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第三世界トラブルツアー~世界すくってほしいんだけど?~  作者: もろよん
異世界ダンジョン編
103/110

EP99 三つの世界は交わって

お待たせ、待った?……え?待ってない?

side ロペ


 エスパーと言う存在は元となった人種の進化系であるが、その進化は失敗と言っても過言では無い。エスパーはΣエナジーに適応した種であるのだが、そのエナジーを補給することが出来ない。生まれ持ったエナジーを使い切ってしまうとそれ迄、その先は無い。運が尽きれば人は死ぬ。それがエスパーには致命的で、能力を使う度にΣエナジーを消費してしまうのだ。彼らは力を使えば使う程死へと自動的に進み、寿命を終えること無く死に至る。しかし彼らが滅亡絶滅しないのは、それを上回る生殖本能を以て存在しているからだ。


 古い過去の世界、エスパーは一人の英雄を世に輩出した。その人は黒御坂白士(くろみさかしらこと)、時間を操り過去と未来を自由に行き来する能力を持っていた。しかしその強力な力はΣエナジーを大量に消費し、三度使えば死ぬと本人はそう言っていたらしいが結果的に二度使った所で死んでしまった。理由としては未来へと時間を飛ぶ時に、地球が滅んだ後の時間まで飛んでしまい、宇宙空間に出現しそのまま死んでしまった。何とも間の抜けた話だがこの状況はロペが監視していたことで判明している。そしてその精神生命体はロペが回収していた。


 「エスパーと言うのは数あるピュアヒューマノイドの進化系の一つで、Σエナジーに適応するはずだった人種なんだけどねぇ・・・・・・」


 「ちょっと待てピュアヒューマノイドてなんやねん」


 雨宮は初耳である単語につい引っ掛かってしまい、ノリでツッコミを入れてしまった。しかし他の眷属達も雪之丞以外はその言葉が出たことで自分でツッコミを入れずに済んだと少し安堵している。


 ピュアヒューマノイドとはその名の通り純粋な人種、しかし何の能力も無い訳では無い。委員会に所属する管理者の中で零番原初世界と呼ばれている、人類発祥の世界その中で生まれた人種のことを指して言うのだが、その世界の人種は神通力と呼ばれる力を行使し、数多の世界へと旅立っていく様なそんな強力な力の持ち主達だった。しかしピュアヒューマノイド達は、自ら別の種へと進化する事を選び、混血種であるヒューマノイド、デーモン、天使等に分かれ、更にそこから枝分かれする様に多種多様な進化を遂げ、徐々に別の種族へと代わっていった。しかしピュアヒューマノイドのままでいる者達も勿論多く現存しており、零番原初世界は現在も誰にも触れられないままそこに存在しているという。


 「じゃあロペはピュアヒューマノイド?」


 「違う違う、昔の私達はヒューマノイドの方だよ」


 「うむ、ワシ等の様な人造管理者とは違うのだな」


 「そうね、イシカワシリーズはかなり初期に委員会に造られていたけど、ロット数はそんなに多くなかったんじゃ無かったっけ?」


 「うむ、ワシはイシカワ・トゥエンティシックス。その名の通り二十六番目のイシカワだ・・・・・・最終ロットという奴だな」


 イシカワシリーズとはΣエナジーを研究する目的で生み出された存在だが、エスパー程力も無く、自身でΣエナジーをコントロールすることも出来ない。言うなれば少しΣエナジーに詳しい人造人間と言った所である。多少の肉体改造は施されており、そこいらの人間・モンスター等に負ける程の存在では無いが、超人種と立ち会えば間違いなく負ける。その程度の力しか持ち合わせていない。その為委員会でイシカワシリーズ不要論が上がった時、何の抵抗もなくすんなり可決され、イシカワシリーズは廃棄されることになった。


 「で、廃棄された先があの世界だったって事か?」


 「それは違う、あの世界はワシが自ら奪い取った物だ」


 委員会によって次元の裂け目へと破棄されたイシカワシリーズは、他のイシカワシリーズ達の精神生命体によって守られた最後のイシカワだけが第一娯楽世界へと辿り着き、当時委員会によって派遣されていたミト・イレブンを殺害し手に入れたのだという。


 「二桁のミトシリーズをよく倒せたねぇ?」


 「運が良かったのだ、イレブンは既に一体になっていたからな」


 「成る程ねぇ」


 ミトシリーズとは、ベロペシリーズのマイナーチェンジで、嘘を認識出来ないベロペのバグを補う為に、元々一人だったベロペのリソースを三つに分け、客観視することが出来る様に保管した管理者シリーズで、通称ミト・センター、ミト・レフト、ミト・ライトと呼ばれ能力的には各個体が三分の一程度になり、元のベロペよりも効率的に運用が可能で有ると言う事が、残念な事にに立証されてしまった為生み出された。しかし現実はそれぞれに別の自我が植え付けられて仕舞う事で三体の連携が微妙に悪く、三人で漸く一人前の動きが出来るのにも関わらず、運用が始まると必ずミト・レフトかライトが死んでしまうと言う事故が多発、一人が欠けた分残った二人の負担が増し、僅かながら多くのリソースを与えられているセンターだけが最終的に残るという状況が多くの世界で確認され、第一娯楽世界も又ミト・センターのみと成っていた為イシカワと互角の闘いを繰り広げ、世界の民を味方に付けたイシカワが世界を奪い取る事に成功し、なんやかんやあった第一娯楽世界は平和になったのだという。


 「他の世界に比べれば娯楽世界は戦などが早々起こる物では無いのだが、あの世界はワシが辿り着いた時は既に世界大戦が始まっていたのだ。しかもミト・センターはその戦争を見て見ぬ振りをして居った、ワシが何とかしなければと、そう思ったのだ・・・・・・」


 イシカワは最低限の管理者としての力は持ち合わせている。効率的に運用を進めて行くには力が足りないが、世界を存続させ育んで行く位の事は何とかやっていける力は在った。彼は足繁く世界の到る所へ通い、世界のバランスを崩さない様に細心の注意を払い、危ういバランスの元で何とかあの世界を軌道へと乗せたのだが、その矢先雨宮の作った新しいダンジョンは辛うじて存在していた力の無い世界を狙い、世界の弱点でもある柱を喰らい、かの世界は第三世界に融合されてしまった。


 「柱かぁ、そんなに弱っていたんじゃ何時世界が終わってもおかしくなかったでしょうに」


 「うむ、実際ワシと接触しても言葉を交わす事も出来なかったからな、此方からエナジーを送ろうとしても既に拒否する位には諦めていた様だったしな」


 「ミトシリーズと相性の良い柱と言えば・・・・・・」


 「アマクサCタイプだ。骨董品にも程がある」


 「アマクサて、あのアマクサ?」


 「そうだ、最も問題のある柱の一つ、直ぐ諦めるあのアマクサだ」


 アマクサシリーズとは数多く居る柱の中でも最も問題を多く抱え、既に新規投入が見送られて久しい柱だった。そんな多くの問題の中でも最も憂慮される問題が、諦める事だ。ちょっと何かが起こるとそれをストレスとして抱え込み、世界の運営を放棄し何もしないままで世界と共に消えていく、そんな事が本当に起こるのだった。


 「いずれあの世界は無くなるとは分かっていたが、まさかこんなに直ぐだったとは思わなんだ」


 「予兆はあったんだねぇ」


 「ウム・・・・・・、この世界と繋がったのは小さなダンジョンだったのだが、それが出来た時から半狂乱になってしまっていてな」


 「お・おぅ」


 「自殺したのだろうな」


 「やっぱそうなんだ・・・・・・」


 アマクサシリーズとは人造コアの中で唯一自殺をする事で有名な今は既に製造されていないコアで、ストレスが溜まると直ぐに自傷行為を繰り返し、誰も居なくなると自殺する。失敗作として大きな課題を委員会に残したのだが、委員会自体は本営が第二発展世界にあった為その存在自体が不明になっている。


 「何と第二発展世界が終わったと・・・・・・」


 「まぁそんなとこ」


 「そうだったか・・・・・・」


 ロペとイシカワは互いの持つ情報を交換し、話題はこの世界に脱出してきた住民達のことへと移る。


 「なんぼでも受け入れまっせー」


 「お・おぅ」


 「この世界はまだまだ大きくなるし、結構人が減りがちだからねぇ。幾らでも良いょ~」


 「そうか・・・・・・それは助かる・・・・・・」


 「あー」


 漸く重荷を下ろす事が出来たかとイシカワは深く溜息を付き、その後に何かを思い出したかのような大きな声を出したロペに対して過剰な反応を示す。


 「でもさ・・・・・・リミッタータイプだよね?この世界で生きていける?」


 「ぐ・・・・・・しかしリミッターの解除は既にジェネレーターが失われてしまったからもう出来ん・・・・・・」


 「あー、そうかそうか、ミトシリーズはそう言うの出来ないんだ・・・・・・ん?おかしいなぁ?」


 「ワシが出来んから慌てて取り寄せたのだ。しかしその前から一つ有ったのだが、何処に行ったのかは判らん。行方不明だ」


 「んー。あぁそうか、ライトとレフトが居なくなったから出来なくなったのか。それで一つ有ったんだねぇ」


 「待て待て、何の話をしてるんだ」


 先程まで管理者同士の話が続き、雨宮にも何となく分かるレベルの話だったが、ジェネレーターとの単語が出始めた時から想像の道を外れ、何の話をしているのか全く分からなくなり思わず口を出してしまった。


 「えっとねぇ娯楽世界って言う括りの世界は、精神生命体のコントロール実験の成果を試すって意味も有る世界でさ、その副産物として精神生命体にリミッターが掛かっちゃって、弱くなっちゃったんだょ」


 「迷惑な話だな・・・・・・」


 「で、そのリミッターを解除する為に魔力増幅ジェネレーターが必要でさ、それが無いと幾ら管理者でも精神生命体が弄れないって訳」


 「・・・・・・成る程な」


 雨宮は眷属達ならそんな物無くても出来るんじゃ無いかとそう考えたが、そもそも何を如何すればそのリミッターが外せるのか分からないなと、一旦その考えを棚上げした。


 「ふと思ったんだが」


 「ん?」「どしたの?」


 「管理者ってさ、何なの?機械だったり樹だったり人間だったりさ、色々居る意味は有るのか?」


 「うーん、その辺は委員会のせいで色々増えたってだけで、自然に産まれる管理者としては種族違いの管理者がいる意味はあんまり無いかなーとは思うけど・・・・・・、偏りを減らして散らすって言う意味では意味は有るかな?と思うょ」


 「成る程、単一種だけの世界って面白みが無いモンなぁ」


 「まぁ、逆の考えを持つ者も居るがな、人だけしか許せんとか、魚しか許せんとか」


 「魚?」


 「うむ、古代魚人族だけしか居ない世界があってな・・・・・・っとまぁその話は又後ほどにせんか?」


 「そうだな」(めっちゃ気になるやんけ)


 今上がった問題としては、娯楽世界側の人間がリミッターのせいで弱すぎると言う一点と、精神世界の人間達の受肉によって、欠落している人間としての生活様式を教え込む必要が有るなど後者は対して問題というものでは無いのだが、前者の方は雨宮には一応の解決策が在る。


 「本当か!?」


 「んー?もしかして皆分解しちゃう?」


 「それが一番手っ取り早いかと思うんだが」


 「ぶ・分解?何の話だ!?」


 ナノマシンという存在すら知らないイシカワは敏感に反応し、不穏な表現に対して困惑しているが、只生まれ変わるだけなのだと言う事が判明した後は、雨宮自身の存在に関して酷く訝しげな顔になった。


 「それほど人数も多くない故に問題は無いと・・・・・・。そんな事が出来るお前さんは何もんなんだ?ワシには人にも管理者にも見えん、どちらかと言えばモンスターに近い様な気配も感じる、かと思えば妙に人間臭い所もあるし、人として欠落している部分も見受けられる」


 「ちょっと言いすぎじゃ無ぃ?」


 青筋と中指を立てイシカワに迫るロペだったが、あまりの気迫に気圧されあわや転倒するかと行った所で雨宮に止められ、イシカワは事無きを得た。


 「普通自分より上位の存在に対してそこまで失礼になれるかなぁ・・・・・・?」


 「ぐ・・・・・・それは判るのだが、ワシには其方等の情報が無いのだ。仕方があるまいよ」


 雨宮は焦るイシカワをぼーっと眺めていたが、イシカワの言う事も分からんでは無いと言う思いもあり、ふとARモニターを展開しラピスの中とエターナルグレー内を行き来する眷属達を眺め、それにおっかなびっくりの様子でついていく元娯楽世界の住民達と受肉した元精神世界の住民達が、物珍しそうにキョロキョロと自分達よりも遙かに文明の発達した世界を観察し、お上りさんになっている様子を優しい目で見ている雨宮、二つの世界は現代文明レベルであったとは言え、魔法も優れた科学も無く、只人の知恵と妄執によって発展してきた世界であった。因り良い環境があれば二つの世界にも別の未来が有ったのかもしれないと思う気持ちが湧き、それを許さなかった委員会という存在に対して雨宮の中で大きな疑念が動き出した。


 「なぁ」


 「ん?」「どしたの?」


 「委員会って何がしたかったんだ?」


 その疑問を改めて口に出した雨宮の瞳の奥が何か別の物を見ているように見えたロペは、問いの答えとして少し無難な物を選んだ。


 「自分で世界を造れるって証明したかったんじゃ無いかなぁ?」


 「それは無理だろう?人造管理者はゼロから世界を造る事は出来ない。例え管理者を()げ替える事が出来たとしてもそれは造る事とは別だ。それにロペから貰った情報は今の所四十%位しか解析出来ていないが、委員会の関わった世界で閉鎖しなかった世界はゼロだ。つまり一度も成功した事例が無い」


 「何と!?」「・・・・・・確かに」


 「世界の造成をコントロールするにしても、文明の発達をコントロールするにせよ、一度位成功した経験が無ければ普通は途中で諦めるだろう?何故止めなかったんだ?」


 「確かに、人は成功体験を得た時から更に精神を向上させる。しかしそれが一度も無い状態ではモチベーションも上がらず、迷いすら生じさせる筈」


 「これまであの世界の・・・・・・第二発展世界の情報を見てきたが、何をするにしても成功したという事例が一つも発見出来なかった。唯一成功した事例があるとすればBESの件についてだけ、しかしそれはロペが関わっているからだ。違うか?」


 「うん・・・・・・そうだね」


 BESとはΩウィルスに対するワクチンとして造られた抗ウィルス薬としての意味と、そこから新たに発生した遺伝子障害のことを指して言うのだが、Ωウィルスを静めたロペの情報を得て初めて知った事だ。この件が発生したのも第二発展世界、委員会の本拠地とされている世界だった。


 「あの世界も管理者は自然に産まれた管理者だったけど、あの世界の管理者は委員会に改造されて殺されたような物だからねぇ」


 「ワシはその件は知らんな・・・・・・」


 「まぁそうだろうね、時系列で言えば大分昔の話しだし・・・・・・あの事件であの世界の人口は千分の一位には減っているからねぇ」


 「・・・・・・因みにその事件にエスパーが関わっていたりはするのか?」


 「んー・・・・・・無いと思う。でも委員会はエスパーの存在を知らなかったし、可能性が無いとは言え無いかなぁ?あ、でもねΩウィルスを散蒔いた奴はまだ生きている筈だからねぇ、Ωウィルスの研究はそいつしかやってなかったからその辺はちょっと気になるけど、今回の件との関わりは分からないなぁ」


 「にしても委員会というのは凄いんだか凄くないんだか分からんなぁ」


 「確かに科学力はそこそこ有るんだけど、そこも特化した世界には遠く及ばないし、魔導もある程度発展はしていたけどそれもそんなにだし、技術の融合に関しても結局大した結果は残せなかったみたいだしねぇ。世界の研究に関して異常に特化しては居たけど・・・・・・、結局他が足りなかったせいで大したことは出来なかったしぃ・・・・・・」


 「・・・・・・分からんなぁ。世界はもっと沢山在る訳だし、あの世界・・・・・・委員会とやらが新しく造った「待たれよ」ん?」


 イシカワは雨宮の知識に足りない部分が在る事に気が付くと、直ぐさまその考えをただそうと話に割り込む。


 「ロペ殿雨宮殿にはアレを未だ知らせてはおらんのか?」


 「ん~、今言う事じゃないかなーって思って時期を待っていたんだけど・・・・・・」


 世界には自然発生する世界と、何らかの人為的な要因に因って産み出される世界の二種類がある。しかし後者は未だに成功した例が無く、第二発展世界が全てを傾けてそれを行おうとしていたが、結局無駄に寿命の短い世界を量産するに留まった。その世界に産まれた存在にとってははた迷惑な話で在るが、短いと言ってもその寿命は普通の人間にとっては認識の外側の話で在る。だが雨宮という存在が確認された事で人為的に産み出される世界に変革が起こる。第二発展世界では雨宮の事を重要視して居らず、その価値を知らないまま消えていったが、雨宮の価値を知ったイシカワはそれとは別の話を新しく持ち出す事になった。


 「知らぬままではこの先の事態に対応するのが難しくなろうて」


 「う・・・・・・でも未だこの世界のゴタゴタが全部片付いて居ないんだょなぁ」


 主に雨宮が作り出した今の問題がロペを思い留まらせているのだが、現状ロペを含む眷属には雨宮の運命察知能力を働かせない為に、可能な限りラピスから動かさないことにしている。きっと雨宮は新しい事情を知ってしまえば、その先まで勝手に見通して無意識に動いてしまう。そしてその先々で何かが起こり、被害も出るし益も出る。そしてその出来事は全て・・・・・・ロペには見通せない筈だった。だがロペは今迄に起こった出来事を予見していたように行動し、事態が起こる前に先回りし被害を最小限に抑えるような事もやってのけている。これは管理者としての能力を逸脱したそれこそ、神の所業である。

 「後で何か有るのか?」


 「うーむ、後でと言うか未来でと言うか、過去でと言うか・・・・・・」


 「事実誤認が起こるから変な事は言わないで」


 「う・うむ・・・・・・」


 (ロペは俺に何か教えたくない事が有るのか・・・・・・と言うよりは、今知ると危ないとかそういう感じだな)


 ロペは様々な可能性を考えその度に表情がコロコロと変わり、教える積もりは有るが今教える事と後で教える事のメリット、デメリットを秤に掛け、更に何をすればそのデメリットを軽減出来るか、メリットを増大させる事が出来るか、そして・・・・・・。


 「どこにどんな被害が出るか計算しなきゃいけないんだから、そう言う事はエミュを通して貰わないと・・・・・・」


 「エミュ?・・・・・・まさか」


 「そう超世界演算装置ワールドエミュレーター・・・・・・知らない間に銀河きゅんが完成させていたのょ」


 「そんな!委員会の全てを結集しても計画を進める事すら出来なかったというのに!?」


 「あぁ、あそこは無理だよ、だってそもそも文明が止まっていたからね」


 「・・・・・・確かに、あの時の事を思い出せば、延々と水掛け論が・・・・・・!それが停滞か!」


 「ま・そう言う事」


 「ロペそれってまさか」


 「そうだょ、私があの世界の文明を止めたの。余計な事ばっかりするし周りに迷惑が掛かっていたからね」


 「正に神の所業、魔方とはそれ程の物なのだな」


 「そ。それが真なる世界の人間・・・・・・をルーツにした人間の力の一端?」


 ロペは言葉が回り始めた所で首を傾げ、今する話では無いかと再び雨宮の興味を引いてしまった事を後悔し、今夜は寝かせて貰えなさそうだと覚悟を決めた。


 「閑話休題って事だょ。さっき話してた事とは殆ど関係ないけどね」


 「確かになぁ、取り敢えず分解して再生するって事で良いのか?」


 「再生しちゃ駄目だょ、再構成しなきゃ」


 「あ、そっか。ふむ、この世界の人種に準ずる存在にすれば良いか」


 「肉体を元に戻してやれば問題ないはずだ、娯楽世界の住人達は改造されてああなったのだ、元の情報はコゾーが記録している筈だ」


 雨宮は眷属達に指示を出し、娯楽世界の住人達を一端総督府に集合させた。


 そして話を聞くのが面倒になった雨宮は、コゾーを一機分解し、娯楽世界の情報を全て手に入れた。


 (・・・・・・あー、このコゾーって量子コンピュータだったのか・・・・・・何でこんなに情報量が多いのかと思ったら・・・・・・)


 自立進化型量子人工知能KOZO。見た目はそれが重要だと知られない様にコミカルに造形され、数多く生産され簡単に破壊される。しかし夫々が全として又個として存在し、全ての情報を完全に共有し情報のロストを防ぐ。そんな彼らコゾーは第一娯楽世界の全てを記録し、其処に有った存在全てを記録していた。莫大な情報量に雨宮が折角プールし、皆が必死に集めたエネルギーが一気に減っていく。しかし今回又少し成長した雨宮の処理能力は、何とかエネルギーの消費を抑え、一気にその情報を処理しきり、分析データを一端雨宮しか閲覧出来ない秘匿セクターへと保存した。


 (・・・・・・Σエナジーか・・・・・・。運を司る存在の構成要素。そしてガーディオン型アンドロイドの駆動エネルギー。保管・保存・蓄積の難しいエネルギー。だが、ガーディオン型アンドロイド達はそれぞれエネルギー保管用の貯蔵タンクを装備していた。それは普通の人間数万人分のΣエナジーが保管出来る位の物だった。そしてガーディオンのプロトタイプは出自が不明・・・・・・か)


 雨宮はコゾーから得た情報を元に娯楽世界の住人達の呪いを解除、分解する必要が無かったと胸をなで下ろし、意図しない所で大量のエネルギーを使った事に内心焦りを憶えていたが、首尾良く新しい住人をこの世界、銀河帝国に迎え入れる事が出来そうだと安堵した。


 そして雨宮は又一つ、失われた欠片を手に入れた。


 (何だ・・・・・・コゾーの中に何か、懐かしい物が・・・・・・)


 データの中に一際輝く何かが雨宮の中に入り、決して探せない所へと入り込んだ。


 (有る・・・・・・が、触れられないな。今は仕方ないか)


 「銀河きゅん?」


 「ああ。終わったぞ。分解する必要は無かった」


 「何と」


 「そもそも委員会とやらに人間をどうこうする様な技術は・・・・・・少なくとも精神生命体をどうこうする様な技術は無かった様だな。只呪われていただけだったよ・・・・・・だが強烈な呪いだった。今際の際に呪いが強化されたんだろうな」


 呪いを使う者はこの第三世界にも少なくは無い、呪術の奥義の中に恨殺(こんさつ)というものがある。自らの死に呼応し肉体という殻を破った後その精神生命体を魔力に変換し、対象に害をなす術だ。その害は多岐に亘り、術者の想像力によって大きく左右される。それこそ肉体の死から精神生命体の死、その精神が繋がった家族をも巻き込む病気、生温いものでは常時お腹が空く、爪が伸びるのが早くなる等、命を賭けるに値しない様なもの迄様々だ。


 「何と傍迷惑な、精神を歪める呪いのせいで肉体が変質していたというのか」


 「しかも世界が無くなる前に呪いを強化するって、わざわざ・・・・・・」


 「もっと抗えよと言いたい所ではあるがなぁ・・・・・・」


 「しかしこれで娯楽世界の住人については問題が解決した訳だねぇ」


 「うむ。感謝する・・・・・・ついでにワシも視て貰えると嬉しい訳だが・・・・・・」


 「ん?何か有るのか?」


 「ここ暫くワシは一切メンテナンスをしていないのでな、流石にそろそろエナジーの循環が滞ってきているのだ」


 「ん?ん?」


 「ああ、イシカワシリーズは人型だけど人間じゃ無いんだょ」


 「じゃあ何さ?」


 「うむ、ワシはこれでも・・・・・・何だろうな?人と同じ造形ではあるが、ワシのこの身体は人と違う構造をして居るし、エネルギーの補給も口からは出来ない。やはり人とは違うか」


 どうやらイシカワは今迄に雨宮が視てきたどの種族とも違うらしく、分解する方がその存在を確認するのに適していると思う雨宮だったが、もしコゾーと同じ位の情報量を持っているのだとしたら、折角補給したエネルギーが又失われ、ダンジョンの更なる探索が必要となるが、今更それを迷う事も無く、直ぐにダンジョンを探索出来る場所に居る今、雨宮はそれを躊躇無く提案した。


 「ワシを分解するか・・・・・・、それも良いだろう。大した情報は無いが・・・・・・」


 「まだ駄目」


 「いやしかし」「駄目」


 「そんな事しなくても巻き戻せば良いから」


 雨宮の力の一端として再生・修復等が有るが、其れ等はナノマシンによる記録を元に損傷の無い状態にまで肉体を戻すと言う効果で、有機・無機問わず効果を発揮する。しかし結局ナノマシンは対象者の情報を読み取ってしまう為に、ロペが考える様に情報を雨宮に伝えないと言う様な状況には出来ない。しかし魔法でイシカワの状態を戻す事も技術的に不可能だった。


 只ロペには魔方がある。


 「回帰」


 ロペは懐から黒いチョークの様な物を取り出し、空中に魔方陣と思われる物を描きイシカワに貼り付けると、イシカワの身体が発光し壮年に片足を突っ込んだぐらいの外見をしていたイシカワは、みるみるうちにナイスミドルへと変化し、生気に満ちた風体へと代わった。


 「何と!肉体の情報が十万年前へと戻って居る!」


 (そんな昔かよ・・・・・・)


 「少なくともあと十万年は保つでしょ」


 「感謝する!これなら天海等を訓練してやる事も出来そうだ」


 「ん?訓練?」


 此方の世界に適応出来る肉体を手に入れたとしても、真っ当な生活が送れるかどうかと言う問題は夫々にあり、この第三世界にはモンスターも居れば海賊もいる。善からずもそう少なくは無いのだ。偶々喧嘩に発展した相手がレベル持ちの人間なら、一方的に痛めつけられる事もままある。イシカワはそれを危惧していた。


 「それに聞いた話では天使や巨人なとも居ると言うでは無いか、渡り合おうという話では無いが、同等ぐらいには視られても良いのでは無いか?」


 (要するに舐められたく無いって事か)


 「まぁ良いだろう。月のダンジョンを使うと言い」


 「それは助かる!」


 雨宮は異世界ダンジョンに関する諸注意をイシカワに伝えると、イシカワはいても立っても要られないとばかりに席を立ち、仲間達の元へと走って行った。


 久しぶりに二人きりになったロペと雨宮。


 「銀河きゅん、色々聞きたい事ある?」


 「無いとは言わないが・・・・・・話すつもりが無いなら聞くつもりも無い」


 「・・・・・・そう言う事ばっか・・・・・・」


 「・・・・・・」(どないせっちゅーねん)


 雨宮とてロペがどのような心境に居るのか等知りはしない。しかし話すつもりが無いと言われて尚食い下がる様なみっとも無い真似はしたくは無い。それに、新しい事情を知らずとも目の前には多くの未解決の問題が列を成して並んでいるのだ。ナノマシンが有る限り雨宮の頭がオーバーフローする事は無いが、それでも雨宮は忙しいのが嫌いだった。


 「・・・・・・なら言いたい事はハッキリ言ってくれ。後になってどうしようも無い事を教えられても困るしな」


 「むぅ・・・・・・」


 「・・・・・・」


 「あのね」


 「ん」


 何から話せば良いのかと慎重にその内容を精査しつつ順番を間違えない様にと選ぶロペは、超世界演算装置にアクセスし、未来を見据えつつぽつりぽつりと伏せていた話を雨宮に話し出した。しかし、超世界演算装置を通した時点で既にその情報は全て雨宮の中へと流れ込んできているのだが、ロペにそれを知る術は無かった。


 「この世界の外に別の世界が在る事は知ってるよね?」


 「そらな」


 「その世界にも序列があるのは?」


 「この間それっぽい事を言っていただろ?」


 「うん。で、この世界は根源世界になったから、全ての世界に優先されてこの世界が最上位の世界になった」


 「それは聞いたな」


 「世界って言うのは沢山有って、それこそ数え切れないぐらい有るんだけど、その中でもα群β群γ群・・・・・・なんていうそれぞれの使用エネルギー区分による分け方があってぇ・・・・・・」


 「むぅ?」


 それはそれは長い話が続き、雨宮は事の概要を何となく理解はした物の、既に手に入れた情報を整理するのに時間が掛かり、ゆっくりと自分の中に落とし込んでいく。


 「つまり俺達が知っている系列世界の外側にまだ別の世界が有るって事で良いか?」


 「そんな感じ、それこそ認識出来ない程多くの世界が存在していて、神と呼ばれる様な存在、世界を統括している様な存在も無数に存在してるって訳」


 「成る程なぁ、そいつらはこの世界に関係してるの?」


 「今はしていないけど、多分これから接触が在ると思う。以前・・・・・・私の前世ではエスパーの肉体を奪って第三世界を潰しに来た事も有ったし」


 「負けたのか?」


 「うん・・・・・・その時は色々有ったし。でもその代わりにその世界は道連れにしたから。この世界が又狙われるのはもう少し後だと思う」


 「それなら一安心・・・・・・じゃないのか?」


 雨宮は考える様な仕草のままで、まだ何か懸念事項があるとその態度で言っているロペを見て、首を傾げる。


 「最近別の世界から侵略があった事、覚えてるでしょ?」


 「最近って言うとダンジョンより前の事だろうか?」


 「そうそう。グランドマスターがやられちゃったのはちょっと誤算だったんだょ」


 蟲の王が現れたときの事を誤算というロペは、雨宮にあの時多くの力が流れ込んだ事を知らない。


 「まぁ本来のグランドマスターは生きているから、世界の防衛についてはある程度何とかなるとは思うんだけどねぇ」


 「本来のグランドマスター?」


 「会ったことあるでしょ?」


 「え?ま・まさかあの……」


 「そうそう」


 「そんな馬鹿な!?」


 「ええっ?」


 「いやすまん。判らんわ」


 ガクッと体勢を崩し、良く考えてみたらそんな事が判る様な要素は無かったなと思い直すロペ。


 「レッドアイコロニーに居たでしょ?あの人ょ」


 「あー。田中」


 「そっちじゃなくって……」


 「え?」


 他に誰か居たかなと首をかしげる雨宮、記憶を辿ると目立った人物はあと三人。後頭部の禿げた受付嬢とマッスルツインテの受付嬢、後はギルマスの監視をしていた女。その位しか雨宮の記憶には無い。


 「ツインテの……「そっちじゃないの」あれ~?」


 「ディオラ・海卯の方」


 「そっちか。新庄の幼馴染の」


 「うん。とはいえ本来はもっともっと先の時代の話なんだけどねぇ」


 もうわかんなぃゃ。と肩を竦めるロペを見て、俺のが判らんわいと目を細める雨宮。


 事の始まりである神域での敗北事態が既に想定外だったと語るロペは、今現在の歴史が今迄の歴史と似通っている事が既におかしいとそう言うが、変わって既に何百年と経っているこの世界はもう私が知らない別の世界と変わらないと、半ば諦めに近い感情を吐露し、それと同時に未知の世界を進む希望と喜びに似た気持ちがあるとそう語った。


 「世界はこれから大きく変わるだろうけど、どう変わるのか分からないなら気にする事も無いのかなぁと俺は思うぞ?」


 「そうなんだょねぇ。でもさでもさ、コントロール出来る所はちゃんとしときたいのょ」

 

 「その気持ちはわかる。俺も似たようなもんだし」


 雨宮は雨宮で自分の思惑通りに事を運ぶ為に、裏から様々なところへと手を伸ばしている、それはロペが知る所で有ったりそうで無かったり多岐に亘るが、雨宮の考える所はこの世界に来た時から少しも変わらない。


 「面白きゃ何でもええのよ」


 「う~ん銀河さんらしいなぁ」


 「?」


 「……きゅん」


 「??」


 (何かやっぱり変わっているなぁ。落ち着いていると言うか何と言うか)


 雨宮は聞いて居ないフリをしロペの頬をツンツンと突っつき、何かが上手く行かなかったロペは頬を膨らまし拗ねて見せるのだが、あまり時間を使い過ぎるのも違うと思い直し、二人は立ち上がりメインブリッジへと足を向ける。

千二百六十五代目マリア・ジェニー 二十八歳 管理者兼イマジン学園校長


 遠い過去の世界で雨宮と寄り添い戦い抜いてきた、如月マリアという女性の成れの果て。


 彼女は死亡した後マリア・ジェニー、内部管理者の代わりとして代替えにあてがわれ、クリスタルコア(発展型精神生命体固着化装置)と同化し世界の安定の為の養分として第四精神文明世界に固定された。元々力のある存在であったが為長い年月を掛けてイシス・ロミアスに力を削られ弱り切っているのだが、その力を維持する為に新しい精神生命体を喰らって生き延びる事を強要されていた。


 (2)如月マリア ??歳 人種 元銀河研究会幹部兼ディーヴァ


 遠い彼方の世界にてワールドワイドなアイドル活動を行うディーヴァという存在であった彼女は、世界各地を渡り歩きライブ活動を行って行くにあたり、激化したエスパーと魔法使いの戦争を目の当たりにし、強く胸を痛めていたが自分に何が出来るか分からず苦しい胸の内を誰にも明かせずにいた。


 ライブツアーの最終日、数年ぶりに故国に帰ってきた彼女は少し年下の青年と恋に落ち、ライブを見に来て欲しいとチケットを渡し、そのライブで悲劇は起こる。


 ライブ当日反エスパー活動に加担しているとして彼女のライブ会場はテロ攻撃を受け炎に包まれた。五万人もの犠牲者を出した史上最悪のライブとしてエスパーは彼女を世界的に指名手配し、九死に一生を得るが、その際に魔力に目覚め魔法使いとして銀河研究会へと身を寄せることになった。


 光と風の系統魔法を得意とし、時空に干渉する魔法の研究に着手していた。


 彼女を逃がし銀河研究会へと身を寄せるように促したのは、何故か生き残っていた彼女の思い人で在り銀河研究会のトップでもあった雨宮銀河だった。


イシカワ・トゥエンティシックス ????歳 雄型 イシカワシリーズ


 人型を模して造られた人造管理者の実験体二十六号。委員会にて製造された最終ロット。しかし失敗作として二十六体全てが次元の狭間へと打ち捨てられた。


 Σエナジーを動力として活動し、その体の中にエネルギータンクを保持してはいるのだが、このタンクは不良品で、Σエナジーを長期間内部に留めて置く事が出来ず、頻繁に中身を補充しなくては直ぐにエネルギーが無くなってしまう。しかし彼は独自にΣエナジーの補給を行う事の出来る装置を作り出し、アルコールをΣエナジーに変換するという非常に効率の悪い物であったが、現状それしかΣエナジーを人体に補給する手段は無く、肉体の耐性を越えてアルコールを摂取する日々が続いていた。


 戦闘能力は決して低くはないが、元々イシカワシリーズは耐用年数が非常に少なく、それがエネルギータンクに事を発する物であると知ったイシカワナンバー零から二十五は自分たちのエネルギータンクを二十六号に託し、彼を遺棄された次元の狭間から別の世界へと送り出した。


アマクサシリーズCタイプ


 世界の礎となる柱として造り上げられた人造コアアマクサシリーズの極地適応型。


 失敗作として研究が既に放棄された人造コアだが、僅かに残ったアマクサシリーズは消滅を恐れ融合し、一つになりある程度の力を手に入れる事に成功した。しかしその元となったCタイプ(極地適応型)が非常にメンタルの弱い個体で、世界に戦争が起こる度に天変地異が起こり、自らを傷付ける結果となっていた。又非常に諦めが早く、世界を形成して直ぐに消滅する個体が多い事で有名なアマクサシリーズはだったが、第一娯楽世界のアマクサコアはイシカワの機転によりコゾーを常時側に付け、励まし続けるという難題を熟し、辛うじて世界を消滅させずに運営を続けてきたが、雨宮の生み出した新・異世界ダンジョンの強い力に気圧され自らの命を絶った。


 又、アマクサシリーズは諦める事以外に、唯一自殺するコアとしても悪名が知られていた。


人造コア


 委員会によって産まれ立ての世界を触媒に生み出された、人造のワールドコア。


 生み出された人造コアは今だ研究段階で、自然に現れるコアの方が寄り成長する世界となる為、殆ど無意味な物では在るのだが実験の為に多くの人造コアが生み出され、小さな世界を形作っている。


 第三超広域開拓世界ではファムネシアが人造コアとして存在しているが、彼女はロペがベロペで在った頃から秘匿されて研究されていた為、委員会はその存在を知らない。


 現段階(雨宮転生時点)では完成とされる人造コアは一つしか生み出されて居らず、そのコアの世界も普通のコアの世界より非常に成長が遅く、脆い。もっと言えば既に雨宮が消滅を見送る事になった第二発展世界、つまり委員会の本拠地が在った場所である。


 人造コアを作る利点として挙げられるのは、世界の成長をコントロールしやすいと言う事と、好きな次元に世界を設置する事が出来るという二点が有る。しかしコアと管理者の相性などもあり、唯一成功した第二発展世界でさえコアは正常に作動したが、管理者がそのコアを疑問視していた為折り合いがつかず、世界の消滅つまりコアの消滅に気が付かなかった為共に消え去る事になった。


 ワールドコアの挙動は不明確且つランダム性を強く含んでおり、予測が非常に困難な事から、その挙動からランダム性を廃除するべく人造コアの製作が始まったのだが、結局元の情報を理解出来て居ない為、世界が生まれるプロセスも委員会は把握出来無かった。

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