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安直短編集

私の自慢の娘

母親は何でも教えてくれる。間違ったことをすれば叱ってくれる。

子供にとって母親は神に等しい。

私の自慢のお母さん。

ねえお母さん。私眠くなって来ちゃった。疲れたのかな?

あはは、じゃあまた明日。

お休み。






娘がいなくなってから1ヶ月。

あの子は向こうでもってうまくやっているだろうか。

娘の最後をみとった後、私は途方にくれていた。

何もやる気が起きない。趣味も全部やめてしまった。

時折娘の笑顔がふと蘇り、顔を手で覆う。

私は何もできなかった。あの子は私を信用していた。助かると、私が助けてくれると。

私は見ていることしかできなかった。目の前で衰弱していくあの子を、ただ見ているしか……。

私、どうしたら。私は手で顔を覆って泣いた。絶望と罪悪感。胸が締め付けられるように痛かった。

そしてあの子の名前を叫んだ。そして、ごめんなさい、と繰り返した。

あれからどれだけたっただろうか。気が付くと目は真っ赤になっていて、目の前にはいなくなったはずの娘が立っていた。

驚く私を娘はそっと優しく抱きしめ、ありがとう、と囁いた。

助けられなかった、と私は涙を流した。そんな私を見て娘は、いいよ、と笑った。

その笑顔を見た瞬間、私の心をせき止めていた何かが崩れ、感情が洪水のように流れ出た。

まるで私が子供のようだった。

娘は私を抱きしめたままもう一度、ありがとう、というと、光の粒になって消えてしまった。


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