二回目の楽しい楽しいクリスマス会
一二月二四日。 今日は子ども達にとって待ちに待ったクリスマス・イヴ。
楽しさの余り、羽目を外す子どももいるだろう。
現在、それに当て嵌まる人物が二人いる。
「クリスマス・イヴだぜ! 野郎共!」とコーラを片手にはしゃぐ大地の親友、空。
「時間ギリギリまで責めるぜ! この野郎!」といったいナニを責めるのか問い質したい、私立橘高等学校が元生徒会長の進。
そんな二人を九十九が「はしゃぐのは良いが、ここは大地の家だというのを忘れるなよ?」と少し呆れる様に釘を刺した。
その様子に苦い笑みを浮かべる菅原とジャスティス。
「この様な宴に招待されるなんて、拙者、感激でゴザル!」
酷く感動する一騎に対して「そんな大袈裟な」と大地は笑った。
「あんな出会い方でまさかこんな事をする関係になるなんて思いもしなかったよ」と言うジャックの発言に「確かにな」とガルムと菅原が同意した。
「今日は心置きなく楽しませてもらうよォ?」と土御門はどこかジョークに見えない悪い笑みを浮かべた。
「さあ、皆! 乾杯だ!」
空の言葉に、友はそれぞれ好きな飲み物を片手にグラスを合わせてクリスマスパーティーを開始したのであった。
あれから三時間が経過して、窓に映る景色はもうすっかり暗くなっていた。
食べるものを食べて、はしゃぐだけはしゃいで、今日と言う特別な一日を満喫した空一行はここらでパーティを終了した。
空と大地は皆を玄関まで見送る、
「今日は最高の一日だったぜ!」と進は満足気にそう言った。
「楽しかった。 ありがとう」と微笑む九十九。
「今日の事は絶対に忘れないからナ!」と怖い顔に似合わない事を口にする土御門。
「また来年も誘ってくれ」と菅原は珍しく照れ笑いを浮かべた。
「また来年もやろう!」と凄く乗り気なジャスティス。
「是非拙者も来年呼んで下さい」と一騎は軽く頭を下げた。
「来年もやるならまた来るよ」とカボチャ頭のジャックはそう言った。
「来年もまた来るからな!」ともはや来年もやること前提で言うガルム。
対して空と大地は「また来年もやろう」と口にして別れを告げた。
こうして男だけの楽しいクリスマス・パーティーは幕を閉じたのであった。
「終わったな」
大地の部屋に戻り、どこか寂しそうに空はそう言った。
「そうだな」と大地は相槌を打つ。
注文した大量の食べ物の空箱や飲み干されたペットボトルの残骸を眺めながら大地は口を開いた。
「なあ、空。 今から少し付き合ってくれないか?」
「良いぜ」と空が承諾すると大地を先頭に二人は寒い夜街へと出掛けるのであった。
向かった先は去年雪合戦(と言う名のイジメ)の時に使用した公園だった。
「どうしたんだ? こんな所に連れて来て」
「中学三年の時の事をお前は覚えているか?」
大地は公園を見渡し言葉を続けた。
「その年の今日、俺はここでお前に救われたんだ」
その言葉を聞いて空は微笑する。
「懐かしいな、そんな事あったな……」
それは今から二年と少し前の出来事……。




