EP27 精神改竄
梅雨に入って憂鬱ですン
俺は平和的解決を望むべく連合軍戦艦ネタローへと通信を入れる。
「あーえっと・・・ジャミング外すのでこっちに特攻してきた奴を引っ込めて欲しいんだが。」
あれ?なんか違うかな?
モニターに映し出されたのは口周りに髭を生やし、肩に桃の絵の徽章を付けた士官だった。
大きな星とブーメランみたいなのが三つずつ並んでついている。大佐・・・かな?
(銀河きゅんあれが艦長のタロー・ピーチカン大佐だよ。)
ああ。やっぱりそうなのか。桃缶さん・・・とか呼んだら怒るだろうなぁ。
ーーすみませんでしたぁ!!うちの部下がご迷惑をおかけしてしまったようで!
すげー謝られた。・・・だが謝られたところで元々痛くもかゆくもないのだが・・・。
「しかし連合軍ってのは、何でこう問答無用で襲い掛かってくるのかねぇ?」
先ほどジャミングを解除すると言ったがあれは嘘だ!慣性でネタローはこちらに動いてきているので、距離が近くなったからナノマシンで直繋ぎしている。相変わらずネタローのコントロールはこちらに全て奪われたままだ。
ーー他にもいるのか・・・?
「おー。連合軍の特殊部隊だったか?ラムダステイツとか言っていたが。もう見えるだろう?そこに突き刺さっている奴。」
ーーな!何があったんだ!?
バーさんの暗殺だとか何だか言っていたような気がするが・・・。言ってもしょうがないか。
「特攻じゃない?KAMIKAZE?そう言えばまだあっちの船には通信繋いでないのか?」
エリーはシートをくるっと回し、俺の方を向いた。
「多分通信機が壊れているのよー。何度も送ってみたけど反応が無かったの。」
あらら。
俺の手元のコンソールには、白兵部隊からの報告がひっきりなしに上がってきている。
やれ海賊を捕獲しただの、連合軍弱いだの、姦しい事この上ない。だが報告から察するに、コロニー内の方は事が済んだのだろう。ドルフ隊が帰還するとの報告も上がっている。彼女たちは今回忙しいな。労ってやりたいところだが・・・。
ーー我々に接触させてはもらえないだろうか?同じ軍だ。目的の一端位なら・・・。
「判ってるから要らないよ。それよりアンタはどうするの?一応恩義もあるし、このままコロニーの復興支援に入るっていうなら、俺達からは特に・・・いや。」
折角だしチョット欲張ってみるか・・・。
「アイツらの乗っているワーカーくれれば別に何もなかったでもいいと思うんだけど。」
ーーそれは・・・。私では何とも・・・。
やっぱダメか。
「じゃあせめて引き上げさせてくれ。このままじゃまた自爆するぞ?」
ーーしかしコントロールは・・・。
ブラフか?
「何かあったのか?」
実を言うと通信が始ま柄る前から、アミィ、ロペ、イントの三人はコンソール下の空間に身を潜めている。アミィに至っては俺の席の下、俺が今立ち上がれない原因になっている。俺の両膝を何故か肩にかけ、ハスハス内腿に頬ずりしているのだ。くすぐったいんだが・・・。
ーー・・・今はこちらで船が動かせないのだ・・・。
「じゃぁ・・・どうやって止まるんだ?このままだとコロニーに突っ込むぞ?」
ーーな・・・軌道計算!・・・出来ないだと・・・?
そらそうか。相変わらずコントロールはこっちのままだ。そろそろいいんじゃないかと。
(もう戻してあるんだけど・・・?)
ロペはそこで自分の席に座り、改めて状況を確認した。
「何かネタロー故障してない?リンクが所々切断されているんだけどぉ?」
ーーお前はっ!キャッシュマン!・・確認いぞげ!このままだと衝突するぞ!!
流石訓練されている。連携も取れていて行動も早い。だが・・・。
ーー・・・当艦は今操舵不能状態にある。これから脱出する・・・。船の破壊を頼めるだろうか・・・?
艦長さんの顔は苦虫を噛み潰したような笑いをこらえたような不思議な顔になって、顔の筋肉がぴくぴくしている。そんな中センリは俺に主砲の許可を求めてきたが必要ないといさめておく。シールドも無い船にアレは過剰過ぎる。
「副砲で十分だ。出力は40%・・・いや50%迄やってみるか。周辺の建造物に被害のないように調整してくれ。」
「了解しました。」
「銀河様こちらも了解しました。破壊対象連合艦の正面に出ますわ。」
ラビスは微調整をし、ネタローの正面に陣取る。その軌道を見るや否や、ネタローでは全艦退避命令が発令され、作業用ワーカーや輸送用小型シャトルが次々と脱出する。
「副砲システムオールグリーン。魔力導通確認しました。出力50%何時でも行けます。」
テラ娘の紋章兵器を元に作り出した、新しい副砲。現在はベリスにだけ試験的に運用させているが、新庄の報告を聞く限り恐ろしい威力だという事だ。跡から送られてきた情報によれば、ベリスの放った副砲の出力は80%程であったという。それで大型戦艦を含む七隻を塵にした訳だ。一隻の、しかもシールドすらない鉄の塊には必要ないものなのだろうが・・・。
「試し撃ちは必要だよな。ヨシ。十分避難した者達との距離が取れたら発射しろ。」
「了解。カウント開始します・・・。5・・。」
三隻の小型シャトルと二十五機の小型作業用ワーカーを専用の収容ハンガー、来客用ハンガーへと誘導する。
「4・・・3・・・2・・・1・・・。発射します。」
カッ
副砲の砲塔から光が走り、その後には何も残らなかった。
「相変わらず恐ろしい威力だな。正直100%で撃ったら何が消えるのか恐ろしい話だ。」
ーーーーーーーーーー
「救助してもらって助かった。あの時とは対場が逆になってしまったな。」
そう言って元ネタロー艦長の桃缶さんだ。口には出さないが。
俺がそんな事を考えていると、その後ろに付き従う女性士官が横を向いて口元を隠した。
「別に何もだよ。それよりあの特殊部隊の奴らを止められるのか?とはいっても恐らくもう非戦闘員しか居ないだろうが・・・。」
「ど・どういう事だ?」
どうもこうも無い。もう既に海賊が暴れ始めて半日以上時間が経ってる。コロニーは既に壊滅状態だ。
海賊は既に牢屋にぶち込んだが、特殊部隊の戦艦だけ放置してある。何故かって?タイミング的に出来なかったのだよ。そして・・・報道の人間も全員牢屋にぶち込んである。これはついでだが・・・何かに使えるかと思っている。
「アンタたちの来るのが遅すぎたんだろうよ。・・・と言うかアンタたちはあいつ等に呼ばれて来たんじゃないのか?」
若干認識にズレがあるのが気になった俺は思い切って訊ねてみる。
「そんな事は流石にないさ。特殊部隊とやらの識別信号は連合のものではない。俺達は防衛隊に呼ばれたんだ。この周辺の部隊が動けないとかでな?俺達がパトロールを切り上げてここまで来たんだ。遅くなったのは・・・純粋に距離が遠かったからだな。寧ろこの速さで来れるのはうち位なものだ。総舵手の腕がいいからな。」
成程。やけにいろいろ喋ってくれることも気にはなるが、大体知りたい事は分かった。もう放逐してもいいかな。
(ロペ。人材の確保とやらはどうするんだ?もう用事は無いが・・・。)
ーー大丈夫。ちゃんと退役する手はずは整えてあるから。
(本人の確認はとらないのか・・・?)
ーーまぁ・・・大丈夫でしょ。
良いのかそれで。強制退職。実質首じゃん?ある日突然「君もうウチの人間じゃないよね?」とか言われてみろ。心臓止まるやつとか絶対いるぞ?しかもエリートさん達だろ?キャリア組だぞ?発狂するんじゃね?
(そうか・・・。)
ーー因みに元艦長の後ろに居る娘。あの子は私の後輩だから。既に退職済みだよ。
(可哀そうに・・・。)
今も何かを思い出したのか口元に手を当てて必死に笑いをこらえている彼女は・・・すでに一般人だという話だ・・・。きっとその笑顔がもう直ぐ絶望に染まるのだろう。
「これからどうするつもりなんだ?良かったらコロニーにでも降ろして欲しいんだが。」
もう話す事も特にないし、彼のスキルも分析が完了している。今の俺には対処しなきゃいけない事が山積みなのだ。さっさとお帰り願おうか。
「ロペ。倉庫出せるか?アレでアト4に送っても良いんじゃないか?」
「そうだねぇ・・・。椅子とか無いから立ちっぱだけど皆いっぺんに運べるょ。」
「それでもまぁ・・・構わない。どうせここからならすぐだろうし。」
まぁそうだな。特に移動していないし、倉庫なら十分もかからない。
「じゃぁそれでいこうか。イントたん案内したげて。」
既に揃いの制服に着替えたイントたんが席から立ち上がり、桃缶さんの前を歩く。
「ではご案内しますね。」
「君は・・・よろしく頼む。」
イントたんにはあまり見覚えが無いのか、気付いた様子はなかったが違和感は覚えているな。
アレはそのうち思い出すだろうか?まぁ、後はイントたんがうまくやってくれる。
「あ。キュキュちゃんはここでちょっと待ってね。」
ロペが桃缶さんと共に去ろうとしていた、女性士官・・・元士官を呼び止める。
「え・・・?」
イントたんは色々と桃缶さんに話しかけていて、後ろに彼女が付いてきていない事に気付いていないようだ。
彼が去った後、ロペの後ろ姿しか見ていなかった彼女は、驚愕に目を見開く。
「キャッシュマン先輩!!?何でここに!!!?」
通信の時はちゃんと見ていなかったのか、今気づいた様で酷い狼狽えぶりだ。
「キュキュちゃんはここで居残りね。はいこれ。新しい個人カード。」
個人カードとはこの世界におけるマイナンバーカードの様なものだ。連合に加盟している国の人間全員に発行される公的な身分証明だ。そう。公的な。
「ちょっとキャッシュマン先輩!なんでそんなものがここに!?私のはここに!!??????あれ!?」
そう言って彼女が上着の内ポケットから取り出した証明書は黒く変色している。
「データが消えてる・・・。えぇ!?なんで!?これ軍の!」
普通に考えて軍の情報が勝手にされるような事は無いだろう。そりゃ驚きもするわな。
「大丈夫。ちゃんとした奴だから。退職金も出るし。」
「退職金!?え!?なんで!?」
「えっとね・・・昨日付で退役した事になってるから。制服とか銃とか全部急いで返さなきゃだめだよ?」
あ・・・止まった。思考が追い付かなくなったのだろう。その後彼女はロペから他の引き抜き対象の分の個人カードを彼女に渡し、ロペに付き添われ彼女も倉庫に向かった。
「彼女は相変わらずだな。やる事がいちいち完璧すぎる。」
新庄もそう言うが、もう既に慣れてしまっている節もあるな。俺は流石になれた。
さて・・・。倉庫が戻る前に彼らとおしゃべりしに行こうかね。
「エリー、新庄。あとは任せる。倉庫が戻り次第海王星のコロニーに向けて出発する。」
エリーはくるくるとシートを回し、了解の意を示す。
「ほどほどにな。」
滾るわぁ。
ーーーーーーーーーー
マギアラビス 牢屋
牢屋までやってきたものの中がものすごく騒がしい。遠目に見て超絶雌猫海賊団・・・猫団でいいか。猫団の女性陣はかなり顔色が悪い。あの様子は結構最近見たような気がする。まぁそうか。トイレ丸見えだしな。オークの方はこれ見よがしに汚いものを見せびらかしている様だが、俺の元居た世界で猛威を振るっていたオークとは違って、大変可愛らしいモノだと俺は思う。俺の方が圧倒的に・・・。じゃない。そんなこんなで女性陣は豚共に餌をやりたくないのかずっと我慢している様だった。
臭いはナノマシンで何とかなるとしてもだ、流石にワザとなんだが・・・視覚はノーガードになるようにワザとやってるからな。ここから眺めるだけでもちょっと猫団の女の子たちの羞恥プレイ・・・としても映像が売れそうだな・・・。
ナノマシンに寄って映像記録は常に残っているのだが、流石に360度全方位に散布されたナノマシンの映像とか、需要が有り過ぎて楽しそうだ。寧ろVRコンテンツとして非常に楽しめそうだ。・・・じゃない。
そろそろブタをシャットアウトしないとな。
俺はナノマシンに命じ、二つに分けた牢屋を完全にシャットアウトする。きっと今頃、豚小屋の方は阿鼻叫喚の地獄絵図となっているだろう。視覚をシャットアウトするついでに臭い消しも解除しておいた。向こうのブツは分解もしていないからな。トイレも無いし。そこまでするのはあくまで女の子達だけだ。
俺はつかつかと鉄格子に近づく。すると女の子の一人が俺に気付いた。・・・・・・。
「あっ(察し)。」
「ちょ・・・ちょっとだけ待って欲しいんだけど・・・・。」
「だが断る。」
俺は壁になっている女海賊達をナノマシンで強制排除し、張りぼての三脚付きビデオカメラをトイレの集まった一角に向けた。只のレーザーポインタの赤い色が光ると、女海賊たちの罵声が飛ぶ。
「この変態!」「最低!」「やめな!!」「撮らないで!」「やめてぇ!!」
うーん。馬鹿を見るのって楽しい。この後のネタ晴らしをした後どうなるかと考えると、なおいい。
「あ。俺の事は気にしないで。出しちゃってオッケーだから。」
十個のトイレのうちの一つに、先日話を聞いた耳狩りがいる。彼女一人だけ俺の方を向いて良いの?みたいな顔をしているのがちょっと面白い。彼女はフラグになり得るだろうか?この瞬間を演出するために、わざと食事に利尿作用と虫下しの効能のある薬を大量に混ぜ込んだ。きっと牢で旨い食事に有りつけているのに、ずっと下痢、ずっと頻尿。こんな状態にあったに違いない。ナノマシンの映像を確認するとトイレには常に誰かが座っている映像が見える。この人数だし不思議な事では無いが、それでも我慢が出来ないものも多数現れていた。それ故のあのオーク達の喜びっぷりである。きっと何人か粗相をしてしまったのだろう。
「エリザベート。お前は・・・・分かっているよな?」
俺が少し大きめに彼女たちのリーダー、キャプテン・クイーンキャットこと、エリザベート・アブクラハルに向かって圧を放つ。
すると彼女は恍惚の表情を浮かべ、下半身に力を入れ始めた。
彼女は先日の件で眷属化している。しかも既に安定しているようで、実は彼女だけ出ようと思えばいつでも牢から出る事も、この船から逃げる事も出来る様になっていた。しかしそうしない。別に俺が何かを命じた訳でも無いし、洗脳している訳でもない。・・・だがある意味洗脳とは言えるかも知れないな。
眷属化とはそういうモノだ
ナノマシン、気温低下。
「あぁ・・・。雨宮様・・・私・・・わたしぃ・・・。」
ぎゅるるるるる
彼女たちの足元だけを少しばかり涼しくすると、周囲から腸の活動が活発になった音がひっきりなしに聞こえる。
「ヤバい・・・。」「はや・・・早く変わってよ・・・!」「お腹痛い・・・・。」
次第に今便座の上に陣取りながらも一向に退く気配のない十人の女海賊たちに非難の視線がとびかかる。パブロフの犬。と言う言葉がある。同じ状況を何度も繰り返していると、無意識にその状況に近い事が起こるだけで、同じ行動を繰り返す。彼女達にはこの牢に居る間ずっとそういう行動を強制していた。
異変に気付かれないようにゆっくりと、静かに、段階を追って。
この部屋の温度は他の艦内の施設とは違い、徐々に上がり、徐々に下がる。そして薬剤入りの食事。暖かくなる時間に食事を与え満足感を演出する。そして涼しくなる時間に尿意が起る様に調整された薬剤が火を噴く。自然その時間のトイレは常に満席だ。しかし人数の関係上必ず何人かはしでかす。
しかし、それはナノマシンに寄って直ぐに分解され、後も残らない。この状況に彼女たちは多少の安堵を覚え、彼女達の中での粗相は既に慣れたものだった。
あの襲撃の日から一週間ほど経ったが・・・。既に大分犯されているな・・・思考が。
普通なら只観られる事以上に、排泄を知られる事が観られたくないと思う気持ちの大部分を占めるだろう。
だが、今の彼女達はその後半の部分の思考が排除されている。彼女達の中には既にトイレで排泄するという行為すら排除してしまっているものすら表れている。身内に見られたところでもう何も感じないのだろう。それが・・・普通になった。
そして今日。オークと言う新しい刺激を与えられ、自分達の行為の異常性に気が付いた時、既に手遅れになっている事が分からない彼女達は、自分が正気を取り戻したと錯覚する。
「きました!きましたぁ!!!」
周囲の皆の視線がエリザベートに集中する。
「許す。出せ。」
ーーーーーーーーーー
マギアラビス ブリッジ
「・・・うわぁ・・・。」
「ん?何を見ているんだ?」
エリーは監視カメラの映像を切り替えながら、艦内の様子を観察していた。そこに偶々映ったのは雨宮が今調教中の女海賊達猫団の居る牢屋だった。既にエリーが目を向けた時はオークは隔離遮断されている様で、女海賊と雨宮しか見ることが出来なくなっていたが、オークの方を見る気はエリ―には起きなかった。
きっと豚小屋の方は酷いことになっているの。そんなの見ないのよ。
「女海賊調教AVなの。」
「ビデオじゃないだろ・・・。どれ・・・。うわぁ・・・。」
モニターに映し出された糞尿地獄に、新庄は軽く目を背けたくなった。
「スカトロ・・・とかいう奴か・・・?」
新庄がそう言うと、エリーは年齢相応の苦笑いをしながら、新庄を諫める。
「そうじゃなくてー。自尊心を壊して屈服させる作業なのよー。」
新庄は眼鏡に手をやり、その外見の印象とは全く異なった発言をし、あまつさえ自分のおバカ発言を修正する様な事を言ってのけるエリーに対して、驚きを覚えていた。
「あ・・あぁ。そう・・か。」
失礼しちゃうのよー。にゃんこかぶっているだけなのよー。でもそれを見て良いのは銀ちゃんだけなのよー。
「プライドが高そうな海賊だったのよー。きっといい感じに壊れてくれるのー。」
(黒い考え方がエリーさんに在った事も驚きですけれど。新庄さんの処女信仰も驚きですわ。そんなに驚かなくても宜しいのでは・・・。)
それにしても銀ちゃん・・・楽しそうなのー。それとナノマシンってやっぱり便利―。
ちょっと参加したくなるけどお仕事中だから我慢しなきゃだねー。
「ふふふ~。今回は何人位ついて来るかな~?」
「また訓練をしなくてはいけませんね。フェインさんが独り立ちしたので、次の訓練は私も参加しますよ。」
「イーちゃんも運動不足になったの―?」
「失礼なっ!・・・なっていませんっ!」
ふふ~。お腹触ったの見えたのよ~。
「それにしても一体主様は一体何をなさっているのですか?」
ん・・・?探ろうとしちゃだめなのよー。
「イーちゃんめー。」
「え?」
イファリスの思考が急速に微睡んでいく。意識レベルが低下し、目の前のコンソールが滲んで見える。
「あてられちゃうから探っちゃめーなのよー。」
「・・・分かりましたから・・・。この眠気を・・・魔法を止めて下さい・・・。シールドが維持できなくなりますから・・・。」
「お仕事に集中するのー。」
とはいってもー・・・私は見ちゃったけどねー。
ーーーーーーーーーー
マギアラビス 牢屋
連鎖爆発。そう表現しようか。
ナノマシンに分解されるまでの一瞬ではあるが、恍惚としたままありったけのブツをぶちまけるエリザベートの姿を見た周りの海賊達は、先ずは便器に陣取った者達から波紋が広がる様に伝播していく。
「あぁあああ!!」「え・・・出る!?」「嘘!嘘嘘うそぉ!!」「はふぁ・・・。」「キタァー!」
若干名この状況を楽しんでいるものがいるようだが、それはまぁ置いておこう。
伝播する開放の時間は自らの意志とは関係無く、決められた通りに作動し決められた手順を守る。
辺りに一瞬糞尿地獄の臭気が蔓延するが直ぐに消え去りその後には呆然と俺の方を注目する女海賊達と、恍惚の表情を浮かべ媚びるように俺に近づいてくる数人が残る。
「さて。楽しんでもらえたかな?牢屋の生活は?」
俺の普通のトーンでしゃべる声に正気を取り戻した者は赤面し、掴み掛らんと俺の元に走り寄ってくるが・・・。
「マテ。」
ザッ
俺の前に集まった一人の女海賊の声の一言が他の女海賊達の動きを停止させた。
「お座り。」
ザザザッ
その声を聴かされた者達は一斉に三角座りをし、戸惑いの表情を見せる。
「マリーさん!どうして!」「ねぇさん!」
マリーと呼ばれた女海賊は、正真正銘の猫娘・・・猫種の獣人のようだ。先ほどまで便器に座っていたからか、下半身は裸のままである。三毛の様な尻尾をふりふりし、俺のひざ元にすり寄ってくる。
「ご主人様ぁ~ン。もっと可愛がって下さ~いン。」
まさに猫なで声。甘えるようなその行動その仕草・・・まさに猫!
うわヤヴァイ。猫派の俺歓喜。
俺はそっとマリーの喉元に手をやりこちょこちょと軽くなでてみる。
「うぅ~ン・・・。もっとぉ~ン・・・。」
あ・・・イカンこれは来るわ。まだやる事があるから自重せねば。
俺はマリーの頭を一撫でし、後でなと肩を叩いた。
今ここ・・・俺の足元に集まっている猫娘達はもともとそう言う素養があったのだろう。エリザベートが当然のように俺にすり寄ってくるのを見て、そうするべきだと判断したのだろう。世渡りがうまい奴もこの中には居る。
この海賊団は女性しか居ない、その内訳としては、猫獣人約90%人種2%デーモン種2%巨人種1%ドワーフ種1%フェアリー種2%メロウ種1%機人種1%だ。圧倒的に猫獣人が多い。これもひとえにリエルの趣味のせいだろう。愛でる10%の多種と愛でられる90%の猫娘に分かれている。猫娘たちは逆らうと耳をもがれるので今まで必死だったのだろう、奴隷では無いがそれに準ずる扱いを受けていたようだ。全員が首輪をつけている。
スキャンしてみると隷属の首輪とある。マジックアイテムの類のようで、この船に入ってからは全く効果が無い様だったが、特に暴動や反抗などは無かった様だ。共通の思いがそう言った暴力的な感情を押し込めていたのかもしれない。出ちゃうもんなんだと。お互い言いっこなしだと。
「今のおまえ達は俺の掌の中に居る。匙加減一つで垂れ流しになる事も有るだろう。だが・・・。」
俺はエリザベートの頭に手を置きながら周りを見渡す。
「こいつらの様に従順になるのなら・・・。元に戻してやってもいい。」
彼女らは俺と言う異分子の介入によって、ある種の洗脳状態から脱し自分達の異常性に気が付いた。
だがそれは同時に自分に必要のないモノを強制的に植え付けられたという、苦痛と屈辱を伴うものだった。そして彼女達は考える。足元が冷えるだけで垂れ流す。そんな状態でまともに生活が出来るか?
足元を隙間風が吹くだけで冷えの反応は出る。そしてそれが引き金になるのだ。しかもこの外では出したものはそのままだ。果たしてその状態に耐えられる者はどのぐらいいるだろうか?
「もちろん嫌だと言うのなら、記憶だけ消して外に出してやる。外にな・・・。」
俺は敢えて外、と言う言葉を強調する。これは考えるという行為を促すためだ。何も考えない奴が一番厄介で、尚且つ扱いづらい。
「記憶を消すって・・・どいう事ですか・・・?」
三角座りの集団の中から質問の声が上がる。
俺はマリーを見た。
「立て。」
立ち上がった娘はお腹を押さえ膝が震えている。先ほどの俺の与えた選択肢の結果を思い描いたのだろうか、若干顔色が悪い。
「記憶はそうだな・・・。十年ほど遡るのが良いかな。どう思う?リエル。」
少し時間が経ち落ち着きを取り戻したリエルは俺の質問について吟味している様で、一度首をひねって考えている。
「そうですね?十年前だと皆海賊にもなっていない事でしょうし、丁度良いのではないかと?」
「という事は海賊になってから十年も経っていないのか。」
「そういう事ですね。」
人によってはそこまで戻る方がつらい事も有るかもしれないが・・・。
「まぁ消えてしまえばおんなじか。だが時間は経ってしまっているから認識に齟齬が産まれるし・・・どうなるかねぇ?」
そう言う実験も含めて試してみたい所ではあるんだが・・・。見たところ若い娘さんばっかりだし、十年記憶が戻ったら子供・・・という者も少なくはなさそうだ。この人数の子供がどうなるのかは・・・お察しといった所か。体は大人心は子供・・・悪い大人に朗報って感じだな。元が海賊なだけに奴隷街道まっしぐら、か、若しくはヘルフレムに変わる別の監獄に叩き込まれるかな・・・?だが心の状態から鑑みれば、病院の方が可能性は高いかもしれないな。
俺としては全員面倒見てやりたい所ではあるんだがなぁ・・・。流石にマギアシリーズにも限界という者があってだな・・・?どうだろう・・・。一隻に今大体七十人位・・・あれ少ない?という事は海賊千九百人ほどを十で割って・・・百九十人プラスの事の七十・・・。一隻当たり二百六十しかおりませんがな・・・。マギアシリーズは大型の最小クラス全てのポストにクルーをはめ込んだとして、大体五百人は、普通なら必要になる。ローテーションを組んだりしなきゃならんしな?それを考えると・・・今が異常事態に思えてくるから不思議だわ。・・・いやおかしいのか。
「でだ。もうわかっているとは思うが俺はお前たち全員の体を自由にコントロールできる。」
体と言っても今の所状況をコントロールするだけだが。それでもやはり他人に自分の自由を奪われると言うのは忌避するべき問題の筈だが・・・。
「お前達には選択肢が二つある、一つは俺の従順な僕として一生を過ご・・「「「「「「「「「「それで!」」」」」」」」」」」も・・・もう一つあるんだが・・・。「「「「「「「「「「僕で良いです。」」」」」」」」」」え?お?」
おかしいな?どう考えても二つ目の選択の方が賢いというか、普通・・・。の筈なんだが。
実のところ彼女達にその気さえあれば、普通にクルーとして雇い入れるつもりでいたのだが、何故か裂帛の気合を込めて普通の案は提案すらさせてもらえなかった。
「まぁ・・・それでいいなら別にいいんだが。後で文句言うなよ。」
さて・・・これで一応女海賊達の問題は解決したんだが・・・。あとは豚だな。
「さて・・・。この中で豚と遊んでみたい奴は居るか?色々用意してあるんだが・・・。」
俄かに騒めきが広がるがそれもすぐ収まる。
「黙れ。」
マリーのスキルだろうか。先ほどからかなり有用な・・・と言うか俺の役に立っていてとても使いやすい。腹の奥に逸物隠していそうな感じではあるが俺に対してそのスキルを使ってこない事には好感が持てる。多分効かないと思うが。
静けさが戻った後、一人の女が名乗りを上げる・・・アイツは確か・・・シャトルで肉団子になった時に一番酷い目に有った奴じゃなかろうか?三角座りで集まっていても体一つ分以上デカいので非常に目立っている、巨人種の女。この集団の中には五人程巨人女子がいるが前の方に居る為余計に目立つ。
見た感じテツと同じ・・・程では無いが、それでも四メートルは余裕であるように見える。比率としては非常にグラマラス・・・と言うか立ち上がった彼女を見ていて俺のアンダーパワーが火を付けろと囃し立てる様だ。
ぶっちゃけ性欲を持て余す。
むむぅ・・・。全員下半身丸出しと言うのがイカン・・・。俺って若いなぁ。
「わ・・・私が・・・そのぅ・・・。」
むぅ?もっとこう、グワッと来るかと思ったがどうも全く違うらしいな?何というかそう。サダコ、アイツと非常に空気感が似ている。ただ彼女はその大きさ故存在感がサダコの比では無いが・・・。小動物チックな動きが非常にアンマッチと言うかミスマッチと言うか・・・。離れて見ていると可愛らしいとは思うんだが・・・。
そう言ってモジモジしている間に、彼女のすぐ横で座っていたフェアリー種と思われる女が巨人娘の尻をぺちっと叩く。
「モジモジしとらんと、はよゆわんね!」
その体格差故、そして引き締まった筋肉故叩こうが全く響く様子は無いが、エリーと同じくらいの体格のフェアリー種の女はボイスアクターも顔負けと言うレベルの声で、巨人娘の後押しをしている。
「私・・・お手伝いしたいです!!」
スッゲ―キラキラした目で俺を見てくる巨人娘。これから何をするのかホントにわかっているのか?と思えるぐらいピュアな目を俺に向けてくる。だが俺は敢えてそんな思いをスルーするぜ!
「良いだろう!とりあえず・・・」
(イファリス・・・交代してこいつらの躾を頼む。クルファウストも使え。各艦に必要な人材を育ててくれ。)
ーー了解しました。フェインを使いますね。
(任せる。)
体力はまだまだかも知れないが、魔力だけは一級品だからなフェインは。
「マリーと言ったか。お前も来いあと、そこのフェアリーも。」
「あちしもか!?」
何だとってもべらんめぇなフェアリーだが、何となく勘で役に立つような気がしたので引っ張っていくことにした。
「他の者達はこれから地獄に行ってもらう・・・じゃない。訓練を受けてもらうから、遺書を書くように。」
酷い動揺の仕方だ。早くも後悔しているものが良そうだな。連れていく三人は訓練よりも激しい運動をしてもらうことになるがな・・・。
「アマリー。フェインが来るまで後を頼む。」
「イエスボス。」
ーーーーーーーーーー
隔離された牢屋
「なーあんちゃん、ここってさっきの豚を閉じ込めたとこだろ?中に入らなきゃダメか?」
俺も正直入りたくはない。だが一応話を聞かにゃいかんのだ。情報は大事。
「そうだな。まずは映像を確認してみようか。」
壁にモニター代わりに内部の映像を映し出すと、酷い有様だった。
山のようになったブツの上に倒れ込む豚漢。豚男。豚人。オーク。ほぼ全員が白目を剥き泡を吹いて気を失っている様だ。その地獄の中で一人だけ・・・非常にお近づきになりたくない行為を繰り返しているものがいる。
「うやぁン・・。ご主人様ン・・・ああいう事を私達にもお望みですかぁン?」
待てよ・・・。それじゃ俺がそう言う性癖みたいじゃないか?
「あほか・・・。そんな事求めてへんわ。」
一応結構な人数を生きたまま捕まえてきたようだが、それでも十人程しか居ないな。まぁ・・・この中に豚団?何だったか忘れたが、こいつらの頭が居ないのはお察し。既に塵と化している。
「お前達にはあとで別の事をしてもらうし、今日は徹夜になるから覚悟しておけよ。」
巨人娘は驚き、「夜は眠たくなっちゃうよ・・・。」としぼんでいるが、フェアリー娘と猫娘は、瞳を爛々と輝かせて鼻息が荒い。
「どど・・どどんなことなのさ!」「楽しみ~ン。」
積極的なのは良い事だと思う。・・・と、逃避していても始まらん。
俺はナノマシンに命じ汚物を全て取り除き、消臭洗浄をおこなった。
「これで入れる・・・。」
ナノマシン隔壁上げ、代わりに小さい鉄格子の牢を。
「ぶもっ!!ななな・・・なんだ!!」
壁の方からメダルゲームのメダルを押すかのように壁の一部が迫り、豚を一か所に固めていく。
そして天井が一度降りてきたと思ったら、五メートル位の小さめの檻に変わった。
「豚十匹だと~ン、狭そうね~ン?」
いきなり煽って行くスタイルで始まった豚との会話だが、三人の娘さんたちはそれぞれ豚に対して思う所が有ったようで、次々と罵声・・・と一部注意のような言葉を浴びせていくが、豚には難しい言い回しが全く理解できなかったようで、女が騒いでいる位の認識しか無い様だった。
ぐぎゅるるるるるるるるるるる
「あっ!」「ちょ!っと!」「ひゃぁン!!」
一応確認だが、今のは空腹のときになる音であって、腸の音では無い・・・が。
ーーーーーーーーーー
「あ~。あ~。あの三人ちょっとかわいそうなの―。」
「うっわ。やっちゃったねーあれ・・・。」
「あらまぁ・・・。」
「パブロフの犬・・・か。」
ブリッジに居る四人はそれぞれ持ち場の仕事をしながらモニターを見ていたが、あまりの状況に同情の言葉を漏らす。
「エリーちゃんあれってどーなってんの?」
エリーはまた少し返答に困ったような顔をしていたが、答えた方が後腐れが無いかと判断し、素直に解説する。
「多分・・・。豚さんのお腹の音に釣られて、トリガーが勝手に動いちゃったのねー。」
「あー・・・そっかー。三人共ボスの後ろに隠れちゃったよ・・・。」
ちょっとかわいそうだけどー、銀ちゃんが片づけてくれるのよー。元気出してねー。
ーーーーーーーーーー
「うっ・・・ぐすっ・・・。」
おい泣くな巨人娘・・・。俺を抱きしめて・・・。両肩に乳が乗ってる・・・。これはこれでありだな・・・。じゃない。
「こら泣くな・・・。治すの忘れてた俺が悪かったから。」
巨人娘の頬を拭って撫でてやると、少しは落ち着いたのか綺麗になった床にへたり込み、こちらの様子を窺っている。因みにあとの二人は壁とお話中だ。割と傷ついたらしい。
「で、豚さんよ。腹壊してんのか?」
「それも有る・・・。だが俺は腹が減ってんだ!!コロニーに出てから・・・なにも食ってねーんだよ!
何であっちの女ばっかり普通の飯が出て、俺達には何も出ないんだ!」
なんでってそりゃ・・・。
「ダイエットに協力しようと思ってだな・・・?」
「余計なお世話じゃい!!俺は太ってねーの!」
おっ?そう来たか・・・。
「うっせーよ!デーブ!!おめーなんかしねっ!」
ああっと・・・フェアリー娘が俺の前に躍り出ていきなり暴言を吐いた。
「デブじゃねえっつってんだろ!ぽっちゃり系なんだよ!!」
・・・ネタか?なんか一周回って意味が分からないが、本気で言ってるのかね?
よ-し、おじさんマジレスしちゃうぞー。
と、その前にオークの健康状態の指標を・・・と、ナノマシンマジ優秀。
「よし。そこに体重計がある。乗ってみろよ。」
俺は奴の足元にヘルスメータ―と書かれた、ネット通販で見たアイテムを配置した。五百迄計れる優れものだ。
「で、何の用だ・・・。話が「良いから乗れよ。」はい・・・。」
なんかこんなやり取り最近したような気がするわ。何時だったか。話を反らしに来るって事は自覚症状があるんだろうな。
ギッ
数字が指示したのは二百六十。普通の人間だと身動き取るのも大変なぐらいの体重だな。
「ほ、ほらーみろ!!俺めっちゃ痩せて!「クソデブが・・・。」・・・。うっ・・・。」
あいつが何故あんなにはしゃいだのかは知らないが、オーク成人男性の健康的な体重は何の事は無い、普通の人間とほとんど変わらない。只少しばかり平均身長が高いせいで、人種とは数字が誤差のレベルで違う、そんなものだ。
「オーク成人男性の健康的な平均体重は「あーーーーーーあーーーーーー!!」八「きこえーーーーなーーーーいーーーー。」十キロ。」
「うるせぇよ!」
俺の拳は鉄格子をすり抜けて豚野郎の顔面を捕えた。
「がふっ!いでぇ!!!何すんだこの野郎!!ママにもぶたれた事無いのに!!!」
「・・・豚だけに・・・。」
「「「え?」」」
ヤメロ!言って見ただけだ!こっちを見るな!!
「おめーこの後徹底的にダイエットさせてやっから。」
「なんでだよぉ!!」
八つ当たり上等。覚悟しとけよこの野郎。
「それはまた後にしてだな。お前たちの本拠地の座標データを寄こせ。もうお前達しか残っていないんだからな。」
「な・・・。」
豚は鉄格子に突撃し掴み掛った。
俺としてはその鉄格子からはみ出た腹の肉が気になるんだが・・・。
「どういう事だよ!外には船団が!「塵も残さないで消滅した。」いたのに・・・?」
豚は目が点になって、ガシャンガシャンと鉄格子を揺らしながら呆然としている様だ。
「お・・・おい・・・今の話はホントかよ・・・。」
ん?一人意識を取り戻したのか起き上がってきたが・・・。俺にはこの鉄格子をガシャンガシャンしている奴との外見的な見分けがつかない。豚が二匹に増えた。
「おい何時の間に分裂したんだよ。」
「同一人物じゃねーし!単細胞生物でもねーよ!!って・・・。」
もう一匹の豚は俺の顔を見るなり、ずいっと近づいてくる。
「おい!俺だよ!おれ!」
やだ・・・オレオレ詐欺とか・・・何世紀前の話だよ?
「うちの子に俺なんて名前の子は居ません。」
鉄格子を握り締めたままでズルズルと滑って床に腹を付ける豚B。どっかでみたっけ?
「俺も仲間にしてくれるって言ったじゃねーかよー!!」
ーー「「「「それは無い。」」」」
スピーカーからも複数の声が聞こえた。
「悪い。養豚場はやってないんだ。」
「そうそう出荷されるのが怖くて・・・。ってオークは食用じゃねーよ!!」
ノリツッコミが面倒になってきたな?
俺は依然呆けたままの豚Aの頭を掴み、同じ質問をもう一度してみる。
「お前たちの本拠地の座標データを寄こせ。一分待ってやる。自発的な行動をしてくれ。面倒何でな。
三十秒を切ったら一人ずつ殺していく。」
豚Aの頭から豚の油がにじみ出してくる。ふいに落してしまわないようにに切る手にギュッと力を込めると、ぶにゅっと肉を掴む不愉快な感覚に怖気がする。そして俺は手を放した。
「油まみれになった・・・。」
「ご主人様「ボス「えんがちょ!」」」
酷い。俺は素早くナノマシンで手を綺麗にする。
「お前等さっきから酷いな!!こっちは仲間皆殺しにされて踏んだり蹴ったりじゃねーか!!」
おや?なんだかまともな話が?
「やっと頭動くようになったか。あと四十秒。ゼロになったら七輪の上にのせてやっから。」
「焼き肉じゃねーよ!」
なんか一匹位飼ってもいいかも?って思える様になってきたから不思議。
「お前その目は俺を人扱いしてないだろ!!家畜じゃねーぞ!」
「あと35秒。」
俺はナノマシンを集めて準備する。
「4・3・2・・・・。」
「待ってくれ!これが!これが座標データだ!殺さないでくれ!」
そう言って股間に手を突っ込んだ豚Aは小型の外部記憶装置を取り出した。
(エリザベート。受け取って来い。)
(あ・・えっ!?はいっ!)
なんだかとっても臭そうなので、ついリエルの取りに行かせてしまった。だがナノマシンのお陰でそんな臭いはしないのだが・・・。精神衛生上宜しくない。と言うか普通股間から取り出した物とか触りたくないだろう?
エリザベートが恐る恐る手を出し、豚Aはその掌の上に記録メディアを落とす。
反射的に避けるエリザベート。
カンッ
・・・。
「いや・・・落とすなし。」
「だ・だって・・・。」
言わんとするところは分かる。だからこそお前にやらせたんだし。
豚Aは割と傷つきやすいタイプらしく、ナノマシンが活動する様になってすっかり綺麗になった便器に体を落ち着け、真っ白に燃え尽きた。そして話し相手は豚Aから豚Bへと変わる。
・・・。申し訳ないがやっぱり見分けがつかない。
豚Bはメディアを拾うとこちらに下手で投げてよこした。
反射的に避ける俺。
カンッ・・カンッ・・シャー―――
投げ方の問題なのかは分からないが、そこそこの勢いのあったメディアは床をスベリ、未だざわつく女海賊・・・元女海賊達の方へ滑って行く。
ザザザザザザッ
メディアの周りに謎の空間が完成した。
こっちの話も聞こえていないだろうし、何も見ていない筈なのに・・・。なんか危険を感じたのかねぇ?
俺は遠隔操作でナノマシンをメディアに取りつかせ分解し、解析した。気持ちナノマシンが抵抗したような気がするがそれも仕方ないと割り切る。必要な情報は手に入れた。あと奴隷のリストとかあったから助けたらなんか貰えるかもしれんな。
(進路はそのまま、途中に寄る所が出来たからポイントに加えてくれ、あと・・・。スペースワーカーもっといっぱい要るかねぇ?人手が一気に増えることになるし、)
ーー了解。その件については一度ブリッジに戻ってくれ。
(判った。)
「えーっと・・・?」
「あ!あちしはイル!イル・ガナン・トロフォイ・セカンダリュスナート・クレオ・ジャーニーです!」
長・・・。しかも何て呼んでいいのか非常にわかりづらい。
「それなんて呼んだらいいんだ?」
「イル・・・か、ジャーニー・・・かなぁ?皆はイルって呼んでくれるよ?」
「そうか。今度フェアリー種について色々教えてくれよ。」
「おややー?ボスったらあちしを誘ってるー?いいよいいよー?どこまででも言っちゃう!」
まぁ誘っているのは誘っているのだが・・・そうポジティブに来られると若干気後れしてしまう。・・・難儀な性格しているな俺。
「ご主人様ん、改めましてン・・・マリー・バースと申しますン・・・不束者ですがン、よろしくお願いしますン。」
何だろう・・・媚びうるというよりはどっちかと言うと力んでいる様な話し方が特徴と言うか・・・。バッチバチのウィンクとか結構気になる仕草ではあるんだが・・・。
「普通にしてていいんだぞ?」
当のマリーはキョトンとぷっくりリップをキラキラさせたままで俺を見る。
「よく言われるンですけど・・・ン・・・只の癖なンですン。でも確かにちょっと力が入ってしまうのですン。」
ナチュラルな癖だったか。個性的な話だ。つい撫でたくなってしまう。
「ンンンッ。なでなで気持ちいいですン。」
うむ。今なんだろう・・・ゲージ80%って感じだ。やる事をさっさと終わらせなければ。
「二人はエリザベートについて風呂にでも入って来い。部屋で待っていろ。」
「はいっンッ。」「はーい。」
エリザベート達三人は俺にぺこりと頭を下げ去って行った。
ーーーーーーーーーー
マギアラビスブリッジ
ブリッジの中は安穏とした空気に包まれている。
「この時間が退屈だな・・・。」
新庄が言うのも分かる。なんせ目的地まではかなりの距離があるのだ。だがもう直にアンジーのスキルの解析結果が出る。その内容如何によっては、今の亜光速航行よりも優れた航行技術が手に入るのではないかと俺は踏んでいる。現状の航法では目的のコロニーまでは一月は掛かる。何故なら唯一海王星圏で残ったこちら側で作られたコロニーが目的のコロニーであり、そのコロニーの場所が非常に本星から遠いのだ。だが、それ故にあちらの王の魅了スキルが届かないのだろう。惑星権を覆いつくすほどのスキルでなくて良かったと本当にそう思う。奴の・・・あのクソ前世のスキルがいかに強力であったかいま思い知る。
「新庄も訓練してくるか?」
「それもいいんだが、それは予定として組み込まれれているからな。あとから来た海賊娘共に先を越されるわけにもいかん。」
女性陣に押され気味のメンズ達は生き残りをかけて必死らしい。突出した能力のある、ござるやテツはそれぞれ専門の分野がある為そう言う思いとはまた違う事を考えているのだろうが、そう言う能力に乏しい野郎どもは、立ち位置が気になるらしく悩んでいるのだという。
ヘルフレム脱出の際にこちらに合流したスパイ達は、どうも女性陣よりかなり能力が劣っている現実に頭を抱えた男性陣は解決策を求めて訓練には全て参加し力を蓄える事は怠らないようにしているらしい。
しかし、切嗣の仲間達は偶然も有りここに居るが、そろそろ爆発しそうなくらいストレスをため込んでいる。それとは対照的なのがエルフメン達だ。彼らは寿命が長い事も有ってか気長に俺に近づく機会を窺っているらしい。最近あのハイテンションエルフの顔を見ていないな・・・。
「ロペ?そっちの首尾はどうだったんだ?」
ロペは満足そうに使徒を回しこちらを向く。グッドサインがとても誇らしい。
・・・どっから持ってきたよそのロリポップ・・・。
「ばっちし。合流するメンツわぁ・・・ほいっ。このリスト見るヨロシ。」
・・・ではちょっと拝見・・・?・・・・多くね?
「なぁロペ。さっき海賊達は上手く引き込めたんだが・・・。」
「ん・・・。見てたよぉ。ぶびびびーって。」
奥さんデリカシーデリカシー!忘れてますよ!
「もうチョット慎みを持ちなさい。」
「それ銀河きゅんが言うぅー?」
確かに。
「どうも私はあいつの幸運に巻き込まれ無い達らしくってねぇ?あの船にはずっと他から人を引き抜いて集めていたんだょ。」
あな恐ろしや。十数年越しの計画か。ここ迄見越しての事だったとは・・・。
「銀河きゅんちょっと勘違いしているぅ?私は今は管理者じゃ無いから、そんなに先を見通せる訳じゃ無いんだょ?傾向と対策。予防と安全。これをずっとやっていたんだょ?」
・・・素直に感心するわ。俺は絶対無理だわ。途中で結果を見たくなって諦めてしまうのが予想できる。苔の一年岩をも通す。まさしくだな。
「はぁ・・・スゲーな。その信念は俺には中々真似出来ないわ。」
「ん・・・もっと褒めていいょ?具体的にはセッ「部屋に行ってからな。」うふふぅ・・・。」
今日は誰がいるのかなぁ・・・。何て、俺の事をどこまでも見透かす・・・サイコーのナオンだぜ。
ーーーーーーーーーー
四番艦マギア・ベリス
少し時を遡ること数時間
あぁ・・・ついにこの時が来てしまいました・・・。私が何故か館長に就任して初めてのミッションです。何と戦艦たった三隻でニ十隻近い海賊を倒せとのお達しです・・・。絶対無理です。私にはそんな力はありません。ロペ様何故私にこんな試練を・・・。雨宮様出来る事ならずっとラビスで機械弄りをしていたかったです・・・。私も確かにエルフのハーフです、魔力にはそこそこ自信が有ります。でも・・・でも!!
「かーんちょー?何祈ってんのさー?なんか指示があったんだろー?」
「ふーっ、それにしても私たちの死亡通知ってまだ出ないのかしらねぇ?早く新しいネイルを買いに行きたいんだけどなぁ・・・。」
「あー。それマジ分かるぅ。あたしもこの間で立っていうリップ欲しいんだよねー。」
「リップぅ?ちょっとこのリアクターマジ可愛くない?」
「「「????」」」
このギャルギャルしい四人・・・・。なんでこんな問題児の纏め役をやりながらミッションが出来ますかぁ!別に悪い人たちじゃないです。寧ろかなりいい人なんだけど、私にそのギャルファッションを強要するのだけは本当にやめて欲しいです。しかも支給された制服迄勝手に改造されてしまって今私のデリケート損はかなり涼しいことになっています。てか見えるしこの丈の短さ。普通に見えるし!この船には幸い男性がいませんので見られたところで大した事は無いのですが、それでも気になります。と言うか、無断で制服を改造した事を咎められでもしたら言い訳出来ないのです。まさか部下が勝手にやりましたなんて、恥ずかしくて言えません。じゃあ何か?私が好き好んでこんなマイクロミニスカの制服に改造したと?違うんです違うんですごめんなさいごめんなさい私は望んでいた訳では・・・。
あぁ・・・ブロアとレムルが発進してしまいました。私達も急がないと・・・。
「皆さんでは続いて発進を。」
「「「「え?もう?」」」」
え?
おかしいです。先ほどのラビスからの通信はここに居る全員が聞いていたはずです。順次発進です。つまり・・・。
「さぁ!発進ですよ!」
そう声を掛けると、もぞもぞとそれぞれの持ち場に戻り、チェックを始める各々・・・って!
「何今更チェックしているんですか!発進ですよ発進!!」
「「「えっ!?」」」
一人だけ既にチェック済みなのはリアクター可愛いの彼女だけです。彼女が操舵手でよかった。
「じゃぁ発進するよー?」
「早くしなさいっ!!いちいち確認しないっ!」
音も無くドッグを滑り出す我らのマギア・ベリス。
「はぁ・・・腕はいいのよねぇ・・・。」
他の三人はその腕も大した事が無い。何故ここに居るのか?それは簡単な話だ。前線に出たくないというだけの話。まぁ彼女達は本物の犯罪者だからそういう事が一番頭が回るのだろう、ロペ様はそれを知っている筈なのだがあえて彼女達をここに配置した。きっと何か思惑があるに違いない。雨宮様も以前配属会議の時にこの四人はブリッジクルーにするしかないと、邪悪な顔でニコニコしていらっしゃいました。とてもカッコ良かったです。そして彼女達がここに配属されるにあたり、私には減点評価をしなさいと雨宮様からの御指示が有りました。彼女達四人の持ち点は20点十点を下回ると自分から点数を持ち直すことが許され、私か、ロペ様、雨宮様の三人のうちのいずれかからのミッションをクリアすれば一回に付き一ポイント加点されます。しかしです。彼女達はもう既に残り2ポイントなのですが・・・。全く焦る様子も無く今回の指示を聞いていなかったことで本来はもうマイナスをぶっちぎっているのですが、今ここから居なくなられると困るので、マイナス一点で許します。
「チェック項目多すぎない?マジ無理なんだけど・・・。」
「えーっと発進・・?え?どこに行くんだっけ?」
そうこう言っている間に、グングン先行して発進したベリスとレムルに追いついて行きます。ベリスが何だかフラフラしていますね?流石は整備クルーは腕が良いですね。ロペ様の訓練の賜物らしいです。この四人は訓練には参加していなかったらしいのです。ちょっと頭が悪いのです。配属されて始めこそ彼女達の力に圧倒されていた私ですが、今は四人束になっても怪我一つしないでお仕置きできます。そのくらいは厳しい訓練でした。もう二度とあの訓練には参加したくないです。でもしないと降ろされてしまいます。ぐすん。
雨宮様曰く。「艦長は最終兵器であるべき。」との有難いお言葉を頂いたのです。最終兵器足らん自分を磨くため、訓練には頑張って参加します。
到着しました。前線ですよ。もう最前線。って言うか。
「トモモさん前に出過ぎですって!もう目の前にいるじゃないですか!」
ーー四番艦軸がズレてるよ!隊列乱さないで!!
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!あーーーっ。」
何か傾いているんですが!!?しかももう目の前に敵艦が!
「主・・・じゃない副砲!!副砲撃って!!早く!!」
「え?なに?副砲ってどれ?」
こいつはぁ!!!
アイハブコントロール。
もう私がやるしかない。丁度敵艦隊は分断されているようなので、全部を相手にする必要はなさそうです。
「あれ?コントロールを受け付けなくなったんだけど!?」
「アンタのポイントは今ゼロになったのよ!」
「!?」
「そこの無言オペレータ!あんたもよ!」
「あ?何言ってんのアンタ?」
因みにポイントがゼロになると権限がはく奪されるようになっているのです。
つまり彼女は今只の犯罪者。クルーである権限がはく奪された今。じゃまです。
「バインド!!!」
彼女たち二人のシートの下から、鎖が現れシートに張り付けられる、
ナノマシンって本当に便利です。コマンド一つでこんな事まで出来るなんて思いませんでした。
「ちょっと何のつもりよ!オペレーター無しで何が「うるさいです!私一人で最初から全部出来るのですよ!!」え?」
火器管制のシートに座ったリップの彼女は事態の重大さに漸く気が付いたのか、ボロボロと涙を流して死にたくないと呟いています、もう手遅れですが。
ぐぬぬぬっ。
「トモモさん減速!減速ですっ!」
「・・・。」
返事が有りませんね。減点・・・と。
はぁ・・・アイハブコントロール。もう限界ですね。副砲発射。
カッ
「へ?」
副砲の発射ボタンを押した瞬間、急制動が掛かり若干船が揺れる。
シールドの彼女もへたくそです。訓練に参加しない他人の尻拭いなんかごめんです。
でも彼女はシールドの魔力タンク役なの後で減点します。と言うか、この副砲やっぱり威力がおかしいです。紋章兵器とか私が監獄に入る前は存在しませんでした。
なんです?これ?
「ちょっとビックリましたけど、何とかなりましたね。惜しむらくは海賊を捕まえられなかった事でしょうか。」
にしてもこの副砲、結構魔力を使いますね。事前に雨宮様が充填してくださっているので何とかなりましたが、自前で充てんすると半分ぐらい持っていかれてしまいますねこれ。
「ごめんなさい連絡もしないで紋章兵器を使ってい仕舞いました。」と、こんなかんじですかね。
さー。ミッションコンプリートです。帰ってブロアに侵入してこっそり雨宮様の寝所に突入しましょう。その位しないと、ストレスマッハです。馬鹿は今回で一掃できそうですが、この処分がどうしたものやら。
「ミッシュ・アリー。「・・・なによ。」キルク・コントラ「ひっ。」トモモ・ランナー「・・・。」ピタン・ウォリー「チッ。」全員今日で0点です。したがってあなた達には処分が下されます。」
さっさとこうしてしまえばよかったのです。でも雨宮様には雨宮様の考えがあるです。まずは報告をしないとですね。でも・・・。
「貴方たちの処分はまた今度です。雨宮様のご機嫌次第なのです。一生懸命祈るといいです。」
キャプテン・クイーンキャット(エリザベート・アブクラハル) 32歳 人種 元投資ファンド経営者
幼い頃からエリート街道をまっすぐ進み、火星に有る帝都経済大学を首席で卒業、自らファンドを立ち上げ経済界の寵児として一世を風靡した。
子供の頃から猫好きで、自宅には六十匹ほど猫を飼っている。そんな猫好きが高じてか公然の秘密組織『猫耳保存委員会』より声が掛かり、そのメンバーになった。
しかし、メンバーとなって以降、その変質的な猫好きが徐々に表れ始め、ついには委員会を追放されてしまう。その事にショックを受けた彼女は、委員会に復讐するべく、海賊団『超絶雌猫海賊団』を結成、世界中の猫を集めつつ、委員会に復讐を誓った。
彼女は元々趣味の一環として魔法を学んでおり、特に空間魔法を得意としていた。その為、雨宮にケンカを売り返り討ちになった時、仲間を助けるべく無理やりシャトルの中に仲間を詰め込んだ結果、大変な目に遭う事になった。(EP22参照)
趣味は猫のブラッシング、好きな食べ物はツナ缶。
マリー・バース 29歳 猫獣人種 元医師
天王星方面に存在する連合軍医療基地オーナーズに勤めていた元医師。そのぶりっ子のような外見と仕草からは想像もつかないほどの天才医師だったが、女性的な魅力にあふれ過ぎていた為、基地を訪れていた軍の幹部に見初められ、無理やり愛人にされかけたが自らのスキルを使い逆に幹部を通報逮捕させるまで追い詰めた。だがその事に逮捕された幹部の派閥の人間が動き、彼女の行動を連合軍に対する反逆行為と、無理やりこじ付けられた事に寄って、彼女は裁判で逆転敗訴する。更に保釈された幹部から命を狙われる羽目になった為、持てる力の全てを使い基地を脱出海賊に身を落とした。
彼女の語尾にンと力む要素が入るのは幼い頃からの癖であり、特殊な経験をした事に寄るものではない。
趣味はピアノ特技は野球。学生の頃はピッチャーをしていた。得意な球種はスライダー。ツーアウト満塁からが持ち味らしく、満塁になった時点で彼女の失点がゼロになる事は当時の学生野球のファンの間では伝説になっているとか。
イル・ガナン・トロフォイ・セカンダリュスナート・クレオ・ジャーニー 177歳 エルフとフェアリーのハーフ 元建築家
イル・ガナン・トロフォイ迄が名前で、セカンダリュスナート・クレヲ・ジャーニー迄が性。
火星都市の一つ東都出身のエルフィン。実家の建築業を継ぐべく建築を学び、駆け出し建築家として単身冥王星宙域で独立自らの事務所を持つに至るが、その若さゆえのやっかみが非常に多く、敵が多かった。
ある日事務所に出勤すると、四人いた従業員の死体が横たえられていた。警察の調べでは何故か集団自殺と認定され、事件性を指摘するも全く取り合ってもらえなかった。数年がかりで事件性を訴える彼女を疎ましく思った同業者は、彼女を被害者を偽った犯人だとして告訴、警察の時と同じく裁判では何も取り合ってもらえず一方的に敗訴、ヘルフレム監獄に投獄される予定だったが、護送中に超絶雌猫海賊団による襲撃を受け奴隷として扱われていたが、数々の経験から来る復讐心を認められ海賊団の一員として、主に建築関係の人間を襲撃していた。
イオリス・サイコハート 34歳 デーモンとエルフのハーフ 元連合軍大尉
自らの正義に従い軍の力を使い、粛清の日々を過ごしていた所その粛清が不正なものであると軍法会議にかけられ間もなくヘルフレム監獄へと叩きこまれた。彼女の軍人としての活動時間は長くは無いが、事が戦時下で行われていた為、その詳細を確認することが難しく誰もが自らの不正を暴かれることを恐れ、粛清の証拠を集めていた。そしてその証拠が集まった戦争中期頃、彼女はあっさりと自らの私的粛清を認め、自らヘルフレムへと入った。魔力、身体能力、頭脳と三拍子そろったバランスタイプで、何でも出来るのだが周りの人間と強調することを良しとしない性格のせいで、昇進が頭打ちになっていた。生身での戦闘もこなし、雨宮曰く「あの娘はラスボスの素養がある。」との事。
趣味はVRゲーム、好きな食べ物はぬた。またデーモン種に近しい種はアルコールに非常に強く、大酒のみ。学生の頃に一度ロペと出会っているがその頃は遠くから眺める事しかできなかった。
イファリスを筆頭とする雨宮教の信者であり司祭。雨宮の教えを広めるべく聖書を執筆中。
ミッシュ・アリー 人種 27歳 元詐欺師
幼少の頃から様々な男をだましては貢がせる事を繰り返していた。大人になってから体を売るようになり、冥王星本星で荒稼ぎしていた所、偶然売りに行った男が軍警察の後藤だった。後藤も遊ぶつもりで裏道に入ったのだが、流しの情婦は連合国では禁止されている為その場で逮捕、余罪があまりにも多かった為簡易裁判でヘルフレムへと収監されることが決定した。後藤曰く「流しじゃ無かったらコロッと行ってた。」との事。
磨き上げた体は伊達では無く、これまでの人生で数千人の男を喰ってきた『イーター』と呼ばれる流れの情婦で、自らのスキルにより性交した男の身体能力を奪うことが出来、一般人としては類い稀なる力を持っていたが、その力も微々たるものでヘルフレムにおいては全く通用しなかった。
趣味は正常位によるハグ、愛を感じたいのだとか。好きな食べ物はてんぷらそば。
本編出の立ち位置は四番艦メインオペレーター。・
キルク・コントラ 人種 28歳 元違法売春婦
本編のネイルの彼女。
水星宙域でホビットから巨人迄を相手にする違法売春婦集団『FF』の元幹部。
子供の頃から男を篭絡するための技術を叩きこまれて育ってきたが、大人になってから自らに磨きをかける方に多大な労力を使うようになり、組織の活動を疎かにするようになった。その頃から軍警察は彼女に目を光らせていて、彼女が政治家の子供を篭絡しようとしていた所に踏み込まれ、あえなく逮捕。組織からも切り離されヘルフレムに収監された。
彼女自身の戦闘能力は皆無。普通の女子である。只体を使った商売は天才的と言えるものがある為、雨宮は敢えて彼女を保護する為ベリスへと配属した。彼女自体は決して頭の悪い人間では無いが、たまたま同じ監獄で出会った同業者と意気投合し、その人格に引きずられる形で今の彼女が形成された。彼女のスキルは雨宮曰く「他所に渡していい力じゃない。ここで管理しないと大変なことになる。」との事。しかし本人はスキルに目覚めていない為、今のところ普通の犯罪女子である。
好きな食べ物はコーンフレークミルク無し。趣味は指と舌のトレーニング。
本編での立ち位置はシールドコントロール。・
トモモ・ランナー 88歳 ドワーフとエルフのハーフ 元整備士
幼い頃からその情熱を全て機械いじりに注いできたメカマニア。だが、その機械好きか転じて性的に機械を求めるようになってしまった。大人の玩具に始まり、電動自転車、サイネージ、ドリル、あらゆるものに発情し、暴走することもしばしば。
普段の彼女は大人しいが、一度その視界に機械を入れてしまうと鼻血が出るほど興奮し、意識を失うまで発情する事も有る。家族はその異常性に怯え何度も病院に向かわせたが、病院に備え付けられた自動ドアに発情したり、エレベータに乗る度に自慰行為を繰り返す為、家族はさじを投げ、金を積んでヘルフレムに彼女を叩きこんだ。
本編の他の三人とは彼女少し事情が違い、ヘルフレムに収監されて直ぐに脱出する事になった為、監獄では一才生活をしていない。しかし戦艦=機械の塊として認識する彼女は、常に発情中であり、偶然出会ったキルクのトレーニングに無理やり付き合わされることで、情欲を辛うじて一時的に発散することが出来ていた。
キルク曰く「あの娘に付き合っていたらそのうち指が折れそう。」
雨宮は彼女の暴走がスキルに起因するものであると理解しているが、自分で何とか出来るかどうかを試す為、初期配属時点で一番能力の高い艦長の元に彼女を配属した。
趣味はエンジンルームでエンジンを見る事。好きな食べ物はまむしドリンク。
本編での立ち位置は操舵手。
ピタン・ウォリー 33歳 人種とメロウのハーフ
本編で言うリップの彼女。
彼女は本来真面目で組織に忠実な生き方をしているが、OL時代に酷い裏切りに遭いその心を捻じ曲げてしまった。しかしそんな中でも彼女は正気を失っておらず、協調性の強みを生かして、最も楽そうであろう生き方を四番艦で見出した。しかしそんな彼女も戦艦に関しての知識など皆無であり、所謂一般人であったが為軍や火器等の知識も一切ない。その為実践における緊張で、覚えた知識を全て吹き飛ばしてしまい、固まっていた所減点され、処罰されることになってしまった。
しかし彼女は他の三人とは違い、脱出シャトルで雨宮に接触する機会があった為、彼女の意識の大半は雨宮で埋められている。本当は訓練に参加したかったが、他の三人が参加しなかった為ハブられないように参加を断念せざるを得なかった。
趣味はクロスワード、好きな食べ物はBLTサンドとミルクティーのセット。
本編での立ち位置は火器管制官。




