13話 どう違うんだろう
『先輩、こんばんはー』
あたしは家に帰り、さっそく先輩をデートに誘うためにメッセージを送る。
ぬいぐるみや小物が沢山置かれた自分の部屋で、ベッドの上を制服のままゴロゴロしながら返信を待っていると、スマホが振動しすぐにLINEを開く。
『内海さん、どうしたの?』
先輩からメッセージが返ってきただけで、なぜか心が浮き立った。
すぐに返信しちゃうと気持ち悪いかなー?
あ、でも既読付けちゃったし、逆に返信遅い方が印象悪いか。
『昨日はどうもありがとうございます!』
『こちらこそありがとう。内海さんの案内してくれた喫茶店、凄く落ち着いてよかったよ』
『そう言ってもらえて嬉しいです。先輩って明日予定とかありますか?』
そこで先輩から返信が途絶えた。
え、あれ……、もしかして気持ち悪かったかな……?
ちょっとグイグイ行き過ぎた……?
どうしよう、メッセージ取り消ししようかな……って、既読付いてるし意味ないじゃん。
『明日はなにも予定ないよ』
よかった、嫌われたかと思った……。
でもどうしよう。ここで明日デートに誘っても、もしかしたら断れちゃうかも。
いや、ここは誘うっきゃない! だって、一歩踏み出さないと、進展なんて永遠にないんだから。
――――明日、二人っきりでデートしませんか?
文字を打つだけ打って、送信ボタンを押せずにいた。
もし断れたら、あたしのことなんて微塵も好きじゃなかったらって考えると、ボタンを押すだけの一歩を躊躇してしまう。
震える指で、精一杯の勇気を振り絞って送信ボタンを押す。
やばい、凄く胸がドキドキしてる……。
もしあたしのことが全然タイプじゃなくて、既読すらつかなくて未読無視されるかもって思うと、スマホを見るのが怖い。
見たくない現実から逸らすために、布団でスマホを覆った。
けど、布団で被せているにも関わらず、スマホが振動したことで返信が来たことがわかってしまう。
恐る恐る布団を捲り、震える指でスマホを確認すると。
『うん、いいよ。明日、デートしよっか』
やったーーーー!!
思わず足をバタバタして喜んでしまう。
先輩が返信してくれるだけで一喜一憂してしまう。
ようやく気持ちが落ち着いて、ぼんやりと先輩のことを考えながら天井の照明を眺めた。
これが恋かどうかわからない。
初恋もまだしたことなくて、この気持ちが恋心なのか、ただ恋に憧れているだけなのか。
今通っている高校は女子高で、男子と接すること機会は全くないし、中学のころは恋になんて一切興味がなかった。
だからこの気持ちが恋かはわからないけど、ただ一つわかっていることは、先輩と話していると落ち着くってこと。
先輩は基本的に人の話を否定なんてしない。ずっとあたしの話をうんうん頷いて楽しそうに聞いてくれる。
それが楽しくて、昨日はずっとあたしが喋っちゃったけど、ああいうのが大人の余裕ってやつなのかな?
あまりにもあたしの話を否定しないから、意地悪したくなって「一+一って十だと思うんですよね」なんて言ってみたら、「そういう考えもあるよね」なんて肯定してくれた。
それについては否定した方がいいでしょ、て心の中で思っちゃったけど。
あー、どうしようー……。
明日すっごく先輩との関係が進展しちゃって、手なんて繋いじゃったら。
あたしは手も繋いだことがない。
よくカップルが手を繋いで歩いているけど、その気持ちは全くわかない。
好きな人と手を繋ぐのって落ち着くのかな、ドキドキするのかな。
自分の手をかざし、部屋の明かりを遮った。
あたしの手と先輩の手って、どう違うんだろう。




