ポロリがあると思った? 残念! 俺だよ!
七月某日、午後一三時。 快晴。
近くの海へと辿り着いた大地一行は男女に別れ、それぞれの更衣室に入って水着に着替えていく。
途中、その傍らに居るリアが「ほう、中々良い身体つきをしておるではないか」とどこか慣れた手つきでソフトに鍛え上げられた大地の身体に触れて関心していた。
その時大地は、人生最大の寒気を感じたとか。
着替え終えた男子はどこか落ち着かない様子で砂浜の上で待機していた。
暫くすると後方から「お待たせ!」と女子たちの声が耳に入り込んできたので男子たちは全員、首が捥げるのではないかという勢いで一斉にそちらに目を向ける。
おおっ……!
男たちの心の中で歓声が沸き上がる。
可愛い女子ナンバーワンの陽子が着用している水着はフリルの付いた淡い緑色のビキニだった。
小柄な身体つきに似合わず女性らしい肉付きが更にその水着の持ち味を際立たせている。
美しい女子ナンバーワンと謳われている月華は、ピンクの花柄が着いた白のビキニだった。
陽子以上のその豊満な身体つきは見る者を魅了する妖艶さが身体の芯まで伝わってくる。
まさに美の女神と言っても過言では無い。
レベッカは相変わらず特撮ヒーローの仮面を被っている。
しかし、そんな彼女の身体つきは月華と比べると腰の括れがとても綺麗に絞れている。
豊満な胸を際立たせるアメリカの国旗をあしらったビキニトップ、そして下半身に身に付けているショートパンツのファスナーを空けて中に付けている水着をチラつかせるそのセンスは男子の少年の心を昂らせる。
雪姫はスリムな体型と自身の雪の様に白い髪に合わせて白のスクール水着を着用している。
その姿はまさに真夏の雪の精。
ジェシカは黒を基調としたタンキニを身に纏い、普段の可愛らしさに上品さが付け足されている。
水着の効果なのか、白く細い身体によく似合っていた。
男子たちはナニかが反り立つ衝動を抑えながら女子に歩み寄る。
「さ、全員揃った事だし、泳ぐか!」と言う空の意外な言葉に大地が「今日はゲームはしないのか?」と問うと「ガルムやジェシカ、海斗は兎も角、俺たち三年は最期の夏だぜ? ここは夏を満喫しようじゃないか!」と彼は拳を強く握りしめた。
最後の夏。
その言葉に大地は胸に刃物で抉られる様な感覚を覚えた。
空は最後の学校生活と言うものにどんな気持ちでいるのだろうか?
そう思うと大地はどこか寂しいものを感じた。
しかし、ここで悲壮感に浸っている場合ではない。 最後の夏、満喫しようじゃないか!
大地はそう意気込み、仲間たちと共に海を満喫した。
男子だけで誰が海で一番早く泳げるかを競ったり、スイカ割りをしたりと夏を謳歌した。
そして夕暮れ。 時刻は午後一七時を回った頃、大地一行は浜辺で沈む夕日を見送っていた。
「今日は楽しかったよ!」と陽子が嬉しそうに口を開いた。
「良い思い出がまた一つ増えた。 ありがとう」と月華は満足といった表情を浮かべる。
「そりゃ良かったぜ!」と空はニッ! と笑った。
「貴方たち二年間も私たちに内緒でこんなことをしていたの?」雪姫の鋭い視線に海斗を除いた男子たちは気まずい表情を浮かべた。
「それにしても!」とジャスティスが話を逸らした。
「よく、こんなに友達が増えたよね」という彼の言葉に、皆は「確かに」と微笑んだ。
「空と大地には人を引き寄せる何かがあるのだろうな?」という菅原の言葉に「そんな大げさな」と大地は小さく笑った。
「拙者、大地殿たちに会えて良かったでゴザル」と一騎は過去を振り返る様にそう言った。
「ミーも!」とレベッカもそれに同意する。
「もう、お前ら三年生たちとこんなことが出来なくなると思うと寂しくなるな」とガルムにしては珍しく弱気な発言をした。
それを聞いたジェシカが「アンタにしては珍しく弱気な発言ね?」と突いてきた。
ガルムは慌てながら「う、うるせぇわ!」と頬を朱に染めた。
「まだ、夏休みは終わっていません。 これからも皆さんの時間が合えば一緒に満喫したいです」と口にした海斗の言葉に皆は首を縦に振って同意した。
「ま、今日は八〇点と言った所じゃな」というリアの言葉に「手厳しい」と大地が冷静にツッコんだ。
こうして他愛のない会話で盛り上がりながら大地一行は今日と言う日を満喫したのであった。




