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第6話 泳ぐ心

真夏、太陽の光がまるで人間を焼き殺すかのようにギラギラと輝いていた。エアコンの効いた部屋で楪と小晴は横になっていた。


「楪、なんかないー?」


「なんかないって…俺の部屋にはゲームしかないよー」


「…楪ー」


「なにー」


「プール行かないー?」


「…はっ?」


「え?」


楪は突然のプールのお誘いに言葉を詰まらせた。


「今、なんて…」


「だからプール行かない?」


「行く、絶対行く!楽しいに決まってる!」


「よし!行くぞぉ!」


そして…


「その話聞いてはい、俺達も行きますとはならないだろ」


楪、小晴、春そして和美の4人で長城市にあるプールにやってきた。


「2人、それも異性とじゃどう遊ぶか分かれるでしょ?」


「まあ、そりゃあそうだけど」


「だから2人ずつで来れば問題nothing」


「正論であり…暴論っぽいけど」


「まあまあ、ほら和美ちゃん!ちゃっちゃと着替えに行こう!」


「あ、もう押さないでよぉ」


そして数分後、レンタルで借りた黒の水着を着た小晴と白の水着を着た和美が男性陣の元へやってきた。水着姿で現れた2人に楪は両手を合わせて拝んでいた。


「女神…」


春は彼女らの水着姿に少し照れたのか頬を赤くして少し顔を隠した。その顔を見て、和美も胸を隠すように右手で自分の左肩を掴んだ。彼女も頬を赤くして春に聞いた。


「ど、どうかしら」


「た、大変お綺麗です」


「新婚カップルか」

「それ私達ねPART2」


4人はプールサイドに着くと男性陣は流れるプールで思いっきり泳ぎ始めた。


「春、勝負な!どっちが1番早く一周できるか!」


「いいぜ!やってやる!」


「もう、私達ボールで遊んでるからねぇ!」


「おう!」


小晴の声に楪は大声で反応してそれぞれで分かれた。

ボールで遊んでいると和美は小晴に質問をした。


「小晴ちゃん」


「どうしたの?」


「本当に私達連れて来て良かったの?」


「え?」


「だって若水君と一緒に遊びたかったんでしょ?」


「それは…そうだけど。楪が楽しいなら私はそれで良いって思ってるの。だから…いいの」


「そう…」


一方、男性陣でもほぼ同じ話をしていた。


「いいのかよ楪、小晴と遊ばなくて」


「…なあ春。彼女って何なんだろうな」


「何って俺彼女いないんだが…」


「わりぃわりぃ、でも人生で初めての彼女。小晴と今まで通り接してたらきっと小晴は離れちゃう気がして」


「ん〜、確かに小晴は動くのが好きだけど楪はどっちかというとゲームとか家でできるのが好きだよな」


「つまり趣味は正反対ってわけ」


「でも良いんじゃねえの。趣味は違えど好きな人の好きになった理由なんていくらでも見つかるんだし。それに幼馴染なんだから俺より自分達で話した方が色々わかるんじゃねえの?」


「凄いな春…ありがとう、少し話してみるわ」


「了解」


楪達が女性陣の所へ戻ろうとした。すると背後から春の手を掴んだ人が1人。


「あれ、諸此さ」


和美は春の口を手で抑えてそのまま連れて行った。楪は春に話しかけようと振り向いたが既にその場にはいなかった。


「あれ、春?」


「楪、ちょっといい?」


振り向いた矢先、小晴が恥ずかしそうに腕を組みながら楪に話しかけた。彼もそれに応えるようにおうと返事して2人は手を繋いで別の場所へ歩いて行った。


「よし、行った」


和美は2人の様子を見た後に春を見た。春は顔を真っ赤にしていた。不思議そうにしている彼女は今の状況がどうなってるかわかっていなかった。彼が仰向けで倒れている中、身体の上に乗っていたからである。

当然彼も男子、反応するモノもある。


(ま、まずい!)


何とか彼女を離れさせようとしたが時既に遅し。


「あっ…」


彼女は気付き、顔を真っ赤にして彼の身体からゆっくりと降りた。


「ご…ごめんなさい」


春はすぐに立ち上がって、頭を地面にぶつけるかのように下げた。


「本当にごめん!俺が悪かった!」


「違うわ!そもそも私が脅かすような事しなきゃ…そ、ソレがああなることなんてなかっ…ツッ…」


お互いに顔を真っ赤にして傷をつけ合うような会話を繰り返し、そして近くの円形のプールに入って落ち着かせようとした。


「一旦、この話やめよう」


「そ、そうね。私達の目的はそう!小晴ちゃん達よ」


「そうだな!な、なら俺達は2人の邪魔にならないように遊ぼう!」


「なら私、今からあのウォータースライダーに乗りたい!」


「OK!行こう!」


2人は頭を空っぽにしながらズシズシと力を込めて歩いて行った。そんな事は知らず、楪と小晴は手を繋ぎながらウォータースライダーの入り口に到着していた。


「本当に大丈夫なのか?」


「え、私そんなダメに見える?」


「いや、そんな事はないけど…まあ大丈夫ならいいか」


楪達は階段を登りながらスタッフに2人用の浮き輪を渡された。


「準備ができましたら我々スタッフに声を掛けてください!そしたら浮き輪を押しますのでよろしくお願いします!」


楪が先頭に座り、目の前の光景に息を呑んだ。


「うひゃ〜、すっごい急だなぁ」


そして後ろに小晴が座り、彼のお腹に手を回した。楪はすぐに気付く、彼女の手が震えていた事に。


「やっぱり怖かったんじゃないか」


「う、うるさい…」


「小晴の事は俺が1番わかってるんだからな。だから」


彼は彼女の顔を見なかったがその言葉は彼女の気持ちを楽にさせた。


「俺が護ってやるからこの手絶対に離すなよ」


「うん」


「お兄さん、準備できました。お願いします」


「はい!では行ってらっしゃい!」


スタッフが浮き輪を押して一気にスライダーは進んだ。小晴は目を閉じながらもぎゅっと力強く、彼に抱きつく。楪は絶対に離さないように片手で浮き輪を掴みながらも彼女の手を掴んだ。そしてゴールに到達し、一気に身体に着水の衝撃が走った。


小晴は手を決して離さなかった。2人は互いに顔を合わせて笑う。


「ハハッ!楽しかったあ〜」


「まさか最後まで手離さなかったとはね、スゲェーな小晴」


「すみませんお客様、次の方の準備がありますのでそこから早めに離れる事はできますでしょうか?」


突然のスタッフの言葉に2人は驚きつつもすぐに離れた。


「いや〜楽しかったなぁ、次はどうする?」


すると小晴は楪の手を掴んだ。


「全部回ろう!」


「いいぜ、全部制覇しよう!」


そして2人はプールを楽しんだ。

15時が過ぎた頃、春と和美はフードコートに行きたこ焼きを2人で分けて食べていた。


「楪達大丈夫かな」


「小晴ちゃん達ならきっと大丈夫よ」


黙々と食べ続け2人は残りのたこ焼きに爪楊枝を伸ばす。だが残りが1つなのに気付き、顔を合わせる。拳を前に出して言った。


「「最初はグー!じゃんけんポン!!」」


春 グー  和美 パー


「くっそーまた負けた」


「これで2勝ね」


和美が最後のたこ焼きを食べてる時、春は聞いて来た。


「どうして今日来てくれたんだ?」


「え、なんで?」


「いや、あんまり諸此さんってこういうのに興味ないと思ってたから」


「私、そんなふうに見えたかしら」


「まあ、勉強熱心でどっちかというとスポーツとか身体を動かすものに対して関心あるのかなって」


「武縄君、私達はいくつ?」


「今年で16」


「そうまだ16。やりたい事なんて無数にあるわ。それに」


「それに?」


和美は春の頰を抑えて話した。


「私を外に連れ出したのは武縄君、あなた何ですよ?」


彼は彼女の手を離させて言った。


「俺は別にお姫様を救い出した王子様じゃないんでね。気ままな旅人だよ」


「ふ〜ん(その気ままに助けられた人だってここにいるのよ)」


「と、いうことでそろそろ行こうぜ」


「ええ、行きましょうか」


2人は席から離れてプールへと向かって行った。

その後、4人は合流し一通り遊んだ後帰る準備をしていた。男子更衣室では楪が春に話した。


「春、ありがとな」


「なにが?」


「俺達の時間作ってくれて」


「当たり前だろ。お前らにもちゃんと時間が必要だろ?」


「ああ、それはそうとお前らって本当に付き合ってないの?」


「え?なんで」


「いや〜(これ天然とかそんなもんじゃないだろ)」


これは女子更衣室でも話していた。


「私と武縄君は友人よ」


「なら…それでいいんだけど(まあ私が茶化すのも変な話か)それはそうと…水着着た時から思ってたけど和美ちゃん良いモノ持ってるねぇ」


「ちょっ!?やめてってば」


「逃すかぁ!」


2人はじゃれ合い、男性陣は外でアイスを舐めながら待っていた。


「2人とも遅いな」


「な」

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