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EP24 雨宮銀河はブタの生姜焼きが食べたい

最近の飴ちゃんって美味しいですねぇ。

EP24 雨宮銀河はブタの生姜焼きが食べたい


 コロニーの中は一定の季節に設定されているのではなく、四季が順にやってくるようになっているらしい。日本に居る感覚が若干あって悪くないな。


 俺達はアトレーティオ4に到着した。


 「雨宮。軍人たちはどうする?」


 「このまま降ろしても問題になりそうだな・・・。」


 もう目的地についているのだが・・・。一度話を聞いてみるか。


俺が彼らの処遇をどうしようか考えていると、ジェニがブリッジに入って来た。


 「銀。話が付いたからあいつ等はうちで送って行こうと思うんだけど?」


 え?早い話だな?


 「どうするつもりなんだ?このまま放置すると、俺の手配書が回りそうなんだが・・・?」


 「問題ないよ。私が話を付けておいたから。ちゃんと話が分かる奴だったからこっちからどうこうする事は無いさ。」


 一体何を言ったのかは分からないが、ジェニも伝説になる位の元軍人だしな。

何かあるのだろう。


 「ふむ・・・。ならいいか。ジェニに任せておけば問題ないだろ。」


 「ふふふ。内助の功なんてね。会社もフォルネウスに任せたし、これからは私もついて行くからね。」


 ・・・?えっ?


 「んん?なんで?」


 俺は不用意な発言をしただろうか・・・。

ジェニはカツカツカツとヒールを鳴らし俺の間の前までやってきて、俺を見上げる。

その距離やゼロ。ジェニの胸が俺に当たっている。

そのジェニはと言うと、真一文字に口を引き結び、今にも噛みつかんとする勢いで・・・。


 「お・・おぅなんか悪かった・・・。」


 うっすらと涙が見尻に浮かんでいる。


 「むぅうううう。」


 ???


 「むううううううう!!」


 (銀河きゅん・・・ジェニちゃんからプロポーズされたっしょ・・・?)


 あっ。


 (あれってそうだったのか!?冗談かと思ってた・・・。)


 (銀河きゅん酷い。)


 俺はバツが悪くなり、何か声を掛けたくなったが特に何も思いつかない。


 あー・・・うえ・・・?

思っていた以上に何もできない。困った・・・。

今迄普通に接していたというか、意識していないところからの攻撃。

気持ちが無かったわけでも無く、憎からず思っていた相手でもある。

だが、違うのだと思っていた。勝手な思い込みだ。

だが・・・何故だろう。

今まで様々な人たちに出会ってきた。皆が一様に好意を持って接してくれている訳では無い。

だが、好意を持ってくれている人たちも多い、そう思う。

何故だろう。その理由が見つからなかった。ロペにせよ他の者たちにせよ、何故行為を抱いてくれたのか?好きになったのか。そういう態度をとった事も有った。だがそれも外面の話だ。それ以外の事が無ければ・・・。


 ハッ・・・!?


 「むぅうぅぅぅううう!!」


 イカンっ完全にトリップしていた!

俺は反射的にジェニの肩を抱き、背を優しくたたいた。


 「んっ!!?」


 自然と俺の胸にジェニの顔が俺の胸板に当たる。

こういう時は無粋なものだが、ナノマシンのせいでジェニの顔の温度が上がっていくのが分かる。


 「悪い。そう言うのは良く分からなくてな。」


 ジェニの手が俺の背に回り、力がこもる。


 「ずっとスルーされているのかと思ってた。」


 今思い返せば、最初にあった時から、そういう感じは・・・あったなぁ。


 「今日の買い物は私もついてく。いっぱい買わせるから。」


 おっと・・・。余計なイベントを招いてしまったな・・・。


 「銀ちゃんひゅーひゅーなのー。」


 「雨宮・・・最近イントさんが放置気味じゃ「そそそそんな事無いですから!」」


 暫く顔を埋めていたジェニが離れ、俺の腕にしがみ付いてきた。


 「さぁ降りるよ!あんた達も支度しな!」


 「はーい!」「はいっ!」「ふぅ・・・何とか収まったねぇ。」「承知いたしました。」


 あ、そうだ。


 「センリ。お前も来てくれ。」


 「は・はいっ。直ぐ準備します!」


 女性陣はそれぞれ慌ただしく自室に戻り、俺達が港に出る頃に合わせて合流した。


 

 「今日の目的地の一つはギオボルトウェポンズだ武器を買いに行くぞ。」


 「え・・・。」


 「おー、銀ちゃん丸腰だもんねー。」


 「銀河きゅん武器いる・・・?」


 要る要らないはともかくとして、見に行って見たいとは思っていたのだ。


 「おっとごめんよ!!」


 「はわっ。」


 通りすがりの男にぶつかられ、エリーがよろける。

こけたりしないのは単に身体能力の賜物だな。


 「・・・・。」


 エリーは先ほどの男の方をじっと見つめている。


 「どうしたエリー?」


 「銀ちゃんアイツは手配書で見たことがあるの。」


 !?


 「マジか。海賊・・・?」


 「ううん。違うの。アイツは確かテロリストなの。きっと何かするつもりなの。」


 エリーの記憶力は半端じゃないのだという事をロペが教えてくれた。

手配書の回っている犯罪者の全てを記憶しているのだという。そして今エリーにぶつかり、エリーに発信機を付けていったあの男も、そう言う犯罪者なのだという。


 「エリー。背中のそれ、外して俺にくれ。分析する。」


 「とどかないのー。」


 すると、俺の後ろを歩いていたエストがスッと手を伸ばし、光学迷彩で視覚的に見えずらくなっている発信機を外した。


 「銀河。これの事だね?これをどうするんだい?」


 俺はエストから発信機を受け取り、発信機をスキャン、そしてコピーする。

手の中にもう一つ全く同じものが現れたことにエストは驚き、腑に落ちないようだった。


 「片方は分解する。一個で良いからな。分解したのは今後自分で作れたらいいなって事だけだが。」


 もう片方は・・・。偶然通りかかったパトカーに張り付けた。


 「これで何か面白いことになるかもな。ロペ、情報は送った。端末で探知できるか?」


 「ん。ばっちり。しっかりアップデートも出来てる。」


 コピーした新しい発信機は、周囲の状況をナノマシンに自動送信される。

俺は自分自身で、ロペは端末で確認することが出来る。


 「さぁ。行くか!」」


 ギオボルトウェポンズは、宇宙港から徒歩五分ほどの場所に有る冒険者通りと呼ばれる通りの一番端、通りに入って一番最初の所に有る。この通りに客を引き込む一番槍の役目も果たしている人気店舗だ。

多くの冒険者たちが行き交う出入口が見える。


 「賑わってるな・・・。」


 ジェニがセンリを呼び、今まで少し離れていたセンリが近くまでやってきた。

因みに、今俺は何故かジェニとロペに超腕をしっかり抱かれているのと、周囲を取り囲む女たちの為に、周囲の冒険者達から注目を一身に集める状態になっている。

男性冒険者からのヘイトが俺に集中している。


 「視線が痛いんだが・・・。」


 「銀ちゃんはそのままなのよー。」


 なんでやねーん。


 「銀。今日はずっとこのままな。」


 ぐっ・・・この悪戯っぽいジェニの笑顔が、ロペとはまた違って・・・じゃない。


 「勘弁してくれよ・・・。」


 「「だーめっ!!」」


 何故か避けていく冒険者たちをしり目に、俺達は店内に入る。


ーーーーーーーーーー


 「「ようこそ!ギオボルトウェポンズへ!」」


 自動ドアの両脇に案内嬢が二人で立ち、来店者を礼で出迎える。

そして頭を上げたその視線の先にいる、俺達を見た時、一人の女性に視線が止まる。

 

 「「センリお嬢様!!」」


 !?


 大きな声でセンリの名前を呼ぶ案内嬢達、声がハモってステレオに聞こえる。


 「知り合いか?」


 と言うか、実家っちゃ実家何だな。とはいえ一般の従業員にも覚えられているとは・・・。


 「別人です。知りません。」


 センリの顔から表情が消えている。


 ・・・。これは何かあったな・・・。


 俺達は各々気になる武具の元へ散り、俺の周りにはロペ、ジェニ、センリだけが残った。

双子と思われる案内嬢は、センリから拒絶され困惑している。


 (ロペ何か知っているか?)


 (うーん・・・詳しくは分からないけど、訓練の後に実家に帰った後は酷い状態だったねぇ?)


 (連れてきたのは失敗だったな。)


 俺はロペにアイコンタクトをし、センリと代らせる。


 「あ・・・あの・・・?」


 「最近安定してきたじゃないか。今・・・楽しいか?」


 「えっと・・・はい。」


 「悪かったな。気付かなくて。」


 センリが俺に絡めた腕に力が入る。


 「複雑・・です。前に帰省した時は酷く嫌な思いをしましたから・・・。

もう帰らないとも思っていました。」


 「ふーん。なんか嫌なことがあったんだね。外に出てるかい?」


 「ん・・・。いや。このままでいよう。誰かこっちに近づいてくる。」


 この世界は順調にナノマシンに満たされていっているのかもしれない。

俺が行くところ行くところに、既にナノマシンに寄ってスキャン済みのアイコンが俺の視界の端に一瞬チラッと移る。

近づいてくるのは・・・。センリの父親と姉か。

人ごみに紛れて離れるのもいいんだが・・・。


 「センリ、俺達もいる。フォローはするから、好きなようにやれ。何なら張り倒してやってもいいんじゃないか?お前は俺に付いてくるんだろう?あの時の言葉は俺にはそう聞こえたが。」


 「・・・!はい・・・っ!」


 そして接敵する。


 「貴様!うちの娘!へぶっ!「雨宮さんに触るな!!!」」


 うっわ!ガチ殴り・・・っ!


 「センリ!?ありゃやり過ぎじゃないかい?」


 ジェニも目を剥いて驚いている。それもそのはずだ。間違いなく顎に入った。

俺の頭の中ではさっきのナイスパンチがスローで再生されている。頭部が動かないまま顎だけが完全にズレるあれだ。


 「綺麗に入ったな・・・。一発KOだろアレ・・・。」


 センリは眷属ではない。無いんだが・・・。ロペの訓練がどういったモノだったのかは分からないが、

人格が新しくなる位は激しいものだったのだろう。そしてその訓練は確実に実を結んでいた。

センリもホムラ程ではないにせよ、大分細い娘だ。あの体のどこからそんな力が出るのか分からない。

だが感覚的に、彼女がオーラを纏っているのが分かる。拳の周りにブルーの炎が渦を巻いている。


 ・・・・それは一般人に向けて良いものではない気がする・・・。


 俺の肩を掴んで振り向かせようとした彼女の父親は、人ゴミを巻き込んで販売カウンターをバラバラにした後、父親は壁に突き刺さった。

途中のワゴンやショーウィンドウに飾られていた数々の武器や防具が、宙に舞う。


 「セ・・・セン・・・リ?」


 そんな父親を目で追い、センリと壁に突き刺さった父親を見比べるのは、センリの姉だ。

センリと同じ薄い赤系の髪にふわふわのファーを肩から掛けている女性は、額から冷や汗をかきながら、どうしていいものかと戸惑いを隠せない。


 「久しぶり・・・姉さん。」


 「センリ・・?なのよね?ホントにセンリよね?」


 ロペからはセンリは元々お嬢様だったと聞いているが、姉のイメージもそういうモノだったのだろう。

オーラを操り、父親を殴り飛ばすなんて言うイメージは全く無い様だった。


 「ここで話をする・・・か?」


 流石にちょっと注目され過ぎだろ・・・。何かパトカーとか来そうだし。


 「そうね・・・貴方が何者なのかは後で聞かせてもらおうかしら?奥へどうぞ。」


 親がぶっ飛ばされたとは思えない程の期の持ち直し。キャリアウーマンと言った感じだ。

先ほど冷や汗をかいていたとは思えない凛とした佇まいは、見る者の目を引く華やかさをも演出しているようだった。


 「何か、ランウェイを歩くモデルみたいだな・・・。」


 「以前モデルをしていたとは聞いた覚えが有りませんが・・・。」


 俺達四人はセンリの姉に案内され、従業員専用出入り口からバックヤードに入り、応接室の様な所に通された。


 「じゃあまず自己紹介でもしておこうかな?俺は雨宮銀河。無職の旅人だ。」


 「銀河きゅん最後の要ったかな?同じく無職の嫁です。」


 「セ・・・専業主婦ってこと・・・?」


 ・・・大体あってる?


 「あたしの事は・・・。」


 「存じていますジェニファー様。まさか生ける伝説と称されていらっしゃる方とこうやってお話しできるとは思いませんでした。」


 「お世辞はあんまり上手じゃないねぇ。」


 苦笑するジェニと固まる姉。


 センリを連れてきたのは今の時点では逆効果だったかもしれない。

そう思う。


 「センリです・・・。」


 「知ってるから!」


 センリは相変わらず俺にくっ付いて離れない。移動を始めた時からずっとこのままの姿勢を崩さない。

そのおかげでロペはソファーに座る俺たちの後ろ・・・俺の頭の上にモチを二つ載せている。

この頭に乗っかる重量感がなんとも・・・。じゃない。


 「センリは何があったのか教えてくれる気はあるか?別に言いたくないならそれでもいいし。

今日来たのは買い物だけだしな。」


 センリは俯いたまま、俺の腕を抱く力を更に強くする。


 ふぅ・・・。


 「特に用も無いし、戻るか。あ・・・。修理代はどこに渡せばいい?」


 流石に弁償しないで帰るのもどうかと思うしな。


 「それは結構です。身内の喧嘩です「私は他人です。」・・・し。」


 根が深いな。


 俺は今日の所は引き上げる事にした。と言うか、売り場に戻りたい。まだなにも見れてないんだから・・・。


 「じゃあ行こうか。ここに居てもしょうがないしね。」


 俺達は立ち上がり、応接室を後にした。

従業員用出入口から出ると、身内に取り囲まれる。


 「ちょっとあなた達どこに行っていたのよ!雨宮君かロペが居ないとお会計できないんだから!」


 そう言ってきたのは、フリフリのブラウスが目を引くゼルミィだった。


 「お前武器持って無かったっけ?」


 「あ・・新しいの欲しいし・・・。」


 全く・・・。


 「ダーリンこれかってぇ~。」


 そうしな垂れかかってくるのはフレイミィ。その手には、銀色に輝く鞭が握られている。

元刑務官達は固まって動いている様だ。こいつらは手配されていないにしても、生きている事が分かると問題になるんじゃないか・・・?

特に金の問題が・・・。


 「ツケとくか・・・?」


 「「ひっどーい!」」


 「冗談だ。皆要るもの会計に持っていけ。まとめて払うから。」


 「雨宮の。」


 ん?テツか。


 「何だテツ。どうした?」


 「俺用のパワーアーマーとかほしいんだが・・・。」


 ぱわーあーまー?


 「なんだそれ?何に使うものなんだ?防具か?」


 「あー。なんていやいいか・・・。防具には違いないんだが、武器も兼ねるというか・・・。」


 そんな説明の下手なテツをフォローに入ったのは、先日の件でTAMAKOに丸洗いされた綺麗なとべっちゃんだ。


 「巨人用のパワードスーツみたいなものだ。こいつはスペースワーカー使えないからな。だが・・・。」


 「何か問題が?」


 とべっちゃんはテツを見ながら頭を掻く。


 「何もしていないのが気がかりなんだそうだ。」


 「船外活動位、俺でも出来るからな!後雨宮の・・・俺、元の大きさに戻れるのか?」


 え?


 「戻る必要が?」


 「え?」


 と言うか、ラビスは標準サイズ用に設計されているから、元に戻るとまた頭打ったり、首曲げたりすることになるんだが・・・。

あ・・・でも里帰りとかする時になったら困るのか・・・。


 俺はテツの体に触れ、自由に元のサイズに戻れるようにした。

体を弄るのは得意なんだがなぁ。


 「これで大丈夫。だと思う。あ!ここで元に戻るなよ!お前だって・・・・目立つんだからな。」


 俺は手配中と言う言葉を何とか飲み込んだ。


 「しかしここには売っていないなぁ。」


 「創る方がいいか。売っている所に見に行こうかこの後。」


 「おぉ!そう来なくっちゃな!」


 この後の行き先は決まった。後は・・・。


 俺はふと販売カウンターのすぐ横に立てかけられている棒の様なものに目を奪われる。

各々がカウンターに欲しい武器を持っていき、販売カウンター担当の店員は清算する金額の大きさに四苦ハ苦した様子で、レジと商品の値札を睨んでいる。俺は自分の携帯端末を取り出し、レジに近づく。


 「なぁ。この横に置いてある棒みたいなものは何だ?」


 「え・・・?え?ちょっと待ってください・・・。よし・・・。」


 レジは途中で中断しても問題は無い様だ。


 「失礼しました。こちらはソウルイーターと申しまして、水星ダンジョンにて出土したアーティファクトと呼ばれるものです。販売価格は、二億クレジットとなっております。」


 「良し。それくれ。みんなもう全員要るもの持ってきたか?」


 即決する俺の言葉に反応できないでいた店員は、一瞬ポカーンと俺とソウルイーターをキョロキョロと見比べていたが、正気を取り戻した。


 「え・・と、そちらの方々は皆さま御身内の方ですか?それでしたら皆様からお預かりしていますよ。」


 「ん。じゃあ清算してくれ。」


 「あ・・・はい。えっと・・・。三十四点のお買い上げで、お会計が・・・!は・・・八億九千万飛んで七百クレジット・・・です。」


 あ・・・どうやって払うんだろう・・・。


 「端末から支払いたいんだが・・・。」


 俺がそう言うとレジの下から有線でレジに繋がった読み取り機の様な物を差し出してきた。


 「決済サービスのアプリケーションを開いて、こちらに端末を近づけてください。」


 俺は言われた通りに端末のアプリを起動し、端末を近づける。


ーーまいどっ


 威勢のいい声が聞こえるのと共に、端末に決済完了の文字が浮かぶ。


 「一括・・・。」


 あ、分割とか出来たんだ。やらないけど・・・。


 俺達はそれぞれ包んでもらった武器を持ち、ギオボルトウェポンズを後にした。


 「今更だけど、あんた武器いるのかい?」


 ぐぬぬ・・・欲しかったんやもん。


 「あったらあったでいい事だと思う。」


 結局センリは何も教えてくれなかったが、まぁいいか。相応に不快な思いをさせてしまった訳だし、

詫びの一つでも何か・・・。


 「センリ。次行く店で何か好きな物を買ってやる。とりあえずそれで今回の件は水に流せ・・・とは言わないが、勘弁してくれ。」


 俺がそう言うと、センリは目を見開いて俺を見た。


 「そんな!雨宮さんがそんな事言う必要は!!「センリ。」・・・。許すとか許さないとかじゃ・・・ないですからね・・・?」


 今日はセンリを甘やかしてやろうと俺は誓っておく。


 「ぎ~ん~?アタシわぁ?」「ハイハイわかってますよー。」


 今日はずっと二人が俺の両腕に引っ付いている。が、悪い気はしないな。

注目を浴び続けるという一点を除けば・・・。


 俺達は通りを歩き、目的の宇宙服専門店にやってきた。

丁度そのタイミングで、俺の端末にメッセージが入る。・・・ライからだ。

マギア級からのメッセージは、公共のインフラを使う事無く、ナノマシンを使って送受信しているため、検閲などに引っかかる事は無い。だがこれを利用できるのは、ロペの造った端末を持つ各艦の艦長、副艦長、そして零番艦のリーダークラス。後は俺の眷属達だけだ。


ーーボス、パイロット強化スーツが欲しいです。


 パイロット強化スーツ・・・?なんだそれ?


 「ロペ?パイロット強化スーツってなんだ?」


 「そのままの意味だょ?パイロットを強化するスーツ。だょ?」


 「成程。」


 ふむわからん・・・。自分で作れるように参考に一つ買っていくか。


 このスーツ専門店も、そこそこの規模の店舗であるようで、非常に大きい。

多くの冒険者や、あれは・・・軍人かな?スペースワーカーに乗りそうな人たちが、様々なデザインのパイロットスーツを見て回っている。

それぞれマネキンがスーツを身にまとっているようで、360度ぐるっと見て回れるようにディスプレイされている。


 「デザインの多さに驚いたな。あっちこっちに色々ある・・・。でもなぁ。」


 カラフルで色とりどりのパイロットスーツ、船外活動用スーツ等が数多あるのだが・・・。

色違いの物も多く、2Pカラー3Pカラーと頭の中で考えてしまう。バリエーション豊かなのは良い事なのだろう。女性陣はあの色が良いだの、この配色はダサいだの様々意見を言い合っている。


 ・・・。全部俺が作ったらええやん・・・。


 根本的な所で俺の考えが落ち着く。だが・・・。


 「あー!ロペねー!ヴァリアーの最新モデルが!・・・高っ・・・。」


 「どぉれぇ?あぁ・・・。高っ・・・。」


 「おねー様たち待ってー!・・・高っ・・・。」


 「パメラ、走ると危ないよ・・・ああ失礼・・・。高っ・・・。」


 「全く・・・エスト姉様もあなた達もはしゃぎ過ぎじゃぁ・・・。高っ・・・。」


 キャッシュマン姉妹は皆同じ反応をしていて見ていて面白い。

経済観念がしっかりしているのはいい女の条件の一つだろう。俺はその高いバリヤーのスーツとやらを覗き込んだ。


 「・・・。これはデザインが良いのか?それとも色遣いが良いとかか?と言うか・・・これは何用のスーツなんだ?生足の出るスーツとかダメだろう・・・?」


 「ブランドイメージ?かなぁ?そう言われてみると・・・役には立たないねぇ?」


 「ふむ・・・。ヴァリアーはサンダルぐらいなら私も使っているが・・・。それも貰った物だしな。幾ら位だったのだろうか?」


 宇宙服としての機能を全く果たさない、膝下が丸出しのスーツ。お値段なんと。


 「二百万クレジット!?なんで!?有り得ないなぁ・・・。」


 「宇宙服・・・では無いのかも知れませんね?銀河お兄様?」


 パメラの一言に俺は首をかしげる。


 「宇宙服の専門店で一体何を展示しているんだか・・・。パイロットスーツを見に行くぞ。」


 「「「「はーい。」」」」


 店舗の一番奥の大きなスペースに、普通の宇宙服売り場とは空気の違う集団のいる売り場があった。

先程迄は女性たちも多く見られた空間だったが、この辺りは客層がガラッと変わっていて、主に冒険者や、未知の小惑星や外宇宙を探索する探索者、軍人・・・そして堅気とは思えない屈強なメンズのたまり場になっていた。そんな漢達の檻にウチの女性陣はズカズカと人ごみをかき分けて進んでいく。


 「銀河。むさ苦しいですわ。」


 さも当然のようにキャンディが俺の背に隠れるように動きを変えた。

確かに・・・。若干男臭い・・・。


 「俺も出来ればすぐに店を出たいものだ。取り敢えず片っ端から見ていくか。」


 パイロットスーツという物は実に種類が多い。エアボンベの有無から通信装置の内蔵してある様な物、

果は武装パイロットスーツなんていうモノも有る。ヘルメットの上部にミニマシンガンが内蔵されているものらしい・・・。それ首大丈夫なのか?


 船外メンテナンス用の高性能ツール内蔵ベルトや、それの一体化したスーツ。

各々の役割に合わせて各種カスタマイズも可能だという事だが・・・。


 「何かフツーだなおい。」


 「巨人用のは無いのか・・・。」


 「もっとこう・・・シュッとだな・・・。」


 「分析ツールの内蔵されたものは無いのか?」


 「もっとこう・・・機動性の高いスーツはないでござるかな・・・。」


 「おっ!この赤いのが良いね・・・。役には立たなさそうだが・・・。」


 男衆もそれぞれ気になるスーツを見て回っているが・・・。


 「何だかパッとしないねぇ?」


 「デザインがダサい・・・。」


 「と言うか、古いねぇ・・・コンセプトが・・・。」


 「皆言いたい放題だな・・・。」


 だが確かに。向こう側と違って、質実剛健と言った感じが有るのにもかかわらず、一切目を引くようなものが置いていない。様々なメーカーのスーツが置いてあるにもかかわらず・・・だ。


 「専門店って話なんだけどねぇ?」


 「ロペ。ちょっと店員連れてきな。」


 「あーぃ。」


 ロペは厳つい集団に囲まれている店員の袖を引っ張り、引き摺ってきた。


 「ほい。」


 「あ!!じぇ!「静かにしな!」ニファー様でいらっしゃいますね・・・。」


 ジェニが睨みを効かせると、店員の声が尻すぼみに小さくなっていく。


 「何を囲まれていたんだい?」


 「それがですね?今ここに置いてあるものよりいいものをと・・・。これ以上のものはオーダーメイドしかお出ししていないんです。とお伝えしていたのですが・・・。」


 俺達はこちらを睨んでいる無歳男たちの方を見てみる。

するとまたエリーの視線が男たちを捕える。


 「銀ちゃん銀ちゃん・・・。やっぱりテロリストなの・・・。皆手配書に載っているの。」


 ううーん。いよいよキナ臭いを通り越して、ヤバいんじゃなかろうか?フリースコロニーでもああいった奴らを見かけたし、俺達に発信機を付けようとしていた奴も・・・。あれ?


 「アイツさっきエリーにぶつかった奴だな。パトカーに釣られなかったのか・・・。チッ。」


 ロペは端末とにらめっこしている顔を俺の方に向けると、端末の情報を俺に見せてきた。


ーーーーー


 ミザロイ・デンコリニー 49歳 ハイブリッドオーク種


 罪状 殺人 強盗 強姦 建造物破壊 コロニー破壊 密閉都市虐殺


ーーーーー


 一番前に立って店員に詰め寄っていた大男だ。こいつはいよいよヤバい奴だな・・・。


 「なぁもしかして何だが・・・。あの連合軍たちはあいつを追っていたんじゃないか?」


 「そうかもなの。バイ・ミザロイなの。」


 ばいみざろい?


 「何だ?あだ名か?」


 「うーん。通り名なの。バイセクシャル・ミザロイの略なの。」


 ・・・・・・・・・。近づきたくない。


 「良し。帰ろう!」


 「あぁーーまってくださいぃーーー。私はどうしたら・・・。」


 只でさえ両腕にジェニとセンリが引っ付いてきて動きにくいというのに、俺のズボンのベルトをしっかり掴んで、引き摺られる店員・・・。このやろう・・・。


 「警察に通報しろよ・・・。」


 「何だ銀河。のしちまうのかと思ったぜ。ほっといて良いのか?」


 「手配書に載っているなら捕まえても問題ないんだろうが、只買い物に来ただけなんだよ、

目立ちたくないんだよ。」


 俺も分かっている。無理だって。こんな色とりどりの花を束で担いで歩いていたらそら目立つわな。


 「おい・・・デカス、ゲイル!お前ら警察官だろ・・・?」


 「馬鹿いえ!もうとっくに退職したっつーの!」


 え?馬鹿なの?


 「なんで?」


 「おいそんな残念な奴を見る目で俺を見るな!・・・勝手に署を離れて暫く戻らなかったら席が無くなっていたんだよ!」


 「右に同じだ。流石に一週間以上サボって席が残っているような、ぬるい職場じゃないさ。という事でだ・・・。」


 「「金がない!俺を雇ってくれ!!」家族の為に!!!」


 デカスの目が本気だ・・・。そうか・・・こいつ家庭持ちか・・・。


 「それは分かったが・・・。じゃあさっそく仕事だ。二人とも端末出せ。」


 デカスとゲイルは個人用端末を取り出した。


 「何だ何をするんだ?」


 「ちょっと良いものの使い方を覚えたんだ。」


 俺は端末から送金の為のアプリを開いた。そして二人に契約金として、一千万クレジットを送金する。


ユゥウガットマネィ!!


 着メロか?ゲイルの端末からやけに力の入ったボイスが鳴り響く。


 「マナーモードっていう機能があってだな・・・。」


 「悪い・・・・・・!?」


 「!?・・・!?」


 デカスとゲイルは端末を二度見して俺に掴みかかってくるが、センリとジェニの足に抑えられる。


 「ああっセンリさんの足が!ご褒美がっ!」


 「いてて!!ボ・・・ボスと呼ばせてくれ!!」


 センリがパンプスを履いていてよかったな・・・。ジェニに抑えられたデカスはヒールが刺さって痛そうだ。


 「呼び方は好きにしろよ。でだ。俺達はこれから船に戻る。殿をやれ。多分あいつ等は追いかけてくるからな。」


 「「合点!!」」


 「皆。出るぞ。」


 俺達は店員をバックヤードに押し込み、店を後にした。

俺達が動き出すのを見計らい、デカスとゲイルがテロリストたちに絡んでいく。


 「よう。そこの豚野郎。豚に着せる宇宙服はねーって断られたのか?」


 「何だごらぁ!!」


 「ん・・・。豚小屋の臭いがするな・・・。」


 「でめぇ!!!!!!!」


 そんなフレンドリーな会話を聞きながら、店を飛び出した俺達は、それぞれ店の前でばらけ、アメリアたち五人は店の上にジャンプで飛び乗り店の上を駆け抜けていく。諜報員三人はそれぞれ待ち伏せていた仲間のテロリスト立を引き連れ、通りの港と反対側へ向かって走って行く。


 「皆素早いこって・・・。」


ズウゥゥゥン


 !?


 揺れた・・・。


ズウゥゥゥン

ズウゥゥゥン


ウーーーーーーーーーーーー!!!!


ーー住民の皆様及び当コロニーお買い回り中のお客様に緊急連絡です。当コロニーは只今テロリスト艦隊によって攻撃を受けています。速やかにお近くのシェルターへと避難してください。繰り返し・・・。


 けたたましいサイレンと共に、通りにあふれていた買い物客らが、一斉に港の方へ走って行く。


 ・・・シェルターってどこやねん。


 「皆シェルターの使い方なんか知らないんだろうねぇ?あれだよ。」


 そう言ってジェニが指さしたのは、喫煙所・・・じゃない、電話ボックスか?

カプセル型のオブジェと思っていた物が、実はシェルターの入口だったらしい。


 「あの中から宇宙港へつながっているんだ。攻撃を受けているなら何処も安全じゃないかもしれないけど、外を歩くよりかは大分ましだと思うよ。」


 しかし、シェルターの入口は開いておらず、誰もその存在に気付かない。


 「アレ意味あるのか・・・?」


 「おかしいねぇ?避難命令のサイレンが鳴ったら勝手に開くはずなんだけど・・・。」


 「みんなそう言えば武器は?」


 「皆船に送っちゃった・・・。」


 ・・・ッ撤退する!!


 「全員船に戻れ!巻き込まれたらかなわんぞ!」


 俺はそう言いながら、ロペに先ほどのスーツを見て閃いた強化スーツの情報を送る。


 「ライにくれてやれ。俺はもうちょっとこの辺に居る。デカスとゲイルを置いて行く訳にもいかんからな。」


 「おっけ!ジェニちゃん、センリも、もどるよっ。」


 「銀。ケガするなよ!」「雨宮様お気を付けて。」


ズウゥゥゥン


 段々被害が大きくなっているような気がする。警備部隊とか居ないのかね? 


ガシャーーーン


 おっ?


 ショーウィンドウのガラスを突き破り、ゲイルが飛び出してきた。

・・・無傷で。


 「大丈夫か・・・?」


 「あ!ボス!いや・・・全然大丈夫なんだが・・・。」


ガシャーーー―ン


 まだ辛うじて残っていたショーウィンドウのガラスをたたき割り、今度はデカスが転がってきた。


 なんだなんだぁ?二人ともゴロンゴロンと・・・。


 「おーぃー・・・。二人とも転がってんなぁー。」

 

 「ぐっ。そう言うスキルなんだと思うが・・・。」


 そう言うスキル?


 「アイツに触られるとぶっ飛ばされるぞ。」


 ほっ!


 「さてはお前たち・・・油断していたなぁ?ははーん。舐めプって奴だ?」


 「「ぐぬぬ・・・。」」


 まぁいい。追ってこないのならほっておこう。


 「もう皆船に戻った、お前たちも戻れ、」


 「アイツほっといて良いのかよ?」


 「なる様になるだろ。この辺の一般人は宇宙港に逃げたみたいだし、逃げ遅れた人も特にいないみたいだしな。」


 避難訓練でもしていたのかと言う位皆が同じところに逃げていく。ゲイルたちが転がっている間にも、通りから、路地から、多くの人が宇宙港に向かって逃げていった。


 「宇宙港?なんでそんな所に・・・?」


 「?避難場所なんじゃないのか?」


 「そんな訳ねー!直ぐそこにシェルターが!って、開いて無いな・・・?あれを通って宇宙港の地下シェルターに避難するのが、この辺りの非難想定なはずなんだがなあ?」


 デカスとゲイルはこの辺りの避難経路については割と詳しいらしく、あーだこーだと言いあいながらシェルターの入口に近づく。


 「ボス。これはダメだ。近くの店から入り口をコントロールするようになっているみたいだ。」


 「近くの店・・・?」


 デカスは近くの店を指さす。そこは先ほど二人がぶっ飛ばされた店、宇宙服専門店がある。


 「多分忘れていたんだろうな。開けるのを。」


 「あかんやん。」


 「開かないだけにな!」


 俺とデカスはゲイルをぐーで殴った。


 「いてぇ!ちょっとしたギャグじゃねーか!」


 まぁ、今開けてもしょうがないし、ここはもういいか。


 「俺達も行こうか。ここに居てもしょうがないし。」


 そう言いながら歩きだそうとした時、また一人誰かが転がってきた。

当りに散らばったガラスの破片で全身がズタズタになって仕舞っている。


 「店員さんか・・・?」


 最後に飛んできたのは一般人の店員さん。ついさっき俺達がバックヤードに押し込んだと思ったんだが、出て来てしまったのか押し入られたのか分からないが、既にこと切れている。


 「チッ、さっさと裏から逃げりゃよかったのによ!」


 ゲイルが悪態をつくが早々死んでいいなんてものでもない。俺は人には皆、幸せを追い求める権利があると思っている。生きているだけで幸せならそれでもいいだろう。だが・・・。


 「普通はそうじゃないよな。」


 俺は店員さんを分解しようとしたが・・・。ゲイルに停められる。


 「ボス・・・一般人だ。分解しちまったら、残された家族がずっと探し続けることになるかも知れない。」


 ・・・。そういう事も有るか・・・。


 俺は彼の目を閉じてやった。


 「ふぅ・・・。アイツらの狙いは何だったんだろうな?」


 ナノマシンのレーダーで未だに店の中に先ほどのテロリストと思われる男達、が居座っているのが分かる。店の入り口付近にいた女性客は逃げていたようだが・・・金か?


 「金でも漁っているのかね?」


 「テロリストがそれをやったら只の強盗だぜ。・・・まぁ今の俺達には関係ないが。」


 下手に首を突っ込んでもなぁ。俺としてはここで手に入れるべき情報はもう手に入れた後だし、留まる理由は無いんだが・・・。何だかここから離れるのはまだ早いような気がするんだよな・・・。


 「ボスどうする?もう行くか?」


 「うーむ・・・何かを忘れているような気がする・・・。」


 ・・・・・・・・・?あっ。


 「ゲーム買いに来たんだった!」

 

 「「今かよ!!」」


 今だよ!今日ここを出たら暫く帰ってこられないし、今日買いに行かないと次何時になるか分かったもんじゃないんだ!


 「良し行くぞ!」


 俺は端末を開き、タウンマップを開いた。

ゲームセンターじゃなくって・・・。スーパー・・・?あー・・・。


 「あっちか。宇宙港からはちょいと離れるが、まぁ良いか。お店の人残っているかなぁ・・・。」


 「「いやいねーだろ!」」


 俺達は宇宙服専門店を後にし、デバイスショップと地図に記された場所に向かった。


 ----------


 ん?通信・・・。


ーーイントです!雨宮さんご無事ですか!?


 「あー。問題ない。状況は?」


ーーこちらは全員無事です。それよりたった今通信が入ったのですが、ウチのお婆様がここのデバイスショップに居るとの事です。お婆様が言うには、海賊共はお婆様の情報を手に入れる為に襲撃をして来たのではないかと、そう言っていました。


 情報ねぇ・・・。なんか知られちゃいけない事でも知られたか?


ーー今から私おばあさまの所に救助に向かおうと思いますが・・・。


 「こっちで何とかするさ。にしても結構バイタリティあるな。流石は元軍人か。昨日の今日でよく外に出ようと思ったもんだ・・・。」


ーーではそちらはお任せします。


 「ん。任された。」


 俺達三人は、揺れるコロニーの通りをのんびり歩いてデバイスショップへ向かった。


ーーーーーーーーーーー


 おー。メカニカル。


 何と言うかジャンクショップ的な外見が俺の探求心を刺激する。

見た感じがちょっと好き。


 「これはあれか・・・。スペースワーカーの頭部をモチーフにしてんのか。」


 前の世界のアニメでちょっと見たことがあるような感じだ。


 「ちょっとわくわくすんな!」


 「子供を連れて来てやったら喜びそうだな・・・。」


 店は何とか無事なようで、俺達は心を躍らせて見せの中に入った。


 「いらっしゃっせー。」


 やる気のない店員の声に俺達はこけそうになる。


 「外なんかあったんスか?何か揺れてるっすよねー?」


 やけにフレンドリー。


 「あ・ああ。さっきのサイレン聞こえなかったのか?テロリストの襲撃だってよ。」


 「えー。だっる。ここに居てもいいんスかねー?」


 知らんがな・・・。と言うか居てもらわないと困る。


 「そうそう。若いおばあちゃん来てない?あとVRシステム一式欲しいんだけど。」


 そう言うとやる気のない店員は、カウンターの裏からパンフレットを取り出した。


 「おばあちゃんかどうかはわかんないっすけど、もう一人奥に居るっすよ。で、これなんかどうっスか?

昨日販売されたばっかりなんスけど、かなり⤴良いっスよ。脳の神経パルスと同期できるシステムになっていて、フルダイブ型の最新OSをさらにパワーアップした奴なんスよ!もうパねえって感じで、超アがるっスよ!マジお勧め。」


 ウザイ・・・。


 何と言うか、フレイミィとモーニャを足して二で割ったような・・・悪い部分だけを抽出したような感じだが。


 俺はパンフレットに目を通す。


ーーーーー


 脳波コントロール型フルダイブデバイス スペクトラVer2


ーーーーー


 うむ・・・ベッドに寝たままで出来るのか・・・。時代は進んでいるなぁ。


 親機が必要な物でも無く、デバイス本体だけで完結するものらしい。

・・・。ほすぃ・・・。


 「これ幾ら?」


 「まだ発売したばっか何で、ちょっとお高いっスよ?四十万クレジットっす。」


 むむむ・・・。確かにいいお値段だ・・・。だが・・・。


 「良し。ワンセットくれ。」


 「お?兄さん決断速いっスね!」


 ウザイ店員は、レジの下から支払い用の端末を取り出した。

俺は武器屋でやったように支払いを済ませる。


 「毎度ありっス!」


 「あら・・・ちょうどいい所に居たわね。雨宮様。」


 やっぱりバーバラだったか。


 「よぉバーさん迎えに来たぜ。」


 「誰がバーさんですか!若いでしょうが!」


 確かに。外見は三十代前半と言っても問題ない位若く見える。肌も老化していないし、精神的にばぁさんっぽいのが玉に傷・・・。


 「取り敢えず港に戻るか?」


 「ちょっと待ってください。これとこれ・・あとこれも。それと・・・スペクトラのVer2が有るでしょう。あれも頂こうかしら。」


 「毎度っス!」


 店員はまず俺のVRシステムを手際よく包み、俺に手渡した。・・・流れるような手つきで、バーバラの持ってきた様々なアイテムを包んでいく。手際が良いだけに逆にムカつく。喋り方さえ普通なら好感の持てる店員だっただろう。


 「お待たせしたっス!」


 「では行きましょうか。」


 バーバラは両手に大きな荷物を持って、のしのしと店を出た。


 「元気なばーちゃんだな。」


 「あの人常連なんスよ。最新のアイテムは自分の目で見たいらしいっス。」


 俺達はそんなバーバラについて店を出た。


ーーーーーーーーーー


 「バーさん持とうか?」


 「年寄り扱いしないでください!全く・・・。」


 歩くスピードは俺達と変わらない。見た目も寧ろ同年代位だ。


 「デカス、ゲイル。俺はもう一回りしてくるから、バーさん連れて先に戻ってくれ。」


 「ん?おう。わかった。ボスの荷物は?」


 「俺の荷物はここ・・・。」


 俺は虚数空間の入口を開き、手に持っていた荷物を放り込んだ。


 「便利なもんだな。」


 「だろ?ちょっと急ぎ目の方がいい。若干・・・嫌な予感がする。」


 俺は三人と別れ、一人で通りを歩く。


 「ござる。居るんだろ?」


 「ハッ!」


 何もない空間から突如現れるござる。


 「今回の襲撃はバーバラを狙ってのモノだって話だが・・・。クロスチャーチルは関係しているのか?」


 ござるは少し考えをまとめた後俺の方に顔を上げる。


 「恐らくは別のモノでしょう。クロスチャーチルは少数精鋭。この度の様な艦隊を率いての行動はしないと思われるでござる。きゃっつ等は生身でのテロ活動を何よりも重視しております故、今回の件とは切って離せるとそう思うでござる。」


 成程。じゃあ一体なんだ?って、さっき聞いておけばよかったな。


 「アイツらの正体は分かるか?」


 「拙者の確認した所、ミザロイ・デンコリニーが居たでござる。アイツは小惑星トーンソークを根城にする海賊団『丸焼き団』の副頭領だったはずでござる。」


 豚足・・・・だと・・・?オークって食えるのかな?

いやいやいや・・・そうじゃない。

豚足丸焼き・・・。ちゃうって・・・。


 「随分旨そうな名前の海賊団だな。」


 「主要構成員はオーク種、猿獣人、との事です。女性の天敵としても知られております。」


 豚と猿。共通点は思いつかな・・・。ハッ。


 「そうだな。女性の敵だな。なるほど。」

 

 「これから如何なさいますか殿。」


 「そうだな・・・。」


 これからか・・・。さすがにココを放置していくのも問題があるか・・・。

事を済ませた後にぶらぶら買い物でもしたいと思うが・・・。そうなるとやる事は一つか。


 「海賊退治するか。」


 「御意に!」


 ござるはそれだけ聞くと姿を消した。


 なら・・・。スーツの店に戻るか。まだ居るっぽいしな。


ーーーーーーーーーー


 俺がスーツ専門店に戻ると、豚共が店の前で銃を振り回して何かを叫んでいる。


 「うわーーーっはっは!!壊せ壊せ――――!」


 「消毒だ――――!!!」


 「ヒャッハ―!!」


 ・・・。あれは楽しいのか?誰も居ない中で身内だけで銃を乱射している。

しかしおかしなことがある。アイツの持っている銃は只のアサルトライフルだ。壁に穴をあける事すら怪しいものだ。しかし、現状は違う。奴の打った弾丸は付近の店舗を壊し、床に穴をあけている。


 あの店はもうだめだな・・・。


 スーツ専門店は、見るも無残な瓦礫の山に変わった。


 スキルってスゲーのな。デカスもゲイルも無事でよかった。

 

 今の俺はまた油断している迂闊に飛び出して行って、奴のスキルにやられたら目も当てられん。

面倒だな・・・。この距離からならナノマシンで分解できるか・・・?

いやしかし・・・。なんか臭そうだし・・・変な病気とか持っていたら嫌だしなぁ・・・。

あぁ・・・。吸収しなけりゃ良いのか。分解だけしてしまえばいい。砂にでもなればもうどうにもならんだろ。


 俺は平和的な解決方法を選んだ。


 俺の手から離れたナノマシンの光体が、一番デカい豚を除く他の豚を分解していく。


 「がははははは!!!こわせこわせーーーー!!!・・・・?」


 デカい豚はキョロキョロと周りを見渡すが、先ほどまで一緒にアホ面をさらしていた豚たちが消えているのにやっと気づく。


 「??」


 おつむがお留守ですね?


 今の俺はちょっと油断していない。だから大丈夫。・・・だと思う。

最近自分の体を試せていなかったから、丁度良い機会だ、戦ってみよう。


 「おいブタぁ。面白そうだなぁ。俺も混ぜろよ。」


 俺は何でこのセリフを選んだ・・・。まるで悪人じゃないか。

 

 「ああん?誰だおめーは?」


 奴の頭には、脳の代わりに豚ミンチでも詰まっているのか?


 ついさっき会ったばっかりなのにもう忘れているらしい。と言うか覚えていられないのかもしれない。


 「誰でもいいんだよ。お前か豚足海賊団だっけ?」


 「誰が豚足だ!ぶっ殺すぞ!!!」


 「いや悪い。豚の丸焼き海賊団だっけか?」


 豚野郎はわなわなと震え、体中から黄色いオーラをまき散らしながら俺に向かって突進してきた。


 「臭そうなオーラだな・・・。」


 そして俺の少し手前で、銃を振り被り、俺に向かって叩きつけてきた。


パン!パン!!


 そりゃ・・・暴発もするわな。


 振りかぶった銃は床に叩きつけられ、残った弾丸が暴発する。

暴発した弾丸で腕がズタズタになっているが、頭に血が上っているのか気にならないようだった。


 「セルフ血抜きか?」


 「ころーーーーす!!!」


 血を抜いても臭みが取れ無さそうなブタ男はそのまま俺にむかって力任せに腕を振り下ろしてくるが・・・。


 「きたなっ。トン汁を飛ばすなよ・・・。」


 俺のその言葉に怒りが頂点に達したのか、奴の黄色いオーラに赤いオーラが混じる。


 「ぶぶぶぶぶ・・・ぶっころろろろろろ!!!!」


 ん?なんか体がもこもこしてきたぞ?


 ピッグメンは放出されていたオーラを全て取り込み、全身を変形させていく。

そして暫く経つと、完全に四足歩行の獣とかした。


 ・・・ぷっ。


 「ぶひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」


 なんだかとっても怒っている様だが・・・。ぶふっ。


 「まんま只の豚じゃねーか!!!あ・・・くふっ・・・。駄目だ・・・。

ウケ狙い過ぎだろ・・・。」


 実は猪だ!とか、そんなかっこいい話があるのかと思っていたが、いい意味で裏切られたわ。


 だがそのブタはやはりただの豚ではないようで、大きさも二足歩行の時とは一回り以上大きくなっている。しかし、来ていた服は体の膨張に耐えられなかったのか、破れて千切れ落ち、纏っていた衣類は一切なくなっていた。


 「今全裸であることについて一言。」


 「ぶひっ!?」


 巨大ブタは辺りに散らばった自分の服を見て、慌てて物陰に隠れた。


 変身して一回冷静になったのな。

ちゃんと言葉が通じている。羞恥心は一応あるようだ。だが、今更と言わんばかりに、地面をけり、こちらに向かって突進してきた、二足歩行の時とは比べ物にならない位のスピードだ。その体の内にオーラを吸収しそして纏ったままの突進は、俺の体を容易に吹き飛ばす。


 お・・っとっと・・・。

ダメージゼロって感じだな・・・。このレベルの奴ならなんとでもなりそうだ。


 俺は距離を取った豚に向かって、腰を低く落とし、両手を開いて迎え撃つ。


 「はっけよーい。」


 「ぶひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」


 最近みんなのスキルの中にプロレス技があるじゃん?選択するスキルの中に。

だからさ・・・。


 俺は突進してきたブタの首の部分をしっかりと腋で抱え込み、力を込める。

俺の脚は地面に突き刺さり、微動だにしないが豚の脚はさらに俺を押し飛ばそうと地面を削る。


 「中々の重さだ。」


 ちょっとやって見たくなったんだよ。俺も。


 俺はブタの首を抱えたまま垂直に持ち上げると、空中でブタの足がひょいひょいと空を切る。

そして俺は自分の後ろに尖った瓦礫があることを確認している。


 「ビギィイィィィィィ!!」


 俺はその体勢のまま地面を蹴り体を反らしながら後ろに飛ぶ。

もちろん腕に力を込めて勢いをつける事も忘れない。


ゴキッ


 突き刺さった瓦礫は、肉を割き、重さと勢いで背骨を折る。

ピクリとも動かないまま、豚がブタ男に戻る。


 「ふっ・・・。決まったな。銀河ブレーンバスター!」


 テロブタを倒したのは良いが、これからどうしようかね・・・。

こいつ等だけとは考えにくいし・・・。


 「もう少し探すか・・・!?」


シュゴーーーー

ガシン!

ガシン!


 俺がブタをの死体を眺めていると、ブースター噴射のけたたましい音を放ち、

スペースワーカー三機が俺の目の前に降り立った。







ーーーーーーーーーー



二番艦マギア・プロア


 この日、雨宮傘下マギア級戦艦である、マギア・ブロアは、上へ下柄の大わらわとなっていた。


 「あああーーーーもーーーーー仕事が終わらない――――――!!!」


 「くっそ!!誰か食事の準備とかしてんのか!?」


 「日用品のチェックが終わらないよ――――!!なんでこんなにいっぱいあるの―――!?」


 時は少し遡り、朝。ブロアのメンバーは一番ハンガーに集合し、朝の朝礼をしていた。


 「・・・え?少なくない?」


 各艦にはおよそ七十人のメンバーが配属されている・・・ハズだが・・・?


 「ひのふのみの・・・え”っ十人!?」


 いつもは何だかんだ文句を言いながらも全員が一度顔を合わせて、それぞれの役目を果たすために散っていく。

それがこの二番艦ブロアの日常となっていた・・・ハズだった。


 「はーい。若い娘が皆ダウンしてまーす。」


 「なんで・・・?」


 それは先日、雨宮の前で武器を抜いた事に因る懲罰・・・。独房入りの副作用だった。

ここ、ブロアの女囚たちは若く、そして幼かった。監獄での荒事に巻き込まれながらも必死に生き抜いてきた、そんな強さも持ち合わせているはずだったが、その支えとなっているものが無くなってしまったのだ。


 「家族は全員死んでいる・・・か。あの子たちにはちょっとつらい現実だったのかなー。」


 「あはは・・・私なんか最初から親とか居ないからよくわかんないや。」


 「右に同じ。孤児の私たちには分からない贅沢ね。」


 「まぁまぁ、そう言ってやりなさんなって。」


 しかしだ・・・しかしよ・・・?

 

 「艦の運営が・・・この人数で出来るの・・・?」


 私は膝から崩れ落ちる。


 テニー・マドマックス三十二歳独身。恋人募集中。二番艦ブロアの艦長を任されていますが・・・。


 「元小学校教師の私に何をしろと!!!」


 ロペ様の話によれば、私は魔力の素養があるとの事でした。しかしです。

私は今まで全くと言っていいほど、そういう力に触れる事はありませんでした。


 普通の家庭で生まれ、普通の家庭で育ち、一家皆殺しにされ、罪を擦り付けられて・・・。


 「私の人生も何気に酷い!!」


 「「「「「「「「「急になんだ!」」」」」」」」」


 「取り合えず・・・。システムチェックと、マシンチェック、エンジン回りは・・・。」


 「あたしは無理だよ?只の戦闘員だし・・・。」


 「私も機械系は無理だ。」


 「僕も機械は壊しちゃう専門だから・・・。」


 「私も出来ないわ。と言うより・・・。」


 「ティタノマキアのメンテ要員はどこに行ったの?」


 ・・・え?居ないの?


 「ちょっとちょっとちょっとぉ!大丈夫かなぁ・・・?」


 話を聞いてみると、ここに居る全員が戦闘班でした。つまり、ブリッジクルーも私一人。医療要員無し、何とかドルフは動かせるけど・・・。今スクランブルなんか掛かろうものなら・・・。


 「私ついてねーーー!!」


 「「「「「「「「「だから急に叫ぶな!!」」」」」」」」」


 一応その場で全員に必要最低限の仕事をしてくれればいいとだけ告げ、それぞれ一時的に別の持ち場に散ってもらった。

私は頭の中が真っ白のままでブリッジに戻ってきた。


ピピッピピッピピ・・・


 ん?緊急メッセージ・・・?緊急!!!?


ーー今何をしている!!通信に誰も出ないなんてどういう事だ!?

  ラビス迄すぐに連絡する様に。


 あわわわわ・・・・!!新庄さんだぁ!!!


 私は慌てて艦長席に戻り、集中コントロールモードを起動する。

全ての艦のコントロールを一人で行うための緊急モード・・・だが・・・。


 私これ触るの初めてなんだけど・・・。


 眼前に広がる無数の3Dコンソール。通信制御、火器管制、エンジンコントロール・・・。


 うぅううぅう!!分からないっ!!!取り敢えず通信っ!!


ーー・・・・・ブロアか?ずいぶんのんびりしていたのだな?


 モニターに映し出されたオールバックの男新庄は、眼鏡に手を当てながらこちらを見ている。

テニーは艦長席から立ち上がり、直立姿勢で言葉を待った。


ーーまぁいい。今雨宮は外に出ていていないが、現在、アトレーティオ4は海賊による襲撃を受けている。

  雨宮はこれを撃退しろとの指示を出した。後は分かるな?


 「ははははは・・・はいっ!直ちに発進し海賊と交戦します!!」


ーー今回は数が多い、ブロアだけでは無く、レムル、ベリス。この三隻で出てもらう。


 「さささ・・・三隻ですか!?」


ーーそうだ。流石にそれ以上は過剰戦力が過ぎる。大体、主砲一発でほぼ全滅させられるんだ。

  数が多いとはいえ相手は第五世代だ。取り付かれる事さえなければ問題はない筈だ。


 「了解しました!」


ーーでは外は頼む・・・。


  ・

  ・

  ・

  ・


 しまったーーーーー!!!今!今!状況報告するのを忘れました――――!!!


 「・・・・。やるしかない・・・。私が一人で操船するしかない・・・。」


 雨宮様かみさまーーーー!!


 海賊艦隊との戦闘は一隻じゃないけど、乗り込んでこられたりしたら・・・。

こっちに戦える人員は十人・・・。負ける。絶対負ける・・・。


 テニーは覚悟を決めた。


 原付しか乗った事無いけど・・・やってやる・・・やってやるわっ!!


 「えっと・・・戦闘態勢っと・・・。」


ウゥゥゥゥゥゥゥゥウウーーーーーーーー


 あわわっ!間違えた!!これスクランブルだ!!!


 「なしっ!違うの!!出撃するの!!準備なの!!」


 艦内に混乱したテニーの声が響く。


 「ふぅーーー。えっと。これから海賊艦隊と交戦します。ドルフは何時でも出られるように準備してください。

他の皆は・・・。突入に備えてください。」


 ・・・したくないな・・・。突入したくないな・・・。


 私がちゃんと艦隊行動できれば、突入しなくても何とかなるかも知れないけど、七人で突入とか・・・。死ぬって・・・。


 ハンガーから通信・・・?


ーー出撃ってマジ?この人数でやるの?


 「やるって言っちゃったからやるのよ!もう出るわよ!!」


ーーええっ!戦闘服戦闘服ーーー!!


 こうして、全乗員の約九割がダウンした状態で二番館マギア・ブロアは発進するのだった。



ジェニファー・キャッシュマン ???歳独身 超人種 キャッシュマン一族の創始者 元太陽系連合軍総司令


 生ける伝説と呼ばれている超人の一人。キャッシュ間に血族の頂点。噂によると統合歴以前から生きているという噂。

元軍人で太陽系連合を設立した本人。現在の連合軍にあまり良い感情を抱いておらず、自らの力を蓄える為にキャッシュマンエレクトロニクスを設立、スペースワーカーの研究に一石を投じる。雨宮に会った瞬間一目惚れしたらしく、積極的にアタックしていたが雨宮には一切伝わらず、またロペに遠慮をしていた事も有り、なかなか実を結ばなかったが、ロペの支援を受け何とか雨宮に自分の行為を理解させることに成功した。


テニー・マドマックス 32歳 エルフ超機人種 元小学校教諭


 普通の家庭に生まれ普通の家庭に育ち、そして親の会社の新人社員に家族を皆殺しにされる。

急転直下の人生の中で戦う事も無く、家族皆殺し犯に罪を擦り付けられて、ヘルフレムに収監される。

普通の一般人だった為戦闘能力は皆無だったが、監獄にて自らを守るためにスキルに覚醒、何度も刃傷沙汰にさらされ、心も体も強くなった。

しかし、経験が圧倒的に不足している為、艦長としての技量は低い。ロペやファムによる勉強会や、訓練に積極的に参加し、向上心も高いが、おっちょこちょいな所がなかなか取れず、悩んでいる。

 雨宮を神と崇める派閥の一人で、いつか復讐を手伝ってもらうべく、雨宮の寝室に忍び込む機会を窺いながら、毎日マギア・ラビスの方角に向かってお祈りを欠かさない。


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