ようこそ!! 一年生!!
入学式が始まってから約三〇分が経過した。
現在、本校の校長先生が壇上で新入生歓迎の話をしている。
他の新入生たちは退屈なのか、明後日の方向を見て聞き流したり、中には眠っている者もいた。
『生徒会長の言葉』
すると、ガラリと空気が変わる。
二、三年生は待っていましたと言わんばかりの雰囲気を醸し出している。
そして、その者は壇上へと向かう。
裸エプロンの姿で。
彼の破廉恥極まりない姿を見た新入生たちは口元を手で押さえて溢れ出そうな笑い声を堪えている。
そんな新入生の視線を全く気にしていない空は百戦錬磨の様なオーラを発しながらゆっくりと壇上へと上がり、全校生徒たちに一礼し、口元をマイクへと近づけゆっくりと口を開いた。
「新入生の諸君。 入学おめでとう。 これから始まる新しい学校生活を思う存分満喫してくれ」
以上だ、と空は一礼して壇上から降りた。
ワッ! と盛大な拍手と歓声が沸き上がる。
どこか以前の生徒会長を思わせるような入学式に、大地は安堵の笑みを浮かべるのだった。
×××
「どうよ! 俺の言葉は? 決まっていただろ!」
してやったといった笑い声を上げながら制服に身を包んでいる空。
「流石に裸エプロンはどうかと思うぞ?」と言う大地の最もな意見に「んな堅い事言うんじゃねって! 普通にやっても面白くないだろ?」と空が口を尖らせた。
「流石だな、空。 私たちに出来ない事を平然とやってのける。 そこに痺れる、憧れるだ」
月華の発言に「いや痺れても憧れてもダメな奴だからなアレ!?」と大地が釘を刺した。
「でも以前の生徒会長もあんな感じだったよね?」と陽子が口にすると「類は友を呼ぶってね」とジャスティスが笑った。
「しかし、毎度思うのだが何故裸エプロンなのだ?」と言う菅原の問いに「確かに」と皆が反応する。
対して空は「さあ? 俺はアイツに負けたくないからやったまでだぜ?」と答えた。
「たったそれだけの理由であの姿になれる君の精神は本当に凄いと思うよ」とどこか皮肉めいた声音でジャックが言った。
「さすが大地殿の親友ですな!」と尊敬の眼差しで空を見る一騎に「いや、そこは尊敬するべき所じゃないぞ!」と大地がツッコんだ。
会話が盛り上がる中、不意に近くの扉が勢いよく開かれた。
何事だとそちらに目を向けるクラスメイト一同。
そこには短く切り揃えた黒い髪をワックスで逆立たせた少年が居た。 身長は大地より少し小さいくらいか、華奢な身体つきをしており、その整った顔つきはどこか一年生の頃の空に近いものを感じた。
少年はゆっくりと空に近付き、一枚のメモ用紙を渡すと共に踵を返して去って行った。
何だ、アイツ? と空は思いながら渡されtメモ用紙を開きそれに目をお通す。
そのメモ用紙には『友達になってください。 by東大寺海斗』と連絡先が記されていた。
それを見た空たちは少しだけ心が温まったとかそうでないとか。




