ガールズトーク
昼休み。 学校の教室で陽子と月華、雪姫とレベッカの四人が輪になって談笑していた。
大地たちはと言うと、空が珍しく「スポーツしようぜ?」と男子生徒たちを誘ってグラウンドへと向かっていったのだった。
「さて、ここで話題を変えようか」
月華の言葉に「何の話題にするの?」と陽子が問うた。
「勿論、恋バナだ」
恥ずかしげも無く言い切った月華に思わず雪姫は口に含んでいたミルクティーを吹き出した。
「い、いいい、いきなり何を言い出すの月華ちゃん!? こっ、ここっ、恋バナだなんて!?」
茹蛸の様に顔を真っ赤に染めながら慌てる陽子に「で、大地との進歩はどうなんだ?」と意地悪な笑みを浮かべながら追い打ちをかける月華。
すると陽子は「へっ!? だっ、だだっ、大地くんとはまだそう言う関係にはなってないよ!?」とあたふたした。
「へぇー。 まだ大地とはカップルになってないのね?」
レベッカの言葉が陽子の胸にグサリと刺さった。
「そ、そう言えば月華ちゃんたちは好きな人とかいないの?」と話を逸らす陽子に対して月華とレベッカは「勿論」とハッキリと答えた。
「えっ!? そうなの!? 誰?」
「大地だ」と月華は淡々と答えた。
「大地よ」とレベッカは淡々と答えた。
それにより陽子は「へ?」と口を開いて呆然とした。
そして理解すると「ウェェッ!?」と驚きの声を上げる。
「何だ? 気づかなかったのか?」という月華の言葉に「全くそう言った節が見当たらなかったよ!?」と陽子が言った。
「フフッ。 良い女ってのいうは人に悟られないものよ」とレベッカは得意気に言った。
「そうなんだ……」
うわぁっ……、二人とも魅力的だから敵いっこないよぉ……。
二人の強敵を前に、陽子は絶望を覚えたかの様に肩を落とした。
「まあしかし、私とレベッカの二人の恋が叶う事は無いだろうがな」という月華の意外な発言に「どうして?」と陽子は首を傾げる。
「どうしてって、ユーは気づいていないの?」とレベッカはどこか驚いた様子で陽子に聴いた。
「気づいていないのって何が?」と言う陽子の言葉に月華とレベッカ、雪姫の三人は同時に一つ深い息を吐いた。
これは、二人の恋が叶うのには時間がかかるな。 と三人は鈍感な乙女に対して呆れるのであった。
「ところで、雪姫は菅原とは上手くいっているのか?」
月華の突然な質問に雪姫は戸惑い、そして頬を赤く染めた。
それから小悪魔三人に質問攻めにされたのは彼女にとって苦い思い出となったのだった。




