7話 妹とキス
「……んっ」
小鳥がついばむようなキスを繰り返す。
唇の感触を確かめるように何度も重ね合わせ、久しぶりに味わう華の柔らかさが気持ちよくて脳が麻痺していく感覚。
「ちゅ……ん、ちゅぷ……」
「は、な……ち、ちょっと待って……っ!」
カラオケから帰り、家に入るなり華は俺を押し倒す勢いでしがみついてきた。
あまりの勢いに俺は倒れるように座り込んでしまう。
「やっぱり、駄目だって……俺たち兄妹、なんだから……っ!」
「だーめ。勝負に勝ったんだから、お兄ちゃんは大人しくしてて」
そう言って華は、またもや俺の唇を貪るように何度も重ね合わせる。
覆いかぶさるように俺の腰に跨り、首に腕を絡ませてくる。
いつもとは違う華の甘美な匂いが鼻腔をくすぐり、俺の鼓動はドクンドクンと脈打つ。
「お兄、ちゃん……と、久しぶり……ん……キス……」
華は軽いキスでは飽き足らなかったのか、強引に舌で俺の唇をこじ開け舌を蹂躙し始めた。
「んっ、ちゅる……おにい、ちゃん……ん、ちゅ」
なんども舌を絡ませては、取り込もうとする勢いで俺の舌を吸い始めた。
「ちゅー、れろれろ……お兄ちゃんの涎、美味しい……もっと、ちょうだい……」
唇を重ね合わせ、舌を絡ませ、華の熱い吐息が、甘い匂いが、どんどん俺の理性を失わせていく。
「ふふ、お兄ちゃん……興奮してるね」
華の潤んだ瞳が、俺の下半身に注がれる。そこには興奮した固い物が。
兄妹とわかってから禁欲の生活に、この刺激は麻薬のようなもの。思わず身体が反応してしまった。
俺が興奮していると知り、華はそれを欲情させるようにわざと臀部を押しつけてきた。
やわらかな感触に刺激され、思わず呻き声を上げてしまう。
「でも、キス……だけだもんね?」
小悪魔のような笑みを浮かべた華は、あえてそれ以上しないと告げることで俺を欲情させようとしてきた。
「きもひ、よふぎて……あたま……クラクラしちゃうね……」
舌を絡ませながらも、ずっと下半身を刺激してくる華の腰使い。
呼吸が辛くなって離れたお互いの舌からは、唾液の糸が繋がれていた。
「見て、お兄ちゃん……私たち繋がってるよ……?」
その糸が切れ、溢れた唾液が華の顎に垂れた。それがより一層、淫靡な雰囲気にさせる。
なにがおかしいのか、華はくすくすと笑みを浮かべる。
ゆっくり顔を寄せてきた華が、俺の耳に息を吹きかけ軽く甘噛みしてきた。
「……うぁ」
「ほらほら、お兄ちゃん……いつまで我慢できるかな?」
「これ以上は、駄目だって……」
どれだけ刺激されようが、これ以上はやっちゃいけない……。
だって、俺たちは兄妹なんだ。
思い出す、カラオケで言われたあの言葉。
――――気持ち悪くない?
あれがリアルな世界の言葉なんだ。
お互いがどれだけ好き合っていても、世間は許してはくれない。
だから、俺は……。
「……華、離れるんだ」
「……お兄ちゃん」
俺の言葉に、華が悲しそうに瞳を伏せる。その姿にチクリと胸が痛んだ。
それでも、その姿に優しさを投げかけてはいけない。ここは敢えて突き放してあげないと。
突然、華が俺の肩を掴み床に押し倒してきた。
「……は、な?」
「……はぁ、はぁ」
俺を見下ろす華の瞳が怪しい光を纏っている。
あ、これはスイッチ入ってるかも……。
「ふーっ……ふーっ……ふーっ……」
「あ、の……華さん……?」
「だ、大丈夫だよ、お兄ちゃん……? 痛くしないから……」
「いや、それ男側が言うセリフだから」
「はぁ、はぁ、先っちょだけ……ね、先っちょだけだから……?」
「それも男側が言うセリフだから!」
「心配しないで、天井の染みを数えてる間に終わるから、ね?」
「いやー、襲われるー!」
スイッチが入った華から逃れるために、ひたすら狭い室内を逃げ回ることに。




