EP25 精鋭部隊とは
今回は場面がポンポン飛びますので、分かり難かったら言ってください。
俺は今感動している。何故だって?そりゃぁ・・・。
「おー!!スッゲ!マジスッゲ!動いてるよ!半端ねぇ!」
俺の目の前には、普通に動くゲルン・ガウスが居るのだ。
奇跡!・・・いや。感動している場合じゃない。
「スキャーーーーン!!!」
ーーーーー
機体名称 オーキ
所属 丸焼き団
パイロット デーブ・トーンヨー
ーーーーー
???
俺の目の前に居るスペースワーカーは間違いなくゲルン・ガウスのはず・・・。
まさか・・・。
俺は美汐のスキル超振動臨界絶叫(ウルトラヴァイブレーションクリティカルシャウト)・・・シャウトでいいか。
超振動臨界絶叫を模倣する為胸いっぱいに空気を吸い込んだ。
「にーーーーせーーーーもーーーーのーーーーかーーーーよーーーーーーぉぉぉぉぉぉぉぉお!!!」
イカン・・・ちょっと力が入り過ぎた。イイ感じに外装が剥げたゲルン・ガウス改めオーキは黒く丸っこいタイプのスペースワーカーだった。
似ても似つかない外見だが、一体何の意味があってあんな事をしていたのか?
ーーてめぇ!!!いきなり何しやがる!!
ん?
目の前にいる三機の内の一機がスピーカーを使い俺に話しかけてきた。
ーー俺の兄弟をどこにやりやがった!
兄弟?
「しらんがな。」
ーーふざけてっとぶっころすぞ!
「いや知らんし。」
俺はすっかり冷めきっていた。
てっきり完全なゲルン・ガウスかと思ったのに全く違う。しかも大したスペックの物でもない、半端なスペースワーカーだった。
残念を通り越して全く興味が失せた。
俺はオーキをスルーして、マシンストリートの方へ向かって歩みを進めた。
ーーおいまて!!!
何か後ろから聞こえるがどうでもいい。海賊何処かなー。
シュゴーーー
ガシャン
ガシャン
ガシャン
あまみやぎんがはむしした!
しかしまわりこまれた!
うぜぇ。
俺はそのまま止まらず目の前に着地したオーキの股下を通って進む。
若干狭そうだったので、片方の脚部を押しのけると、バキッ。と何かが折れる音がした。
ズズーーン
後ろで何かが倒れた音がしたが俺には関係ない。
ーーア・アニキー!!
ーー・・・大丈夫
俺はそのまま歩みを進め交差点に辿り着く。メインストリートから先ほどの冒険者通りと呼ばれている通りと反対側に向かうと、先ほどのゲルン・ガウスもどきが十数機ほど町を破壊している。
「ふぅ・・・。ゴミめ。」
明らかに海賊・・・だと思うので、とりあえず右腕を新庄のスキルを模倣したガンのような形に変え、五百メートルほど先に居る偽物めがけて発射する。
オーラを固め鋭く引き裂く徹甲弾のようなイメージ。
ドゥン!
光が腕から発射され、その尾は空を貫通し何処かへ消えた。
・・・しでかした。
ーーーーーーーーーー
二番艦マギア・ブロア
「きゃぁああああああ!!!」
ゴウンゴウンとシールドに強大なエネルギーがぶつかった事に寄り、ブロアは揺れていた。
「な・・・何事!?」
二番艦マギア・ブロア艦長テニー・マドマックスは、訳有って現在一人で船を動かしていた。モニターに表示される緊急案件の文字に血の気が引く。
「嘘・・・・何よこれ!シールド減衰80%ぉおおお!??外円マジックシールド消失!?次元湾曲シールドエネルギー残量20%!?」
まさに危機。マギアシリーズは既に雨宮の手によって魔改造され、船体全てがウルテニウム合金製の外装で覆われているので、そうそう傷が付く事もない。しかし・・・。
「有り得ない・・・あーっ!私の魔力が・・・!!無くなるぅ!!!」
消失したマジックシールドを補うためナノマシンはシールドコントロールを行うものの魔力を使う。
テニーはまだ未熟であった為、一度の戦闘でマジックシールドを張り直す等と言うことが出来るほどの、魔力を持ち合わせていなかった。
「め・・・めーでぇええええ!!!」
ーー何があったの!!??
「分からないわよ!!何かが飛んできてシールドが!あぁあぁぁ・・すわれるぅ・・・。」
シールド修復の為に魔力ををほぼ吸い尽くされた後で、彼女はポケットに忍ばせていた魔力補充用のタブレットの存在を思い出した。
ザラザラザラ
ゴリッボリッ
五十錠ほど入ったケースを確認もせず流し込みかみ砕く。雨宮特製マナサプリと書かれたケースにはこう書かれている。
ーーーーーー
一錠飲めばいい。
ーーーーーー
しかし彼女の口の中では十数錠の錠剤が噛み砕かれ、飲み干された。
彼女の体では、雨宮から渡された微量のナノマシンが体に入った膨大な量の魔力の処理に困っていた。
そしてナノマシンは一つの選択をする。
「ひっ!なにこれ!!体が光ってる!!!???」
まばゆい光を放つテニーの体。
「あぁ・・・体が・・・消える・・・。」
ナノマシンは雨宮に許可を求めた。規格の外側に行く事を。
ーーーーーーーーーー
「やっちまったなぁ!俺!」
俺はキョロキョロと辺りを見渡しながら、直ちにナノマシンにコロニーに空いた穴を修復させた。
雨宮は視界の端に、ナノマシンからの許可を待つアイコンが点滅している。雨宮は確認もせずにとりあえず許可をする。
今はそれどころではない。
「誰も見ていませんように・・・。」
先程の光弾は、もどきの肩部を掠めただけだったが、その凄まじい勢いによって削り取られ、衝撃で回りの数機を巻き込んで吹っ飛んでいた。
「直に殴った方がよさそうだな・・・。」
これ以上事故を増やしても仕方がない。そう思った雨宮は戦闘機もかくやと言う速度で、未だ破壊時活動を続けているスペースワーカーの群れに突っ込んでいった。
ーーな・・なんだ!?あぁああーー!
ドガシャーン!!
雨宮のスピードを生かしたドロップキック!
「良い角度だ。」
勢いのまま蹴り飛ばしたスペースワーカーは大破し、コックピットは無残にも形を保っていなかった。
ーーマツ―――――!!!
松?
一機だけカラーリングの違うゴミから悲痛な叫び声が響いた。
ーーてめぇよくもマツを!!
やけに和風な名前に聞こえるのは、俺はホームシックにでもなっているのだろうか・・・。
相棒をやられたスペースワーカーは、雨宮に向けて銃を撃つ。
ガガガガガッ
ガガガガガッ
雨宮は避けもせずにその場でじっとしているが、弾が当たった様子はない。
銃はコロニーで使っても良いのか・・・?って俺が言うこっちゃないな。
そもそも相手は海賊、無法者やし。気にした方が負けなんかなぁ?
地面に当たった弾丸がコンクリートや砂埃を巻き上げる中、額と口元を腕で隠しながら雨宮はスペースワーカーのコックピットをこじ開ける。
ベギッバキバキバキ!
「な・・な・・な?」
コックピットにはみっちりとシートに詰まった豚型獣人・・・オークがいた。
「普通の人間サイズのコックピットは小さいだろうに・・・。」
「そうなんだよ・・・入るのも出るのも一苦労・・・っで余計なお世話じゃい!!」
そういきり立って雨宮に掴み掛ろうとするが、みっちりとシートに詰まったオークはなかなか動かず、一頻りもがいた後両手を上げた。
「アンタつえーわ。参った。俺の負けだ。」
?
コックピットを開けると勝ち?・・・か?
いや違うな。
「お前みたいなつえ―奴は初めてだぜ!俺の仲間にならねーか!」
ウインクをしながら俺に手を差し出すオーク。ちょっと気持ち悪い。
「ならねーわ。」
「そ・・そうか?・・・えーと・・・。じゃ・・じゃあ!またな!!」
手を振って雨宮を見送ろうとするオーク。
雨宮はそんなやり取りの間に、コックピットの中を一通り覗いてみたが、特に目を引くようなものは無かった。
「でさ。お前等海賊なの?」
「おうっ!泣く子も黙る『丸焼き団』ってーのは俺達の事よっ!」
達っつっても・・・。
さっき遠距離から撃ったあれのせいで、海賊は半分戦闘不能で、今正に瀬戸際に居る指揮官と思われるブタは必死にこの状況から抜け出すためのチャンスを探っている。
しかし雨宮も悪ノリ好きである。
「海賊ってのもいいねー。でもよ・・・。ウチも居心地がい―んだわ。」
ちょっと聞いてよ・・・と言わん仕草に反応して乗ってしまう海賊。
「おー・・・。言ってみろよ!どんなとこなんだよ!」
雨宮は一瞬顔を反らし、してやったりと言わんばかりに邪悪な笑みを浮かべる。
もちろん海賊には見えないように。
「チャンネーがゴイスーなんだよ・・・。ウチ。」
しまった・・・。通じない言い方をしてしまった・・・。
「ジーマー!?」
通じた!?
豚海賊はちらちらと若干顔を赤くしながらこっちの様子を窺っている。何かを期待している様だが・・・。
「ジーマー。もう何人喰ったかなー。マジウマ。」
「お・・俺も・・・。「でも敵だから関係ないか。」い・・・。」
何か言いたそうにこちらを見ているが、一気に突き放す。
「まぁどうでもいいか。じゃ。」
俺は踵を返してコックピットから飛び降りた。
外は酷い有様だ。辛うじて防衛できているのは、スペ-スワーカーを販売しているメーカショップ、冒険者のいる武器屋など、限定的な場所だけな様だ。
あちこちで爆発が起こったり、海賊と思われるスペースワーカーが破壊活動をしている。
お?あの彼方に見えるのは基地・・・?かな?
都市部を挟んでさらに奥、普通なら望遠鏡がいるほどの距離から、十数機のスペースワーカーが飛び立つのが見える。
「連合軍か・・・?」
俺は基地から飛び出したスペースワーカーらしき影をスキャンする。
ーーーーー
機体名称 ゲルン・マースSL
所属 コロニー防衛隊
パイロット タック・イーソー
ーーーーー
機体名称 ゲルン・マースSL
所属 コロニー防衛隊
パイロット ゼニ・ゲーバー
ーーーーー
とりあえずスキャンしてみたら思わぬ収穫が・・・。まさかのゲルンシリーズ。パイロット?どうでもええ。
「あれ一機欲しいな・・・。」
雨宮はコロニー防衛隊のマシンを目で追い、眺めるのであった。
ーーーーーーーーーー
アトレーティオ4セントラルステージ
商業コロニーであるアトレーティオシリーズのコロニーには、都市の中央部に大きな公園と、ステージが必ず設置される。
このステージは、アイドルやアーティストなどが訪れる際に使用され、ステージの収容人数は、約一万人。
収容と言っても野外である為、座席などは無く、立ち見でのステージが主である。
コロニー各地で混乱と破壊が蔓延る中、コロニー防衛隊メル・リリパは、遅れに遅れたスクランブル発進で、セントラルステージに陣取った海賊を討伐する為に速度を上げていた。
「なんでこんなにスクランブルが遅かったんだろう・・・?きっと結構前からテロは始まっていたはずよね・・・。酷い状況。」
アトレーティオ4の防衛隊の所有するスペースワーカーは、十二機。十一機は先に出撃し宇宙港に向かっている。
しかし、それ以外の所の破壊活動を放置しておくわけにもいかず、指揮官である冥王星方面軍海賊対策部隊長に許可を得ようと進言していたメルは、
スクランブルに間に合わず一人遅れて出撃した。
「あの石頭・・・。コロニーが墜ちたらアイツの責任になる様にある事無い事言いふらしてやる。」
進言したは良いが、結局許可は下りず、宇宙港の防衛のみ行うようにと厳命された。
彼女にとっては自分の住処のあるコロニーだ。愛着も有る。人より正義感も有る為防衛隊に参加しているのだ。
放置する選択など無かった。
「どのみち宇宙港までの道程をまっすぐ行けば敵の反応がある。全部潰していかないと。」
元々彼女は冥王星ダンジョン攻略を目指していた冒険者であったが、同じ冒険者をしていた男性と結婚を期に冒険者を引退、主婦として家庭に入っていた。
しかし夫の浮気が発覚し泥沼の協議の末離婚。一人このコロニー移住者募集の広告を見て応募し、見事当選。五年の間心と体のを癒す為にこの場所でスローライフを送っていた。
「昔取った杵柄・・・なんてね。防衛隊って簡単になれるんだな・・・。そんなに戦力が足りてないのかしら・・・?」
防衛隊の基地から冥星軍へ、援軍を求める通信を送ったのがつい十分ほど前、到着には一時間から二時間は掛かるとの事だった。
もちろんその時間が掛かる理由は、マギアシリーズとの交戦・・・いや、無駄な挑発による返り討ちに有ったせいである。
一気に貴重な戦力である中型戦艦を五隻も失った事で、周回軌道をパトロールしている巡洋艦を呼び戻す羽目になった。
一体何が起こっているのかしら・・・。
居たわ・・・。先手必勝!
防衛隊のマシンは古い。この機体、ゲルン・マースもすでに型落ちして久しい。戦前であったコロニー開放の日、ウィザード社によって寄贈されたものだ。
しかし五年もの月日は、間に戦争があった事も有りとても長かった。アップデートやマイナーチェンジ新型機の台頭。当時最新型として寄贈されたゲルン・マースだったが、ここだけ時が止まっている。
「アターック!」
がガン!!
防衛隊に許された武装は超振動ナイフ一本のみ。折れてしまえはそれまでだ。
しかもこのナイフ、ゲルン・マースの装備ではない。このコロニーに出店しているエクス社より借り受けているものだ。
壊したら弁償しなくてはいけないかもしれない。払えない金額では無いが、只のナイフでは無い。巨大で、そして高価だ。
ロクに仕事もしていない今の自分ではとてもでは無いが払ってしまうと生活できなくなる。
ギィーーーーーーーーーーーン
このナイフが有るからこの機体は戦える。逆に言えばこれしか戦う手段が無い。
エネルギーは潤沢にある。しかしそれだけだ。
「は・・・、刃が通らない・・・。」
現行の最新型とは二世代ほど前の機体であるとはいえ、オーキ、という機体は種別としては、重装甲型に分類される。
一般には殆ど出回らなかったのは、その硬さ故非常に高価だったからだ。月共和国に数機が納入されたのち、メーカーは倒産、既に生産されていた数十機はオークションにかけられたが、硬いだけの機体は既に需要が無く、販売されず差し押さえられ海賊に流れた。
「見た事のない機体・・・。硬すぎる。エンチャントもされていないナイフじゃ、傷一つ付けられない。」
何か攻撃する方法は無いか・・・?そう思いモニターであちこちを見渡していると、建物の屋上に人影が見える。
手で○を作り、こちらの様子を窺っている・・・様な気がする。そんな事しても見えないだろう・・・。
モニターに映し出された彼我の距離は、凡そ三キロメートル普通の人間の目でこちらを見たとしても何をしているのか把握できる距離ではない。だが・・・。
「応援・・・してくれてる・・・?」
ーーーーーーーーーー
「マース!マース!マース!頑張れー!」
はるか遠くに見えるこの街の防衛軍のマシンを見た時俺はまた狂喜乱舞した。
ゲルンシリーズのまともに動く奴とか俺得!
あれ欲しい!絶対欲しい!!どこで売っているんだろうか!?
でも・・・。何故ナイフ一本しか持っていないのだろうか?海賊の武装は潤沢だ。コロニーの中であることを分かっているからか、高出力高威力の武器こそないものの、実剣を振り回してあたりを破壊している。
「あれって何か楽しいのかなぁ・・・?」
暴れている海賊を見ていると、俺の視界の端に海賊の集まる場所が目に留まる。
・・・あれは・・・!ウィザード社!!!
「そこはあかーーーーーん!!」
俺は勢いよく飛び出し、建物の上を跳ね飛びながら一気に駆け抜けた。
「あ・・・。」
ーミスリルソーだけ買って帰りたい・・・。
そんな事をアンジーが言っていたな・・・。
この混乱に乗じてミスリルソーだけもらってくるか・・・?
店の人がいたらお金払えば良いし、居なけりゃ・・・まぁ何とかなるやろ。
ウィザード社の敷地に入ると、一機だけ色の違うオーキがいるが、見た事のないゲルンシリーズと思われる機体に足止めをされているようだった。
「なんか忙しそうだな。今のうちに・・・。」
俺は気配を消し、超高速でウィザード社の中に入る。もちろん玄関の自動ドアはシャッターが下りていたため開かなかったが、そんなこと俺には関係ない。
「秘技壁抜け!!」
某有名アクションゲームのバグ技の如く、ナノマシン化した俺は壁を融合して通り抜けた。
・・・誰も居ない。まぁ避難したのだろう。俺はスッと展示してあるミスリルソーを手に取った。
「確かに・・・。これはいい出来・・・なんじゃないかな?」
俺にそんな評価をする物差しは無い。だがナノマシンでスキャンした結果、ちゃんと動くとの事だったのでそのままミスリルソーを持ち出す。
中央広場に行って見ると、既にナイフを捨て、取っ組み合いが始まっていた。
世代としては同世代の機種である、ゲルン・マースとオーキ。高出力高機動のマースに対してその出力を重量制御に当てたオーキ。
出力に差はほとんど無いが、マースはオーキに殴られるだけでも致命的だ。装甲を犠牲にした高速機動も、取っ組み合いになっている今全く発揮できない。
寧ろその重さで圧し掛かられるだけでも、危険かもしれない。
既にマースのアームからは火花が散り、軋み音が響き渡る。もう限界だろう。
「マーーーーーーース!!!新しい武器よ――――――!!!」
俺はナノマシンに寄って強制的にマースの破損しそうな腕にミスリルソーを取り付けた。
「ええっ!!?なんか飛んできた!!へ?何か妙なプログラムが勝手にインストールされてる!?み・す・り・る・・そー?ミスリルソー!?
そんなの使った事無いよ!!どうすれば・・・。」
折角プログラム迄インストールしたのに何故かまだ取っ組み合いのまま動かない。
「ギュイーンってやっちまえー!!」
その時マースのメインカメラが雨宮を捕えた。
「だ・・・だれ!?なんでこんなに近くにいるの!?レーダーに引っかからないってどういう事!?いやそうじゃなくって!」
ーーそこの人!危ないから逃げてください!!
ヒィーーーーーンーーーィンーーィ
予想をはるかに超えた大音量の退避勧告に雨宮は思わず耳を塞ぐ。美汐のお陰で雨宮の耳はそんな衝撃にも耐えられるのだが、咄嗟に反応してしまうあたりまだ人間なのだろう。酷いハウリングの中、雨宮はふと思う。
気にしてる場合かと。戦えよ・・・。
ーーオラオラ!威勢がよかったのは最初だけかぁ!?ああん⤴?
非常に癇に障るキーキー声が中央広場に響く中、防衛隊員メル・リリパは我に返りミスリルソーを起動させる。
「もーーー!!ままよっ!!」
ギィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!
「うっほ!!スッゲ―音!!!」
切断力を極限まで上げる為、二層の逆回転する刃を重ね合わせたミスリルソーは、物凄いエネルギーを消費し高速回転を始めた。
掴みあった腕の先で唸るミスリルソーに驚き、離れるオーキ。
ーーいきなり武器が現れただと!?貴様何をした!!
(私は何もしていないんだけど・・・。)
「何やってんだ!隙だらけだぞ!そのままぶっさせ!」
(ハッ!そうねっ!これなら倒せるわ!!)
ミスリルソーを装着するついでにナノマシンで先程迄軋んでいた両腕は修復されていた、大きく武器を持った右の腕を振り上げ、マースは切りかかる。
すると、今迄超振動ナイフすら受け付けなかったオーキの装甲は、プリンにナイフを入れるように抵抗なく地面まで切り裂いた。
(なにこれ!!?地面切れてる!?何の抵抗も無かったよ?)
「いけーー!まだほかにもいるぞー!!」
広場に集まっていた海賊は三機、まだ一機倒しただけだ。呆気に取られていたのか海賊達も身動き一つせずミスリルソーにくぎ付けになっていた。
俺が手を加えた訳じゃ無いんだがな・・・。普通に凄い発明だったんだなぁ・・・。
おれもほすぃ・・・使わないと思うけど・・・。
(やれるっ!)
海賊達のオーキは、生身の海賊が持っていたような実弾のアサルトライフルを持ち、撃ちながらマースに襲い掛かるがブースターを噴射して勢いよく飛びあがったマースに上手く狙いを付けられず、
大きく弧を描いて最接近したマースのスピードに翻弄されたまま二機のオーキは縦と横に両断された。
ズズン
ズズーン
「おおーー!!大迫力だったなぁ・・・。」
ーーそこのあなた!宇宙港まで連れていきますから!手に乗って下さい
ん?それはどうかな・・・?今宇宙港に行っても良い事が無さそうなんだが・・・。
それにもう限界なんじゃなかろうか?マース。
「エネルギー持つのか?無理じゃね?」
ーーええっ!?
近くに居る間にナノマシンで詳しく調べると、ライに見せてもらった本来のゲルン・ガウスの設計図に記されていた液体燃料の半分もマースには入らない事が分かった。
そしてあのクソ効率の悪いミスリルソーを使ったせいで、もう恐らく噴射剤を一度使ったら終わりだろう。途中で落下して建物に突っ込む姿が容易に想像できる。
ーーざ・・残量2%・・・?機体を破棄するしか・・・。でも・・あーーーー!!!
!!?
急に叫び出した・・・。情緒不安定か・・・?
ーーあの・・・。私・・・この機体を何としても持って帰らないといけないのですが・・・。
、無茶を言う。車で引き摺るのにも大きすぎるし、何よりそんな道が無い。瓦礫だらけでまともに陸路など使えないからな。
かと言って都合よくヘリなんかも無いし。
「置いて行けばいいんじゃね?」
ーーだめなんですぅ!弁償なんかできないんですぅ!!!ああっ!!
今度は何だよ・・・。
ーーな・・・ナイフが!!!ナイフが無い!
ないふがない・・・・ふ・・・じゃない。
その辺に転がっていたと思ったが・・・あ?
彼女の持ってきたナイフは、彼女の足元に有る。カメラの角度的に見えないか。
「足元に有るぞ。」
彼女はマースの片足を上げ、器用に片足立ちのままで制止する。
ーーとって下さい!!
無茶振りだろ・・・。俺は出来るが普通の人は多分できないだろ・・・?こんな三メートルもあるナイフを動かすとか・・・。
ずーりずーり
ガンガンガンガン
ーーあーー!!!
俺がマースの足元からナイフを動かすと、見事に真っ二つに居れたナイフがそこにあった。
「折れているかぁ。そりゃ全体重掛けりゃ折れるか。
ーーNO------!!!
ぬぅ・・・こ奴直ぐ叫ぶ・・・。
「ええい五月蠅いわ!どのみちここに居ると的になるだけだろうが!死んで借金するか生きて借金するか選べよ!」
あれ?どっちも変わらなくね?生きてるだけましか?
ガシューン
コックピットハッチが開き、グズグズに泣きはらした女が顔を出した。茶髪のショートに銀色の猫耳がキラッと光ってメカメカしい。
どんなコックピットにも耐えられるスレンダーな体形に、小匙一杯ほどの秘かな胸・・・。
「失礼な事を考えているでしょう!?」
この世界の女はエスパーか!?
「ふん。ほっそりとしていて可愛らしいと思っただけさね。」
(エ・・・?ヤダ・・・。私告られてる・・・?)
開いたコックピットの中でもじもじと何やら呟いている様子を雨宮は怪訝な顔で見ているが、その時宇宙港の方から小さな爆発音が響く。
あっちにもいたのか!しゃあないな。行くか。
「じゃあ俺は行くから。」
「え!?ちょっと待って!私を置いて行くの!?」
「残るんだろう?」
雨宮が突き放すとメルはワイヤーを使いコックピットから降りてきた。
「死にたくないです・・・。」
・・・。まぁいいか。
「アンタあの建物の上までジャンプできるか?」
「出来るわけないでしょう!?」
「冒険者って訳じゃ無いのか・・。オーラも使えないみたいだし。どうやって付いてくるの?」
ポカーンと口を開けて俺を見るメルの口の中に、俺は買っておいた飴ちゃんを放り混む。
イチゴミルク飴だ。
「はぐっ・・。むむ・・・イチゴミルク・・・。」
「もうこのマシンは要らないな?」
「動かせませんし・・・。」
「文句言うなよ?」
「え?」
雨宮はすかさずミスリルソーごとマースを分解し、分析したが後継機であるガウスの設計図があったため一瞬で終わった。
「消えた・・・。」
「おんぶとだっことどっちが良い?」
その言葉に衝撃を受けたのか口元に手を当て、あわわと顔を赤くして取り乱した。
「お・・お姫様抱っこで。」
伝説の・・・。俺はだっこと言えばおやじに昔抱えられたあのだっこの事を考えていた。プリンセスだっこだと・・・?
俺は無言で彼女を肩に担いで飛び上がった。
「ぎゃふん!」
ーーーーーーーーーー
宇宙港レンタルドッグ内マギア・ラビス
「イントたんただいま!状況は!?」
イントたんは回転するシートをくるっと反対に向け私と向き合う。
「現在外部からこの隣りのドックへの侵入警報が発令されています。恐らく白兵戦になるかと。」
BBAのせいかな?監視されていたっポイし。とはいえ海賊が何で・・・?
「済まない準備に手間取った。今侵入してきているのは海賊ではない。あれは連合軍だ。」
「しんしんそれマジで?」
「しんしんってなんだ・・・。あぁ。間違いない。もうすぐここのドッグにも侵入してくるだろう。」
「白兵戦用意で全艦緊急通達よろしく。イントたんも着替えてきて。新しいタイプのスーツを銀河きゅんが作ってくれたから。」
「ロペねぇ様はどうするんですか?」
「時間がなさそうだからこのままいくょ着るのは直ぐだし。BBAもここに来るように言ってあるから。眷属だけで何とかなるだろうなって。」
「それなら私も行きます!!わ・・・私だって・・・眷属ですっ。」
新しいスーツ・・・バトルタキシードを着こんだしんしんは自分の定位置に座る。
「俺がここを受け持つから、行ってくると良い。」
イントたん結構現金だねぇ。めちゃくちゃ笑顔で更衣室に走って行ったよ。
「良かったの?折角スキルを試せるって言ってたのに。」
「ふ。俺はイントたん推しだからな!」
あ・・・そういうことですか。
「一ポイントでも多く稼がせてやるのが、ファンの心意気って奴だ。」
「ふーん。」
あ・・・そうだ。
「因みに機銃をここで使うのは無し?」
しんしんは、モニターに機銃のスペックを並べて確認するが・・・。
「無しだな。宇宙港が無くなるかもしれん。この船は雨宮によって魔改造されているんだ。通常兵器だけでもとんでもない威力になっている。
艦の武装を使うの無しだな。使っても・・・そうだな。マジックシールドが限度だな。」
湾曲シールドを使ったら酷いことになりそうだねぇ?
ん。
「じゃあ後お願い。イファリスもその内来るから。」
「了解した。」
ーーーーーーーーーー
ーーこちらアルファチーム目標地点に到着した。まもなく隔壁を解除し突入する。
ーーこちらブラボ―チーム所定の位置に到着合図が有り次第援護する。
ーーこちらデルタチーム敵と遭遇くがっ!
ーーあーあー。こちらデルタチームぅ殲滅完了。これからブラボ―チームの殲滅に向かいますぅ。
ーー何っ!貴様誰だ!!
ーー・・・・・・・・
ーークソッデルタチームとの連絡が途絶えた!至急増援を!うわっ!
ーーアルファチーム!アルファチーム何があった!!クソッ!
ーーーーーーーーーー
レンタルドッグ非常用連絡通路
(アルファチームとデルタチームの交信が途絶えた。今回は楽な任務だったはずなのに・・・くそっ。)
「総員気を抜くな。アルファ、デルタとの通信が途絶えた。直にここにも・・・。」
「正解ですね。」
ガンッ!!!!
「ふぅ・・・まだまだ慣れませんね。このバトルドレスという物に。」
アミィは雨宮より与えられた新型パワースーツ。『バトルドレス一号』を身に纏いブラボ―チームと名乗っていた一団を襲撃に来ていた。
彼女の足・・・ヒールに当たる部分はウルテニウム合金で作られている小型パイルバンカーとなっている。魔力を爆発させ貫く。そんなアイテムがハンズフリーで使用可能だった。
そしてそのヒールは、ブラボ―チーム小隊長の耳を削ぎ落とし、このコロニーで最も頑丈と言われる宇宙港の床を貫通していた。
「ぐぬっ・・・!!き・・・きさま・・・!!」
五人一組のチームで突入してきたはずだったが、既にブラボーチームも半壊し、二人が息絶えていた。
しかし隊員はその事に気付いていないようで五対一。その数の優位だけがチームを奮い立たせていた。
銃を構えアミィを取り囲む。
「たった一人で何が出来る・・・。こっちは五人・・・?」
アミィの両手には、既に頭蓋を砕かれ息絶えた二人の隊員がいた。
隊長と思われる先程耳を落とされた隊員の前に、二つの死体を転がす。
「これが何か?」
「馬鹿な…アモン!スージー!!」
(一人は女性でしたか・・・。ダーリンにプレゼントしても良かったかな・・・?)
「畜生!撃て!撃てえ!!!」
ダガガガガガガガ
ダガガガガガガガ
ダガガガガガガガ
チュインチュインチュインチュインチュイン
チュインチュインチュインチュインチュイン
キュンキュンチュインチュイン
キュンキュンチュインチュイン
「撃ち方止めっ!!・・・・やったか!!?」
(隊長・・・それフラグ・・・。)
白い煙が立ち上り当りの視界が無くなったが、自分達のみを隠す事も忘れた隊員達は、煙が晴れた中に佇む人影を見て唖然とする。
(やっぱりフラグじゃないっすか!!)
「くそーーっ!!」
「もう止めろ・・・。」
「しかしっ!」
「グレネードを使った所で道を塞ぐ事も出来ん。詰み・・・だ。」
隊員たちの目の前には、無傷のアミィが腕を組んで話が纏まるのを待っている。
「投降なさりますか?今ならダーリンに話を通してあげてもかまいませんが・・・。」
(ダーリンて・・・。)
「隊長・・・。」
「やめだやめだ!!勝てる訳ねぇ!命捨ててまで戦うほど、軍にゃ義理がねぇ。降参だ。投降する。」
その言葉に続き、他の二人の隊員も武器を床に置き両手を上にあげました。
ふむ・・・。素直で良いですね。
「では三人共、こちらについてきてください。あとの戦力はどのくらいですか?」
三人は少し相談した後隊長が口を開く。
「俺達はラムダステイツ。特殊揚陸艦アゲイン・・・サラマンダー級の改造艦一隻で、バーバラ・J・イオタ暗殺の為に来た。戦力は白兵チーム十、ワーカーニ十機だ。」
「では後白兵チームは七チームですか。よくその戦力で私達に仕掛けようと思ったものですね。」
「ふむ・・・。女ばかりの輸送船と聞いていたのだがな・・・。ガセ情報を掴まされたみたいだな。」
輸送船ですか・・・。あの時のお礼としては中々うまい話ではありますね。厄介払いでしょうか?
「で・・でさ・・。俺達これからどうなるんだ?捕虜・・・になるのか?」
んー。こういう時ロペさんならパッと色々考えが浮かぶのでしょうが・・・。
「捕虜にする意味が有りませんね。今のところ連合軍と事を構えても意味はないですし。でも。」
「でも?」
「きっとダーリンなら一回話を聞いてみたいと言うでしょうから。それで連れていくだけです。
あとは自分で何とかしてください。腰のナイフは敢えて見逃しましたが・・・ダーリンの前で抜いたら酷い目に遭いますよ・・・?」
(ワザとだったのか・・・。)
「ありがたい。これがあるだけで安心できる。俺達も死にたくないしな。馬鹿な事はしねぇさ。」
「そうだといいですね。」
アミィは自分の持ち場をはなれ、レンタルドッグまで戻った。
ーーーーーーーーーー
アンジーはマギアシリーズの借り受けているレンタルドッグの隔離隔壁の前に来ていた。
ナノマシンを使い隔壁の情報を調べると、間もなく隔壁はハッキングが完了し、開かれるとの事だった。
アンジーは雨宮特製バトルドレス一号のフルフェイスマスクを装着し右手を挙げた
ラビスの甲板や砲塔の陰に隠れた味方も一斉にマスクをかぶる。
ーー全員マスクは装着しましたね?間もなく隔壁が上がります掃射用意。
ーー了解。
ギオボルトウェポンズで女囚用に買い揃えられた揃いのアサルトライフルの銃口は隔壁の根元へ向けられている。
もちろん全員バトルドレスを装着している、
プシューーーーーーーーーーー
ゴウンゴウンゴウンゴウン
拳が通るかどうかと言う位の隙間が空いたところで、隔壁の向こうから夥しい数のグレネードが転がされてくる。
ゴロゴロゴロゴロゴロ
アンジーはスキルを使いそのグレネードが転がる先の空間を裂き、その裂いた空間の出口を隔壁の向こうに設定する。
すると転がるグレネードは全て裂けた空間に吸い込まれ、消えた。
(想定内ですわね。)
ドドドドドドドドドドドドドンッ
今だ開きかけの隔壁の向こうから爆風と背中から爆発を受けたであろう敵の肉片が飛んできた。
ゴウンゴウンゴウンゴウン
ゴウンゴウンゴウンゴウン
完全に開ききった隔壁の向こうは地獄絵図。生きていたのは自ら乗り入れてきた戦艦の陰に隠れていた狙撃兵だけだった。
チュン カン!
チュン カン!
チュン カン!
チュン カン!チュン カン!チュン カン!
(・・・・うっとおしいですわ。)
狙撃兵としては、一発必中、必殺を狙ってのヘッドショット。しかし雨宮特製バトルドレスのヘルメットには全く効果が無かった。
ただ、アンジーは眷属として肉体の強化もされている進化した人類だったので何ともなかったが、他の者がスナイパーライフルに頭を撃たれれば、頭こそ無事であっても首がムチ打ちになっていただろう。
狙撃兵の方も、半ば自棄になって執拗にアンジーの頭を狙い撃っていた。
(なんだよあれ!!命中してるだろ!?)
(悪夢だ・・・。なんで無傷なんだよ・・・。)
(何で出来ているんだ??アレ・・・?)
チュン カン!チュン カン!チュン カン!
チュン カン!チュン カン!チュン カン!
チュン カン!チュン カン!チュン カン!
・・・・(怒)
アンジーはおもむろに右腕を振り上げ左下に向かって袈裟懸けに振り下ろした。
勘のいい狙撃兵の一人が慌てて遠くに離れる。
すると揚陸艦の艦底部分が、まるで砂山に作ったのトンネルのように丸く穴をあけ、腕の描く線の延長線上にいた狙撃兵の首とつま先以外の部分が消えた。
十人程いた狙撃兵の内先程の一人と、もう一人は艦底ごと、更にもう一人は腕一本を残してこの世界から消え去った。
「無駄な事はおやめなさい!雨宮様・・・銀河様の愛に包まれたわたくしは無敵です!」
ラビスの主砲の陰に隠れた一人はこう思う。
(それ言う必要なくね?私だっておんなじだし。)
嫉妬も混じる自己主張だった。
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宇宙港地下連絡通路
地下シェルターと宇宙港をつなぐ連絡通路には、アルファチームと呼ばれているチームが最後の電子ロックを解除するために奮闘していた。
「マグナ、まだ終わらないか・・・?」
「もう少し・・・待ってくれ・・・。」
(今のうちに通信を送っておくか。)
「こちらアルファチーム目標地点に到着した。まもなく隔壁を解除し突入する。」
ーーこちらブラボ―チーム所定の位置に到着合図が有り次第援護する。
ーーこちらデルタチーム敵と遭遇くがっ!
「デルタッ!応答しろ!くそっ!デルタがやられた!解除急げ!」
「やってる!!」
ーーあーあー。こちらデルタチームぅ殲滅完了。これからブラボ―チームの殲滅に向かいますぅ。
「何っ!貴様誰だ!!」
ーー・・・・・・・・
「クソッデルタチームとの連絡が途絶えた!至急増援を!うわっ!」
「させません!!」
どぉーーーーん!!
(あわわわっこんなに破壊力があるなんて思わなかったよぅ!!)
アルファチームの通信をしていた隊員を蹴り飛ばしたイントは、自ら作った汚いトマトアートを見て冷や汗をかいた。
口を開けてポカーンと壁の絵になった隊員の姿と自分の胸程までしか身長のない、全身を強化スーツの様なものに包まれた小柄な敵とをキョロキョロと見返して目をこする。
「た・・・たいちょーーーー!!」
「おっ開いたよーし!皆行くぞ・・?」
「駄目ですって!!」
そう言いながら隔壁の通用口のロックを解除した隊員の頭を掴み引き倒したつもりだった。
ベリッ
あまりのスピードに引き倒すどころか掴んだ髪ごと頭皮がもげる。
「あ・・あれ?いやぁ!汚い!!」
(ひでぇ・・・。)
べちゃっと血まみれの頭皮を投げるイント。
(ああーん!折角!折角新しい雨宮さんからのプレゼントなのに!!汚ーい・・・。)
「ハッ・・・汚いじゃねぇ!!何もんだ!!」
頭皮を剥がれた隊員は死んではいないが気を失っている様だ。残りの三人が正気を取り戻し、イントに銃口を向けた瞬間。
バンバンバン
「ぐあっ!」「つっっ!!」「いやっ!」
ガシャガシャガシャ
三人の銃は宙を舞いイントの足元に落ちた。
ガンガンガン!!
イントは落ちた銃を踏み、砕いた。前述のパイルバンカーである。
「!!な・・・なに・・?」
(叩いたら死んじゃうかもだし・・・こっちの方がいいかも・・・。)
「投降してください。一応・・・その・・・殺すつもりはありません・・・・でした。」
「「「嘘つけぇ!!」」」
雨宮に買ってもらったハンドガンの銃口を三人に向け投降を促すが、既に三人は死期を悟ったような顔になっていた。
「俺死ぬんだ・・・。」
「アタシ死にたくないワ!!」
「うるせぇ黙ってろ!!どうせ死ぬんだ!!」
「殺すつもりはないって言ってるでしょっ!!」
パン!
「「「サーセン。」」」
「・・・ふん!それでどうするんですか!?とうこ「「「投降します!!!」」」う・・・しますか。そうですか・・・。」
イントは三人を連れてラビスに戻ることにした。
チューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチュー
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チューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチュー
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イント達四人が立ち去った後、地下連絡通路には数えきれないほどのネズミが集まっていた。
「いてっ・・・な・・・うわぁああああああ!!!!」
チューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチューチュー
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ーーーーーーーーーー
宇宙港レンタルドッグ正面ゲート
(この裏に居るねぇ。サッと終わらせてシャワー浴びて待ってよーっと。)
ロペは正面ゲートを開き外に出るとすぐにロックを掛けた。
「こちらデルタチーム敵と遭遇くがっ!」
「報連相大事だよねぇ。」
銃を構えた四人デルタチーム四人だったが・・・。
「すぱっとぉ。」
ロペのバトルドレスに仕込まれたロングソードの様な刃に両断され、足元に踏みつけられた一人以外は真っ二つになった。
「銀河きゅんのデータは世界一ぃ。」
そして隊長と思われる隊員の頭をぐりぐり踏みつけながら通信機を手に取る。
「あーあー。こちらデルタチームぅ?殲滅完了。これからブラボ―チームの殲滅に向かいますぅ。」
行かないけど。
ーー何っ!貴様誰だ!!
ポイっと通信機を放り投げ、今まで踏んでいた隊長と思われる敵兵の頭を掴み、引き摺ってラビスに帰るのだった。
「いててててて!!!歩く!歩くから!!逆らわないからぁ!!!」
「敵はみんなそう言う。」
慈悲も無く。
ーーーーーーーーーーー
ライプリー・レシュは一人、コックピットの中で自分の体を抱いていた。
「ああーーーんボスのプレゼントぉ!!これがあればお役に立てますぅ!!!」
ーーゴホン。レシュさん。出撃準備は・・・どうだろうか。
ビクッと体が跳ね上がる。通信がつながっているとは思わなかったのだ。
「だ・・・大丈夫です・・・。」
ーーでは出撃を。その・・・テラ娘?はまともに使えるのか?
「問題ありません。海賊の使っているワーカーとは比較にならないレベルのものですし。」
ーー・・・そうか。順次Aタイプのマシンも出撃させる。
(一人でもなんとかなりそうなんだけど・・・。)
「了解しました。出撃します。」
ーー了解。外にいるメンバーは直ちに船の中に戻れ!外部隔壁を開くぞ!
コツコツコツ
とてもマシンとは思えない足音ですね・・・。
しかもこの腰の高さ・・・羨ましい・・・。
「さぁ行きますよテラ娘!」
ーーはいっ!
・・・へっ?
ライはキョロキョロと周りを見渡すがコックピットの中にはもちろん自分しかいない。
通信も繋がってはいない・・・ハズだ。
ライは少し考えた。
そう言えば、テラ娘が人を追いかける様な目線を送っているという噂が有りましたね・・・?
おかしいですね?OSを入れたのはつい先日の事なのですが・・・?
ナノマシンが何か悪戯を・・・?いえしかしそれは・・・。
ーーらいちゃん?どうしたんですか?
「!!??」
な・・・名前を呼ばれた・・・?そうか!OS!
ライはコンソールを開きタッチパネルから様々な情報を確認していく。
ーーらいちゃんのえっち!
!?
「ちょっと!!聞き捨てならないわね!あなたが有り得ない動きをしているから!管理責任者として調べなきゃいけないくなったんでしょうが!!」
ーーえー・・?
・・・え?個体名称がテラ娘から変わってる・・・。しかもマスクデータになってるし。
ピュリア・ナッシュ・・・?ピュリア・ナッシュ!?
歴史の教科書で見た事がある・・・。あれは・・・教会王国の聖女の名前と一緒・・・。同姓同名の別人・・・?よね?
いやでもボスだし・・・ナノマシンだし・・・・。
「・・・後にしましょう。先に敵艦を落としますよ!」
ーーらじゃー!!
ゴウンゴウンゴウンゴウン
「出撃します!」
一瞬で変わる景色に脳が追い付かない。
ーーだーーっしゅ!!
はや・・・はやい!!
あっという間に敵艦隊のど真ん中に辿り着いてしまった・・・。
ーーで・・・どうしよっか?
「何も考えてないのに敵地のど真ん中に留まるとかおかしいでしょっ!!」
あーもう。コントロール受け付けないし・・・。
ーーらいちゃんやーん。それぐりぐりされると体勝手に動いちゃうよー。
「当たり前でしょう!そういうモノですっ!!」
ーー宇宙でも平気って不思議な感じ―。
(怒)
「戦闘中なの!!全部墜とすのよ!!」
ーーわわっ!がんばります!
テラ娘・・・改めピュリア・ナッシュは背中にしょったランドセル型ブースタ―を器用に使い、敵艦隊の間を潜り抜け・・・
突破した。
「あほか―――――!!!逃げないで戦いなさ――――い!!!」
ーーだだだだって!!武器が無いよ!!
「そんな筈は・・・。」
固定武装のレーザーソードとハンドキャノンは・・・?え・・?ない!?
「ちょっと!レーザーソードとハンドキャノンどこに置いてきたのよ!!ハンドガンも無いし!!」
ーー重かったから・・・。
「あほか!取りに帰っている場合じゃないし・・・・。・・・・?あ・・・。」
あった。一つだけ武装があった!!
ーーライさん!お待たせっ!レイブ隊来たよー!
良かった・・・。本当に良かった・・・。
「ありがとう・・・。全くこの子が武器を置いてくるから・・・・。」
ーーえ?何?どういう状況?
「後で説明します。作戦を説明しますね。」
既に十四隻の敵艦隊は先に出撃した二・三・四番艦によって分断されているようね。
とすると、私達が相手をするのは七隻だけで良さそうね。
ーーどーするのー?
「貴方は黙ってなさい!後でボスに叱ってもらいますから!」
ーーえーーーーー!!なんでーーー!!
ーーライさん?なんかテラ娘喋ってない?
「ええ喋っていますとも。理由は不明ですが!」
ーーえぇ・・・?おにーちゃんまた怒らないかなぁ?
ーーわたし・・・しぬの・・・?
「あるいはそうかもしれません。けど誠心誠意頭を下げて、許しを請えばボスはそう簡単に切り捨てたりしません。」
ーーうぅうぅ。がんばる・・・。
「貴方。マジックサーキットの導通は出来るのかしら?」
ーーこのおっぱいの上の絵?みたいなの?
「戦場でおっぱいとか言わないの!!それです。魔法を使う感じで。」
ーーあ。・・・なんかわかるかも。
「それなら大丈夫でしょう。アメリアさん達は敵艦をなるべく一か所に集めてください。
一撃で殲滅します。」
ーーおっ。新兵器お披露目だね。らじゃ。
汎用型、強襲型のレイブ各二機の四機編成の小隊はあっという間にそれぞれ散開し、体当たりしたり、ブースターを破壊しながら敵艦を一か所に集めていく。
「海賊のワーカーがいないわね。楽でいいか。行くわよテラ娘!じゃないピュリア!」
ーーらじゃりま!
地味にイラっと来るのは私も年なのかしら・・・。
ピュリアはコロニーに背を向け、集まりつつある艦隊に向けて胸の紋章を向ける。
両手の手の甲と額。巨大なマジックサーキットが一つのプログラムを現実の世界に顕現させる。
ーーライさん!こんな感じでオッケー?
「大丈夫よ!急いで退避を!」
ーーらじゃ!
「ピュリア!今よ!」
ーーむぅうううううううう!!!
「チェストバスター発射!」
ーーチェエエエエエエエエエエエエエエストオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
カッ
光が・・・。
ーーあのー・・・らいさん?あれなに・・・?
「ボスに聞いてください。分かりません。」
チャージした膨大な魔力が臨界に達した瞬間。ピュリアの胸の紋章から光が放たれ、光が収まった後には何も残っていなかった。
影も形も・・・。
ーーやったよ!
「そうですね・・・。あれは当分封印ですね・・・。」
ーーえー。
「先行した味方艦の援護に向かいましょう。」
ーーその娘どうするの?素手で戦う?
「それでいいかと。手の甲に紋章が有りますから。拳で殴るだけでも十分でしょう。」
ーーなる。じゃいこっか。
あぁ・・・。ボス・・・私は不安です・・・。この娘をこれからどう教育していけばいいのか・・・。大人なのか子供なのかもわからない。
本物のピュリア・ナッシュなのだとしたら、またボスの嫌いな面倒ごとが増えそうな予感が消えません。
・・・はぁ・・・。
ーーらいちゃんがんばっ!
「貴方のせいでしょうが!!!」
ーーーーーーーーーー
三番艦マギア・レムルは説明を求める
「え?先行して出撃ですか?」
ーーそうだ。二番艦と四番艦も含めて三隻も有れば十分なはずだ。
二番艦は経験のほぼ無い奴が艦長をしている。フォローしてやってくれ。
「りょ。じゃない。了解です。」
ーー後発として雨宮の造った新型マシンを向かわせる事になった。そこで終わるはずだ。
もしそれまでに終らせられる様なことがあれば、評価にもつながるだろう。
(それはいい話。何時までもモブじゃいられない。)
「敵の人員についての処遇はどうしましょうか?」
ーー特に何も雨宮には聞いていない。女以外は皆殺しで良いだろう。
(それもどうかと思います。)
「了解しました。直ちに出撃します。」
ーー任せる。
「・・・・・。はぁ・・・あの黒幕感・・・。新庄さんのプレッシャー半端ないわー。」
オペレーター席から椅子を反転させて狐尻尾の可愛い御霊ちゃんが話しかけてきた。
「任されちゃったけど・・・この艦にも私たちを含めて操船経験者って殆どいないでしょ?どうするの?」
私マギアシリーズ三番艦マギア・レムル艦長リトリナ・アイマールとオペレーターの御霊・バトルフィールドは元天星軍の士官だった。
その他にも数人従軍経験者は居る。でも、軍医だったり、パイロットだったりで、ここのブリッジには私たちを除けば、ロペさんの作った操作マニュアルを片手に持つ新人しかいなかった。
「いざとなったら私一人でもなんとかなるっしょ。」
ホントはソロコントロールシステム何か使いたくないけど・・・。まぁ何とかなるでしょ。でも・・・。
「主砲は使用禁止だからねー!ロックかけといて。」
「りょうかいっ。」
返事は良いんだけどねぇ・・・。まだまだ反応速度も練度も足りないなぁ。
・
・
・
・
「ブロア!遅れてるよ!!」
ーーすすす・・・すみませぇーーーん!!
おかしい。
ブロアは操船学を学んだ経験者が多かったはず・・・。確かに若い子ばっかりだけど、それでもあの遅さは・・・。
あの艦長ちゃんもほぼ未経験だっていう話だし、提督は何を基準に艦長を選んだんだろうか?
「艦長・・・間もなく敵艦が当艦副砲の射的圏内に入ります。如何しましょうか・・・?」
四番艦もなんかフラフラしているみたいだし、大丈夫かなぁ・・・?
「四番艦軸がズレてるよ!隊列乱さないで!!」
ーーごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!あーーーっ。
・・・えぇ?
何か傾いてない?
「か・・・艦長?ベリスが・・・。」
「わかってる・・・。もうほっとこう・・・タイムアップだ。全艦戦闘態勢。奇襲を掛ける!」
カッ
ッッッゴオオオオオオオオオオン
「なんだっ!!」
「コロニー内から超高エネルギー反応!!ブロアに直撃しました!!」
「なんだってーーーー!!!?」
ちょ!ヤバくない?何が飛んできたの・・・?
「何が飛んできた!!」
「分かりません!魔力弾・・・だと思われます。」
はぁ・・・・?コロニーの内部から貫通してきたのにこの威力って・・・。
あれ?おかしいな。心当たりがありますよ?
「フレンドリーファイヤ!取り乱すな!!このまま作戦を続行する!敵艦隊を分断するぞ!!」
「艦長フレンドリーファイヤって・・・。まさか。」
「こんなこと出来るの提督しかいないっしょ―!」
ブリッジ内で皆が納得する。多分何か別のモノを狙ったんだろうけど威力が有り過ぎて偶々ブロアに当たったんだろうなぁ。運の悪い娘・・・。
「か・・・艦長!!」
「今度は何!?」
「ブロアが!!」
「ハッキリ言いなさい!!」
「光に包まれて・・・。」
えぇ・・・?何アレ・・・?あんな不思議現象見た事無いんですけど・・・。
「なんで光ってんの?エネルギー反応は?」
「提督の生命エネルギーに酷似しています。」
あぁ。だったら提督が許可した事なんだろう。もう・・・心臓がバクバク言ってるよ・・・。
「だったらいいや。副砲外すなよ!」
「後発組、コロニーから発進しました。」
よかったよかった。これでもう・・・。
カッ
「今度は何だぁ――――!!」
「分断した敵艦隊の方から超高エネルギー反応!」
またかよ!!!
「て・・・敵艦七隻消滅・・・しました。」
消滅・・・?え・・・?
「なんで?」
もう訳が分からないです。提督!説明を求めますぅ――――!!
カッ
「またかーーーー!!」
今度は何だ!!
「よ・・・四番艦から主砲が発射されました・・・。」
「嘘・・・命令違反・・・?」
「あ・・・違います。副砲です。」
「「「「「「「「「「「え・・?」」」」」」」」」」」
私は手元のコンソールをポチポチ触り、副砲に関する記述を再度目を通した。
・・・?
「何かの間違いじゃ・・・。」
「いえ・・・あの・・・ベリスの副砲は他の艦とは違うようで・・・。」
「ベリスから回答きました。「ごめんなさい連絡もしないで紋章兵器を使ってい仕舞いました。」との事です。」
も・・・紋章兵器だと・・・?何それ・・・?私知らないんだけど・・・?
「新兵器でしょうか・・・?」
「あ・・・。ごめん・・・私の手元に他の艦の仕様書あったわ・・・。」
「「「「「「「「「「艦長!!!」」」」」」」」」」
こんなのあるなんて今知ったし・・・。提督・・・私艦長やっていく自信無くしそうです・・・。
結局活躍出来なかったリトリナ・アイマールのあしたはどっちだ!
ピュリア・ナッシュ 18歳 人種? 元教会王国聖女?
旧世紀に存在した教会王国の統率者聖女として崇められていた人物と同じ名前の人物。紋章兵器を使用可能な事から、ある程度の魔力を扱う事は可能らしい。
リトリナ・アイマール 超人種 元天星軍三番艦マギア・レムル艦長
元天王星方面軍巡行監視艦隊所属の高級士官だったが、戦時中のイザコザに巻き込まれ、味方を射殺した戦争犯罪者としてヘルフレムへと収監される。
実際は痴情の縺れによる痴話喧嘩から発展した事故であるが、それを認めようとしなかった部下のせいでたまたま近くに居たリトリナが犯人にされた。
冥王星の名門冥王星防衛大学から卒業後、そのまま従軍し天王星方面軍に配属、順調に出世をしていたが、たまに抜けている所が有るとは本人も自覚している様だ。
ヘルフレム脱出後は雨宮にカリスマを見出し、提督と呼んで慕うようになったが未だに活躍の場が与えられない事に不満を持っていた。
経験を活かせると艦長に就任するも、なかなか活躍が出来ない自分に腹を立てて大声を出す場面もしばしばみられるとの事。
当人の戦闘能力は低くは無いが高くもない。ダンジョンに潜って戦うことは出来る。といったレベル。
趣味は編み物と羽釜でご飯を炊く事。
御霊・バトルフィールド 狐獣人種 元天星軍三番艦マギア・レムルメインオペレーター
元天王星方面軍巡行監視艦隊所属リトリナ・アイマールの部下だったが、リトリナの冤罪を暴くべく調べを進めていた所、軍の暗部に触れ目を覚ますとヘルフレムの中に居た。
二人が再び出会ったのは、ヘルフレムを脱出した後の事で、御霊は雨宮に「尻尾をがもふもふでかわいい。」と言われたことで、一目惚れ雨宮について行こうと決心した。
彼女は自身のスキルによって何時でも脱走が出来る人物であったが、外に出た所で個人の力で変えられないモノは変えられないと、半ばあきらめていた。
しかし、雨宮の方針演説の際、他の皆と共に雨宮に突撃、三番艦専属オペレーターとして配属を許された。
趣味は尻尾の毛づくろいとVRゲームスペースアーク2。キャラクターネームは「妖狐」




