夏休みの計画
「今日、皆に集まって貰ったのは他でもない」
空はそう言って目前にいる四人の仲間に視線を送る。 するとその内の一人、彼の親友、西野大地が口を開いた。
「ここ俺の部屋なんだが」
刹那、辺りは静寂に包まれる。
「夏休みの計画何だが……」と話を進めようとする空に「シカト決めてんじゃねぇよ!」と床を勢いよく叩く大地。
「何だよ? 別に良いだろ? いつもの事だし」
空は片耳に小指を突っ込みながら面倒くさそうな表情を浮かべた。
「いや、よくねぇよ! だいたいいつも何で俺の家なんだ!?」
そして! と大地は他に来ている三人を指差して言葉を続けた。
「何故こいつらがいるんだ!?」
彼が指差した三人、一際痛いオーラを発している菅原葵、以前不良に絡まれて助けに来たは良いが返り討ちに合ったジャスティス・正義、そしてどことなく考えている事が読めない一つ年上の九十九悟。
どれも頭が抱えたくなるメンツである。
空は特に気にした様子もなく「面白そうだから」といつもの病気が出た。
それに対して大地はとてつもなく深い溜息を吐いて肩をガックリと落とした。
「それよりもお前ら面識あったんだな?」と言う大地の言葉に「知り合ったのは最近だがな」と口にする空。
どういう形で知り合ったのか気になった大地であったがあえて聞くことを止めた。
「そんなことよりも! 夏休み、皆はどこへ行きたい?」と言う空の言葉に考える他四人。
その中で一人、この部屋の主である大地が「空はこの夏休みどんな事がしたいんだ?」と念の為聴いてみた。
すると空は「俺か? 俺は普通に海に行って泳いだりして、夏祭りとか皆で一緒に行けたらとは思うぞ?」と意外と普通な答えを返してきた。
「月華と陽子はどうするんだ?」と言う大地の問いに空は「カップルでもない限り、こう言った長期間の休みは男友達だけで遊び回りたいな」と答えた。
そんな空に彼女たち二人のどちらからに好意を抱いているのだろうか? それよりも『異性』に興味を抱くことはあるのだろうか? と大地は考える。
そう言えば俺はコイツとは中学の付き合いだけど、意外と知らない事が多いな……。
大地はどこか寂しい気持ちになった。
そんな彼の心情を知らない菅原は手を上げて口を開いた。
「そのお誘いはありがたい。 だが、他の奴はどうかは知らないが俺はこう見えても多忙な為、俺から空いている日を告げて集まる形になるがいいか?」
それを追い風の様に九十九も手を上げて「俺も菅原に同じだ」と口にした。
空は特に気にした様子もなく「ああ、良いよ。 取り敢えず空いている日が解ったら事前に連絡してくれ」と片手をヒラヒラとさせて言った。
「僕はいつでもOKだ!」とジャスティスが親指をビッ! と上げると空も親指をビッ! と立てて返した。
何だ、お前ら? と言う気持ちに襲われる大地。
明日から、主に空とジャスティスに振り回される事を考えると頭が痛くなる大地であった。




