君がいる夏
八月下旬。
夏休みも終わりに近づき、TVでは各都道府県が次々と花火大会が行われているニュースが後を絶たない。
今日は隣町が花火大会である。
だが、大地は家の中で不満を抱いている。
「何故、俺の家に集まるんだ!?」
家のベランダには空たち四人が各自用意した椅子に座って満喫していた。
「何故って、大地の家のベランダから花火が見れるからさ」
当然だろ? と空はさも当たり前の様な表情を浮かべて言った。
その腹立たしい顔を殴りたい気持ちを抑える大地。
夏祭りに行くんじゃなかったのか。
「すまない西野。 空が電話で「大地が承認しているから見に来いよ」って言われたから来たんだ」
何が申し訳ないのか、九十九は顔色を変えず椅子に座ったままペットボトルのコーラを片手に理由を述べた。 反省している様には見えない。
「僕も九十九先輩と同じだよ」とジャスティスが椅子に座ったままペットボトルのオレンジジュースを片手に言った。
「俺もだ」と菅原も椅子に座ったままペットボトルのジンジャーエールを片手に言った。
その様子に大地は「お前ら……」と静かに身体を震わせた。
この夏休み、殆どがこのメンツと過ごした。 それもあってか、日が積み重なる内に全員心を赦してきたのか、随分とフランクな感じになった。
これはこれで嬉しいと大地は感じた。
去年の花火大会は空と二人きりだったからな……。
瞼を閉じて、去年ここで起きた出来事を振り返る。
一人しかいない友達、高校へと入ってから増えた友達。
それもこれも全て、
「お、そろそろ上がるぞ?」
この親友がいてくれたから。
ヒュルルルッ! と音を上げながら夜空に大輪が咲く。
それを目にした大地はそっと口を横に広げた。
「次は連絡よこせ」




