八章
注文の品を食べ終わり店を出る。
「よし、じゃあいろいろ見て回ろっか!」
「えー…」
カナトが露骨に面倒くさそうな顔をする。
本当に面倒なのか、それとも……
「なにか予定でもあるの?」
「そうだな…そこまで急いでる用事はないけど…でも暗くなる前に今日泊まる宿と食料の調達しないといけないからな……」
「ふーん…、カナトはしばらくシルフ領にいるの?」
「んー…三日ぐらいかな…長居すると…その…あれだし……」
『他のシルフ族からは歓迎されないからな』と小さく呟いた。
「じゃあ私の家に泊まる?」
「えっ…いや、でもそれはヤバいだろ…色々…」
「ヤバいって何が?」
「あの…シルフィアーナさん?僕男なんだけど…」
カナトががっくりうな垂れてぶつぶつと呟く。
「よし、じゃあ宿問題も解決したし買い物にでも行こうか!」
カナトの手を引っ張り歩き出す。
「…ホントお前って人の話聞かないよな……」
カナトが何か小さく呟く。
「何か言った?」
「…なんでもない。」
―――ザワザワ―――
マーケット街の中にある広場の前を通ると何やら人が集まっていた。
「何だあの人混み。」
カナトがフード越しに眺める。
「何かあったのかな…ちょっと見てみる?」
「えー…やだよ。僕人混み苦手だし…」
「じゃあ、私は行ってくるから。カナトはここにいてね。」
「あ、おい、シルフィアーナ!」
カナトの返事は聞かずに人混みに近づく。
「…んー、全然見えない…」
人々の視線の先には掲示板があった。
だがここからではその掲示板に張っている物の内容までを見ることが出来ない。
背筋を伸ばしてぴょんぴょん飛び跳ねる。
「お!シルじゃねーか!」
やたら野太い声に名前を呼ばれ隣の男に顔を向ける。
よく見るとよくマーケット街でよく冷やかしてくる店員だった。
その男は一人で何か納得したような顔をし腕を組んだ。
「やっぱりお前は来るよなあ。」
「何を一人で納得してるのかは分かりませんけど、何かあったんですか?」
「はあ?まさかお前知らないで来たのか!?」
「ええ、まあ。たまたま通りかかっただけなので。」
「ん…まあ、俺が教えてもいいが…でもお前の場合は自分の目で確かめた方がいいかもな。」
そう言い男はガハハハッと笑う。
「はあ?この人混みの中に突っ込んで行けと…」
「まあ、そう言うなや。それなりの価値があるものだと思うぜ?特にお前にはな。」
「?」
そう言い男は笑いながら立ち去って行った。
まあ、気になるし、覚悟決めて行くか…
「はあ…」
人混みの中をくぐり抜け一番前に抜ける。それだけだというのにすごく疲れた。
一息ついて顔を上げる。掲示板には一枚の紙が止められていた。
『創造主クラリスが告ぐ。
クオリア・スイルランティア中立都市のフィールド中央に全十階層からなるダンジョンを造った。
初めに最上階に到達したものには永遠に空を舞うことを可能にする羽を授けよう。
では幸運を祈る。』
「なに…これ…?」