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EP14 宇宙船を買おう空振りの巻

これ分割した方がいいのかどうか迷った挙句そのまま出すという。

ブクマ登録とかしてもらえると、モニターの向こうで小躍りします。

フリース居住コロニー


 ロペや、ゼルミィ、アミィなどの生家のあるコロニー。上流階級に位置するものから貧困層まで幅広い層の住民がいる。

 人口は約3億人。居住コロニーとしてはやや少なめの人口で、大きさの割には人口が少ないが、建物自体の大きさが大きく、上空からの見栄えの良いコロニーとして観光産業も発展している。

 特徴としてはマンションタイプの居住施設が少なく、大家族の戸建て住居が非常に多いという事があげられ、貧困層であっても大家族でそして家自体は大きい。

 人口と比例せず世帯数はあまり多くない。

 冥王星宙域は敵対生命体との遭遇が多く、死者の数が年々増加傾向にある。この為、冥王星宙域を中心に一夫多妻が推奨され、

冥王星宙域のコロニー及び冥王星本星、商業連合などにおいて、家計を共にする伴侶が多いほど税制が優遇される。

フリースコロニーにおける伴侶の数の記録として、夫一人に対し、妻六十七人という記録があるが、半数以上の妻が離縁を申し出ており、生活自体を円滑に行うことは難しい様だ。

 最近有名な商業コロニーから、大手総合スーパーマーケットが進出し、話題を呼んでいる。

 大型商業施設、外食チェーン、各種ブランド店、リゾート施設など、街として必要な公共施設の他に、娯楽提供企業も数多く進出している。

 フリースコロニーにてもっとも有名な施設は、統合歴元年に建設された、太陽系連合軍初代総司令ジェニファー・キャッシュマンのオリハルコン像である。

この像は地元のランドマークとして友人、恋人たちの待ち合わせの目印となったり、数多くの式典にも利用され、年末年始にはお年寄りが手を合わせに集まるといった事も起きている。

 

 俺はバスの先頭の席に押し込まれた後、何気なくこのフリース居住コロニーのパンフレットを手に取り、読みふけっていた。


 「マスター・・・まだ着かないのでしょうか・・・?うっ・・・・。」


 ファムネシアはどうやら陸上を走る乗り物に弱かったらしく・・・っていや、そんな個体差を作った覚えは無かったが、非常に心苦しい思いをしている。


 「おかしいなぁ?ファムネシア、自分で体を弄ったりしたかい?」

 「うっ・・。マスターの真似をしようと、自分の体を調整しようとしていたことはありました・・・。」


 何をしていたのかは微妙にわからないが、一応スキャンしておくか・・・。


ーーーーー


ファムネシア 0歳 ハイパーヒューマノイド


    状態 脳器官調整異常

       乗り物酔い(重度)

       空腹(軽度)

       尿意(重度)


ーーーーー


 ちょっと!?どこ弄ってんだよ!!人としての基幹となる様な所を簡単に弄ったらだめだろう!!?

しかもそのせいで普通に乗り物酔いしてるし、トイレも我慢しているのかよ・・・。仕方ない、治しておくか・・・。

だが尿意はそのままにしておく。


 「あ。治りました。マスター?」


 俺は軽くファムネシアをチョップする。にゅ。とかかわいい声が出ている。


 「脳を弄るな脳を。今のお前の権限では細かい調整まで出来ないだろう?」

 「反省していますマスター。・・・。んん。」


 若干もじもじし始めたが、(重度)のせいだろう。一応体調はモニターしておくか。ギリギリまで我慢しなさい。


 「せんせー。イントちゃんがおしっこしたいってー。

 「わっわわわ!!ちょっと!ロペねぇさまなにをいって・・・!!!嘘です!嘘!我慢できますぅ!!」


 我慢してるのか・・・。というかせんせーってなんだ。


 「ロペぇ。後どのくらいで着くんだ?」


 俺の視界には、城と見紛うほどの大きな建物が見える。前世の国会議事堂よりでかい気がするな。あんな建物もあるんだぁ。


 「もう着いたよ?建物までもうちょっとあるけど。イントたん、トイレもうちょっと我慢ねぇー。」

 「だからぁ!!」


 顔を真っ赤にしてイントはロペをポカポカ叩いているが、あまり力が入らないのだろう。直ぐに俯いて精神統一を始めた。

しかし俺の隣にも、もっと危機に瀕しているものがいる。


 「くぅぅ・・・。むぅ~~~。」


 もう既に血の気が引いて顔が青くなっている。だからナノマシンを使っての・・・。

何とも人間らしくなったものだと、俺は思う。まだファムネシアが今のファムネシアになってから数日だ。

それを考えるとたいした成長じゃないのだろうか。だが頭の中はちょっと残念な娘になってしまっている様だが・・・。


 まぁ。それも個性か。


 とか言っている場合じゃないな。このままではもって二・三分ダムは決壊するだろう。二か所も。

目の前に見える距離からしてそんな時間で個室のバライソへ辿り着く事は恐らく不可能だろう。

 正直な事を言えば、この移動の間にロペから色々聞いておきたいことがあったのだが、もうそれどころではないな。

 イントたんの状態を見て笑い事に出来ない事に気が付いたのか、かなり焦っているようだ。俺たちの反対側、運転席の後ろに陣取ったロペは、運転手の肩を叩いて。

急ぐように急かしている。

 ここにはペットボトルも無い。緊急時対応はどうしたものだろうか?俺はファムネシアのナノマシンにギリギリの状態を維持するように命令を出しつつ、イントたんの様子を窺ってみると、それはもう気の毒なほど脂汗とも冷や汗とも区別がつかないほど大汗をかいている。

 

 あれはもう限界だな・・・。


 「観光用のバスなんだろう?アレ。置いて無いのか?常備しておく必要がある様な気がするんだが。」

 「乙女にそんなものを使わせようだなんてぇ・・・銀河きゅん、キ・チ・ク。」


 鬼畜なのは否定しないが、今ここで粗相をされても面倒だしなぁ。それに既にファムネシアは限界を超えている。ナノマシンで膀胱内を洗浄し続けている状態だ。完全にやってしまわないのは、俺のやさしさ。・・・?ちがうか。だが一人でやっちまうよりか、二人の方が心は楽だろう。・・・。周りも、どう扱っていいか迷うものだなこの状況は。なるべく早く到着してほしいものだが、もう手遅れな気がするな。


 もうほっておこう。


 「ふぅ・・・。玄関先までビタ付けしてくれるみたいだな。ロペ。トイレまで案内してやってくれ。

しかし何でこんな事になったのやら。」

 「・・・アンジーさんのせいです。・・・くぅぅぅぅぅ。」


 アンジ―?


 「アンジーが詰まらせたとか?」


 「雨宮様!!訂正を求めますっ!!そんな事にはなっておりません!!」


 後ろの方の席から元気な声が聞こえてくる。彼女が後ろの席でロペの実家にワクワクしていたのを俺は知っている。


 「あはぁ~。女の子いっぱいいたでしょ?シャトルの中。」

 「そういえばそうだな。七百人近くはいたな?」

 「シャトルのトイレって男女二つずつしかなかったよねぇ?」

 「・・・。そうだったのか?使わなかったから知らなかったわ。」

 「足りるはずないよねぇ。ここに来るまでの間、ずっと行列が途切れることなんかなかったのさぁ。」


 それで廊下に皆座っていたのか。あれは駄弁っていた訳では無かったのか。トイレの行列だったらしい。


 バスが止まった。と同時に扉が開き、ヨロヨロと内股の状態でファムネシアと、イントが慎重な足取りでバスの階段を降り、開かれた玄関の扉からメイドさんのような人たちと、一・二言かわしつつ、恐らくトイレに向かうのだろう。台車の様なものに乗せられて、メイドさんと共に走り去っていった。


 何とかなったか。・・・ん?


 他のバスからも次々と女たちが屋敷の中に走り込んでいく。倒れて運び込まれるものも少なからずいるようだ。

トイレ事情は深刻な様だ。言ってくれればナノマシンでトイレを拡張したりもできたのだが・・・。

いや。そんな事をしたら、シャトルの何%がトイレになっていたかわからないな。

 他の者たちも順にバスを降り、拡声器を使ったアメリアによって各々今日の宿、キャッシュマン邸の部屋の中へと案内されていくようだ。

 

 手際が良いな、アメリア。


 そして玄関前が混雑しているので俺はその様子を見ながら、のんびりと男衆、そしてトイレ事情から切り離されている千里、ロペ、アミィと共に

バスの中でのんびりしていた。


 「にしても、ロペも我慢していたりしなかったのか?」

 「もぉ~。デリカシィ~。」

 「悪い悪い。純粋にどうしていたのか気になっただけなんだ。」

 「多分銀河きゅんと同じことをしているのだと思うよぉ?エネルギーリサイクル。みたいな感じ?」


 ・・・。あぁ、確かにエネルギーの効率化をする前はそういうやり方も実はやっていた。しかし、効率化が済んでからは、そもそももよおすという事が無くなったので、リサイクルと聞いてもあまりピンとこなかった。今の俺の体は、ほぼ100%無駄なくエネルギーを生産できるので、老廃物などというものが、発生しないのだ。だがあくまで、ほぼ。である限りなく100%に近いだけであって本当の意味で100%では無い。だからトイレに行きたくなることも稀にある。病気になるなど、何かきっかけでも無ければ、数日は必要が無いだろう。そもそも病気にもならないが。


 「俺はリサイクル自体する必要が無いからな。悪いが共感は出来ないな。だが、ちょっと前はそういう事もしていた。」

 「その情報は共有すべきだと思いますが・・・。」

 「私もそう思うわ。銀河君ちょーだい?」


 ロペは一緒に居たから、俺がなぜこの情報を共有しなかったのか分かっているようだが。

千里の奴、何でもかんでも与えると思ったら大間違いだぞ?それに・・・。


 「そりゃ無理だ。今のお前たちの体ではこの情報は扱いきれない。物理的な容量が足りないのだよ。もっと自分の体でナノマシンを量産できるようになってから

出直してくるんだな。」


 俺は今も常にナノマシンを量産し続けている。いつ使うかは分からんが、いっぱい居ても邪魔になる様なものじゃないし、余剰エネルギーで生産することも可能だ。

使うときは結構使うからな。こうやって徐々に数を増やしていれば、補助記憶装置の様なものも作れる。物理的な容量に関しては、生産したナノマシンで賄うことが出来るのだ。

万能だわナノマシン。


 そろそろ皆中に入ったか。俺たちも行くべきなんだが・・・?


 「どうしたロペ。もうそろそろ行こうぜ?」


 ロペはもじもじと急に焦りだした。


 「いや・・・あのね・・・?実はちょっと帰りづらかったり・・・。」

 「なんでだ?」

 「いやぁ・・・。実はさぁ、婚姻届け何だけどぉ・・・。親に黙って勝手に出しちゃったんだよねぇ。」


 ????

 どういうことか?そんな事に縁が全くなかったから、内容もわからんな。


 「・・・うぅ。役所をハッキングして提出しちゃった。」

 「犯罪の方かよ!」

 「大丈夫!偽造した本物は嘘じゃないから!」

 「偽造してる時点でアウトだから!・・・だよな?」


 アミィちゃんは呆けているが、気を取り直したようだ。


 「ロペさん!ズルいですよ!?そんな・・・婚姻届けだなんて・・・。」


 この手の話は触らぬ神に祟りなしといった所か。俺も降りよう。


 バスを降りると昼間と見紛うほどの明かりに照らされたキャッシュマン邸の玄関に辿り着く。

俺たちの乗っていた一番先頭のバスは、本当に玄関の間鼻先までギリギリで止まっていた。

 やり過ぎじゃないだろうか。最近はやくざだってコンビニの入口まで車を付けたりしないぞ?むしろ一般人の方がたちが悪い・・・じゃない。

扉を開けたことでセンサーが反応して自動ドアが開く。そんな距離感。ないわぁ。

逆に運転手さんの技術の高さよ。バスでやるかよ・・・と。


 「これ迷惑じゃないか?なんか悪いね?」


 俺はバスの出入り口のすぐ横に控えていたメイドさんらしき人に声をかけてみた。


 「いえ。緊急事態とのことでしたので。問題はございません旦那様。」


 怒られなくてよかったよ・・・って旦那さま?

 俺は屋敷の中から現れたもう一人のメイドさんと、今声をかけたメイドさんの二人に両脇を抱えられて、そのまま引きずられていく。


 「な・・なぁ?その?感触が嬉しいんだが。どこへ行くんだ?引き摺られていると若干居心地が悪いんだが?」

 「まぁまぁ。旦那さまったらお茶目さん。」

 「どうぞお気になさらずに。」


 いやいやいやいや。気にすんなってどんな返事だよ!力ずくで抜け出すのは簡単だが、って、力あるなこの二人!

ずずずーーーーっと俺は引き摺られて何処かへ連れていかれるようだが・・・。


 「逃げないし!歩くから!ちょっとまってくれ!」


 そう言うと漸く引きずるのをやめてくれた。


 「全く・・・。強引な娘は嫌いじゃないが、問答無用とはどういうことなのか。」


 「申し訳ございません。しかし大奥様からの指示でしたので。」

 「そういうことなのぉ。ごめんなさいねぇ?」


 腰まである黒髪をポニーテールにしている凛とした雰囲気のメイドさんは、若干顔が赤いが、

ゆるふわ系の茶髪セミロングにウエーブの髪のメイドさんはポーカーフェイスなのだろうか?笑顔を絶やさない感じがなかなか好感が持てる。

大奥様とは一体誰なのかねぇ?まぁ、ロペの家族の誰かなんだろうが。


 「で、どこに行くんだ?」

 

 このまま処刑台にでも連れていかれる・・・訳ないか。


 「もう直ぐそこですので・・・。こちらへ。」


 俺は言われるままに一つの大きな扉の部屋の前に辿り着く。二人は両開きのドアをかたほうずつノブに手をかけゆっくりと扉を開いた。


 部屋の中は簡素な作りの執務室といった感じで、正面奥から、デスク、ソファー、テーブル、ソファーといった感じで、書類棚の様なものが壁際にいくつかあるが、

それだけで、調度品の様なものは一切見当たらない。使用者の性格の一部が垣間見えるような質素な作りだった。


 「ようこそ我が家へ。婿殿?」


 は?婿殿?

 デスクに腰を掛け、こちらを値踏みするように見ているスラリとスリム体系の、妖絶と言っても差し支えの無いような空気を醸し出した美女が俺を出迎えてくれた。


 「あの?・・じゃない。この度は無理を叶えて頂いたようで誠にありがとうございます。私は・・・。」

 「堅苦しいのは私の趣味じゃないね。婿殿。まあ掛けなよ。シェリー、弥生、お茶とお菓子の用意をしな。」

 「「畏まりました大奥様。」」


 そう言うと二人はお茶の用意に出ていった。


 「にしても、サラリーマンかい?アンタ。面接とか取引じゃないんだよ?」

 「・・・。」


 俺は彼女の意図を計りかねていた。まぁ家族の事だ。本人がやらかしたとはいえ、何かしら言いたいこともあるだろう。


 「失礼しました。大奥様?」

 

 そう呼ぶと、明らかに不機嫌になり、向かいのソファーに座った大奥様が立ち上がり、なぜか俺の膝の上に座ってきた。

 ??!!??何でこうなった!ロペの親とは思えないほどの肉圧!ロペが熟すとこうなるのか・・・。じゃない。


 「何してんスか。膝が気持ちいいっスよ。」


 しまった。つい本音が出た。だが、THE・女。といった感じだ。これは男ならだれもが憧れる・・・。だから違うというに。


 「硬いのは股間だけでいいんだよ!全く・・・。私は別に怒る為に呼んだんじゃないんだよ。

ただ話を聞かせてほしかっただけなんだよ。これでも孫の旦那になったアンタを歓迎しているつもりなんだ。」


 ま・・マゴ!?


 「お・・。」


 「おぉ!?」


 イカン。こんな若いおばぁちゃん素敵過ぎる。つい失礼な事を言いそうになったが、腿を思いっきりつねられて思いとどまった。


 「それなら良かったですが。一体何の話を聞きたいと仰るので?」

 「その話なんだが、今日急にアメリアが返ってきたと思ったら、ロペまで帰ってくるって言うじゃないか。

あの二人は十年近くここに帰って来た事は無かったんだよ?しかも、アメリアは彼氏が出来た、ロペは結婚した。そんな話を聞いたわけさ。

事情の一つも聞かせて欲しいのは親心ってもんじゃないかい?」


 まぁ確かに。本来なら挨拶に行かなきゃならん・・・って、まぁ、礼を失するつもりも無いし、ちゃんと話をしておくのもアリか?

しかし本人の居ないところで色々言っていいものかどうか。


 「そうですね。何から話をすればいいか。正直なところ、彼女については全くと言っていいほど知らないんです。まだ彼女に出会ってから一月も経っていないですからね。」


 ・・・?ぶっちゃけ過ぎた?だってしょうがないじゃん?ベロペとしての思いや、考えは多少聞いたが、ロペとしてのあいつの事は、元軍人、嫁、ハッカー。位しかわからないんだが。


 おば・・大奥様は器用に膝の上でV字開脚しながらくるっと俺の方を振り向いた。

 

 見えるかと思ったが見えなかった。・・・じゃない。


 「出会ってから一月も経ってない!?・・・どういう事だい?まぁ・・・愛に時間は関係ないとは言うがねぇ?」


 愛に時間は関係ないか・・・。それはそうなんだが・・・この人はロペの事をどこまで知っているのかなぁ?


 「俺の話は、兎も角、ロペの事は貴女の方がよく知っているのだろうと思いますが・・・。今のあなたを見ると、

ロペから聞いていない事が沢山あるようですね?ロペの話を聞いてからでないと、お話しできない事が多すぎるのですよ。」


 顔が近い・・・。きっと相当俺より年を取っているはずだが、間近で見ても肌年齢は30代と言っても差し支えない、ちょっと良い匂いもするし。

あんまり過剰なスキンシップをされると、俺のリミッターは直ぐに外れちゃうぜ・・・?


 彼女は困ったような苦虫を噛み潰したかのような顔になり、俺の方に顎を載せるように覆いかぶさってきた。


 「あの子があたし達に何かを隠しているのはなんとなくわかるさ・・・。でもねぇ。あたしとしちゃ、聞いていものか分からなかったのさ。

あの子は昔から、軍に対して激しい憎悪を抱いているようだった。だが蓋を開けてみたらどうさ?軍人になったという話じゃないか。

もうあたしは気が気じゃなかったんだよ。クーデターでも起こすんじゃないかって。あの子は昔から頭も良かったし、運動もできる子だったし何より、

あの子は世界に事情に詳しかった。どうやって手に入れた情報かは分からなかったけどね・・・?」


 まぁ、元々神みたいな存在だったしな・・・。俺は話を聞いたからわかるが・・・俺が間接的に話していい事じゃないような気がするな。

折角の家族なんだから、全部話しちゃえばいいのに・・・。・・・ハッ・・・どこの誰がそんな事を言うのか。俺の言える様な事じゃないな。

俺ははっきり言って家族と仲が良いどころか、お互いに全く無関心だったからな。前世に全く未練が残らなかったのは、そういう接し方をしてくれた親のおかげでもあるのかもしれないな。


 俺も彼女の真似をして彼女の方の上に顎を載せる。


 「折角本人が居るんだ、本人にちゃんと聞いたらどうですか?」


 「聞きにくいじゃないかぁ・・・今更なんだよぉ・・・。」


 この女は・・・。ん?・・・女?俺はロペの祖母相手に萌えているのか・・・?なんか来るものが・・・。

 彼女は頬ずりしながら何故か甘えてくる。


 「あの・・・。大奥様・・・?お茶が入りましたが・・・。」


 なんだが妙な空気がこの場を支配している。俺はこのばぁちゃんの何者なんだ・・・。

何時から見られていたのか分からんが、なんか恥ずかしいぞ。


 「弥生。そんなところで突っ立っていないで、さっさと準備しなさい。」

 「ハッ、失礼いたしました。」


 弥生とシェリーは洗練された動作で、テーブルにお茶とお菓子を出してくれた。三人分・・・。三人分?


 「ぎぎぎぎ・・・銀河きゅん!何でおばぁちゃんとハグハグしているのだ!」


 心の乱れが前面に押し出された反応を示してくれるロペ。

 妙なところを見られたなぁ。


 「知らんがな。流れに任せていたらこうなっていた。」


 特に何も考えていなかったしな!ん?

 ロペは無理やりソファーの背もたれを乗り越えて俺の背中と背もたれの間に体をねじ込んできた。

何やってんだよ、わざわざそんなところに・・・。


 「狭くないのか?」

 「狭いょ!」

 「アンタはいきなり何をやっているんだい。」


 何をやっているってのはあんたも同じだ。と言ってやりたいところだが、どうもそんな空気じゃないなぁ。


 「二人とも普通に座れよぉ。」

 「「い・や・だ!」」


 なんでハモってんだ・・・。断られたし。


 「ロペ・・・いや、もういいか。俺が話をする前に、自分で言わなきゃいかん事があるんじゃないか?」


 何で俺が仲介しているんだか・・・。蟠りがある訳では無いんだろうが、まぁ、適当にやってくれ・・・。


 「うっ。タイミングが無かったんだよぉ。言わなきゃいけないとは思っていたんだけどぉ。」


 はぁ・・・こんな時でもなければ、幸せ感触を思う存分楽しめたのだがなぁ。前も後ろもぽよぽよがふわふわで、むにむにですぞ?


 「さぁ。聞こうじゃないか。言いにくい話って奴を。」


 もぞもぞ動かないでくれぇ~。アンタ前に居るんだぞぅ・・・。


 「う~~。あのねぇ?」


 それから何故か二人は俺を挟んで(物理的に)小一時間はかかっただろうか?ロペの正体を説明したり、世界の事情についてだったり、

俺が知っている内容から、ロペの子供のころの話、軍に入った理由や、俺も知らなかった話など、俺にとっては特に驚くような話ではないが、

身内としては驚くべき内容の話だったのだろう。そしてなぜか、ロペの話が終わった後、大奥様はロペに対して土下座をしていた。

何故そんなことになったかというと・・・。


 「おばぁちゃんには良くしてもらったから、言いにくかったのぉ・・・。」

 「管理者様とは知らず大変失礼をいたしましたぁ!!。」


 実はこの人、パンフレットに乗っていたキャッシュマン一族の創始者、ジェニファー・キャッシュマンその人だったのである。

そしてこの人もまた、ロペ・・・否、ベロペ本人から直接世界の危機に関しての情報を聞いていた人物の一人であった。

しかし、彼女が軍を退いたのはもう既に350年ほど前の話だ。ロペもそのことは良く分かっているらしく、気にしていない土下座するなと、

繰り返し言っていたのだが、結局綺麗な土下座をぶちかましてくれているわけだ。

そもそも彼女自身がそうやって頭を下げる必要は全くないのだ。彼女は太陽系を一つに纏めた立役者の一人であり、

現在の統合歴を今この時まで長く続かせる礎を築き上げた功労者でもあるし、歴史的な英雄でもある。

しかも彼女は在任中は軍備に手を抜くことなく、外敵との遭遇に備えて水星から海王星に至るまで、手広く軍備を進めてきた。

それでもなお、今の軍の現状を知っていたと言うだけでこの土下座である。


 最初の印象とは全然違うなぁ。何というか、責任感の塊というか、そこまで気にすることないのにって、俺みたいなのは思うんだが・・・。


 「なぁ・・・話しにくいし、ドサクサに紛れて俺の脚に顔面をすりすりするのを止めようぜ?」

 「ハッ!気が付いたらすりすりしていたわ!恐るべし!」

 「もぅ~銀河きゅんたらぁ・・・。女ったらしなんだからぁ。」


 なんか俺のせいにされてる。酷くね?


 「わたしはおば・・」

 「ジェニ。」

 「え?」

 「ジェニとお呼びください管理・・・。」

 「だからそういうの止めてよぉ!私は普通がいいの!」

 「しかし・・・。」

 

 俺が間に入らないとだめなのかなぁ・・・。


 「おばぁ・・・。」

 「ジェニ!!!!」

 「はぃ・・・。」


 ビックリした・・・。鬼気迫るという言葉がよく合う・・・。

一瞬、ほんの一瞬彼女の背に阿修羅が見えた。しかもまた先ほどと同じように俺と向かい合わせに膝の上に座ってきた。

なんでやねん。


 「ジェニは普通にロペとして接する。代わりにジェニって呼ぶ。これで良いんじゃないのか?もうその位にしておこうぜ?

あ、弥生ちゃんおかわり貰っていい?」

 「はい。只今。」


 すっかりぬるくなった紅茶を飲み干し、おかわりを注いでもらう。お茶請けのクッキーは甘さ控えめのバタークッキーだ。

一息ついて二人がそれぞれの妥協点を見出す時間を待つ。もちろんその間俺はずっと二人に挟まれたままだった。

 若干汗かいてきた・・・。そろそろ退いて欲しいんだが、今話の腰を折るのも今更だしなぁ。


 「「分かった。」」


 二人の声がハモり、また二人ともなぜか俺の方に顎を載せながら話始める。なんで俺がクッションみたいになっているんだよぉ。


 「はぁ~~~。まさか、うちの子が管理者様だったなんてねぇ・・・。」

 「ごめんねぇ。言いにくかったのぉ。今の現状を一番気にしているだろうことは分かっていたからさぁ。」

 「ところで、二人は俺から降りないのか?」

 「「降りない。」」


 なんでやねん・・・。


 「話はまとまったかぁ?」

 「あたしたちの話はね。今度はあんたの事を聞かせてもらうよ?」

 「しょうがないなぁ。」


 俺は自分の今日までの軌跡を掻い摘んで話した。途中、ナノマシンの話題に触れた際、俺の腕を握る手に妙に力が入ったりもしたが、大体信じてもらえたらしい。

この世界では転生者転移者なんかザラにいる。しかも、ジェニは統合歴より長く生きている。今は統合歴423年。少なくとも423歳以上ではあるのだ。

統合歴元年には軍のトップだったんだ、プラス五十年は見てもいいだろう。

 むぁ・・。急にジェニにほっぺたをかまれた。痛い痛い。


 「なんだ急に噛みついて来てぇ・・・痛い痛い・・・。」

 「何だか失礼な事を考えている気がした!」

 「ジェニちゃんズルい。私もぉ~。はむっ。」


 ちょ・・・反対側もロペに噛みつかれたんだが・・・。じゃれつかれて悪い気はしないんだが・・・歯形が残る歯形が残る・・・。

 この謎の状況何とかしてくれよと、メイド二人に助けを求めるが、シェリーは何故か指をくわえて自分も加わりたそうな顔をしているし、

弥生は弥生で、顔を赤くしながらこちらをチラ見している。俺を助ける神はいないのか・・・。


 「神は死んだ!」

 「確かにねぇ。」

 

 ロペに言った訳じゃ無い!


 「おばーちゃーん。ただいまぁ。って、何事なのこれ?」


 神キタコレ!


 「アメリア、助けてくれぇ。」

 「何だか面白そう・・・。」


 おいヤメロ。こっちに来るなぁ。


 「私も―。」


 あぁもう・・・一体何をやっているのやら・・・。アメリアまで加わって、何の遊びかと思われるじゃないか。

 ジェニとロペの外側からさらに抱き着いてきたアメリア。それを合図にしたのか、メイド二人まで何故か抱き着いてきた。


 「わぁたぁしぃもぉ~い~れ~て~。」「あ・・あの・・えいっ。」


 ぐふっ・・・。思いのほか二人が飛びついてきた勢いが強かった・・・。もう勘弁してくれ・・・。


 結局全員の気が済むまで団子になったまま、俺は身動きが取れないまま、もう寝てしまおうかと思ったが、一応年長者、ジェニが離れると他の者たちも

名残惜しそうに離れていった。


 「はぁ~~~~。さすがに暑苦しいわ!!何人で団子になってんだ!何がしたかったんだ!」


 圧迫から解放された俺は一応怒ってますと意思表示をしてみたが、ロペとジェニがまた噛みつこうとしてきたので、二人の顔面を掌で押しのけた。


 「話が進まん!」


 イチャコラしたいのはしたいが、限度ってもんがある。


 「で?これからどうするつもりなんだい?ロペはその・・・本当にやるのかい?復讐を。」

 

 ジェニの意思確認に、部屋の温度が少し下がったような気がした。


 「当然だよぉ。その為に軍にも入ったし、ここに戻ってきたんだから。」


 まぁ軍はやめたけど。と付け足しつつも、憮然とした表情になって俺の右側に座ったロペは今度は膝の上に頭をの乗せてきた。


 「まぁ。今更止めやしないさ。あたしにも何かできることはあるかい?とはいっても、軍を退いてもう長いから、たいした事が出来るとは思えないけどねぇ。」


 今のジェニの立場は、キャッシュマンエレクトロニクスという、スペースワーカーの開発メーカーの代表であるというだけだという。


 「銀。あんたは?復讐を手伝うのかい?」


 銀て・・・。まぁ気安いのは嫌いじゃないが。


 「そうだな。約束したしな。後俺は冒険がしたい。この世界の太陽系を制覇するんだ。」

 「ふふっ。嬉しそうにまぁ。でもあんた達、船は持っているのかい?」


 あ。ここまで来たシャトルはもう売り払ったと言っていたから。買うなり作るなりしなきゃいけないんだよなぁ。

しかし俺は宇宙船の構造なんぞ詳しく調べていないから、作るのはちょっと無理だな・・・。後流石にあの大きさの物体をナノマシンで作ろうとすると

相当なエネルギーが必要になってくるだろう。今の俺ではまだエネルギーが足りない気がする。

以前のようなエネルギーの自転車操業は勘弁してほしい。あれは実は相当つらかった。

食っても食っても腹が減り続けるあの状況は精神状態に良くない。心にくるものがあるのだ。飢餓状態のまま腹が膨れない。あんな神経の磨り減る状態もなかなか無い。


 「無いな!ついでに言うと俺は無一文だ!買うなんて選択肢なかったぜ!!へへっ!・・・へっ。」


 あれ・・・?おかしいな目からウォーターが・・・。


 「ふーむ。スペースワーカーならウチから出してやってもいいんだけどねぇ。さすがに船は・・・。船・・・。」


 ジェニは何かを思い出したように立ち上がり、デスクに備え付けてある通信機の様なものを操作した。


 「ちょっと待ってな・・・。知り合いにモニターを探しているっていう奴が居てね・・・・。あぁあった。」


 何やら調べ物をしているようだが、ソファーに座ったままでは何をしているのか良く分からないな?


 そうしている間に何故か左側に座ってきたアメリアが、俺の開いている左足の上に頭を乗せてきた。


 「この姉妹は全く・・・。」


 そう言いながら頭を撫でてしまう俺も毒されているなぁ。ってロペの野郎一人だけ先に寝ていやがる。

アメリアまで・・・。動けないじゃねーか。


 そうしてまどろんでいる間に、ジェニは話がついたのか向かいのソファーに腰を掛けた。


 「ふふっ。眠たそうだね?」

 「眠る必要は無いんだがな。気分の問題だ。こういうのを止めてしまうと、人としてのアイデンティティが失われていくからな。」

 「難しい話だねぇ。まぁ、これを見な。」


 そういってジェニが俺に手のひらより少し大きい、携帯端末と思われるものを手渡してきた。


 流石未来系世界。こういうのタブレットみたいに普及しているんだな。しかも俺がいた時に在ったタブレット端末よりはるかに高性能だな。

比べるべくもない。ピンとキリの両端にあると言ってもいいな。


 「ふむ?どうやって使うんだこれ?」

 「あぁ・・・そこからか。」


 ジェニは暖かい笑顔で俺に携帯端末について教えてくれた。ちょっと恥ずかしいが始めてみたんだしょうがあるめぇ。


 この小型端末は、アクロスSSというらしい。この端末もジェニの知り合いの会社で作っているものをもらったのだとか。

細かいスペックについては教えてもらったが良く分からんかった。だがとても便利なものであることが分かった。

この小型端末一つで、地球が生きていた時代のスーパーコンピューターと言われていた、どデカい箱よりも高性能なんだとか。

ネットワーク機能については太陽系全土で無料で利用可能であるらしく、コンテンツ使用料によってインフラを賄っているのだとか、

インフラ事情も少し教えてくれた。


 「取り敢えず手のひらに乗せて、念じればいいんだよな?」

 「そういうこと。手で操作する必要のないタイプは便利さ。起動さえしてしまえばあとは置いておくだけで、思念波を受け取ってくれる。

捜査が直感的でやりやすい。」


 俺はさっそく貸してもらった端末を手において起動させた。アクロスSSのOSだろうか?『忍』と一文字浮かんですぐに消えた。

前世ではやり始めたウェアラブルデバイスとはまた違った趣があっていいな。

端末から光が溢れ、空中に画像と文字が現れる。


 なになに?ワイルドローズ社よりモニターのお願い?


ーーーー


 親愛なるジェニファー・キャッシュマンへ


 この度我がワイルドローズにおいて新たな技術を用いた新型戦艦を開発いたしました。

つきましては、元軍人でもあるキャッシュマン代表に個人的にご使用いただき、感想を頂戴したいと思い、

メッセージをしたためました。

 当社の開発テーマに添い、少数による大型船艇の利用を快適に行っていただくための新たなデバイス、OS

各種端末を全て自社開発いたしました。純ワイルドローズ製の新しい船艇をぜひお試しいただければ幸いです。

詳しいスペックに関しましては別途添付のデータを閲覧いただければ幸いです。

簡素なお誘いではありますがぜひお返事をいただけると嬉しく思います。



ーーーー


 「新造戦艦のモニター?ワイルドローズって言うのは戦艦の開発メーカーなのか?」


 「いや?違うね。あそこは個人用の通常船舶、所謂普通の宇宙船のメーカーさ。つい最近代替わりしてね。

戦艦製造のライセンスを取ったんだと。」


 内容自体は難しい事ではないのだが、元になる情報が無いためどうにも集中できない。実物を見れたらまた違う話なのだろうが、

いかんせん俺はTHEスペースシャトルといったものしか見たことが無いから、ピンとこない。


 「ふ~ん・・・?凄い事なのか・・・?」


 「まぁまぁって所かね?新しく代表になった娘も若いから、とりあえずの手土産みたいなものじゃないかとは思うね。

で。どうする?欲しいならもらってくるけど。」


 「これ、くれるって話なのか?モニターってそういうモノじゃないと思うんだが?」


 「なに、くれって言ったらくれるさ。嫁入り道具にしちゃ味気ないから、また今度別の物を探すけどね。要は感想を言えばいいのさ。

このメッセージではそれだけしか、書かれていないし、別にロペもアメリアも元軍人っちゃ違いないから、そっちの感想でってことにすりゃいいさ。

アンタが小難しい事を考える事は無いよ。」


 んんん・・・?そういうモノなのか?まぁくれるっていうモノを断っても何もないだけだし、もらえるモンは貰っとくか。


 「じゃあとりあえずそれで。」

 「了~解。返事出しとくよ。ほら。これがスペックデータさ。一応さらっと目を通しておきな。」


 なになに?1キロメートル級・・・。1キロ!?デカくないか!?


 「なぁジェニ・・・?この戦艦デカくないか?」

 

 デスクについてさっそく返信メッセージを返しているジェニに俺は訊ねてみたが・・・。


 「別におおきかないさ。中の上、分け方としては中型戦艦さね。あんたタイタンとか見たことなかったか。というか、ヘルフレムに居たんだろう?

あの超ド級戦艦に比べてみなよ?豆粒みたいなもんさ。」


 そういってけらけらと楽しそうに笑う。


 「あの船はタイタンが記録を抜くまでずっと太陽系で一番デカい戦艦だったのさ。タイタンは増設を続けてまだドンドンデカくなっているみたいだけどねぇ。」


 確かにあの船は異常にデカかった。爆破直前に見たデカさは並じゃないと、一瞬しか見れなかったがそう感じたものだ。

シャトルが豆粒。きっと中から外が見られたならそう表現できただろう。


 「ヘルフレムは・・・っと。あぁあったあった。えっとぉ?あはっ!こんなにデカかったのか!三百キロメートル級だってさ!」


 !?


 「何それ誰得!?そんなにデカかったっけ!?」


 まぁ俺がいた監獄棟も確かに広かったは広かったが、あの廊下は一周しても百キロも無いはずだ、せいぜい二十キロ位の筈。

えーっと・・・ヘルフレムのデータは・・・。有った。


 「あー。確かに・・・。あの戦艦、大型戦艦を百隻艦艇に収納可能なように設計されているな。デカいはずだ。」


 「ん?それはどこの情報だい?」

 「俺の情報。脱出する前に、図面から何から、全部サーバーにたたっこんでやった。」


 ん?今度はジェニが唖然とした表情で俺を見ている。

何かおかしなことを言っただろうか?


 「なぁなにか・・・。」

 「その情報買う!いくらが良い!?いくらでも出すから!!」


 !!!ものすごい速さでデスクから俺の目の前まで飛んできた。


 「え・・・えぇ??」

 「どんなデータがある!?図面って言ったね?詳細スペックは?エンジンルームの材質は!?開発前段階の草案とか無かった?」


 ちょちょちょ!!


 「急になんやねん!どないしたんや!」

 「O-シップの情報だよ!?そのデータがあればうちも戦艦に手が出せる!しかもO-シップを再現できるかもしれないんだよ!?

そりゃ興奮するさぁ!!船艇生産企業の悲願と言ってもいい!あのヘルフレムのデータは、太陽系全土の科学者や学者が全く手が出なかった代物なんだ!

そんな貴重な生データ!高く買わないはずが無い!!」


 ダメだ。ジェニの目がキラッキラしている。


 「ヨダレふけヨダレ。別にデータを渡すのは良いんだけどさ、多分一番欲しいと思っているデータは手に入らないぞ?」


 こいつが犬だったら尻尾が千切れるほどに振っていただろうと思える飛びつきっぷりだった。

 だが・・・。


 「どういう事だい?」


 「エンジンのデータは渡せない。」


 やはりこれが目当てなのだな。ジェニの目が歴戦の英雄を思わせる鋭いものに変わる。


 「何故だい?アンタに使えるものでもないだろう?」


 確かに、今の俺には使えない。今の俺には・・・な。


 「そうでもない。まだ時間はかかるだろうがな。それに・・・。」


 「あのエンジンは危険すぎる。俺は今もナノマシンであれの解析を続けている。解析の程度はおよそ20%といった所だ。」

 

 「もうそんなに進んでいるのか!」


 これは一つ、唯一にして最大の条件がある。


 「あぁ。だがこれは俺にしか不可能だ。この世界のどこでも出来ない。」

 「内にだって研究機関ぐらい・・・。」

 「そうじゃない。違うんだ。これはそういうモノじゃないんだ。」


 全体の五分の一、たった20%の情報からでも読み取れることがあった。そしてこれは、

ロペから手に入れた閲覧権限が無ければ認識することすら不可能な情報。恐らく残り80%の情報もそういったモノである可能性が高い。

 折角目の前にした御馳走が実はただの食品サンプルだった、そんな表情だな。匂いも味もある食べられないもの。

迷惑極まりない話だ。ただ空腹感だけが刺激される。ジェニの不満も一気に高まっただろう。


 俺は一つ思いついたことをジェニに試してみることにした。


 「なぁジェニ。今から大事な事を言うからよく聞いてくれ。」

 「大事な事って何だい?もうお預けはごめんだよ!?」

 「いいか?ヘルフレムのエンジン、あれはしょうゆとソースを卵につけて肉うどんに飲ませるんだ。」


 !?俺は一体何を言った!?認識できなかったぞ?

自分の口から出た言葉が認識できないとか、ちょっと冗談じゃない話だな・・・。


 考え込んでからふとジェニを見ると、ジェニは目に涙を浮かべて俺を見ていた。


 「むむむむむむむ!!!!」

 「落ち着け。俺が何を言ったかまず聞かせてくれ。」

 「えぇ?」


 ジェニの表面張力でギリギリ落ちない涙をそっと指で拭ってから、俺は訊ねた。


 「キザな事を・・・。なんか・・?しょうゆとソースを卵につけて肉うどんに飲ませるんだ?って言っただろ?」

 「はぁ?なんだそれ?そんなふうに聞こえたのか?」

 「聞こえたも何もそう言ったじゃんか!」


 んんっ。キャッシュマン家の伝統か?幼児退行してき始めたぞ・・・。


 「閲覧権限に引っかかったんだねぇ?」


 膝の上に頭を置いたままのロペが目を覚ましたようだった。良く見るとアメリアもすでに目を開いてこちらを見ていた。


 「俺は権限を持っているぞ?ロペからコピーしたし。」

 「も~そんな事勝手にしてぇ。めっ。」


 鼻の先っちょをプッシュされた。


 「なんのはなしぃ?」


 寝ぼけ眼のままで頭を上げたアメリアはめいいっぱい大きなあくびをして立ち上がった。


 「部屋で寝るねぇ?」


 どうやら眠りが足りなかったようだ。それだけ言うと部屋出ていった。


 「あの子は相変わらずだねぇ・・・。なんか毒が抜けちゃったよ・・・。」


 ロペも起き上がり、伸びをしてソファーの背もたれにぐでんともたれかかった。


 「それでロペ、詳しく教えてくれるのか?どうなるかと思ってやってみたらこうなったみたいでな?」

 「んー。みそらーめんにいちごみるくをまんとひひにみきさーするからだよ。」

 「「はぁ?」」


 「どう聞こえた?」

 

 ロペはしょうがないなぁと言うように俺の頬を撫でながら言った。


 「えー。味噌ラーメンにいちごミルクをマントヒヒにミキサーするからだよ。って」

 「分解して話すとね。」


 ロペからの説明では、謎の言葉の羅列になった部分は権限のない存在がいる場所、及び、記録端末やデバイス、

そういった補助記憶装置やそれに準ずるものがある場所では、そういうふうに強制的に変換されるのだそうだ。

俺がロペにどう聞こえたか説明したときは、聞こえたままに返したので、特に閲覧権限に引っ掛かる事を言ったわけではない

さっきのジェニもそうだった。ジェニには権限が無いし、この部屋には監視カメラもある。ここで話すことは出来ないし、

そういう物が無い場所でも、ジェニには何度話しても意味のない言葉に変換されてしまうらしい。


 「銀河きゅんと二人っきりで放すなら、ちゃんとした言葉で認識できるだろうけどねぇ?」

 「わたしわぁ?」

 「・・・・ざんねんっ。」

 「あ~ん」


 一応諦めてはくれたらしく、嘘泣きで俺の股間に顔をうずめてきたから、そのまま顔をソファーに押し付けて後頭部に座りなおした。


 「んんんんんんーーーーーーーーーーーーー!!!」


 「おぉ・・・銀河きゅん容赦ない・・・。」


 「因みにデータをそのまま渡した場合はどうなるんだ?」

 「多分保護プログラムが勝手にどこからかインスコされて、デバイスが死ぬと思う。」


 何処からともなくとか、恐ろしい話だな。


 「折角船をもらう話になったんだ。何か礼をしたくてな?この話をしてみようと思ったんだが・・・。

まぁこの有様でな?」


 「んんんーーーー!!んんんーーーーーー!!」

 

 じたばた暴れだしたので開放してみた。


 「っはぁ!!!。革張りのソファーに顔面スタンプとか!拷問か!!」


 拷問・・・良い響きだ・・・。じゃない。


 「悪い悪い。つい。」

 「そのついで死ぬかと思ったさ!!」

 「で?結局銀河きゅんはそのデータどうするの?

 「エンジン回り以外の分は売ってもいいかと思っている。只の特殊なデカい船ってだけだからな。」


 しかし、ヘルフレムの中には、『太陽系に存在しない』材質のものも多々存在していた。

こういう物のデータもいつか役に立つ時が来るのかねぇ?

実はサンプルになる様なものはナノマシンで持って帰ってきているのだが、虚数空間の中にしまい込んで肥やしになっている。

お金に困ったら手放そうとか考えていたりする。ヤバいデータと違ってこういう物質は簡単にスキャンできるし、ともあれば複製することも簡単に出来る。

ジェニのやりたかったヘルフレムのコピー、外側だけだったら出来るかもしれないな。今でも。


 「う~ん。銀河きゅんがそれでいいなら私もそれでいいや。お金欲しいしねぇ?」


 当のジェニはというと、アメリアが居なくなり、空いた左側に陣取ってもたれかかってきていた。


 「エンジンの情報はぁ?」

 「認識できなかったろうよ?」

 「多分解析とかいうレベルの話じゃないから、他のデータで我慢してねぇ?」

 「それでも十分だけどぉ・・・。」


 「因みにロペはアレの詳細を知っているのか?」

 「ううん。知らない。あれは外宇宙からじゃなくって『外世界』からの漂流物だから。」

 「ううん~何気に新情報。それは問題ない情報なのか?」

 「何処から来たのか分からないし、返す事も出来なかったから、もう仕方ないよね?って事。」


 ふむぅ・・。しかしだ、コバヤシで手に入れた小箱と、ヘルフレムで手に入れた小箱、そして、ヘルフレムのエンジン。

この三つは同じウルテニウム製、しかし、マジックサーキットだっけか、それが使われていたのは最初に手に入れた小箱だけ。

そして、エンジンについては解析を進めてはいるが、どっかの誰かが閲覧制限をかけているらしく、この世界の中ではほぼ認識できない情報になる。

 ん?・・・そもそもウルテニウムって言うのはこの世界のものなのか・・・?何度スキャンしても、その名前だけが出て組成が分かって、それだけ。原産地などが分からない。


 「ロペ。ウルテニウムってこの世界にあるのか?って、聞き方がおかしいな。

この世界で出土する資源なのか?」


 「それはね、ダンジョンの向こう側で手に入る物質なんだよ?という事は?」

 「「この世界には存在しない?」」


 ジェニと顔を見合わせてその答えに辿り着いた。


 「じゃあこのウルテニウムについて閲覧制限がかけられていないのは何故だ?

これ自体は俺自身で複製可能だぞ?」


 「それ初耳だねぇ!?そんなこと出来るのかい!?銀河きゅんもう既に神の領域に片足を突っ込んでいるよぉ?」

 「ナノマシンは偉大です。」


 ロペの方を向いていた俺は急に強い力で引っ張られ、ムチ打ちになるかと錯覚した。


 「銀!私にもウルテニウム頂戴!!あれは生産不可能な物質としてしか知られていないんだよ!?」


 ちょっとゴキって音が鳴った気がするぜ。

 

 ウルテニウム自体は俺が解析した情報によれば、オリハルコニウムの上位版みたいなものだけど、

その硬度や弾性、鉱物としてのあらゆるパラメーターが天文学的にかけ離れている。

普通に上位の物質が出たというよりむしろ、バグです。とか言われた方が納得が出来るアイテムではある。

こんなもん一般に流せるかっちゅ―の。市場破壊も行くとこまで行っちゃうっちゅ―の。


 「ちょっとならいいかね?ロペさんや。」

 「アクセサリーにする位ならいいんじゃないかなぁ?」


 ほぉ。その発想は無かったわ。そうかそうか・・・。武具にするって手もあるな。


 「それ採用な。カタログとかちょっと研究してみないとなー。」

 「あ。まだ部屋に昔の雑誌とかあるかもぉ。」


 「私に頂戴ってばぁ~~~!」


 「ハイハイ。今度なんか作ってプレゼントすっから。」


 そういって俺は大分脱線したが、船の仕様書、の様なものに再び目を通し始める。


 なになに・・・。レッドローズ級・・・ふむふむ。そんな名称を付けたんね。

SW搭載可能数100?SWってスペースワーカーの事だよな?そんなに要るのか?

最大艦載機数は・・・約8~10ほぉー。

おっこれこれ。最大乗員数、50名・・・・・・・・?はぁ?


 「ジェニ?これなんだけど・・・。」

 「ん~?どうした?」


 俺は乗員数の数字を見せた。


 「あぁ。これは仕方ないね。ここの船の売りなんだ。少人数で動かせる宇宙船ってね?

ここのメーカーの船は、これ以上のサイズになってもそれ以上必要ないようにくみ上げてあるんだ。

戦艦になってもそれは変わらないみたいだね。」


 「それじゃ困るんだよなぁ?」

 「何でだい?身軽でいいじゃないか。」


 「ジェニちゃん・・・。今日うちに連れてきた人数把握しているぅ?」

 

 そうロペが言うと、ジェニは天井を仰ぎ・・・。


 「あー・・・。ごめんわかんにゃい。」


 やっぱり・・・。それでここにしたのか・・・。


 「800人は収容できないと全然足りないのよぅ。」


 「はぁ!?何でそんなにいるのよ!?」

 「ヘルフレムの女囚全員連れてきちゃったからな。」


 俺のせいじゃないぞ?アンジーが勝手に・・・。


 「しょうがないねぇ・・・。じゃぁ断っておくかぁ。」

 「大丈夫なの?さっき返事してたんじゃないのぉ?」

 「まだ出していなかったから大丈夫さ。」


 振り出しに戻ってしまったなぁ・・・。


 「どないしょかロペ?」

 「買うにしても、中型戦艦・・・いやぁ大型になるのかなぁ?」

 

 「どうせならオーダーしてみるかい?金は掛かるけど後の事を考えたら、

最高のものをそろえておくのが利口だと私は思うけどねぇ?」


 一体いくらかかるんだよそれ・・・。


 「あのなぁー。金ないってゆうてるやろ?」


 すると驚いたようにジェニが俺の顔を両手で挟んできた。


 「むゆっ?」


 「エンジン以外の情報は売ってくれるんじゃなかったのかい?」


 その話まだ終わってなかったのね?


 「分かった。それで一体幾らぐらいで買ってくれるんだ?」

 「それじゃ目録って言うかインデックスもらってもいいかい?」


 あー。なるほど。内容を知らないようにって言うならそれが良いか。


 俺はナノマシンに命じて、ヘルフレム本体のデータを整理し、まとめた。


 「えーっと・・・何で渡そうか・・・?SDカードとか、USBとか、規格そのものが無いよな・・・。」


 流石に敵対しているわけでもない相手にナノマシンを送り込むわけにもいかないしなぁ。


 「何かメディアはあるのか?それに入れて渡すよ。それとも端末に直で入れてもいいんだけど・・・。」

 「ちょっとまってね・・・。」


 ジェニはスーツの内ポケットから女性の小指ほどの・・・なにこれ?


 「ジェニこれ何?イクラの軍艦巻きにしか見えませんが。」


 小指ほどのサイズの超リアルなイクラの軍艦巻きだった。

 触った質感も、海苔とイクラの質感をほぼ完全に再現している。

 無駄にハイテク。


 「これに非接触型リーダライタを搭載したマイクロチップが入っているのさ。これにデータを保存できる。」


 ちょっとほしいやんけ。俺としては穴キュウ・・・じゃないな。


 俺はこのイクラを手に乗せ、ナノマシンを通じてインデックスのみをまず送った。


 「凄い量のデータだね。」

 「俺の分析も入っているからな。研究するまでも無いと思う。」


 ナノマシンで解析したデータもそれを分析したデータもある。そこまで渡す必要があるかどうかはさておき、取り敢えずジェニの見解を聞いてみたかった。


 「と、いう事はほぼ完全なデータがあるって事かな?」

 「まぁそういう事かな?エンジン以外。」


 あっ・俺今余計な事言ったな。

 ジェニがジト目で俺を見てくるがスルーしておく。


 「むぐぐ・・・。そうさねぇ。このデータなら・・・百兆クレジットを十年分割とかどうかな?」









 ・・・・・・・ハッ。


 「ごめん。ちょっと良く聞こえなかったのだが。」


 「だからぁ。百兆クレジットを、十年分割でって言ったの!」














 ・・・・・・・ハッ。


 「ごめんちょっと良く分からない。」

 「難聴かいっ!?」


 俺が今まで持ったことのある現金の最大値は30万ほど。それ以上の金の事なんかわからない・・・・。


 嘘です。


 金額が大きすぎてどういうことなのか良く分からないのですが。

なんかこの世界の通貨の価値がぶっ壊れているとかそういう事なのかな?


 「えっと・・・それって、SWに置き換えたらどの位?」

 「そうさねぇ?ウチの売れ筋の金剛が一機百万クレジットだからぁ。一億機?」

 「ちなみのこのクッキーは?」

 「そのクッキーは手作りだけど、店で買うとしたら300クレジット位じゃないかね?」


 大体前世と同じぐらいの価値だ・・・。いやまてよ・・・?

戦艦って一隻幾らぐらいなんだ?


 「因みに戦艦・・・大型戦艦一隻で、大体五千億クレジット~10兆クレジット位かな?大きさとか性能によって

大分差があるけどね。」

 

 ん~~~~~~~~~~~?


 「ジェニちゃん安過ぎじゃない?それもっと高く買えるでしょ?」


 ロペ氏!?なにを言い出すの!?


 「ばれたか・・・。だってぇ。エンジン無いしぃ。」


 根に持っていらっしゃる。


 「はぁ・・・・。じゃぁ他所に売ってく・・・。」


 「ごめんなさいぃ!調子にのってましたぁぁ!!」


 先の土下座と言いこの態度と言い、色々捨ててここまで来たのかな・・・?


 「ゼロ一個足して?」


 「うっ・・・。」


 「た~し~て?」


 「分かった・・・。」


 ロペに弱いのかベロペに弱いのか分からないが、結局俺の情報は一千兆クレジットの十年分割で支払われることになった。


 正直もうお腹がいっぱいです。金額的な意味で、意味が分からなくなってきた。


 「そういえばあんた口座は?」


 そんなもんあるはずが無かろうて・・・。あ。


 「俺の戸籍とかその手の情報ってどうなってんの?」

 「私のダンナ。夫。婿。だから。戸籍はあるのよぉ?」


 そういえばこいつ偽造した本物とかなんとか言っていたな・・・。


 「でも口座は・・・。」


 「ほれ。」


 ロペは自分の個人用端末を取り出して俺に画面を見せた。

 んん?バンクオブプルート?あぁ、銀行の名前か。あれ?これ俺の名義の口座じゃねーか?


 「なんで?銀行とか行く時間なかったんだが。そもそもどこにあるかも知らないし。」


 「こんなこともあろうかとぉ。ヘルフレムに行く前に作っておきました。私マジ良妻。」


 自分で言わなきゃよかったんだが・・・。

でもこれで問題は解決したのか?


 「じゃぁここに入れたらいいね?」

 「おっけー。じゃぁはいこれ。銀河きゅんの端末。割といいのを見繕ったんだよ。」


 そう言われても俺にはさっぱり分からんがな。・・・!?

 ジェニが自分の端末を操作していると思ったら、俺の端末に表示されている、銀行口座の残高が急におかしなことになった。

ついさっきまで口座にはおそらくシャトルの売却額であろう、130億クレジットが入っていた。

俺の貧困な金銭感覚では、そこですでに限界を突破しているのだがさらにゼロが急に増えて、預金額が更におかしなことになった。


あまみやぎんがはひゃくちょうくれじっとをてにいれた!!


キャッシュマンエレクトロニクス 


 スペースワーカー(以降SW)の開発メーカーとして、冥王星圏から太陽系全土に向けて生産販売を行う。

 自社の工場における生産活動はすべて秘匿されており、社員に終身雇用を強制させることによって、その秘密を守り続けてきた。

 会長兼社長であり、創始者でもあるジェニファー・キャッシュマンは軍人として海王星ダンジョンに挑む海王星圏方面軍総司令官をも務めたことがあり、その際にダンジョンより現れた機械型モンスターの残骸を回収、個人的に解析、分析することで、この世界に存在していない技術を手に入れ、現在のSWを作り上げる足掛かりとした。

 競合他社から生産・販売されるSWとは一線を博する性能を誇っており、創業から二百年を数える現在に至るまでほぼモデルチェンジをせずに、

 生産当初のモデルが販売され続けているが、外部から分解することが不可能な仕様となっているため、現在に至るまで未だ技術は漏洩していない。

 しかし、長持ちし高性能で尚且つ丈夫であるが、一度故障すると、各自で修理することが出来ず、廃棄することも出来ない為、メーカーに必ず送り返さなければならず、一部利用者からは不満の声も上がっている。

 主な販売SWは金剛そして、金剛専用マルチアタッチメント等金剛専用の拡張機能が充実している。

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