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EP9 集結しすぎる仲間 もっと多すぎる敵

読んでいただいた方ありがとうございます。


ざわざわざわ・・・・


 「ではみな静粛に!これより議会!・・・じゃない。会議を始める。」


 ぱちぱちと数人が拍手をしているが、只のノリだろう。新庄、とべっちゃん、テツ。ハッキリ言って戦力としては申し分ないと思うが、まだ一人いない奴がいるんだよなぁ。

 だが、そんなにここに長居したくないし、さっさと決めることは決めてしまおう。もう何だかんだで、夕方に差し掛かる時間だ。常に明かりがあるから感覚的にはわからないが、

大体午後五時くらいだろうか?ん?なんだ?腕輪が震えているような?

 あっ。何か忘れているような気がしたけど、これか。そして今日もお勤め忘れていたな。今それを思い出したぜ。


 「いきなりで悪いが、ちょっと待ってくれ。」


 俺は腕輪に神経を集中した。


 (ちょっとーーーーー!!あんたたち何をやっているのよ―――――!!!今日もお仕事に出てこなかったじゃないのよ!!!!

しかも今日は十九層の奴らも来ないし!どうなってるのか説明してよね――!!)


 おおぅ。予想を超えてお怒りである。そしてそこらに転がされている奴らが、F19の奴らだったと判った。弱いはずだ。

 ありのままを説明するぜ。


 「若干ごちゃごちゃあったが、F19の奴らはちょっと死んで、それ以外は全員ここで捕まえてある。後でちょっと実験に使うから、もうF19には戻らない。

あと、カズマ・トベツと、アイアンクロー・高橋の二人と合流した。シェイカー・市原はまだここには現れていない。それに、女囚たちのボスもここにいる。」


 シュタッと、手を挙げてショウコが立ち上がった。


 「はいっ!所長に報告です!我々女性刑務官は、ほぼ全員が協力を表明しております!下層の刑務官の協力も取り付けてあります!」


 ほぉ。時には仕事をするんだなこ奴。尻尾がフリフリしていて可愛い。


 「とまぁそんな感じだ。明日には事を起こすつもりでいるから、最下層、F1の情報をくれ。」


 (え・えぇ。それは構わないけど・・・随分急ね?急いでいるの?)


 「俺はさっさとここを出て冒険の旅に出たいのだよ!この世界の観光がしたいのだ!」


 (観光!?一応世界の危機なんだから・・・ね?)


 「安心しろ、そっちの方もやれることからやってみるさ。ソレよりこれから時間はあるか?今から明日の会議のようなことをするんだが?」


 (あー・・・はいはい。そっちで適当に処理しておいて・・・。ってごめんごめん。アンタたちの尻拭いしていて聞いていなかった。何をするって?)


 「そいつは悪い事をした・・・。明日の作戦会議だ。」


 (成程ね。じゃぁまず私からの情報がいるわね。F1に居るS級犯罪者の事なんだけど。彼らは基本的に移動することが許されていないわ。殆どの奴らが両手両足を壁に縛り付けられている状態ね。

でも危険なことには変わりない。スキルを使う事は止められないから。閉じ込めてある部屋の中では何とか結解によってスキルの使用を禁じて有るけど、一歩でも外に出ればその限りではないの。十分気を付けて。

ハッキリ言って全員が超人、又は、魔王何て呼ばれるレベルの奴ばかりよ。そうね分かりやすく言うと・・・。ダンジョンに潜る冒険者のクラスで言うAクラスって所かしら?あ。言っておくけどそこの辺に居るような

変態行為をして捕まった奴らとは比較にならないくらい強いから。そのあたりはきちんと把握しておいてね。あとは・・・動きを封じられない奴もいるわ。そいつはもしかしたら、襲い掛かってくるかもしれない。

正気じゃないかもしれないから気を付けて。)


 うーん。聞いておいてなんだが、聞き覚えの無い情報はやはり多いな。例えも良く分からん。魔王ってなんだ魔王って。


 「つまり個室の中で戦うのなら部屋の中のほうが比較的安全か。気を付けた方がいいって特別警戒すべき奴は?」


 (そうね。一番厄介な奴が、口から人が死ぬウィルスを吐く奴。そいつがまず一ね。あと、空間転移する奴こいつが二。その次が、魔法で人を殺すことが大好きなエルフ。こいつは魔法だけじゃなくて

スキルも厄介で、催眠術というスキルを持っているの。聴くだけじゃ恐ろしさが分からないかもしれないけど、こいつの催眠術のスキルレベルは、十段階の八。研究では深層心理を操ることが出来るほどの力と言われているわ。

気付いたら仲間割れしてました。なんてことも十分考えられるし、下手をすると、何も気づかないまま死ぬ可能性もある。奴の目を見るとだめみたい。催眠から逃れる術がないみたいね・・・。まぁトップスリーはこんな感じ。

他にもいろいろ居るけど聞く?ああ、因みに、その階層も結構広いでしょうけど、F1はもっと広いから。)


 「そうなのか?どのくらいの人数が居るんだ?」


 (1380人。そこのF28、28階層のざっと三倍ね。)


 「何でそんなにいるんだ!?」


 (・・・ここがヘルフレム監獄だからよ。そういう凶悪な奴らを受け入れ続けたからこうなったわけ。一番私が掃除してほしいのはそこ。F1なのよ。ハッキリ言って、

刑務官で1Fの奴らと渡り合えるのは片手で数えるほどしかいないわ。私、そこに居るショウコ、セイラーあと十層担当のシルクス、一層担当の、ジェット。この五人だけよ。戦闘力だけなら問題は何もない。

でもスキルの事を考えると分が悪すぎる。正直時間をかけてでも、一人ずつやっていってほしいと言わざるを得ないわね。所長の立場としては。・・・ロペの親友としてもね。)


 「強敵・・・か。」


バーーーン


 「はっはっは!雨宮!はっはっは!」

 

 何だ!いきなりスッゲ―力で背中を叩かれたぞ!って、テツかよ。


 「お前は気にすることないんじゃないか?多分一人でもやれるだろう?」

 「スキルにはどの程度対応できるかは分からん。まぁ、今はファムネシアと切り離されているから、全力でナノマシンを使うつもりではるが。」

 「はいマスター。中和能力をフル活用するべきだと進言します。スキルで出来たウィルスに対する抵抗がどの程度か、計る必要があると考えられます。」

 「そうだな。いくら俺でも即死してしまったらそこまでだからな。」

 「はいマスター。マスターは即死しないと断言します。」

 「なぜ?」

 「ナノマシンはマスターでありマスターはナノマシンであります。そして私たちもまたナノマシンでもあります。」


 あなたは私で私もあなた。みたいな感じになってきた・・・ファムネシアと違って元々の計算能力がそこまで高くないからな俺は・・・。

もしそのウィルスの感染速度が・・・・?人が死ぬ?俺はナノマシンでもある?俺って本当に人か?ナノマシンだと考えればそもそも感染しないっぽいんだが?

・・・・。いや・・・。ナノマシンか・・・・。いやイカンイカン。安易な考えは身を亡ぼす。いや滅ばないけど俺は。

だが俺の中の何かが囁くんだ。ナノマシンをF1に充満させてしまえばそれで終わりじゃないかって。俺もそう思う。そう思うんだが・・・・。

スキルとか使うまでも無く、ナノマシンで脳を改造してしまえばいいと。闘いすら起こらない。一番簡単で。尚且つすぐに終わる。そして俺は下僕も手に入る。依頼も達成できる。

WINWINどころじゃない。WINWINWIN位俺に利がある。そう考えると、もうこれ一択じゃね?バトルなんてなかった。

それでもいいと思ってしまうんだが・・・。


 「マスター?」


 俺は考え込んでしまった俺の顔を覗き込んだファムネシアの頭に手を置いて、考えを述べる。


 「・・・。皆聞いてくれ。俺は気付いた。無血解決できると。しかも今すぐに終わると。」

 「銀ちゃん?何か思いついたのか?」

 「思いついたというか、無意識に考えないようにしていたというか。」

 

 千里が俺の後ろから、手を回して顔をのぞかせた。

 

 「どういうこと?今すぐに全部終わるって。」

 「ざっくりと言うと、F1に毒を流し込めばいいんじゃないかと。」


 (お願いソレはやめて!後で世間様に顔向けが出来ないわ!)


 「まぁ待てよ。ざっくり言ったらそんな感じというだけだ。・・・ナノマシンを使うと言ったら二人にはわかるな?」


 ファムネシアと千里は分かったとばかりに手を叩き、そして考え込んだ。


 「わかった。銀河君が何を考えているのか。でもさっき所長さんも言っていた通り、世間体が悪いような気がするわね?」

 「千里、それは違います。それは公表できません。故に闇に葬る案件です。何も問題は無いかと。ですが・・・。」


 ファムネシアは心配そうに俺を見上げてくる。


 「相当量のエネルギーが必要だと推測できます。F1の広さの具体的な数字があれば、数字が出せますが、統合処理をした時でさえあれほどの食物によるエネルギーを必要としました。

今回のような場合、おそらくエネルギーの消費量は比較にならないほど多くなると推測されます。マスターへのエネルギー供給が追い付かないと思われます。」


 確かに。あの時でさえ酷かった。飯の味がしなくなるくらい食った。おおよそ一日で食う量じゃない量を食った。しかもあの時でさえ、全快しなかった。

俺のエネルギー総量は底が知れない。この作戦は無しだな。危険すぎる。主に俺が。


 「じゃぁ物理的に行くしかないか。・・・・もう一つ思いついた。ゼルミィ、F1の空気を抜くことって出来ないのか?」


 (皆殺ししか選択は無いの!?出来なくは無いけど、さっき言ったのと同じ理由でしないわ。人権をある程度無視している場所だとは言え、

完全に無視してしまうと、体裁だけじゃない、法にも抵触してしまう。だからそれはダメ。)


 「俺が暴れて結果そうなったら?」


 (私たちが救出に向かわなきゃいけなくなるわ。戦力は減るし、監獄は壊れるし、こちら側からも死者が出るわ。無しよ。無し。もっとスマートにやって。

報酬がいらないの?多少暴れるのは目をつぶるわ。でもやり過ぎはダメ。それに、戦争になったら刑務官は手伝わせない。それは法に触れるから。)


 「・・・。聞いておいてよかった。全部やろうと思いついたことが却下されるとは思わなかったが、知らないでやってしまうと、後でゼルミィが困るわけだな。」


 (分かってもらえて何よりだわ。)


 ならやはり誰も傷つかない方法は一つしか思いつかないな・・・。もっと知識が・・・知恵がほしいな・・・。


 「俺一人でF1にいってくるか・・・。それが一番安全だろ。」

 「おぃおぃ!何のために仲間を集めたんだよ!」

 「そうだ。俺たちだって戦える。」


 ・・・。デカス・・・ゲイル・・・。しかしなぁ・・・。


 「じゃぁ二人は、そこの女子二人のどちらかとやり合って、勝てるか?」

 「おっ?試しにやっちゃう?」


 しっしっっとシャドーボクシングを始めるショウコにデカスが噛みつく。


 「スキルの使用はアリか?」

 「無しだ。個室はスキルが使えない。そう言っていただろう。」


 デカスも思う所があるのだろう。すぐに引き下がれないのは仕方がないか。


 「俺たちでは無理か・・・。」

 「拙者なら、おそらくそのウィルスの奴は何とかなるかと・・・。」


 ござるもどき!ここで来たか!


 「どういうことだ?」

 「拙者のスキルの事があります故」


 ござるもどきのスキルか。


 「聞いても良いのか?諜報員だろ?」

 「使う側の人間が理解していない方が問題でござるよ。」

 「あ!ござるって言った!」

 「しまった!」


 めっちゃ恥ずかしそう。言い直したし。もしかしていやなのか?ござる言うの。


 「全然横道にそれて申し訳ないんだが。今まで意識してござるを言わないようにしていたのか?」

 「実は・・・。癖になっているので直さなければと思っていたところでござるよ。」

 「いいじゃん。個性じゃん。」

 「癖が表に出る諜報員とか失格でござるよ。」

 「それもそうか。」


 潜入捜査だとか出来なさそう。腕は確かなんだろうけど確かにダメだよなぁ。

 それでも完璧にこなすのがプロだとも思うが・・・。


 「俺個人的には、仲間内でいる分にはそれでもいいと思うんだが。寧ろそういう奴がいて俺は楽しいんだが。」

 「もちろん仕事中にこんな初歩的なミスは侵さないでござるよ。普段から心掛けていたつもりだってのでござるが。」

 

 猿も木から落ちる。なんていう言葉もあるしな。


 「まぁ・・・不安の残る話だが、進まないからとりあえずスルーな。ここから先は潜入とかいらなさそうだし。」

 「そうでござるか?」

 「策を弄する時間は終わっ・・・・。」


 ん?誰か食堂に入ってきたみたいだな?皆いると思ったが・・・。


 「雨宮!こいつらを助けてやってくれ!」

 

 それは、一番初めに動き出したイケメンだった。あいつはF8に行っていたんだったな。

 良く見ると二人の人間・・・・?ミイラみたいな人間を二人を抱えているようだ。一体どんなことになればああなるのか?

全身に筋肉張り出し、血管は余すところなく浮かび上がっている。筋肉の薄いところはもう骨と皮だけだ。一瞬そういうモンスターかとも思ったが。

まぁそれは無いな。


 「とりあえず連れて来いよ。皆空けてやってくれ。」


 俺はテーブルをどかし床に横たえられた二人を見て妙な点に気が付いた。

 暴行されてはいるが、たいした怪我じゃないな。二人とも首筋に小さな穴が開いている・・・いや。開いていた跡がある。

傷口はもう既に治っていて、古傷のような跡が残っているだけだが・・・。


 「この二人は仲良くドラッグでもやっていたのか?この首の穴の後。」

 「違う!その穴の後は歯型だ!F8には吸血鬼が居るんだ!」


 吸血鬼?どらきゅーら?いや・・・あれはフィクション・・・。うーん。この世界ではフィクションじゃないかもしれないが・・・。


 「なぁござる。吸血鬼ってどんなのかわかるか?」

 「分かるでござるよ。吸血鬼とは、地球発祥の人種の亜種にござる。地球人類が現れるずっと前から地球に居たとされている、古種の人類とも言われているでござる。

拙者もF8 に居るのは知っているでござる。確か名前は・・・。あーっと・・・そうそう。ヴェルガモーノ・ドラペシュ・・・だったはずでござる。」

 「そんな事より!何とかならないか?」

 「なるけどなぁ・・・。話ができる程度で良いか?」

 「拙者は死なない程度に回復させればいいかと思うでござる。」


 ん?女子の一団から一人抜けてきたのは、アンジーか。


 「まだ何とかなるようなら、下からエルフの娘を連れてきましょうか?」

 「その娘が居ればなんとかなるのか?」

 「魔法使いらしいですから。」


 キュンワードキタッ!!魔法使い!魔女っ娘!魔法少女!


 「良し!連れて来よう!すぐ行こう!今行こう!」

 「はぇ!?えっ!?」


 おっと・・・ちょっと熱くなり過ぎたか・・・。失敗失敗。


 「すぐ連れて来られるか?」

 「俺も行く。仲間の事だ。スキルで行く。」

 「良いのか?そんな簡単・・・。いや。何でもない。行ってくれ。戻ってくるまではちゃんと保たせておくから。」


 すると、イケメンの両手がバリバリバチバチ、電撃を放ち始めた。見た目がカッケー・・・。

 こういうのを見ると、俺のスキルの地味さよ・・・。見えもしないし。


 「マスター。あのスキルは未完成なスキルであろうと進言します。」


 いつの間にか俺のすぐ横に居たファムネシアが、それの服を引っ張りながらそう言ってきた。


 「未完成?」

 「はい。あの放電現象は、おそらく次元の壁を力づくで引き裂く時に発生するオーバーフローだと推測できます。」

 「要するにあいつの力が集中できていないってことか。漏れてんだな。」

 「はい。日に何度も出来るような消費の仕方ではないと考えられますが・・・。」

 「アイツ死ぬか?」

 「恐らく。あの現象が起こるという事は、力を制御できないと考えられますので。生命エネルギーを使い果たすまで、力を使い続ける可能性があります。危険です。」


 仕方ない・・・のか?手助けをしないといけないか・・・。


 「雨宮。僕が補助しよう。この体を使えば可能だと思うのだが?どうだろう。」

 「頼めるか?あいつはまだ味方になるかわからないからな。ナノマシンは使いたくなかったんだ。」

 「わかった。やってみよう。訓練ははかどっている。イメージ固め方も慣れてきているから、何とかなると思う。」

 「ファムネシア。危険だと思ったら止めてやってくれ。」

 「了解しました。」

 

 急展開だなぁ・・・毎度毎度。

 さて・・・。俺はこのミイラたちをちょいと観察してみますか。

 確かに吸血鬼に噛まれるとこんな風になりそうだな。牙二本って感じ。それから・・・。

 視線を上から下に持っていくと、見落とせないものを見つけた。・・・これは多分、注射の跡・・・。

 スキャンだけはしておくか・・・。


・・・・・・


 確かに吸血鬼に噛まれたようだな。しかもその時に病気をもらっていやがる。なんだこの血霊病って・・・?聞いたことないぞ?

詳細詳細・・・と。


血霊病 人種吸血族による吸血行為によって、血液中に流し込まれる吸血鬼の血液から感染する感染症。感染し、その血液が脳に達すると、

 血液を作り出すホストの命令に、背くことが出来なくなるように呪術的なネットワークが形成される。血液透析によって、全身の血液を全てクリーン化する事で、治癒可能。

 また、感染することによって一時的な認識能力の拡大、アドレナリンの大量分泌などが起こる。自然に治ることも確認されているが、その場合は中毒症状を引き起こし、極度の禁断症状を引き起こすことが判明している。

 

・・・・・・・


 あぶねぇ病気だなおい!この書き方だと輸血とかでも普通に感染するっぽいな。ちょっと女の子の吸血鬼とか期待しちゃったりもしたが・・・。

 シャレにならんなこれ。暴れろとか命令されたら逆らえないわけじゃん?血をばらまけとか命令されたら、パンデミックしちゃうじゃん?

 待ってらんねーなこれ。


 「マスター?二人はうまくF10に向かったようです。・・・如何なされましたか?」

 「ああ。こいつらちょっとシャレになんねー病気にかかってるみたいでな?透析で治るっぽいんだがそんなことしてらんねぇなと。」

 「ナノマシンを使われますか?」

 「魔法を信じてないわけじゃないが、今ここで禁断症状とか起こされたら、自殺しちまうかもしれんし。やるわ。」


 俺は二人に向かって息を吹きかける。


全身状態を現状で固定。全身の血液を分解。感染前の正常な状態にロールバック。再構成。状態固定解除。再スキャン。


 ・・・。心臓も動いているし、呪術ネットワークとやらも・・・なさそうだな?わからないだけだが・・・。まぁ今はこれでいいだろ。

 

 「ふぅー。おっけおっけー。」

 「お疲れさまでした。」


 そう言った後、興味があったのか、ファムネシアも自分でスキャンをしに行った。


 「どうよ?」

 「はい。問題ないと思われます。ただ・・・。」

 「呪術ネットワークか。」

 「はい。情報が不足しています。判別できません。」

 「まぁ。肉体的に問題がないから大丈夫だろ。生きてりゃ魔法で何とかなんだろ。」

 「その魔法使いの力量にもよるとは思います。」


 するといいタイミングで先ほど二人の居た空間に縦に亀裂が入った。


 「もどってくるか?」

 「恐らく。」


 くぱぁって感じで入り口が開き、中から五人ほどの女と、二人の男・・・新庄とイケメンが戻ってきた。


 「トイレっ!トイレどこ!!!!」

 「うっ・・・キモ・・・。」

 「げふっ・・・うっ!」

 「「吐きそうよ・・・。おお・・・お手洗いは・・・・?」


 今にも吐きそうになっている女たちに粗相をされたくないのか、男たちの人垣で、食堂の手前にあるトイレまでの道が出来た。と同時に、彼女らは全力でダッシュ。

横たわる二人には見向きもしないで走り去った。


 「おい!・・・まてよ!!!」

 「ぐふっ・・無理だろ・・・。あーー・・・気持ち悪い。」


 新庄も口を押えてトイレに駆け込んでしまった。酷い話だ。まぁ、五人もゲロインが誕生しなかったことで良しとしよう。


 「ドンマイ。お前は平気なのな?」

 「・・・慣れているからな・・・。」


 そうは言いながらも、血の気が引いて真っ青な顔をしている。スキャンっと。


ーーーーーー


市原切嗣 300歳。エルフ種。Aランク冒険者(現在活動凍結中)

  状態 魔力枯渇(重度)早急に治療が必要

  

ーーーーーー


 ・・・。他にも情報が出てるけど・・・。とりあえず応急処置かね・・・。


 「おい切嗣。こっちまで来れるか?」

 「んあ?あぁ。・・?んあ!?」


 あっ、こいつ仲間に躓いてコケやがった・・・。ったく・・・。

 こいつは全く・・・。前世も若干抜けているところがあったが、こんなときに・・・。

 俺はこけて起き上がれない切嗣に、フッと息を吹きかけ、エネルギーを分け与えた。

 俺に必要な生命エネルギーだが、魔力ってどうなのかね?

 そもそも魔力って何だろう?


 「治ったか?」

 「・・・。あぁ・・・?ダルさが無くなった。もう大丈夫だ。」

 「お前の仲間たちも一応問題ない。体は、な。」


 あとは女たちが戻ってくるのを待つだけだが・・・。なかなか戻ってこないな。


 「千里、ファムネシア。ちょっと見てきてくれ。あのゲロ女たちんとこ行って。」

 「ゲロ女って妖怪みたいねぇ。分かった。ちょっと見てくる。」

 「了解しました。」


 ・・・さて・・・。どうすっかなぁ。


 「何も聞かないのか?」

 「んー。聞こうかとは思ったが、どうせお前も冤罪だろ?前世はともかく。」

 「・・・。ま・・まぁな。こっちの世界では処刑クエスト以外で人はやってない。」

 「殺しは直んなかったか。」

 「違うんだ。言い分けさせてくれ。」

 「どーぞ?」

 「こっちの世界での俺の贖罪はもう終わったんだ!管理者にもすでに許しをもらっている。」

 「まぁ、お前がそれでいいなら別に構わないが・・・。やめたかったんじゃなかったのか?」

 「大丈夫だから!衝動的にやったりしないから!もうあんなことにならないから!巻き込んだりしないから!」

 「まーじーでーぇ?」


 こいつは昔・・・。前世で快楽殺人者だった。殺して死体で性欲処理をして、また溜まったら殺して死体で性欲処理して。その繰り返しだった。

いつも血の臭いをプンプンさせているような奴だったが・・。俺はこいつの殺人に巻き込まれて、あわや逮捕されるかという所までいったことがある。

そのせいで若干信用できん。こいつは無意識に繰り返すんじゃない。意識的に繰り返すんだ。欲望を満たす奴って言うのは大概そうだ。悪魔が囁いたなんて言っている奴はただ嘘で逃れたいだけ。

俺はそう思っている。

 まぁ。こいつの性格を知っているから、嘘をついていないことはなんとなくわかるんだが・・・。


 「お前我慢すんのか?出来んのか?」

 「出来るよ!三百年我慢してんだ!もうそんな衝動すらないよ!」


 「なるほどな・・・ベロペの作戦勝ちって所か。」

 「時間が解決してくれたって事さ・・・。」

 

 もう少し突っついてやろうかとも思ったが、めんどくさくなって来たからやめだやめ。

 前世では俺を楽しませてくれた人間の一人だからな・・・。この辺にしておいてやるか。


 「それにしても戻ってこないな。ゲロ娘達。」

 「酷い言いようだな。」


 苦笑いし、口元に手を当てて口臭を気にしている新庄が戻ってきた。


 「大丈夫か?」

 「なんとかな・・・。胃は生身なんだ・・・。生体機械だったらこんなことにはならないんだがな・・・。」

 「どんな感じだった?」

 「なんと言うかこう・・・・。内臓を掻き回されているというか、振り回されているというか。ひどい状態であることは間違いない。」

 「あまり経験したいものではなさそうだな。」


 一応聞いておくか・・・。気にはなるし。


 「切嗣。お前はどうやって死んだ?」

 「たまたま、ひっかけた女が実戦経験のあるボディーガードだったみたいで、俺の持っていたサバイバルナイフを奪われてね。」

 「逆に殺されたと。」

 「いや。相打ち。」

 「酷い話だ。最後ぐらいは潔さは・・・あるはずないか。切嗣だし。」

 「ぐぅ。あの日一応最後の最後で役には立ったんだよ。世の男たちのな。それが無かったら転生させてもらえなかったんだぜ?」

 「どういうこった?」

 

 こいつはまた調子に乗って・・・あのどや顔蹴ってやろうか・・・。


 「後で聞いた話なんだけど、アイツも同じ快楽殺人鬼だったらしいんだよ。」

 「「酷い話だ。」」


 呆れてものも言えん。同類かよ。という事は、世の女の為にこいつを殺したその女も、転生している可能性はあるな。


 「そんな事したり顔で言うなよ。たまたまだったんだろうがよ。」

 「まぁそうなんだけどね。」

 「雨宮、その女も転生していると俺は思うんだが。どう思う?」

 「俺の勘が間違いないと言っている。絶対こいつはまたその女にあうだろう。予言しておいてやる。絶対だ。」

 「や・・・やめてくれよ!確かにいい女だったが、自分を殺した相手になんか会いたくねーよ!」

 

 まぁあくまで勘だが、敢えて言おう。

 俺はこれ以上ない位気合を込めて切嗣を指さしてやった。


 「そいつはお前を探してる。そして必ずお前と会うだろう!そして俺がその女を叩き伏せる。」

 「ちょっと待てなんでだ?」

 「ん?」


 ポーズはそのままで、新庄の方へ首だけを向ける。なかなかいいツッコミだが。


 「イイ女なのだろう?味見位はしておきたい。」

 「そういうことか・・・。全くお前らときたら、下半身でモノを考えることが多すぎやしないか?」

 「男ってーのはそういうもんだ!」

 

 なぁ?


 「「こっち見んな!」」

 「俺は妻子持ちなんだ!そんなことない!」

 「一緒にすんな!俺は愛する彼女一筋だ!」


 デカスはともかく。


 「ゲイルは彼女いるんだ。ふーんほーお。脳のどの辺に?」

 「そんなの前頭・・・って・・・ちげーよ・・・。ちょっと巡り合わせがだな・・・。」

 「居ないか。知ってる。」

 「知ってるなら言うんじゃねぇよ!俺の魅力はその辺の底辺女にゃわからねぇんだ!」


 あっ。そこら辺の女がここに三人ほど。それに今しがた戻ってきた五人プラス二人。合計十人のその辺の女に囲まれている。

 やったねゲイル!春が来たよ!


 「ハーレムJAN」

 「すみませんマジすみません。底辺とか言ってごめんなさい。出来心なんです。本気じゃないんです。ほんとすみません。」


 ガチ説教中だな・・・。飽きもせずまぁ。

 

 「お前悪い奴だな!」

 「元快楽殺人鬼に言われたくない。」

 「ぐぅ。」

 「長い説教になりそうだな。っと。切り上げてきたか。」


 セイラーとショウコが残ってガチ説教をする中、他の女子たちが戻ってきた。五人は口に手を当ててはーはーやっている。必死に口をゆすいできたんだろう。

 ダイジョブクサくないヨ。


 「お待たせ銀河君。口臭スプレーとかあったらよかったのにね。」

 「すみませんお待たせしました。」

 「ん?あ・・・。」


 あれ?彼女たちは何をしに来たんだったか?というかこんなにいっぱい居るモノなのか?魔法使い。


 「魔法少女は居ないみたいだな。」

 「あぁ。魔女っ娘は居ないな。」

 「ソレ言葉の意味ダブってね?」

 「わかんないわー。」

 「「「「「もう帰ってもいいですか!」」」」」


 少女は流石にココには入れられないか。


 「わざわざ来てもらってすまないな。回復魔法?が使えるのか?」


 そういうと、ブループラチナとでもいうのだろうか?銀と青を混ぜたようなきれいな髪の女が一人前に出た。

・・・あの耳はエルフか。美女だな。うむ。イカンイカン。悪い癖だな。つい上から下まで見てしまう。


 「あの・・・。」

 「悪い悪い。イイ女だったもんでついな?で?」

 「この中では私が一番法術に通じています。バンパイアですね・・・。」

 「分かるものか?」

 「首筋のその吸血痕を見れば何となくは。という事は。」

 「あぁ血霊病にかかっている。まだ気を失っているがな。俺には体を治す事位しかわからなくてな。困っていた。」

 「それだけでも十分凄い事なのだが・・・。」

 「新庄・・・。」

 「む・・・すまん。」


 そうすると彼女は両手を二人の男にかざし、何やらぶつぶつと呪文のような言葉を・・・?何だか聞き覚えのある言葉・・・というか単語というか?

 もちょっと近くで聞いてみるか。


 俺は向かい合っていた彼女の横に回り込んでしゃがみ、耳を澄ませた。


 「The present state is checked. A curse-like influential area is specified.Solution curse」


 これは・・・英語っぽく聞こえる。一応ナノマシンが意味も同時通訳というか、何もしなければ、そのまま普通の日本語として教えてくれるので

特に翻訳をオフする意味は無いかな・・・?

 現在の状態をチェック、呪的な影響の範囲を特定、解呪。って感じか。


 「これで問題ないはずです。」


 淡く白い光に包まれた男たちから苦悶の表情が消えた。呪術ネットワークとやらが消えたのだろう。


 「後は目を覚ますのを待つだけか。」

 「は・はい。体は問題ありませんでした。ですのですぐに目を覚ますと思います。・・・あの・・・。」

 「ん?なにか?」

 「ちょっと近くないかと・・・。」

 「こんなとこに入れられているにしちゃ、うぶだねぇ。」

 「それとこれとは・・・。」

 「あはは・・。悪い悪い。貶めるつもりじゃなかったんだ。可愛いって思ってな?」

 「ぁの・・・。その・・・。」


 何というか、ぱっと見普通に遊んでいそうな雰囲気のある・・・妖絶?艶やか?そんな空気間のある娘なんだけど、反応がギャップがあって可愛いな。

まぁ外見はみんな囚人服だから、そんなに変わらんのだが、上半身の自己主張の激しさはなかなかいい感じだ。


 「うーん。おまいさんたちはこの後どうするつもりで来たんだ?正直今はもう問題ないというか。」

 「その話なんだけど。」


 おっ?後ろで見ていた四人のうちの一人、獣人かな?いぬ尻尾の娘が前に出る。


 「戦争するんでしょ?アタシ達も混ぜてよ。戦うのは難しいけど、その娘に法術ならってるから、回復位はできるし。」


 うーん?少なくとも俺にはいらんぞ?とはいえ・・・粒ぞろいではある。正直手元に置いておきたい気持ちでいっぱいだ。レベルたけぇ。

 美人という罪で投獄されてんのかっていう位レベルたけぇ。五人とも高水準&ハイレベル。


 「戦えないと何ともなぁ・・・。」


 のしのし音を立てながらテツがやってくる。


 「こういう時はバシッと言ってやってもいいんじゃねぇか?」


 むーぅ。そういうモノか?まぁ俺らしく行くという事で。うん。


 「お前ら五人とも俺の女になれ。それなら好きにしてていい。守ってもやる。戦いたいならその術もやる。どうよ?」


 そんなにおどろかんでもって言う位、驚いているな。まぁいきなりそんな事言われてもな。考える時間が・・・。


 「分かった。」

 「え?」

 「分かったって言ったの!女になってやる。」


 俺はすぐ横に居る青髪の娘を見た。そんなもんなの?


 「私もかまわないです。戦う術をください。守られているばかりでは、もう嫌なんです。」

 「はいはーい!私も―!私も彼女になる―!」

 「こら・・・この話は彼女とかそんなレベルの話じゃ・・・。あ・・・。その・・・。私も良ければ・・・その・・・。」

 「・・・。ぃぃょ・・・。」


 えっぇー?あっれぇー?ここはそんなこと出来るかよってな感じで、ちょっと衝突があって、いろいろ話し合って

団結する流れじゃないの?皆良いのか?ちょっとビッチ度高くない?この世界では普通のこと?なの?

 俺はどうなのよと、他の男どもに視線を投げかけてみるが、皆首を横に振ったり、手をひらひらさせたりで、好きにしろって感じだ。

 五人はこぞって俺の周りに集まって、何故か抱き着いてくる。


 「おぉ?ど・どしたぁ?」


 「だってー。戦争でしょ?これで最後になるかもしれないでしょ?だからぎゅー!」


 そういって一番ちっこいのがしがみついてきた。ちっこいと言っても、150はあるが・・・。いやそうじゃない。


 「お前らみんな気にならないのか?自分以外にも女がいる男って。」


 誤認はそれぞれ顔を見合わせて横に首を振った。


 「全然?」

 「と・とくには・・・。」

 「なーんにもっ!」

 「・・・ふつぅ・・・。」

 「皆考えているんですよ・・?」


 まぁ詳しくはまた今度聞くとして。ここではそれでいいと。少なくともこの五人は気にしないと。

だったら遠慮はしない。うむ!


 「ん。じゃぁ自己紹介ぐらいしとくか。俺は・・・。」

 「・・・・知ってる・雨宮銀河・・・。」


 ・・・・お?一番ヒョロいのが真っ先に反応した。


 「・・・他の皆も知ってる。私が教えた・・・。」

 「どういうこった?どうやって知った?」

 「・・・スキル・・・。ぽっ。」


 顔を覗き込むと顔が赤くなった。黒髪で日本人形みたいだ。肌の白さもなかなかいいな。


 「成程スキルね・・・。そういうスキルもあるのか。」

 「・・・そうなの・・・。一週間に・・・一度しか・・・使えないけど・・・。」

 「クールタイムのなっがいスキルだな。」

 「・・・でも・・・すごい・・・?」


 はいズギューン来ましたー。この上目遣いは強力だわ。


 「おう何か良く分からんが凄いな!」

 「・・・・私のスキルは・・・・あのね・・・?」


 ちょっと背伸びして耳打ちしてくる・・・おおぅ。美女の吐息って強いな・・・。

 彼女のスキルは未来予知。そりゃ一週間に一度でもおかしくは無いな。


 「・・・それでこうなることは分かってたの・・・。」

 「何度も聞くようで悪いが、それでいいのか?って今更何を言っても俺が今度は離さんが。」

 「・・・はい。・・・旦那様のお好きなように・・・。」


 ヤバい!俺のハートはもうハチの巣だっ!的確に撃ってくる!


 「そーいうことー!それっ!」

 「おっと・・。」


 ちっこいのが後ろから飛びかかっておぶさってきた。


 「私はね?エリューシア!エリューシア・クライオ・バハムル!っていうの!」

 「まじで!?」


 ヤッベまた居たよ!名前のカッケー奴!メガなフレアでもぶっ放してくれそうだ!


 「マジか!カッケーなオメー!」

 「マジだよー!でもカッケーのより、かわいーの方がよかったかなぁー?」


 ふふん。カッコイイのも正義だ・・・。


 「アタシはセンリ。センリ・ギオボルト。生身での戦いはあんまり得意じゃないんだ。これでも頭脳労働担当だぜ?」


 ヤダ・・・濁点の使い方のカッコよさ・・・。とげとげしくてカッコイイ・・・。


 「私は、その・・。イファリス・ベルツドラガッヘ。イリスと呼んでください。」


 そこはかとなくジャーマニー!ワザとなの?敢えて俺の中二心をついてくるの?何なの?ご褒美なの?


 「じゃぁ次は私かな?コホン。初めまして私はアメリア・キャッシュマンです。姉ともども末永くよろしくお願いします。」


 そうキャッ・・・・。えぇっ!?姉!?


 「キャッシュマンってあのキャッシュマンか!?」

 「えーっと。ロペ・キャッシュマンの妹のアメリアです。」


 ベロペの妹かーーー!って、転生してんだ。新しく家族が居てもおかしかないか。新しくってのも変か。


 「・・・・私は・・・・ホムラ・カガリビ・・・。です。旦那様・・・末永く・・・よろしくお願いします・・・。」


 うん。普通にカッコいい。・・・だが・・・。アメリアのおかげで若干感動が萎えてしまったわ・・・。


 「・・・やっぱりアメリアは・・・・一番最後のほうが・・・よかった・・・。」


 あっ。リアクション薄かったの気にしてはる・・・。


 「それより・・・俺としては何故お前達がここに居るのか。それが気になるが。」


 「あっ。それは・・・。私たち元は軍の人間でして・・・。特殊部隊と言うか、私兵というか・・・。」


 「ウチの姉ぇさんが作った特殊部隊その名も・・・!」


 ん?みんなどうした?急に団子になって・・・。

 華が開くようにグッと五人で手をつないで一気に反る!


 「「「「「AGフォース!!!!!」」」」」


 ホムラ大きな声出るじゃん・・・。じゃなくって。


 「名前が良く分からないが・・・。A・・・G・・・ふぉーす。」

 「はいマスター。私は分かりました。」

 「おおっ?なんかの略語か?」

 「そう・・・ですね。略語と言えば略語です。」


 A・・・G・・・?・・・英二!?


 「英二!」

 「「「「「英二って誰?」」」」」


 あれちがう・・・?Aだろ・・・そんでG・・・。ハッ!


 「アサルトグラウンドフォースかっ!陸軍だな!」

 「ちがいまーっす!もー。もーもーだよー?」

 「だいぶ・・・・はなれた・・・・。」


 えーっ・・・?頭文字とかか・・・?


 「じゃぁ、アナ・・・」

 「違いますっ!!」


 そんなに違うか・・・。


 「銀ちゃんほんとにわからないのか?」

 「雨宮の?俺でもわかったぞ?」


 とべっちゃんに、テツまでそんな・・・。


 「私もすぐわかったんだけどなぁ?銀河君分かってあげなよー。」


 「ロペの名付けた部隊・・・A・・・G・・・頭文字・・・?」


 はっ・・・まさか・・・いや、いくらなんでもその発想は・・・。無い・・・のか?


 「あまみや・・・ぎんがふぉーす・・・?」


 「「「「「正解!!!!!」」」」」


 何かみんなではしゃいじゃって・・・・ハイタッチとかしてるし。


 「皆落ち着け?」


 エリューシアは、顎に指をあてて首を傾けながらこちらを見ている。いや、どうしたの?みたいな顔されても。


 「いくらなんでもその名前はダサくないか?」

 「「「「「えええええええ!!!!!」」」」」


 みんなしてそんな驚かんでも・・・。あれ?なんかがっかりしてる?凄い落ち込んでない?え?


 「雨宮・・・そんなにはっきり言ってやらなくてもよかったんじゃないか・・・?」

 「そうよ・・!謝りなさいよっ」

 「えっ?えっ?あれ?なんかごめん?」


 あれ?俺が悪いのかこれ?


 「薄々気づいていました・・・・ちょっとカッコ悪いかもって・・・。」

 「というかファンクラブじゃないんだから、人の名前を入れるのはダメだろう。というか、

今までどんな説明をして来たんだ?」

 「アーマー・ガーディアン・フォースとか?適当にその場で取り繕っていました・・・。」


 なんかもうそれで良くないか?元がどっちだったか本人に聞いてみないとな・・・。


 「因みにAGフォースとしてどのくらい活動してきたんだ?」

 「・・・十年・・・。」

 「結構長いな!・・・はっ・・・!もしや。」


 フォースを、部隊じゃなくて軍として考えるなら、雨宮銀河軍?・・・ダサい。もしやアイツの中ではこっちが本命・・?

俺に地位を手に入れさせるための布石・・・・?なーんてそんな事あるわけないか。深読みしすぎだよな。いくら何でも・・・。深読みであってくれ・・・。


 「あの・・・?」

 「あぁイリス何でもないよ?うん・・・何でもない。本人に合ったら土下座させよう。それがいい。」


 そんなやり取りの中俺はふと大事なことを思い出した。


 「ござる?」

 「ここにっ!」


 シュタッとどこからともなく俺の斜め後ろに現れた。


 「お前の名前を言いていないと思ってな。ほんとは忘れてただけなんだけど。」

 「心の声が駄々洩れでござる。」

 「おっと。気にするな。」

 「拙者は服部宗野心蔵乃助はっとりむねのしんぞうのすけでござる。」

 「渋い名前だな。」

 「拙者の一族はみなこんな感じの名前ばかりでござるよ。」


 服部か・・・。さすがは忍びの・・・ってだけの事はあるな。甲賀とか風魔とか色々残っていそうだな。

 あと・・・。


 「切嗣?いや。シェイカー・市原だったか?今は。」

 「何だよそれ!シェイカー・市原ってなんだ!?リングネームか!?」

 「いや・・・俺に聞かれてもな・・・。なぁござる。」


 ゼルミィ情報だがこいつも多分知っているはず。


 「市原殿そんなに睨まないでくだされ。拙者が聞いたのは、貧乏ゆすりで動いている様を見てそう名付けられたとか、実はバーテンダーだとか。そんな位でござる。」

 「意味わかんないよ!誰だよ!そんな名前付けたの!貧乏ゆすりとかしないし!バーテンでもないし!」

 

 まぁ、十中八九ベロペ・・・じゃない。ロペだろうな。


 「ドンマイ。」

 「俺はこっちの世界では、ジェイク・イチイバルって名前だ・・・。」


 なんで名前だけそんなにカッコイイんだ・・・。本人は三枚目街道まっしぐらなのに。というかこの世界の人何気に、中二センスあるな!

中二センスって何だっていう。


 「じぇいくいちいばる・・・じぇいくぁーいちーばる・・・じぇいかーいちばる・・・しぇいかーいちはら・・・。」

 「何だか三番目と四番目の間に、果てしないほどの距離を感じるんだが。」

 「詳しくは本人に聞け。もう何かどうでもよくなってきた。ちょっとツッコミどころが多すぎて、付いていけん。」

 「雑だな!」


 まぁ・・・ロペ・キャッシュマンか。俺はまだあったことが無いんだが、聞きたいことが増えたな。



ーーーーーーーーーー


ふあぁーーぁ・・・。


 まったく・・・。足の遅い船というのも退屈だねぇ。出来れば早く助けに行ってあげたいんだけど、外からじゃ何ともならないだろうしねぇ。

いやぁこの33年は、とっても長かったねぇ。人の世の営みというものを痛いほど思い知った時間だったねぇ。

 はぁ・・・。早くイチャイチャしたいねぇ。待ち遠しいです。はい。はぁ・・・。恋する乙女ってこんな感じになるんだねぇ。

言葉では知っているつもりだったけど、実際患ってみるとこんなにも切ないものなんだねぇ・・・。恋の病とはよく言ったものだょ。

むわーーーぁ!!銀河きゅんにあいたいぃぃぃ!!!


 「ちょっと?そこで悶えるのは止めて欲しいんだけど?あと、操縦桿を握っているのにトリップしないで。危ないから!」

 「あふん。失敬失敬。銀河きゅんにあいたいよーぅ!」

 「「きゅん!?」」

 「ロペねぇさま!前!前ぇ!」


 おっとぉおお!!あのサイズの小惑星に当たったらシャレにならないところだったねぇ・・・。変わろ。


 「ごめんちゃい。イントたん変わって。」

 「初めから変わると言っていますのに・・・もぅ・・・。」

 「ロペさん変わりましたね・・・。」


 割と広いシャトルなのに、異様に狭いコックピットのこの船。三人いるとすっごく狭いが、退屈だからずっと三人でここに居る訳だが・・・。


 「そうかねぇ?そんなつもりは無いんだけれどぉ?」

 「軍に居た時とは別人ですね?アミィさん。」

 「やっぱりそうですよね?」

 「はい。AGフォースとか言っていた時の事を思い出しました。ふふっ。」

 「あぁ。聞いたことがありますね。神出鬼没の特殊部隊AGフォース。確かアニメ化されていたような。」


 えぇっ!それは知らなかったねぇ!ぜひデータをもらわないと・・・。


 「どこの配給なのかわかるぅ?」

 「そこまではちょっと。CMで見ただけですので。」


 それにしても一番の失敗は、彼女がついてきたことだねぇ。そのおかげで余計なのに目をつけられてしまって、監獄には一緒に行くはずだったのに、

私は行けなかった訳だからねぇ。一応仲間内には伝言を使えたわけだけれど・・・ねぇ。


 「まさか二日も遅れていくことになるなんて思っていなかったわけだしねぇ。間に合うといいのだけれどねぇ?」

 「また一体何を企んでいるのですか?」

 「企むだなんて大げさだよぉ。ただ・・・。」

 「ただ?」

 「正義のヒーローは世界を救わなきゃだからねぇ?イントたん。」

 「はいっ私もそう思います!」

 「?????」


 後で説明しようかと思っていたけど・・・今話しておいた方が面倒がなくていいかもしれないねぇ。


 「実はねぇ?」


 判り易く話したつもりだけど・・・はとまめな顔をしているねぇ。まぁそりゃいきなり世界の侵略とか言われてもねぇ?


 「・・・ロペさん・・・。」

 「あぁ。まぁこっちの事情だから気にしなくても・・・。」

 「どうしてもっと早くに言ってくれなかったんですか!」

 「えっ?いやぁ。信じられないと思っていたしねぇ?」

 「その手の話ならお父様に聞いたことがあります。」

 「・・・?何だって?」


 自分でも血の気が引いていくのが分かる。そして代わりに戻ってきたのは煮えたぎる思い。屈辱。最終防衛ラインを放棄して逃げ出したあの日の引き裂かれるような屈辱。来ると思っていた仲間・・・。信じて取り込まれ、強制的に融合されたイントエシリーズの補佐官たち。転生させてやりたかった。この世界で生まれ落ちて、面白おかしく生活する。

只それだけを生きがいに、この世界のために尽くしてきた私の兄弟たち・・・。家族。転生できたのは私とすぐ傍に居たイントエ一基だけ。たったそれだけ。数百万を超える兄弟たちは、皆この世界の為に命を散らせた。

肉体の無い生命は、死んだらそこで終わり。待つのはただの・・・無。消滅。どれだけの無念だったか、どれだけの恐怖だったか、どれだけの愛があったか!

皆この世界が大好きだった。沢山の種族が居て、沢山のダンジョンがあって、沢山の世界とつながって。厳しい世界だけど、沢山の夢と希望があった。どれだけ羨ましいと思っていたか。

自分たちがあそこに居たら、自分たちが、私たちが、皆が、家族が!


 「お父様が言っていたのは五年前。採掘戦争の終わりの頃の話です。海王星から連絡が途絶えて直ぐにそういった可能性があると。

軍の沽券にかかわる話ですから、その後はずっと隠蔽されてきたようですが・・・。」

 「そうか・・・知っていて放置していたのか・・・。軍の上層部がねぇ・・・?」


 それでイントが直談判しに行った時、軍法会議もなく拘束されたわけだ。成程ねぇ成程ねぇ。


 「アミィちゃんや。」

 「は・・はい?」

 「君には悪い事を言うかもしれないけど。もう諦めてねぇ?」

 「へ?」

 「今の軍上層部・・・じゃないか、五年前からの上層部の連中には、全員神罰を受けさせて、見せしめにするからぁ。お別れを済ませておいてねぇ?」

 「え?え?」

 「ご愁傷様ですアミィさん。神の怒りに触れるとこうなるのです。」

 「あぁでも家族までは及ばない範囲でやるから、アミィちゃんは大丈夫だよぉ?」


 あの時軍が来てくれていたなら・・・。押し返せていたのに・・・・ッ!!!!!

 向こうの世界は、神人一体となって襲い掛かってきている。文字通り人と神とが融合してだ。神は・・・神と呼ばれる種族は、世界の内側では肉体が無いと力を発揮できない。

 向こうの世界の奴らは、それを知っている。ソレゆえに、あれほど巨大な生物を作ってまで融合してきた。だが奴らの誤算は、私たちとの地力の違い。私たちは・・・私と補助のイントエシリーズたちは

自己改良を続けてきた。ずっとだ。配備されてからずっと、自己改良自己進化するようにプログラムされてきた。私たちはそれぞれベロペシリーズ、イントエシリーズの古参にして唯一の自立進化型個体。

万が一にも失敗の許されない、プロジェクトファムネシアの管理者。それが今・・・。身内の不手際で窮地に追いやられた?見逃せるはずがない。

銀河きゅんに言いつけてやる。銀河きゅんに言いつけてやる。

銀河きゅんに言いつけてやる。銀河きゅんに言いつけてやる!!!

そして私も百発位殴ってやる!!!!!


 「あ・・・あの・・?」


 おっと。眉間にしわが・・・。すまーいるすまーいる。


 「ふふふっ・・・今から楽しみだよ。人種は・・・この世界で二回も神罰を受ける前例のない種だからねぇ。この世界の人種が強いのは知っているんだよぉ?

私がそうなる様に仕向けたのだからぁ?飼い犬に手を噛まれるなんてぇ。恥ずかしいなぁ。ねぇどう思うイントたん?」

 「はいはい。雨宮さんに嫌われない程度にお好きなさってください?姉さまは、私の言う事なんて聞いてくれないんですから。」

 「そぉんなことはないよぉ?可愛い可愛い妹の頼みを聞かないおねぇちゃんなんていないよぉ?」

 「嘘ばっかりですっ!この間だって私のことを雨宮さんに話しておいてくれるって言っていたのに!

雨宮さん何も聞いていなかったじゃないですか!」

 「いやあれは不可抗力・・・。」

 「知りませんっ。私・・・・わたし・・・頑張ったんですから・・・・・。気付いてもらえませんでしたが・・・。」

 「あれー?旦那さまってば鈍感系主人公だったかねぇ?」

 「鈍感も何も。初対面じゃないですか・・・。判るはずないですよ・・・。性別も違うし・・・。」

 「私だって大変だったんですよ!酷い目にあいましたし・・・でも・・・。ぽっ」

 「「その辺は後でじっくり聞かせてもらうからねぇ?」もらいますっ!」

 

 私は君を助けに行くよぉ?だから。君も私を助けてねぇ?

 ヘルフレム監獄が視界に入り、警備のスペースワーカーの間を縫って、私たちのシャトルは、打ち合わせしていた専用ドックに入る。


 この間はちゃんとお話しできなかったけど、今度はゆっくりお話ししようねぇ。

シェイカー・市原(市原切嗣) 300歳独身 エルフ種 Aランク冒険者 

 火星エルフ都市、キュメル出身。本名はジェイク・イチイバル。火星エルフ種の名門イチイバル氏族の長男。時期氏族長。実体のない弓、オーラアローの力を代々受け継ぐ英雄の家系。

 生まれた時から氏族全体の愛情を一身に受け育ってきた。数百からなる氏族の中で、唯一の転生者だが、本人は未だに言えずにいる。本人も家族を氏族を愛するが故の遠慮、恐怖があった。

 赤ん坊のころから前世で得た知識や経験を全て持っていた為、前世から引きずってきた、快楽殺人の中毒症状が、赤ん坊のころから彼を悩ませていた。頭の中が物理的に発散できない性欲で満たされていく度に家屋敷全体が震えあがるほどの膨大な魔力を放出し、強制的にアドレナリンを分泌させることで、性欲を騙し続けていた。しかしその現象を危険と見た、当時の氏族長であった祖父に魔力の一部を封印されてしまう。

 荒れ狂う欲望に精神を焦げ付かされながらも、何とか大人の体を手に入れた時。彼の心は平静を取り戻すほどの安定を手に入れ、心を焦がし続けていた欲望を自身から切り離すことに成功した。

 名実ともに次期氏族長として頭角を現してきた彼は、とうとう候補から飛びぬけ、次期氏族長の地位を得た。だがエルフの寿命は長く、次期氏族長になってからも、数百年は時間がある。

 そこで家を飛び出し冒険者となり腕を磨くことにした。オーラアローを使いこなす彼は冒険者になってからもメキメキ力をつけ、Aランクに上り詰める。しかし、そこでロペ・キャッシュマン率いる転生者捜索隊に見つかり、冤罪を擦り付けられて強制的に監獄に入るか、協力して偽装した罪に寄って監獄に入るかの二択を迫られ、後者を選んだ。


 前世での市原切嗣は、幼いころから両親によって虐待を受けて育ち、血の臭いに性的興奮を見出すように教育されていた。しかし、性に目覚めた12歳のころ、彼は自分の両親が普通の性交をしているところを目撃してしまう。

 教え込まれた行為の異常性に、精神が耐え切れず、自我を振り切って暴走。その場で両親を殺害してしまった。現場に駆け付けた消防によると、「少年は両親の肉片に埋もれて自慰行為を繰り返していた。」と、恐怖していた。

 精神病院に強制的に入院させられ、治療を受けていたが、脱走。その後、すぐに捕まえられ手が付けられないと、強制的に里親に出されることになった。彼の精神が再び安定を取り戻し始めたのは中学3年生の時、高橋鉄重と雨宮銀河を情動に負け、殺害しようとした時の事であった。二人はそこで彼を返り討ちにし、入院するまでリンチした。しかしそれぐらいの方が返って清々しかったようで、後に見舞いに来た二人と意気投合。普通の高校生活を送ることにしたが、学力が足らず中学浪人になりそうだった所を、当時彼を好きだった女子に勉強を教えられ(物理的に)顔面を真っ赤に腫らしながらも受験に成功。ごく普通の高校生活を送ることになったが、彼に勉強を教えた女子は同じ学校に居なかった。

 高校卒業と同時に就職、雨宮達ともなかなか会えないストレスの中、問題を起こした職場の先輩に、責任を押し付けられて首になってしまう。元々心の弱かった彼はこれを引き金に情動を再発させてしまう。

 そしてそこから約十五年後、毎日のように殺人を行い、体液を残していく快楽殺人者として、全世界に特別指名手配されることになった、ここで雨宮はようやく彼を探し当て、一時的に自我を取り戻したが、既に迷宮のように狂った、彼の精神は自意識の元に殺人を行うことにさらなる快楽を見出し、負の方向へステップアップしてしまう。一見正常に見えるように戻った彼は次々に女性のみをターゲットに殺人を繰り返していたが、ある時出会った女性とホテルに入った後、殺害用のナイフが奪われていることに気が付き、脱出しようと試みるが、なぜか扉も窓も溶接されており、地上十階のホテルの最上階の部屋に閉じ込められてしまう。悠々とシャワーを浴びて出てきた女はサバイバルナイフと、改造した電動ドリルを両手に持って襲い掛かってきたが、両手を払いのけられ、奪われたドリルで逆に致命傷を負ってしまう。しかしそれでもまだ息の有った女に気付かず、欲望のままに圧し掛かったところで、

 手首の中に隠し持っていたポケットナイフを持った手で、肋骨を叩き折られ、そのままナイフで心臓を抉られ死亡した。

 完全に溶接されたホテルの一室は、一週間の宿泊予約と、人払いが大金を以てされており、一週間後ホテルの人間が部屋を復旧しようと業者を呼んだ所で、事件が発覚、数百人もの罪のない人間を欲望のために殺し続けた殺人鬼が、ターゲットとした女性に、逆に罠にはめられ相打ちになったと、ワイドショーを賑わせた。

 しかし、相打ちになったはず女性の遺体は、行方不明になっているがその事実を知る者はいない。


アメリア・キャッシュマン 30歳独身。人種。元太陽系連合軍特殊部隊AGフォースの自称ピンク担当

 冥王星宙域の名門、キャッシュマン一族の次女。両親からいつも軍を辞めなさいと言われ続けていたことが悩みで、自宅に一切帰らず、姉のロペの借家で共に生活していた。

 ロペは特に妹に対して自身の身の上を話しておらず、彼女自身が望んで軍に従軍したことに驚いていた。しかしそんなキャリア軍人の姉に憧れ、追いかけてきた妹を無視出来ずに

 面倒を見てきた。しかし、ロペが行動を起こした時、AGフォースという、隠れ蓑を結成そこに所属させることによって、派閥から妹を匿う事にしたが、当の本人はのんびり構えて

 姉の後ろを大きな体で、ちょこちょこついて行こうと決めていた。

 

ホムラ・カガリビ 27歳独身。人種。元太陽系連合軍特殊部隊AGフォース自称レッド担当

 地球周回軌道コロニー出身。旧家の出であり、古の昔から語り継がれてきた未来視の一族、篝火一族の十八女に生まれる。一族の現当主、先代当主は共に未来視の力を持っておらず、

 何とか未来視の力を取り戻すべく、文字通り種馬の如く子供を作った結果、先代当主実に88歳にしてようやく、十八人目の子供が未来視の力を以て生まれた。

 しかしそこで力尽きたのか、娘の成人を待つことなく老衰にて他界。現当主は兄妹の長男だが、当人に発現した力は全く役に立たない所謂クズ能力であった。その為未来視の力を持って生まれ、

 一族の全身全霊の愛情をかけて育てられる彼女を見て嫉妬。当代当主、56歳にして赤ん坊にケンカを売る始末。一族の運営には有能だが人間として未熟そしてクズ能力。とあまり良い評価が受けられないのは彼女のせいだと、高校卒業と共に無理やり軍に従軍させてしまう。しかしそれが原因となり、先代当主と同じ茨の道を歩む羽目になる。当の本人は、可愛がってくれたのはありがたいが、構われ過ぎて人間不信気味と、若干迷惑だったようで、気分良く家を出て行った。

 

イファリス・ベルツドラガッヘ 39歳独身。エルフ種。元太陽系連合軍特殊部隊AGフォース自称ピンク担当

 冥王星宙域に存在する商業都市コロニーノエ出身、両親が冒険者をしている影響もあり、学校に通いながらダンジョンに潜りレベルを上げるという、男勝りな生き方をしていたが。

 子供としての付き合いが悪く、次第に敬遠されるようになり、ダンジョン探索にのめり込む様になる。冒険者登録できるのが12歳、彼女は僅か3年でBランク冒険者になるという快挙を成し遂げた。

 しかしその事実が、さらに学校での彼女の立場を悪くしてしまう。しかし高等学校へと進学の際、商業国家の直営学園、冥王星宙域の名門学校、国営商業学園に冒険者枠での特待生入学を果たす。

 学園での成績が軍に届き、卒業後軍に従軍、冒険者のランクを凍結し、ロペの元へ配属されるまで太陽系各地を転戦していた。


センリ・ギオボルト 26歳独身。狼型獣人。元太陽系連合軍特殊部隊AGフォース自称レッド担当

 火星帝国帝都出身 火星圏に多数の店舗を展開する、ギオボルトウェポンズの末娘。所謂お嬢様。幼いころから英才教育を受け、高ランクの学歴を築き上げてきたが、友人のエリューシアの誘いで高等学校卒業後従軍する。

 従軍後訓練中に獣化に目覚めた際、制御しきれずに暴走。戦場恐怖症になり一時引きこもりになる。軍を抜けて帰ろうとするところを、ロペに無理やり引き摺られAGフォースに入隊させられる。

 泣きながら訓練を強要されているうちに性格が少し変わってしまったが、獣化を自在にコントロールできるようになり、以前の自分より強くなったことを喜んでいる。

 しかし今回の監獄への潜入の際一度実家に帰ったところ、別人と間違われ家を追い出されたりした。


エリューシア・クライオ・バハムル 30歳独身。エルフ種と機人種、獣人と人種のクオーター。両手首から先が生体機械になっている。元太陽系連合軍特殊部隊AGフォース自称ピンク担当

 祖父が人種、祖母が獣人種、そして父親が機人種、母親はエルフ種のクオーター。様々な特徴のうまく混ざり合ったハイブリッドと呼ばれる種族。ハイブリッドに生まれたがために子供のころは研究所に缶詰めにされ、投薬と検査の日々を送る。しかしその苦しさを乗り切る術を手に入れてからは、毎日が楽しくなってたまらないとは本人の話。

 だが投薬実験の際投薬ミスによる事故が起こり、16歳頃から成長が止まってしまう。しかしその事故が原因で、研究所は閉鎖、彼女に新しいスキルが発現する。

 自由になった彼女は学校に通い始めるが、勉強に全くついていけずに挫折。途方に暮れているところをロペに声をかけられて、勉強を教えてもらう。

 何とか高等学校を卒業したところで、ロペに会うために従軍。各地を転戦し、AGフォースの初期メンバーとして裏の仕事を一手に請け負うようになった。

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