春休みの計画・パート2
「今日、皆に集まって貰ったのは他でもない」
;空はそう言って六人の仲間に視線を送る。
「で、今回はどんなことをするんだ?」
もう慣れた、と言った感じで大地は彼の企画に耳を傾ける。
「勿論、お泊り会だ!」
その言葉に、大地は額に手を添える。
「母さんからの許可は……?」
「勿論、貰ってある!」と空は親指を立てながら決め顔でそう言った。
「お泊り会って何をするんだ?」とガルムが問うと「友達だけで集まって、朝から夜まで遊んで寝泊りするんだよ」とジャックがあながち間違っていない説明をした。
それを聴いてガルムは「おぉっ! 面白そうだな!」と目を輝かせた。
「決まりだな」と菅原は立ち上がる。
「決まりだね」とジャスティスも立ち上がる。
「再び大地殿の家に寝泊り出来るとは光栄で候」と一騎は目を爛々とさせて立ち上がった。
「さて、どんな登場をしてやろうか……」とジャックは何かを企みながら重い腰を上げた。
「言っておくが、俺は風呂にあまり入らないからな!」と不謹慎な発言をして立ち上がる。
「じゃあ、皆、空いている日が決まったら連絡してくれ」
解散! と言って皆、大地の部屋から立ち去っていく。
一人取り残された大地は部屋にある椅子に座って辺りを見渡し一つ小さな溜息を吐いた。
あの三人がいないお泊り会か……。
自分が尊敬した三人の先輩の姿を思い浮かべ、大地は更に憂鬱な気分に襲われた。
空と出会い、人と関わる事の楽しさを知った大地は次第に繋がった友達を大切にするようになった。
中学生の頃とは違い、充実した学校生活を送れている。 その反動からか、あの三人の存在がなくなったのは大きかった。
『会うのはこれで最期とは限らない』
あの時、自分に放ってくれた先輩の言葉を思い出す。
そう、あの日で最期じゃないんだ。
大地はそう自分に言い聞かせながら、一階のリビングへと移動し、掃除機を部屋に持ち込み、掃除を開始するのであった。
その時の掃除機のバキューム音が、いつもより五月蠅く感じた様な気がした。




