side男 3
男どものわちゃわちゃ。いつもオネエ言葉の彼もいつものメンバーでは男言葉でしか話しません。
長谷翼は俺の小学生からの友人で彼も可愛いものが好きな甘党男だ。今はガタイの良さを生かして警察の下っ端のようなことをしている…らしい。
「で、何注文するんだ?」
「苺パフェとミルクセーキシロップ多めで。」
「うっわ、口ン中バカになりそうだ。チーズでも添えて出すか。」
「うるせー!普段はかっこつけて酒やらコーヒーやら飲んでるんだ、思いっきり甘いのなんてお前か奴がいる時ぐらいしか口にできねーんだよ!」
「はいはい。さっきは助かったからとびきり甘くしてやるよ。」
俺には同志が翼とあともう一人いる。彼は変人と名高いが情に厚く、偏見や固定概念を持ち合わせていない。俺の可愛い物好きや翼の甘党も受け入れられる懐の広い変人。彼は女装がデフォルト、しゃべり方は女らしさのかけらのない粗雑な羅列、そして低い声。そんな彼は見た目は知り合いでないと男と認識できないほどの美人だ。
「彼は元気だろうか。」
「あたぼうよ、ひっさしぶりじゃーねーのよ、りっちゃん」
「うっわ、びびった!やめてくれよその呼び方女みたいで嫌いなんだよ。」
「ふっふっふ、じゃあ俺のことをかわいく呼んでみるがいい!」
「「…けんちゃん」」
「うわああああああああぁあ!かわいくないー!」
「仕方ないだろうが、山崎健太郎。」
「そう気に病むなよ山崎健太郎。」
「本名をフルネームで呼ぶなバカああああ!」
彼の名前は山崎健太郎。自分の名前が男らしくて嫌いなのだそうだ。仕事はモデル。しゃべらなければ美人と評判。残念変人美人とか誰得なのだろうか。ちなみに既婚者。
「いいもん、あさぎちゃんに慰めてもらうんだ!」
「奥さんも大変だよな。」
「ああ、見た目反転夫婦だからな…彼女はおカマと間違えられがちなんだそうだ。筋肉ムキムキでもないのになんであんなに男性的なのだろうか、羨ましい。」
「律はなよいからなあ…オレと一緒に筋トレするか?」
「…やめとく。」
こうして男ばかりの時間は緩やかに過ぎていくのであった…ってか。