗系で統一された感のある彼女達だったが、流石は変態上司達をあしらってきた経験を持つ猛者だそれぞれ美味しくいただきました。

皆トレーニングでしっかりと汗を流し、今はその辺の床で深い眠りについている。


 んで今だ。ここに至る迄に元海賊達もかなりたくさん押し寄せてきた。この数日間で最初のニ・三日は睡眠も食事もとっていたが、暫く体液しか摂取していない気がする。

バカ娘ことモーニャが栄養失調で倒れて医務室で寝ているのも当然だろう。何故かって?このベッドの上に注目だ。

俺の頭の上、枕より上に位置するところに眠っているのは、何を隠そうウチの食堂のぬしセイラーである。そして俺の手をずっと握って離さない甘えっ娘ムラサメもここに居る。

そして新たに眷属となり目を覚まさないキャン。お気づきだろうか。


 飯を作る奴が全員ここに居る!


 職務放棄も甚だしい事だが、まぁ・・・飲む飯もあるし何とかなるだろ・・・という事だ。

部屋のあちこちに俺のお気に入りの青空食品、飲むハンバーグステーキセットやら、飲むすき焼き定食等、俺がこっそり飲もうと思っていたブツが転がっている。

だが中身は半分以上残っている。それもそうだ。普通の女の子なら一個丸々飲み干すと腹一杯なんてもんじゃ無いからな。ハッキリ言って満足度で言えば、大食いレース何かで出てくる、

超デカいステーキ数キロの奴だ。あれを喰った位は満足する。つまり死ぬかもしれないという事だぜ。一口で十分だ。

野郎たちは自分で何とかしろ。


 「やっぱ何もしない時間って大事だよな。」


 「主よ!「ボス!」ちゃんと相手してください!!」


 まだまだ俺の・・・俺達の特訓は続くぜ・・・!


ーーーーーーーーーー


 いやぁー。心地よい疲労感。


 「zzzzzzz」「zzzzzzz」「zzzzzzz」「zzzzzzz」「zzzzzzz」「zzzzzzz」


 正に死屍累々。もう俺以外に立ち上がるものは居ない。マイサンは何時でもスタンドバイだぜ?・・・じゃない。


 さて・・・途中から記憶が霞んでいるがまぁ、周りを見れば大体の事態は把握できる。

ラビスの奴等ここに集まり過ぎだろう。海賊娘達を除けばメインクルー達は約70人だ。その内40人がここに居る。それ以外は別の艦のクルーである。

・・・。とは言え進化途中の皆を無理やり起こしても何かありそうで怖い、ここはそっとしておこう。

平和な朝だ。


ーーーーーーーーーー


 「雨宮っ!!!今日の今日までお楽しみだったな!!!」


 凄い勢いで怒られた。一体なぜ・・・。


 「銀ちゃん!早く艦長席に!急いでくれ!」


 サブオペレーター席にとべっちゃんがいる。・・・何故?しかも火器管制には切嗣がいる。センリは?って部屋で寝ているか。進化の途中だ。


 「一体なんだっての・・・?・・・??」


 何だこれは・・・?


 艦長席についた俺の目の前のARモニターには未確認的生成物を示す紫色の光点が・・・と言うかもう既に光点とかいうレベルでは無い。

紫色の折り紙とか、絨毯とか、とにかく面だ。一つや二つでは無い。ナノマシンがその存在の数を計数しているが、カウントが止まらない。


 「おいなんだこれ。」


 「「知るかっ!!」」


 とべっちゃんと新庄の声が重なる。モニター映るレーダーを除け、外部の様子を見る為にカメラを起動するが・・・。


 「なんじゃこりゃ・・・。」


 ハッキリ言って見ても良く分からない。例えていうなら、隙間なく敷き詰められた蛆虫・・・蚕?とにかくそれらが赤や青やら謎の光を放ち蠢いている。

正直あまり確認したくは無いが、ナノマシンでしっかり確認できるようにカメラの倍率を上げ、絞りを効かせて一点を確認する。


 「ブッ!」


 「・・・!?」


 「ん”ん”!?」


 三者三様。


 俺は見覚えがあるね?アレはそう。『界獣』だ。というか俺が勝手に名付けただけだが。間違いなくあの目ン球やら耳やら唇やらは、ロペたちを全滅させたあれだ。


 「「「キモっ!」」」


 わかるわぁ。


 「姿を確認したのは良いが・・・アレをどうするんだ?奴らがいる場所は俺達が向かっている海王星圏と冥王星圏との境目だぞ?」


 「銀ちゃん。アレの一匹の詳細なデータが出た。確認してくれ。」


ーーーーー


テオドライド・アンダンテ 13歳 人β種


Lv5 職業 学生


HP   125,445,445


MP   0


状態  knkう$”%()

    薬&&&物中#DRT毒

    人k%))’&形


スキル 共感β

    幸せの小袋Lv8

    ジャンキーフィーバーLv9

    おねだりLv1

    外道進化Lv5

    状態異常耐性Lv7

    自我崩壊Lv9

    融合

    統合された意思


ーーーーー


 うむ・・・ナノマシンは頑張ったな。微妙に表示しきれない部分は権限の問題では無いのだろう。

純粋にバグっているのだろうな。純粋ってなんやねん。


 「ホレ。皆も見てみ。」


 三人に情報をコピーして配っている間に、メインクルー達がのそのそとブリッジに入ってくる。


 「おはょ~・・・何か・・・クソキモい動画じゃない?」


 目じりに涙を貯め大あくびをしながら入って来たロペの目が一気に切り替わり、鋭く細くなる。こめかみにはうっすらと青筋が浮かび上がっている。


 他の皆は初めて見たであろうアレの造形についてあれやこれやと言いあっている様だ。そんな中で一人、他と違う反応をする者が居る。


 「・・・メタファ・・・。」


 テツはモニターに嚙り付き、一匹映し出された鼻の形をした『界獣』を凝視している。


 「雨宮の・・・俺のあのパワースーツはあるのか?」


 「全員分用意してあるが・・・。マテ。無茶するな。」


 みるみるうちに頭の天辺迄上気し、これまた血管が弾け飛ぶのではないかと思うほど歯を食いしばったテツが非物理モニターをぶん投げる。


 「雨宮の!!あ・・あれはっ!!あれはっ!!!!」


 耳鳴りがするほどの大声でテツは何かを話そうとしてくれているのだが、怒髪天とでも言うのか今直ぐにでも潰して回りたいのだろう想いと、俺達に義理立てする想いとが交差し、言葉が紡ぎだせないようだった。


ダンッダンッ


 「~~~~!!!ヴァルハラの天敵!!」「侵略者・・・。」


 ロペとテツの怒りの籠った言葉がこの場を支配する。そっとブリッジに入って来たアイリーンとイント、二人の目つき付も普段のそれとはまるで違う。

敵を見るような目で見るアイリーンとは対照的に、獲物を狙うスナイパーの様に静かな怒りを滾らせるイント。


 これはダメだな・・・。止める理由は無いが無闇に突っ込ませてもな・・・。バトルドレス一号を使えば死ぬ事は無いだろうが倒せるとは限らないしな・・・。


 「ロペ、テツ。先に一つ確認しておきたいんだが・・・。」


 「銀河きゅん?」「何だ?」


 「あいつ等は倒せるのか?殺せるものなのか?」


 倒すとか倒さないとかじゃ無いな。殺すか殺せないかだな・・。


 「「・・・・。」」


 二人はそれぞれ明後日の方を向き過去に思いを馳せる。


 「俺達は倒した事は無い・・・。撃退するので精いっぱいだった・・・。」


 拳を握り締め口の端から血が垂れている。テツの思いは激しい様であまりの怒りに気が振れてしまいそうだ。


 「昔の私なら数千は・・・行けたと思う・・・。」


 ・・・つまり無理なんだな?倒せないんだな?殺せないんだな?あのHP?あれが何を示すものなのか今はまだ分からんが、

ゲーム的に考えればヒットポイントだろうか?あれがゼロになると死ぬ?MPは何だ?マジックポイントか?この世界の奴をスキャンした時にはそんなもの表示されなかった。

一体何が違うのか・・・?確かに見ようとはしていなかったが、あえて表示しない理由もないはずだ。


 俺はクルファウストをブリッジに呼び出した。


 「主よ!お待たせいたしました!・・・!!あれは合成モンスター!」


 「余計な時間は無い。クルファウストあれを殺すなりなんなりする方法は無いか?」


 クルファウストはその言葉を聞くなり俺に見た事のない記録媒体の様なものを差し出した。


 「貸してっ!」


 それを引っ手繰るロペは直ぐ様端末に繋ぎ中身を確認する。


 「これは・・・え?なに・・・?」


 「ロペ様これは・・・。」


ゴスっ


 「ロペっ!!」


 ロペはクルファウストを殴り飛ばしブリッジの扉に張り付けられたクルファウストは、虫の息になる。


 ロペは無言で俺に端末を寄こして見せる。


ーーーーー


我らが主への報告書


 合成モンスターとは?


 人工ソウルクリスタルを用い作り出したβ性種人工生命体を、遺跡深部に現れたΩウィルスに感染させる事に寄って反転進化を強制的に引き起こし、遺跡に適応可能な肉体を生み出す事に成功した生物の事を指す。。


 遺跡とは?


 閉鎖世界に突如として現れた異世界の遺跡であり、起源不明種が跋扈する攻略不可能なダンジョンの事を指す。


 Ωウィルスとは?


 精神情報に感染するコンピューターウィルスに似た反応をする非常に感染力の強いウィルスである。なお、真空状態でしか活動が出来ない。


 人工ソウルクリスタルとは?


 管理者領域における付随存在・・・イントエシリーズと呼ばれる精神生命体の情報を圧縮し結晶化させたもの。


 反転進化とは?


 正常進化と逆の進化をするのではなく、裏返ると表現される進化状態であり、元の存在から逸脱した存在として不可逆な進化をする事を言う。裏返ったものが元に戻れた例は無い。

通常な状態の世界において反転進化することが出来る存在は存在しない。例外として魔王と呼ばれる存在が唯一反転進化後の存在と言われているが確認が不可能な為真偽の程は定かではない。


etc


ーーーーー


 ロペは怒るわな。


 「イファリス・・・治してやれ。」


 「はい・・・。」


 アレの成り立ちは分かったんだが、結局殺すに至る情報が無い。だが一応生物であるという事、宇宙空間で戦うのが非常に危険な事が分かった。

しかも真空中で活動するウィルスって、宇宙空間で蔓延しているんじゃないのか?


 ウィルスに感染してあんなもんになったらたまらんな。死んでも死に切れん。何とか分析できないものか・・・?

モノは試しか。最近そこそこ強くはなったし、


 「試しに一匹分解してみようと思うのだ。」

 

 懲りない話ではあるのだが、やって見なきゃわからん事だ。今の俺なら宇宙船の一隻や二隻ぐらいなら分解できると踏んでいる。

あれ?でもあの界獣どのぐらいの大きさなのかしら・・・?


 「雨宮・・・やるのか・・?」


 「気がかりなのは俺のエネルギーが持つかどうかということぐらいだな。いつも通りの分解だから。」


 あの一億二千万とかいうHP。あれが一体どの程度のものなのかも実際は分からないのだから、試してみる他ない。

だったら船の武装を使えよと思うが、それをやってアイツらが一斉に動き出しでもしたらそれこそ抑えられない。正に手が回らない程の数だからな。


 「銀河きゅん?私もいくょ?」


 「駄目って言ってもついて来るだろ?」


 「そんな事無いょ・・・。」


 少し俯きながら拗ねる様に声が小さくなっていく。こんな感じは初めてだな?


 「ちょっと心配じゃんよ・・・。」


 じゃんよって・・・。


 「じゃぁ・・・。「銀河様私も参ります。」お?」

 

 アンジー・・・。保険としてはこれ以上ない人選だな。だが・・・。


 「力は使いこなせるようになったのか?アンジー。」


 「ある程度は。先日九番艦を移動させた際にコツをつかみました。人型の質量なら恒星間移動も可能だと思います。」


 ・・・。思ったよりすごい伸びっぷりです。それが出来ればこれ以上無い安全な試しが出来る。


 「よし。ならこういうのでどうだ。」


ーーーーーーーーーー


ーー各員一級戦闘配置、雨宮さんが出られます。パイロット各員は機体へ搭乗、出撃指示を待て。

白兵部隊は空間戦闘装備で、各マシンに二人づつ搭乗せよ。特に眷属各位は機密性のチェックを入念に行われたし。


 イントたんの声が艦内に響く中、俺達三人はアミィに指揮を任せドッグへ向かう。


 「念の為スーツは空間戦闘用にしておくべきか。」


 「そうだねぇ。銀河きゅん強襲型は私が使ってもいぃ?」


 あれに乗っていれば万が一の時も逃げられるだろう。


 「そうだな。それが良い。アンジーは・・・そうだな。一緒に乗り込んだ方が安全ではあるが。」


 「いえ。外に出ていますわ。マシンごと移動するにはまだイメージ力と言いますか・・・そういったモノが足りない気がしますの。」


 「分かった。」


ーーーーーーーーーー


 「ライ!ギンサーガと強襲型の用意を。」


 俺がドッグに入ってくるタイミングを見計らったように、開いた扉のすぐ横に立つライは、俺の指示が飛ぶとナノマシンにすぐさま指示を出し、マシン射出用のカタパルトを用意する。

何時の間にこんなものが出来たのやら・・・。ライが眷属となってまだ日も浅いのだが、彼女はやはりクリエイタータイプなのかもしれないな。ついこの間まで歩いて宇宙空間まで出ていたが、こういうモノがあると非常に便利だな。


 三人はそれぞれバトルドレスを装着し、装備の確認を行う。


 このウィングは凝り過ぎたかな?一体化するから違和感なんかは無いが、慣れるまでは大変だった。なんせものすごい勢いで飛ぶのだ。

初めて使った時は天井にしこたま全身を打ち付けた。これをやらなかったのは今や進化と共に使わなくなった羽を持つフェアリー種だけだ。


 コックピットに乗り込んだ俺とロペ、アンジーは強襲型の肩に掴まっている。機体を立ち上げ最終確認。


 「今俺は液体食料をコックピットに持ち込んでいる。」


ーーうん。

ーーはい。


 「万が一エネルギーが完全に枯渇してしまったらどうなるかは分からん。だが強制スリープは活かしたままにしてある。俺の意識が飛んだらこいつを飲ませてくれ。」


 そう言って俺は専用のケースに入った青空食品のベストヒットシリーズと銘打たれた、液体元祖焼肉定食をモニターに写す。


ーーそんなものも有りますのね。


ーー焼き肉は普通に焼いて食べたいねぇ?


 上手いんだこれが。だが枯渇する前に飲むのが良いか。


 「話がそれたが、それですぐに起きられるのなら問題は無いが、何となくそれは無理なんじゃ無いかとも思っている。」


ーーナノマシンの進化だねぇ?あんまり長時間だと戻らないといけないよぅ?


 「その時はどうしようもないからな。俺の意識が無くなったら即撤退だ。おっけ?」


ーーりょーかぃ。

ーー承知しましたわ。


ーー雨宮、発進準備が整った。何時でも行ける。


 「りょーかぃ。じゃ行くか!」


ーーーーーーーーーー


 結論から言う。カタパルト超怖い。


ーーアレはちょっとやり過ぎだとおもぅ。

 

ーーそうですわ!まさかいきなり振り落とされるとは思いませんでしたもの!


 呆れるロペに憤るアンジー。それもその筈、新しく出来たカタパルト、あれが凄かったというか酷かったというか。一瞬でトップスピード迄加速できるようなものなのは良い。だが早すぎて駄目だ。艦内にはナノマシンが漂っている。普通のスピードなら動く物体の流れに沿ってナノマシンは勝手に流れ機体を避ける。だが早過ぎた。一瞬で亜光速に近いスピードに達した瞬間。俺達のヘルメットは血に染まった。


ーー死ぬかと思いましたもの!


 俺とロペはマシンの中に居るからまだマシな方だったが、アンジーは違う。マシンと同程度の装甲とは言え、ほぼ生身だ。超加速によってナノマシンの壁に激突し意識を一瞬失ってしまったせいで、強襲型から手を放してしまい、あわや単身界獣の群れに飛び込むところだった。


ーー死ぬかと思いましたもの!!


 こ奴め二回言う。ちょっと泣いてるし・・・。


ーーあー・・・鼻血何て鉄板椅子の時以来だょ・・・。


 ゴホンッ。ロペ君それは言わない約束。


ーー何ですの?鉄板椅子って?


 「まぁ良いじゃ無いか。サクッと行こうぜ。」


 気になります気になりますとモニター越しに俺達に話しかけるアンジーをよそに、着実に冥王星圏の端、海王星圏の入口とも言える場所、もはや宇宙空間であるかすら怪しい密度の界獣たちの所へ近づいていく。


 そう言えば昔見たアニメでこういう絵があったな。ビーーーーームッ!っていうブルマ女子。


 そして余計な事に気付く俺。


 ハッ!ドレスじゃなくて体操服にすればよかったんじゃね!?バトルドレス・・・バトル体操服・・・いや・・・バトルブルマ!


ーー銀河さん何だかおかしなことを考えていませんか?

ーー銀河きゅん何だかおかしなことを考えてなぃ?


 二人そろってこいつら迄・・・。見事なセッションいやシンクロ。


 「さぁもう直ぐつく・・・うわぁー。」


 一瞬自分の目を疑うが直ぐそんな現実逃避から帰還する。既に目の前まで迫った界獣達は一匹が凡そ百メートルはあるだろうか。小型船位の大きさがある。

しかしそれが奴らの中の最小サイズであると直ぐに判る。その小型の後ろにはさらにその倍以上あるサイズの見た事のないタイプ。更にその後ろにはもはやどこが端か分からない位の大きさのものまでいる。


 ギンサーガのインターフェースによる回答は、凡そ八百キロメートル。


 いやいやいや待てよ。メートルじゃ無いぞ・・・?キロメートルっておかしいやろ。もはや小惑星。


 俺は一旦その場に留まりモニターを動かして、全体像を確認しようとして見たが、近づき過ぎてもはや壁にしか見えない。生き物である事すら目では認識が出来ない。


ーーぎ・・・銀河きゅん?私の知ってるのと大分大きさが・・・・。


 「奇遇だな。俺は一度しか見た事は無いが、こんなサイズじゃ無かったよな。」


 デカくても二十メートル位だったはず。あの時の映像で見た界獣は巨人ロペより少し大きい程度だったはず。何が間違ってこんなにデカくなったんだろうか?てっきり宇宙空間が暗くて先が見通せないだけだと思っていたんだが、そこに居たからその後ろが見えなかっただけだったわ。


 ダメだ・・・。成功する気が全くしない。日本の領有とされる全長の八分の一・・・と言うと判りずらいか。大体東京から広島まで位の距離だ。横幅だけでそんなにあるのに縦はそれほどでもない。

非常に歪な形をしていると言っても過言ではない。面積で言えば恐らく本州丸ごとと同じぐらいでは無いだろうか?

そう考えると全くエネルギーが足りる気配がしない。小者達なら何とかなると思った。それより大きい奴も何とかなる。更にもちょっとデカい奴もまぁ何とかなるだろう。だがあれはダメだ。


ーー銀河きゅんビビってるぅ?


 「び?ビビってねぇし!いや・・・そんな事も有るかもしれない可能性について考えていた所です。」


 ぐぬぬ。


 ふっ。倒れるなら前のめりでいいじゃない。


 「おし!やってやるよ!あの一番デカい奴。俺がバラしてやんよ!そりゃもう見事なまでに分解してやんよ!」


ーーいきなり一番無理そうなの選んだねぇ!?


 俺は雨宮銀河。不可能を可能にするハイパーヒューマノイド。


 俺は液体焼肉定食のストローを口に含み、ギンサーガで界獣の群れに接近する。


オォオォオオォオオオォオオォオオ・・・・・

ビィイィイイィイイィイイィイィイ・・・・・

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・


 音とも声とも判別のつかない何かが、振動として三人に圧し掛かる。


ーーお・・・お腹がきゅんってしますわ・・・。


ーー響くねぇ・・。


 俺は何とも無いが二人には割と堪えている様だな。さっさと終わらせてしまおう。


 解析したフルダイブシステムを組み込んだギンサーガバージョン1.1コックピットから意識が切り替わり、十メートルクラスの巨人ギンサーガ雨宮が誕生する。


 思ったより違和感が無いな。手も足もちゃんと動く。バーニアも意識的に動かせるし、ウィングも動かせる。ナノマシン様様だな。


 ギンサーガはロペの強襲型レイブから離れ、未だ動きを見せない界獣の群れにさらに接近する。

その距離凡そ十メートル。もう既に致死圏内。近づいて改めてその大きさに驚愕する。


 「壁っていうより、空間と言うか面と言うか・・・イカンイカン!俺は出来る子!」


 すすすーっとギンサーガは小型中型の界獣を越え、一番巨大な界獣に触れられる位置まで接近した。


 動かないな?気付いていないのか?まぁこんだけの大きさだ、アリが一匹くっ付いていた所で感触も無いかもしれないな?


 そして雨宮はうねうねと動く毛のような部分に触れ、軽く握ってみる。その瞬間ナノマシンが一斉にアラートを鳴らす。


ーーーーー


攻性防壁にエラー発生防壁を解除します


 「!!なんだって!?防壁を張れ!解除するな!」


攻性防壁を再構築防壁基幹部にエラー発生攻性防壁をか「解除するなっての!!」


ERRORERRORERRORERROR


 「エラーした部分を隔離!情報を分析して防壁を再構築しろ!」


ERROR処理能力が足りません


 あんだと!?・・・そういう事か!


 「ディメンションカッターの分析を一時停止!保留する!」


えら・・・侵蝕部の隔離に成功分析します


分析完了攻性防壁を再構築し反撃を開始します


 「うっし!流石俺のナノマシンだ!」


光栄です


 返事するときあるよな・・・。


サーバーにダメージ無し情報の共有を開始


当サイバースペースに眷属ロペの参加要請が届いています


 「許可する。」


 「銀河きゅん大丈夫?動きが止まったからびっくりしたよぅ・・?」


 「すまん。迂闊に触った毛みたいなやつから、ハッキングを喰らっていたんだ。」


 「毛?」


 「あぁ。あの一番デカい奴の毛だ。分析の結果が出ている。妙にきれいなキューティクルをしている。」


手入れが行き届いているようです


 「なんか喋った・・・。」


初めまして眷属ロペ


 「は・・はじめましてぇ?」


 「いつの間にか居た新しいナノマシンのインターフェースだ。誰かは知らん。」


 「それ良いのぉ?大丈夫なのぉ?」


 「多分な?」


 「不安だぁ・・・。」


マスター巨大界獣の分析が完了しました


ーーーーー


 佐藤洋介 48歳 &%#種 勇者


HP 99999999999999999/99999999999999999


MP 0/0


状態  悪性腫瘍(末期)

    流行性感冒

    複雑骨折(重度)

    薬物中毒(末期)


スキル 強共感

    剣術Lv7

    聖魔法Lv8

    炎魔法Lv7

    野生の艦

    雨宮流徒手空拳Lv5

    ジャンキーフィーバーLv9

    外道進化Lv8

    状態異常耐性Lv9

    自我崩壊Lv1

    半融合

    抗いし者

    マキシマムど根性


ーーーーー


 名前には何となく覚えがある。だが年齢が・・・。


 「銀河きゅんの知り合い?名前がそれっぽいんだけどぉ・・・。」


 「同姓同名の知り合いは居た。暫く見ていないから何とも言えないが・・・。俺の知っている佐藤洋介は小学生の男の子だった。」


マスターに進言します


この世界では無い別の世界に召喚された可能性があります


 「閉鎖世界か!」


 そもそも召喚って何の為に・・・?流石にそりゃ神のみぞ知るってところか。

意思疎通が出来そうもないし、向こうがやる気満々でハッキングを仕掛けてきたのは穏やかではいられないな。

・・・だがスキルを見る限り完全に操られているわけではなさそうなのだが、それはそれで問題だ。

どの程度の自我があるかにもよるが、正直なところそんなことを気にしている場合でもない。


 「・・・分解するぞ。」


 「やるんだね銀河きゅん。一応説明はしておくねぇ。」


 ロペが言うには勇者とは魔王と呼ばれる世界の清掃システムを停止させ、元の場所に戻るようにする役割があるんだとか。

清掃システムって・・・魔王って一体どういう位置づけなわけ?


 「今までこの世界で魔王が動いたのは一回だけなんだょ。だからこの世界の魔王は今でも冥王星のコアの中で眠ってる。」


 すぐそこにおるんやん!?


 「因みに魔王が動く条件ってのはなんなんだ?」


 魔王が動き始める条件はいくつかある。


1 先に勇者が現れる


2 宗教的信仰心が一定以上世界に満ちる


3 冥王星ダンジョン最深部に人間が到達する


4 人類の絶対数が一京を突破する


5 魔族種の絶対数が一億を切る


6 世界のマナが4割を切る


7 神が死ぬ


 「多いな!しかも一個満たしてる!」


 ロペは不思議そうに首をかしげる。


 「まだ満たしてないょ?」


 え?あれ?


 「ロペは一度死んだじゃん?」


 「私は管理者だから。神っていうのはこの世界の柱、コアとなる存在。つまり。」


 「ファムネシアか・・・。」


 「そういうこと。今満たしそうな条件といえば一番可能性のあるのが銀河きゅんが冥王星ダンジョンの最奥に行きそうだってぐらいかな?でも魔王もやられてからそんなに時間がたっていないし、今動き出しても成長するまでに時間がかかるねぇ?」


 え?もう魔王討伐済みなんだ・・・あー。なんか思い出した。そういえば以前ロペが勇者はまだ生きてるって言っていたな?魔王を倒した勇者がまだいるんだ。そんなに前じゃないんだな。なるほど。


 「そっか勇者いるのか。今思い出したわ。また機会があれば会いに行きたいもんだ。」


ーーーーー


 サイバースペースから戻った俺は、異世界の勇者の慣れの果て、超巨大界獣の毛をひっつかみ分解を開始した。


 ぐぬぅぅぅううううううう!!


 一気にエネルギーが消えていくぅぅぅぅぅぅ!!!


 毛を三分の一程分解したところで俺のエネルギーは半分を切った。


 尋常じゃない。ヤバい。こいつが勇者だからか・・・?魔王じゃないとだめなのか?


 俺は液体食料のストローからずるずると、液体すき焼き丼をすすると消費した分の半分は回復しただろうか?小休止している間に、ナノマシンが騒ぎ出す。


ーーーーー


想定外の事態が発生


事態の対処に処理能力の七割を割り当て再度試行開始


マスターのエネルギー保有値を拡大します・・・・・・・・・・・・・・・・・・・完了


マスターの処理能力を強制的に拡大します・・・・・・「いでででででで!!!!」完了


ーーーーー


 なんだ!急に頭痛が!!???・・・・だが妙に頭がすっきりしている。今なら全然余裕でやれそうな気がする。かなり痛かったが、ナノマシンが気を利かせてくれたのだろう今この場で俺はまた進化した。成長とはまた・・・違うんだろうなぁ。

 あまりの痛さについ分解の手を緩めてしまったが、界獣の方に活発な動きは見られない。やはり毛がちょっとなくなったところで対したことではないのだろう。


 気を取り直してもう一度分解をば・・・。

 

ーーーーー


想定外の事態が発生


事態の対処に処理能力の七割を割り当て再度試行開始


マスターのエネルギー保有値を拡大します・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・完了


マスターの処理能力を強制的に拡大します・・・・・・・・・「あばばばばばば!!!!」完了


ーーーーー


 !??!??


 な・・・なんで!?今さっき処理能力を拡大しますって言ってたばっかりじゃん?

・・・もう一回だっ!


ズゴーーーーーっ


 口にくわえた液体食料を一気に吸い込む。


ーーーーー


想定外の事態が発生


事態の対処に処理能力の七割を割り当て再度試行開始


マスターのエネルギー保有値を拡大します・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・完了


マスターの処理能力を強制的に拡大します・・・・・・・・「ふぬぉぉぉぉぉおお!!!!」完了


ーーーーー


 ・・・痛い・・・。頭がガンガンする。想定外の事態ってなんだ?それをまず何とかしてくれぃ・・・。


ーーーーー


状況の把握に成功しました


マスターの保有エネルギーが足りません


ーーーーー


 まだ足りないの!?って・・・食料食糧・・・。


ズルズルズルズズズズ・・・・


 ???


 回復して・・・る?いや回復はしている。あれ?


 俺は首を傾げつつ三回目のトライで完全に分解することに成功した毛について考えた。


 エネルギーの最大保有値を大幅拡大しつつ三回目で何とか分解に成功したのは良いけど、これ後どのぐらいあるんだ?億や兆じゃ足りなさそうなんだが・・・。目安が欲しいな。


ーーーーー


マスターの最大エネルギー保有値を数値化します


γ生体エネルギー 562221111/3000000000


ーーーーー


 め・・・めちゃめちゃ減ってる!!・・・のか?三十億ってどおよ?もはや多いのか少ないのかわからないなぁ。あっちは兆より多いんだぜ?毛一本でどんだけダメージがあったんだ?

HPだけ教えてくれぃ。


ーーーーー


 佐藤洋介 48歳 &%#種 勇者


HP 99999999999999998/99999999999999999


ーーーーー


 1減った。実に分かりやすい。ダメージ1。これって自然に回復するよな?実質ダメージなしってとこか。毛は別の生き物と考えてもいいかもしれない。


 ・・・・。


 もうこれは本体に直接アタックをかけるしかないな。毛を何本分解しても対して意味がない事が分かった。


ーーーーー


 佐藤洋介 48歳 &%#種 勇者


HP 99999999999999999/99999999999999999


ーーーーー


 戻ったし・・・。そうだ・・・毛を見てみよう。


ーーーーー


 ジョルノ β毛髪 戦士


HP 200000000/200000000


ーーーーー


 ジョルノってなんだよ・・・。まさか一本一本に名前がついているのか・・・・?


ーーーーー


 エマ β毛髪 僧侶


HP 200000000/200000000


 サーパンス β毛髪 無職


HP 200000000/200000000


 太蔵 β毛髪 路上パフォーマー


HP 200000000/200000000


 トメッツァ β毛髪 スパイ


HP 200000000/200000000


ーーーーー


 もういいもういい!名前があるのは分かった。でもだから何だと。


 ・・・路上パフォーマー太蔵・・・・路上パフォーマー太蔵・・・・?

どっかで聞いたことあるぞ・・・?あっ。


 そうだ!ちょっと前にホコ天に行ったときに居たやつが確かそんな名前だったはず。何故ここに・・・?いいや待て、同一人物とは限らない。たまたま同じ名前で同じ事をしていただけかもしれない。


 ・・・違うな。そんな事どうでもええわな。


 圧倒的過ぎる。もはや破壊不能オブジェクト何じゃなかろうか?だが未だやっていない事が有るんだ。それはやってしまおう。


 俺は迫りくる毛を分解し頭痛に悩まされながらも頭皮?にほど近い場所まで到着した。

辺り一面に生える毛。そして毛。そして頭皮に触れる。


 バラバラにしてやんよぉおおおおおお!!!


ザザッ


ザザッ


ーーーーー


生命維持の為強制スリープモードを起動します


・・・眷属ロペ・キャッシュマン回収を指示します


ーーーーー


 「ビビっときたぁ!!!」


ーー一体急にどうしましたの?


 「銀河きゅんが呼んでる。・・・あ。」


 壁か小惑星かと思っていた目の前の巨大界獣が、サラサラサラと粒子になって消えていく。

それと同時にロペを激しい倦怠感が襲う。


 あ・・あれ?エネルギーが殆ど無くなってる・・・?


ーー成功しましたのね?流石ですわ!


 「ふふん。そうでしょ。」


ーーなぜロペさんがそんなに得意気なんですの?


 「そりゃぁ嫁だし。」


ーーキィ!さっさとお迎えに行きますわよ!


 ナノマシンの信号を頼りに銀河きゅんを見つけると、その近くに何故か数人の全裸の人間がいる。


ーー何事ですのこれは?


 「わからなぃ・・・・。」


 本当に判らない。誰?しかも生きているょ?


 「とにかく銀河きゅんを回収して帰ろう。一番大きいのは居なくなったけど、それ以外のは未だ星の数ほどいるんだから。」


 比喩でも何でもない。もう数える気にもならない程の数。未だに動かないのが不思議なのだが、わざと見逃してくれているのだろうか?

圧倒的な質量と数。これで押し寄せて来たら銀河系は終わりだ。対抗する術が無い。

唯一にして最大の戦力それが今眠ってしまった。もう今は逃げるしかない。


 「こんな事なら私、分解能力頂戴って言っとくんだったなぁ。」


ーーおねだりしてみますか?今回の褒美に下さるかもしれませんわね?


 「・・・でもあの力はハッキリ言って理屈が不明すぎてこわぃ。どうやって分解しているのかもわからないし・・・。」


ーーロペさんでもわからない事が有りますのね?


 「本当は無いはずなんだけどねぇ・・・?まだ思い出せていないことも多いし、前世の力をまだ取り戻せていないのも原因かもねぇ・・・。」


ーー管理者としての力ですか。


 「そういうこと。・・・と。アンちゃん全員捕まえた?」


ーーアンちゃんて・・・。え・・ええ。では戻りますね?


 「よーそろー。」


 目の前で切り裂かれた空間に亀裂が入り、その隙間から見慣れた選管の姿が見える。

ビキビキと音を立て広がっていく亀裂は見る間にマシンが丸ごと通れるほどの大きさに広がった。


 「これ誰が直すの?穴開けちゃって・・・。」


ーーファムさんとネシアさんが直せるようですのでお願いしてあります。


 ・・・腐っても神。なんてね。かえろかえろ。


ーーーーー


 ギンサーガをけん引し、見慣れない人間を数人連れてきた強襲型の周りにラビスのクルー達が集まった。


 「ボス!急いで治療室に!」


 ライちゃんは相変わらずの反応速度。もうバトルドレス無しでもレイブに乗れそうだねぇ?


ーーおかえりなさいロペねぇ様。時間があるようでしたら汗を流してからブリッジに来てください。


 イントたんの声がドッグに響く。儀礼の様なものだが、人としての行動を行うことは自らのアイデンティティを保つためにも重要だ。


 おふろかぁ・・・。

 

 おもむろにロペは銀河を担ぎ上げバトルドレスを位相空間に収納する。


 「お風呂はいろーっと。」


 スタスタと何事もなかったように立ち去る・・・事はできず、アンジーにしっかり肩を掴まれ進もうとしていた足が動かなくなると同時に、掴まれた右肩がミシミシと悲鳴を上げる。


 「銀河様を連れてどこへ?」


 明りの当たり具合か何なのか、両眼が光ったような気がするとロペは背筋にうすら寒いものを感じて振り返る。


 「いたいいたいいたい~~。アンちゃんも一緒に入ろうょー。」


 ニコニコ顔を崩さなまいまま痛みを堪えて涙を流すロペの必死の説得により、アンジーは手を放すがそのままロペと共ロペの私室の風呂へ向かうのであった。


 「二人ともずるい・・・と言うかこの全裸の人達どうすんのよ・・・。」


 警備部隊のミラオィ・トトリスは意識を失ったままの男四人女二人を銃で突きながら指示を仰ぐ。


 「ブリッジ!この人達どうする?客間なんて用意してないよ?」


ーーはい・・はい・・・。ミラオィさんとりあえず牢屋を適当に改造しましたのでそちらに入れておいてください。銀河さんが目を覚ましてから処遇を決めますので。


 「らじゃ!・・・ふぁーぉ。このおっさんたちは任せた。」


 銃をホルダーに固定したミラオィは女性二人を片足ずつ持ち、後頭部を引きずりながら牢屋へ向かった。


 「ああぁーあー・・・。あれ起きたら痛いぞ・・・。段差とか無いけど、思いっきり引きずっているよね。」


 残された警備部隊のメンバーは結局同じように足をもってそれぞれ引き摺って牢屋へ連れて行くのだった。

 


ーーーーーーーーーー


雨宮専用ハンガー内研究施設にて


 雨宮、ロペ、アンジーが出撃しそれに追随するように冥王星宙域外苑、海王星圏との境界へと向かう道中、ライは自らに寄生するナノマシンとの間でレイブの量産計画について準備を進めていた。

しかし、雨宮とは違い眷属であるライではゴミからマシン一つを生み出すほどのエネルギーは無いが、完全な設計図さえ用意することができれば実際にあるものを使用して機材を使う事無くナノマシンによって新しい物を生み出すことができる。


 「「ライさん。私達も何度も見直しましたが、問題はないと思います。」」


 ライに設計図のデータが表示された小型サイズのARモニターを返す双子の猫娘。ミリア・トートエルとミリュ・トートエル。実はライの後輩でありメカニックスクールにおけるライに次ぐ成績を残して卒業を果たした、エリートであった。


 「そう・・・。ようやくね。これを成功させないと闘う事さえ出来ないからね。目途が立ってよかった。じゃあさっそく・・・。」


 そしてこの双子は先日の特訓の際ライに連れられ雨宮にタッグバトルを挑んだ猛者でもある。もちろん二人共返り討ちに遭ったわけだが。


 「量産型のスペックならドレスを着なくても乗れるね。」

 「量産型のスペックならこの船の全員が使えるね。」


 天文学的な数の界獣に対してこちらの数は二千にも満たない。しかもそのうちの一部は戦艦のクルーだったり非戦闘員だったりで、実際に戦える人間はもっと少ない。だがそれでも無いよりはマシだった。


 (エネルギーを使い果すと意識を失うし、すごくお腹がすくのが問題なのよね。)


 一隻のハンガーに収容できるマシンは零番艦を例外としても、約百五十機から二百機しかしそれぞれの艦で様々改造を施していることから、今までなかったマシンに対しての比重は非常に軽く、

最低数の確保が最適であるとライは考える。


 「・・・。よく考えたら量産するといっても本体と固定武装だけ・・・どの程度戦えるかもわからないから困ったものね。」


 「そこで!」「私達!」

 「暇だったので!」「追加武装を!」

 「「設計しましたー!!」」


 この二人は気持ちが盛り上がると何故ポーズをとるのかしら・・・?

賢い娘達なのにちょっと残念よね・・・。でもそういうのが可愛いってことなのかしら?わからないわ・・・。


 「先輩私達こういうの得意です!」「クリエイト得意です!」


 はいはい・・・得意なのはわかったから。


 ライは二人から差し出されたARモニターを受け取ると隅々までチェックする。


 細かいディティールにやけにこだわりがあるわね?別に実弾じゃなくても良いのに・・・この流線型のマガジンと言い、古風な外観・・・。


 「普通のアサルトライフルじゃないの!レイブで使うものなのよ・・・ね?」


 「もちろんですぅ!」

 「大きさが違いますぅ!」


 いやだからそうじゃなくて・・・。


 「アレを撃ち抜けるの?これで。」


 「そんなの!」

 「わからないですぅ!」


 何か根拠があるのかと思ったのだけれど・・・?


 「「でもでも!」」

 「撃ち出す弾丸が!」

 「ウルテニウム合金なのですぅ!」


 「ウルテニウムを使い捨てにするなー!!もうこの世界にはウチにある分しかないんですよ!・・・多分。」


 つい声を荒げてしまうライ、今あるウルテニウムは相当な量がある。しかし元々この世界にある物質ではないウルテニウムは使い果してしまえばそれまでなのだ。しかもライはそこからさらに最悪のパターンを考えている。


 「万が一弾丸が回収されでもしてみなさい!その一発の弾丸で船が沈められる可能性もあるのですよ!?」


 しかしライは言ってみてから改めて考え直した。


 少なくとも零番艦は落ちないか。現状私が知る範囲ではマギアシリーズの紋章兵器以上の出力を支えられる砲身なんて存在・・・?


 「あるか・・・な?いやでも・・・うーん。」


 上回るものはないと思うのだけれど、近い物なら確かあったはず。でも今のところ敵対はしていないはずだから大丈夫でしょう。


 ライが思い当たったのは古き漂流戦艦ヘルフレムと同じく外宇宙より流れ着いた三隻の巨大戦艦のうちの一つ・・・。


 「タイタンか・・・。あれなら不可能ではないかもしれないなぁ。」


 現在件のタイタンは、超巨大都市型宇宙戦艦としてその中心部分に単なるエネルギー炉として使用されているとされている。

しかしてそのエネルギーは無尽蔵ともいわれ、漂流して幾年月商業国家の首都戦艦としての機能を維持し続けている。

ある研究家の論文に寄れば、タイタンのエネルギー容量にはまだまだ余裕があるという、そういう見解もある。


 でもタイタンは木星圏にあるし、懸念すべきはまだそこじゃないわ。


 「ふぅ・・・二人共。ウルテニウムの実弾の件は無しよ。ボスの許可無しにウルテニウムを使うことは許しません。ほかにもっとできる事が有るでしょう?」


 「「はぁ~い。」」


 折角だし紋章兵器の小型化に着手してみましょうか。成功すれば生身で界獣たちと戦うことも可能かもしれないですし。問題は今正に戦いの地に向かいつつある状況で果たしてそれが間に合うのかということね。しかも今すぐに配備となるとボスの手を借りなければならないし 


ーーーーーー


雨宮専用ハンガー


 早速手ごろに調べられる紋章兵器を求めてテラ娘・・・もといピュリア・ナッシュ。何がどうなってこんなことになったのかは全く分かりませんが、ボスの作ったものの事ですからまぁそういうものなのでしょう。

あの娘の胸に埋め込まれた・・・じゃなくて、装備された固定兵装その名もチェストバスター。まんまです、そのまんまですボス。でも小難しい名前になるよりかはきっといいと思います。


 「らいちゃーん。こっちの娘はなんで動かないのー?」


 二号機・・・。確かに何故か二号機は動きませんね?魂的な何かが関わっているのでしょうか?ボスに尋ねようにも今はもうボスを見送った後ですから帰ってきてからになるのです。

つまり私にはわからないという事ですね。


 「わかりません。それよりテラ・・・じゃない、ピュリア今日はその胸の紋章兵器を調査しますよ。」


 「はーい。これなんなのー?」


 わからないから調べるんです。全くこの子は全く・・・。


ギュイーーーーーーーン

ドドドドドドドドド


 んんっ!?何やら工事現場のような音がすると思って振り返ってみたら何をしているんですかあなたたちは?


 「「外科手術です!」」


 「やめなさい!どこからそんな物を持ってきたんですか!」


 この双子猫たちは全く・・・。わざわざ自分のリソースを割いて迄チェーンソーやら削岩機やら作ったわけですか。ある程度力も才能もあるとはいえ、ボケているのかワザとなのかもわからないこの行動。良いといえば別にいいのですが地味にストレスが溜まりますね?

・・・とはいえです、どうやって調べましょうか?・・あ。


 「そうですね。ナノマシンは正しく質問をすればその通りに返してくれるはずです。わざわざメスを入れる必要はありませんでしたね。」


 「「ざんねーん!」」


 やめなさい全く・・・ピュリアが青い顔をして二号機の後ろに隠れたじゃありませんか。


 「らいちゃん・・・わたし・・・しぬの・・?」


 「多分冗談ですから奥に行くのはやめなさい。そっちに行くだけでも一苦労なんですから。」


 そういえば本人がいるのですから、なぜここにいるのか聞いてみるのもいいかもしれませんね?


 「ピュリア?」


 「な・なーに?」


 ちょっとおっかなびっくりな態度が加虐心をそそるというかなんというか・・・こほん。


 「あなたは何故今のあなたになったのですか?聖女だった頃のあなたはどうなったのですか?」


 「うーん・・・。いろいろあったのよー?戦争があったり祭り上げられたり・・・あっ!」


 なんですか急に・・・あの大きな体でそんなに大きな声を出したらびっくりしますよ?


 「えっとね、今思い出したんだけど、私銀河おにーちゃんと、ちょっと似た感じの人を見たよ?死ぬ直前に。」


 えっ・・・?ハイパーヒューマノイドがボスの他にもいるというのですか?


 「まさかその人にあなたは・・・。」


 「ちがう!ちがうよ!その人は助けてくれたの!・・・そのあとすぐに死んじゃったんだけどね。」


 「何か歴史的に名前が残っていそうな事件ですね?そのあなたを助けた人は何という方なんですか?」


 ピュリアは元のメンテナンススペースに戻りぺたんと座り、首をひねるようなしぐさをして思い出そうとうなり始めた。


 「えーとねぇ・・・聞いたんだよ?本人からも他の人達からも。何だったっけなー?」


 ピュリアが思い出せずに頭を抱え始めた頃、ハンガーにティオレが現れた。


 「ピュリア・ナッシュ・・・。あなたが本物の聖女ならあなたを助けたその者の名前は、ミクリター・ミコーという名前ではないか?」


 ピュリアは大きな体をぺたんとハンガーの床につけ、ティオレの目の前にまで顔を出す。


 「それ!ター・ミコーって呼ばれてた!」


 ター・ミコー・・・はて?どこかで聞いた覚えがありますね?


 「「教会王国の破壊者!」」「その名前は!」「歴史の教科書に!」「「載っているわっ!」」


 あー・・・。確かに高等部位の歴史の時間に習った様な気がしますね?


 二人は相も変わらず謎のポージングをしながら得意気に笑う。


 「あなた達よく覚えているわね?」


 「事件が大きかったので覚えていました!」「クロスチャーチルの生みの親ともいわれているのです!」


 また物騒な話になってきましたね。っと、ティオレは元クロスチャーチルでしたね。


 ライの視線の先にいるティオレは問題ないと、手を挙げる。


 「流石に初めからそこに居た訳では無いよ。私はそこまで年は取っていないつもりだぞ?」


 確かに。教会王国が滅亡したのは今から大体七百年ほど前の話ですしね。・・・ダークエルフのティオレさんなら生きていてもおかしくはないですが・・・?


 「ライ。失礼なことを考えているだろう?私は今年で四百歳丁度なんだぞ?」


 ・・・。普通の人間の感覚ではそれが若いのか若くないのかわかりません。

エルフ種の方達は非常に長生きだそうですのでひょっとしたらその時代から今まで生きていらっしゃる方もいるかもしれませんね?


 「桁が違い過ぎていまひとつピンときませんね?ゼロ一つ取る位で同じ・・・位の認識でいいのでしょうか?」


 ティオレは難しい顔をしているがさほど気にしていないようで。


 「大体そんなものだろう。」


 そういって考えるのをやめた。普通の人種と比較するだけ無駄だと考えたのだろう。

しかし若さという観点では少なからずショックもあるようだった。


 「七百年かぁ。そんな気はしなかったなー。ちょっとしたタイムスリップ気分だよー。」


 ちょっとって。七百年もあれば歴史も変わりますよ?彼女は普通の人種だったはずですが、やはり今まで見た通りの不思議生物なのでしょうか?その感覚判りません。


 「因みにそのター・ミコーという方は今何を?」


 ピュリアは少し考えを巡らせるも思い当たる事が無かったのか、コロコロと変わるはずの無いマシンの表情が変わる。


 「生きているような気がするけど、その時会ったのが最初で最後だったからわかんないなー。」


 ふむ・・・ター・ミコー・・・。ボスに確認をとってみましょうか。何か気になります。


 「さて。では改めてレイブの量産計画を始めましょうか。ドルフを基にすれば変更や更新は簡単ですが、それをするとボスが泣いてしまいます。」


 「「ではどうするのですか?」」


 ライは懐から手のひらサイズのフィギュアの様なものを取り出した。見たところレイブをデフォルメしたような形をしている。見ようによってはキーホルダーや食玩にも見えるが、思いのほか精巧に作り込まれている。双子猫たちはそのあまりにも精巧に作り込まれた模型に興味津々のようだったが、触れようとしたところでライから手の甲を叩かれ、間近で見るにとどめている。


 「これはボスがこういう時の為に私に預けていった、ウルテニウム合金製のDフィギュアです。」


 「D?ディフォルメ・・・か?」


 「そういう事です。これを巨大化させる事でも普通に使えるとの事でしたが、正直私にはその巨大化のイメージが全く浮かびませんので、別の用途で使わせていただきます。因みに、このフィギュアはあと二百体ほどありますので、レイブの量産型として新生させましょう。」


 ティオレはどこから突っ込んだものかとうずうずした様子だったが、ライからフィギュアを受け取りまじまじとひっくり返したり回したりしながら観察している。


 「本当によくできている。今にも動き出しそうだ。さすがは我が主。しかしこれをどうするとその量産型とやらになるのだ?」


 ライはよくぞ聞いてくれましたとばかりに眼鏡のつるをクイっとつまみ、得意気に話し出した。心なしかメガネのレンズが光を放ったような気がする。


 「そこで私達、クリエイターの出番です!このフィギュアは形こそ違えど内側まで正確に作り込まれている本物です。先ほど言ったように単純に巨大化すれば普通の兵器として使用可能なのです。

ですがこのフィギュアには実機として作り上げられた強襲型や汎用型の様に武装も無いですし、正直このまま使えばバトルドレス無しでは酷い目にあう事でしょうね。

そこで一般兵にも使えるようにダウングレードした後、外見を統一し我々のランドマーク・・・じゃないシンボルの様に仕上げようというものです。」


 「ダウングレード?」

 「必要ですか?」


 ・・・。わかっていませんね?良いでしょうボス特製のフルシミュレーターで一度強襲型の恐ろしさを知るといいのです。



ミリア・トートエル 30歳 猫獣人種 双子の猫娘(妹)元ワイルドローズ社火器研究所所属研究員


 宇宙船開発メーカーワイルドローズ社にて研究員を務めていた猫獣人。

 アトレーティオ4にて姉妹揃って休暇を満喫していたところ、海賊の襲撃に遭い重傷を負う。

しかし偶然海賊殲滅に出撃したドルフ隊によって救助されラビスにてナノマシン治療を受け回復する。その時医療機器のメンテナンスに訪れたライと再会、ライとは同じ学び舎に通った先輩後輩の間柄であった。再会の親睦を深める中、ライが雨宮に心酔している事を知り、興味を持ち自らライの下で研究員として働きたいと願い出る。

 趣味はVRダンスホールに通う事学生の頃は廃人レベルのVRゲーマでもあった。好きな食べ物は味噌汁。

専攻は火器工学、ワイルドローズ社初の戦艦の開発にも携わる主任技術者だった。


ミリュ・トートエル 30歳 猫獣人種 双子の猫娘(姉)元コロージャ社新兵器研究所主席研究員


 有人機動兵器開発メーカーコロージャ社にて、新型スペースワーカーの開発に携わっていた主席研究員。

 妹共に休暇でショッピングに来ていたところ、海賊の襲撃に遭い軽い怪我を負う。重症の妹を救うためスキルに覚醒、ドルフ隊に発見される程の大爆発を起こした。

妹ミリアの治療中、偶然雨宮に声を掛けられ雨宮の闇に触れる事になる。妹には知られていないがこの直後雨宮の下僕として眷属化している。

妹と入れ替わるように医務室にて進化の眠りに入り、目を覚ました後雨宮にナノマシンサーバーのメンテナンス要員に抜擢され主席研究員の地位を捨て雨宮に付き従うことを決める。

 趣味はVRシューティングアクションゲーム、ワールドランカーになるほどの実力者で常にトップ5を外さない。好きな食べ物は少しずつしか食べられないが液体食料のイチゴパフェ。

 専攻は機動兵器開発、木星圏に存在する様々なスペースワーカーの特許を持ち、数多くのオリジナルワーカーを開発する天才。

妹共にライに対抗意識を燃やしているが、基本的には非常に仲が良く学生の頃は三姉妹と呼ばれていた。


 個人スキル


 水元素操作 大気中に漂う水素を操る力、水素の絡むあらゆるものに干渉ができるが、含有する水素の量が少ないモノほどより多くエネルギーを消費する。

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