皆で草スキー!
一二月某日。 快晴。
皆は空とリアの計らいで草スキー場に訪れていた。
始めて来る月華と陽子、ガルムにジェシカは色々と二人に聴きたい事があったのだが、「まあ、あの二人だからこの様な芸当が出来て当然と言っても過言ではないか」と合点して他の皆と共に中へと足を踏み入れる。
受付を済ませ、受付嬢からそれぞれ渡されたスキーの道具や防寒着を男女に別れ更衣室で身に付ける。
皆の準備が整ったことを確認すると空は口元を緩め「よし! 行くぞ!」と草スキー場へと足を運んだ。
そこには深緑色をした芝が敷地内いっぱいに広がっていた。
大地一行の中で、特に陽子が初めてテーマパークへと連れて来てもらった子どもの様に目をキラキラと輝かせている。
全員、それぞれに別れてリフトに乗り込みコースの頂上へと向かった。
「さて! 誰か滑った経験が無いヤツはいるか?」
皆が頂上に集まったのを確認し、空はそう口にした。
すると陽子が恥ずかしそうに手を上げた。
「俺が教えよう」
大地が率先して出てきた。
二人の気持ちを知っている皆は黙ってそれを承諾し、スキーを始めるのだった。
「陽子、上手いじゃないか」
「そ、そうかな?」
「ああ、初めてにしては上出来だ」
思い人に褒められ頬を少し朱に染めながら照れ笑いを浮かべる陽子。
彼女は大地が思った以上に呑み込みが早かった。
大地の適切な指導もあってか、三時間で陽子は滑りをマスターした。
「お、上手くなったな!」と素直に褒め称える空。
「愛の力ってヤツか?」と若干皮肉染みた声音でからかう月華に対して「月華。 まるで意味が解らんぞ?」と大地がツッコむ。
「大地くんの教え方が上手だからだよ!」と陽子は大地を褒める。
「よし! じゃあ皆で一緒に滑ろう!」
空の言葉に呼応する仲間たち。
こうして大地一向は草スキーを満喫したのであった。




