ラストクリスマス
一二月二四日。 快晴。
今日は待ちに待ったクリスマス・イヴ。
楽しさの余り、羽目を外す子供もいるだろう。
現在、大地の目の前にはそれに当て嵌まる人物がいた。
「クリスマス・イヴだぜ! この野郎!」とコーラを片手に騒ぐは大地の親友、東野院空。
これが皆でやる最後のクリスマスパーティーだからか、今年はいつも以上に騒いでいる。
「空くん。 余り羽目を外し過ぎない様にね」と釘を刺すは最弱の正義の味方、ジャスティス・正義。
対して空は「解っているって!」とテーブルに置いてあるピザを一切れ手に取り口に運ぶ。
その様子に他の仲間たちは苦い笑みを零しながらもクリスマスパーティーを楽しんだ。
あれから暫く経って、窓の外の景色はもう暗くなっていた。
「そろそろ時間だな」と空が言うと「そうだな」と皆は帰り支度を始める。
嗚呼、楽しいパーティーがもうすぐ終わる……。
そう思うと大地は胸が苦しくなった。
「そ、そう言えば……」と大地は何かを思い出したかの様に口を開いた。
皆は視線を大地に向ける。
「何でクリスマス・イヴにパーティーをするんだ?」
すると空を除いた皆が「確かに」と反応した。
それに対して空は珍しく気まずそうな表情を浮かべながら「ああ、それな。 クリスマスの日は個人的な外せない用があってパーティーを開くことが出来ないんだ」と説明すると皆は「なるほど」と納得した。
その時に見せた空のどこか哀愁の漂う顔を大地は見逃さなかった。
こうして、学校生活最後のクリスマスパーティーは幕を閉じたのであった。
その日の夜、空は一人、だだっ広い自分の部屋のベッドに腰を掛けながら一枚の写真を眺めていた。
一人は中学生の頃の自分、そしてもう一人は大地に出会う前の今は亡き親友。
「クリスマスはお前の下へ向かう約束だからな……」
空は一人そう呟くと共に写真を机の中に直してベッドに横になり瞳を閉じるのであった。




