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処刑された『闇魔法使い』の姉を救うため、死に戻った『光魔法使い』の妹は運命に抗う ~役立たずと捨てられた義妹ですが、今度は絶対に守り抜きます~  作者: 東明時裕夜
第三章 闇魔法の理解者と地下図書室の秘密

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第23話 闇魔法の理解者と魔力を見抜く秘書

「アミア」


 お姉様が、静かに言った。


「私は、あっちの方を探すわ」


 お姉様が指差したのは、図書室の奥まった区画。歴史書や禁書の類が収められている場所だ。


「……はい」


 私は小さく頷いた。

 お姉様は――自身の身に起きた「闇魔法」について調べたいのだろう。その赤と白の外出着に包まれた背中は、不安と恐怖に震えているように見えた。


 ***


 一方、私は――。


(……治癒魔法……それに、精神魔法の防ぎ方……)


 肩にかけた革製の小さな鞄の紐を握りしめ、私は反対側の通路へと歩き出した。

 私の目的は、アメリアさんの死と、お父様の心を縛る毒(薬物)から救うための「治癒魔法」。

 そしてもう一つ。あの日、お姉様の心を壊し、操ったシャドウの未知の無魔法『洗脳』と『催眠』。ああいう精神に干渉する魔法に対抗するための知識を見つけ出すことだ。


(……必ず……見つける……)


 私は、本棚の間を縫うように歩いた。

 古い本が、ぎっしりと詰まっている。背表紙の文字を目で追う。


『火炎の理』『水の循環』『風の戦術論』『魔力回路の基礎』


 四大元素と呼ばれる基本属性の魔法書は山ほどある。


 けれど――。

(……ない……)


 私はさらに奥へ進んだ。棚の隅から隅まで目を凝らす。

 ほこりっぽい空気に喉が少し痛くなるが、構っていられない。

 でも――やっぱりない。

 治癒魔法はおろか、精神に干渉する魔法の防ぎ方、そしてその根源であるはずの「光魔法」の本さえ、一冊も見当たらないのだ。


「……やっぱり……」


 私は唇を噛んだ。

 この国の魔法学において、それらの力は「存在しないもの」として扱われているのかもしれない。

 学術書に載るような技術ではなく、子供騙しの御伽噺おとぎばなし

 ここにある現実の歴史とは切り離された、「別の物語」の中にしか存在しない力なのだ。


(……ここにも、ないなんて……)


 最大の武器になるはずの知識がない。

 学園の図書室ですら架空の物語扱いなら、独学で習得するのは至難の業だ。


 なら、せめて――。

 実在し、手の届く対抗手段を探すしかない。


(……強力な炎魔法……)  


 シャドウの放つあの『透明な冷たい刃』を溶かし、相殺するための高火力な火魔法。これなら、この図書室にもあるはずだ。


 しばらく歩き回り、ようやくそれらしき棚を見つけた。

『上級紅蓮魔法』『爆炎の戦術』。

 あった。これなら、あの日私の炎を吸い込んだあの透明な冷たい刃に対抗できるかもしれない。極限まで高めた火力なら、あの冷気を相殺し、焼き尽くせるはずだ。


(……あそこ……!)


 でも――私の視線は、遥か上方へ向けられていた。

 その本があるのは、本棚の最上段。大人の背丈でも届くかどうかという高さだ。

 私は背伸びをした。

 一生懸命に手を伸ばす。

 指先が――空を切る。全然、届かない。


「……届かない……」


 十一歳の身体。その小ささが、ここに来て壁となる。

 踏み台を探そうにも、近くには見当たらない。

 無理によじ登って本を落とし、大きな音を立ててしまうのは避けたい。もしマリアベルのような監視役が来ていたら、一巻の終わりだ。


(……くっ……)


 悔しい。知識は目の前にあるのに、手が届かないなんて。

 私は一旦諦めて手を下ろした。

 今は――お姉様の様子を見に行こう。一人にさせておくのは心配だ。

 私は本棚を離れて、お姉様のいる奥の区画へ向かった。


 ***


 同じ頃――。


 図書室の奥まった禁書区画で、私――ネフェリアは重厚な本棚の前に立っていた。

 並んでいるのは、人々が恐れ、忌避する力の記録。


『闇魔法の基礎』

『闇魔法の歴史』

『王国の災厄史』

(……闇魔法……)


 私は震える手で、『闇魔法の歴史』という本に手を伸ばした。

 この力がどのように扱われてきたのか。なぜ、ここまで災厄と呼ばれ、私たちは隠れなければならないのか。それを――知りたかった。

 そして、この呪われた力とどう向き合えばいいのか、答えが欲しかった。


 指先が本に触れる。

 その時――。


「その本に興味があるのですか?」


 背後から、落ち着いた声が聞こえた。


「……っ!」


 私は驚いて振り返った。

 そこには――中年の男性が立っていた。

 四十歳前後。仕立ての良い服を着た、知的な紳士。金髪に、理知的な水色の瞳が印象的だ。


(……どなたかしら……?)


 私は目を瞬かせた。見覚えのない顔だ。

 けれど、その隙のない立ち振る舞いや、仕立ての良すぎる服から、ただの学園の教師などではないことだけは分かる。


「失礼しました。驚かせてしまいましたね」


 男性が、優しく微笑む。


「私は、ハーヴェー・カーフェーン。この国で大臣を務めております」

「……大臣……様……っ」


 私は息を呑み、慌ててカーテシーをした。大臣。王国の重鎮。

 まさか、こんな場所でそんな高貴な方にお会いするなんて。


「ネフェリア・リィエル様ですね」


 ハーヴェー様は、私の名前を知っていた。


「……はい……」


 私は小さく頷いた。心臓が早鐘を打つ。


「闇魔法の歴史、ですか」


 ハーヴェー様の視線が、私が手に取ろうとしていた本へと向けられる。


「……はい……少し……興味がありまして……」


 私は慎重に答えた。声が震えないように必死だった。

 闇魔法に興味があると言えば――疑われるかもしれない。危険思想の持ち主だと思われるかもしれない。

 しかし、ハーヴェー様は私を咎めるどころか、どこか懐かしむような、そしていたむような瞳で私を見つめた。


「……君のその赤い髪と瞳……。失踪されたという、君の実のお父上……ジェック・リィエル殿の面影がありますね」

「え……? 実のお父様を……ご存知なのですか?」

「直接の親交はなかったのですが、大臣として、彼が森で行方不明になったあの痛ましい事件の報告書には目を通していました。それに……」

 ハーヴェー様が、亡き実父ジェックのことを語ろうとした、その時――。


「ハーヴェー様」


 別の声が聞こえた。女性の声。

 書架の陰から、青い髪の女性が現れた。

 三十代前半くらい。眼鏡をかけ、書類を抱えた真面目そうな女性だ。


「ああ、ミリアナ。……実は彼女は、ジェック殿の……」


 ハーヴェー様が私のことを紹介しようと口を開きかけた。

 しかし次の瞬間、彼女の表情が強張った。


「……っ」


 ミリアナさんは、ビクリと肩を震わせ、自分の腕を抱くように後ずさった。

 まるで、目に見えない「何か」に肌を粟立あわだたせているような反応。


「ミリアナ? どうした?」


 ハーヴェー様が怪訝そうに尋ねる。 


「……ハーヴェー様……この場所は……」


 ミリアナさんの視線が、私の周りの空間を彷徨さまよう。

 そして――私に、ピタリと固定された。


「……貴女、ですか?」

「……え?」


 ミリアナさんが、おずおずと、けれど抗えない引力に引かれるように私に近づいてくる。


「……近くに……とてつもなく『異質』な力を感じます」

「肌が焼けるような……異常な魔力の気配を……」 


 彼女の額に、脂汗が滲んでいる。

 異質なもの、異常なもの。それに身体が勝手に反応しているようだった。


「……失礼いたします、ネフェリア様」


 ミリアナさんは、私の手首を握ったまま、目を閉じて集中するような仕草を見せる。

 一瞬、彼女の手のひらから、ピリッとした微弱な魔力が流れてきた気がした。


「……ふむ」


 ミリアナさんが目を開けた。

 その瞳には、冷静に見極める色が宿っていた。


「表層を流れる魔力は……透き通った『水』ですね」

「……はい」 


 私は小さく頷いた。

 水魔法なら、簡単なものだが使える。先日の森でも「ウォーターショット」を使って戦った。

 でも、お母様シャリアからは「弱々しい」「公爵家の娘にしては凡庸だ」と言われ続けてきた力だ。


「……水魔法なら、少しは使えます。……でも、大した威力はありません」 


 私が自信なさげに答えると、ミリアナさんは首を横に振った。


「いいえ。……非常に純度が高く、綺麗な青色です。貴女が弱いと感じているなら、それは使い方が合っていないか、あるいは……」


 ミリアナさんが言葉を濁す。

 そして、その目がすっと細められた。

 私の魔力の“表面”ではなく、もっと深い“奥底”を覗き込んでいるような、鋭い視線。


「……あるいは、別の力が『水』の魔力の流れを抑え込んでいるのかもしれません」

「え……?」


 ミリアナさんの声色が、一段低くなる。


「その澄んだ水の奥底に……とてつもなく『異質』な……光を飲み込むような、濃密な『闇』が見えます」

「ッ……!」


 私は息を止めた。心臓が凍りつく。

 水魔法の話をしていたはずが、一転して、隠していた最大の秘密――忌み嫌われる「闇」を、正確に見抜かれてしまった。


「ミリアナ、それは……」


 ハーヴェー様の顔色が変わり、私を見る。


「……あ……ち、違います……!」


 私は必死に首を振った。

 否定しなければ。誤魔化さなければ。


 ――だめ。

 脳裏に、あの洞窟での光景が蘇る。


『私の闇魔法のこと……そして、あなたの光魔法のこと』

『誰にも言わないで』

『お母様にも……誰にも。……二人だけの秘密よ』


 アミアと指切りをした、あの夜の誓い。

 私たちが生き残るための、たった一つの命綱。

 それを、私の不手際で、こんなにあっさりと――。


(……アミア……ごめんなさい……!)


 私が処刑されたら、あの子も巻き添えになる。

 アミアとの約束を、私は守れなかった。


「誤魔化しても無駄です、ネフェリア様」


 ミリアナさんが、静かに言った。


「私の身体は、深淵を覗く『魔力感知』の特異体質。異質な魔力を決して見逃しません。……貴女の中には、確かに『水』と共に、強大な『闇』がある」


 終わりだ。

 大臣と、その秘書にバレてしまった。

 処刑される。お母様にもバレて、アミアも巻き添えにして――。

 足の力が抜け、その場に崩れ落ちそうになる。


「……落ち着いてください、ネフェリア様」 


 パニックになりかけた私に、ハーヴェー様の落ち着いた声がかかった。


「……え……?」


 顔を上げると、ハーヴェー様は穏やかな、しかしどこか寂しげな瞳で私を見ていた。


「大臣として、王国に仇なす脅威を見過ごすわけにはいきません。……ですが」


 ハーヴェー様は言葉を区切り、私に視線を合わせた。


「私の目には、国を滅ぼす魔女ではなく……ただ自身の力に怯える、一人の少女が映っています」

「……ハーヴェー様……」

「脅威となりうる『力』を持つことと、その者が『悪』であることは、結びつくわけではありません。……私は、そう信じています」


 ハーヴェー様は、そっと人差し指を口元に当てた。


「地下深く、暗闇の中で知った真実は……そのまま闇に溶かしておくのが良いでしょう」

「陽の当たる場所へ持ち出し、無垢な少女を断罪する必要など……どこにもありませんから」


 直接的な言葉ではない。けれど、それは明確な意思表示だった。

 ――王には報告しない。この秘密は、ここで守られる、と。


「そうだろう、ミリアナ」

「……はい、ハーヴェー様」


 ミリアナさんが静かに頷いた。

 掴んでいた私の手首を、ゆっくりと離す。その手つきは、先ほどまでの緊張感とは違い、どこか労わるような優しさがあった。


「私たちも……貴女を害するつもりはありません」


 ミリアナさんは眼鏡の位置を直しながら言った。


「貴女がその力を隠している理由は分かります。この国では、闇魔法は災厄の象徴ですから。……異質な力を持つ者が、どれほど孤独か、私たちも理解しています」

「……」


 目頭が熱くなった。

 初めてだ。アミア以外で、私の力を否定せず、守ろうとしてくれる大人に出会えたのは。

 世界中が敵だと思っていた。でも、味方はいたのだ。


「……ありがとうございます……」


 私は、こらえきれずに涙ぐみ、深く頭を下げた。


 ***


 その時――。


「お姉様!」


 私――アミアは、通路の陰から飛び出した。

 少し離れた場所から様子をうかがっていた私は、お姉様が見知らぬ男女の前で涙ぐんで頭を下げているのを見て、たまらず駆け寄ったのだ。


「アミア……」


 私は、小さな体でお姉様を背に庇うように前に立ち塞がった。

 そして、目の前の二人を警戒心剥き出しの目で見上げる。

 金髪の紳士と、青い髪の眼鏡の女性。


(……さっき、通路の陰からお姉様と話しているのが聞こえた。この人たちは……)


 男性は、自らをハーヴェー・カーフェーン大臣だと名乗っていた。

 そして女性は――彼から『ミリアナ』と呼ばれていた、青い髪の秘書。


 私は、心臓が爆発しそうになるのを必死に抑えていた。


  (ミリアナ……! まさか、一周目のアメリアさんが言っていたあの『ミリアナ』さん!?)


 脳裏に、一周目の地下牢で聞いたアメリアさんの言葉が鮮明に蘇る。


『私の秘書にミリアナという者がいるのだが、彼女の姉は元・魔法兵団の副団長でね。その姉が、十六年前のジェック様失踪事件とシャリア夫人との関連をずっと疑って、独自に調べているんだ』

(間違いない。お姉様の実のお父様、ジェック様が森で行方不明になった事件の真相を追っている、あの元副団長の……妹さん!)


 私が机の裏に隠した『作戦計画書』に記した、シャリアお母様の罪を暴くための最大の「鍵」。

 それが、こんな所で唐突に目の前に現れたのだ。


(でも、絶対に顔には出せない……!)


 今、私が彼女の素性や、お姉様のお父様の因縁を知っていると口にすれば、「11歳の子供がなぜそれを知っているのか」と確実に疑われる。


 説明しようとすれば、一周目の記憶――『死に戻り』の事実がバレてしまう。お姉様にすら言えない、私だけの最大の秘密だ。


(あくまで『偶然』を装うのよ。私は、姉をいじめる大人から守ろうとする、何も知らない子供……!)


 私は冷徹な計算を奥底に隠し、決意を固めて二人を強く睨みつけた。

 ハーヴェー様は、そんな健気な子供の姿を見て、優しく目を細めた。


 しかし――。


「……っ、う……!」


 突然、ミリアナさんが口元を押さえてよろめいた。

 顔色が真っ青になり、呼吸が荒くなっている。


「ミリアナ!?」


 ハーヴェー様が慌てて彼女を支える。


「……ハーヴェー様……この子も……です……」

「ネフェリア様とは違う……けれど、同じくらい強大な……『異質』な力を……」


 ミリアナさんは、震える手で私を指差した。

 脂汗を流しながら、必死に言葉を紡ぐ。


「……火魔法の殻の中に……隠された……『光』……」

「……!」


 私は息を呑んだ。

 後ろで、お姉様も驚愕の息を漏らすのがわかった。完璧に火魔法で偽装していたはずなのに、一目見ただけで見抜かれた?


「……貴女も、なのですね……」

 ミリアナさんは、確認するように私の手を掴んだ。

 その瞬間――。


「……あ、あァァッ……!」


 ミリアナさんが、目を剥いて悲鳴にならない声を上げた。

 まるで、薄闇の中で突然『太陽』を直視させられたかのように、強烈な感覚の奔流ほんりゅうに脳を焼かれたような反応。


「……ぐっ……!」


 ミリアナさんの身体が、ガクンと崩れ落ちた。

 まるで、糸が切れた人形のように。


「ミリアナ!」


 ハーヴェー様が彼女を抱き留める。ミリアナさんは荒い息を吐きながら、苦しげに胸を押さえていた。


(……な、何が起きたの……?)


 ただ手を触れられただけなのに。どうして彼女は倒れたの?

 そして――どうして、私の「光魔法」まで見抜かれたの?

 ハーヴェー様はミリアナさんを抱きかかえながら、深刻な表情で――けれど、どこか深く納得したような瞳で私たちを見つめた。


「……なるほど。そういうことでしたか」


 ハーヴェー様が、低い声で独り言ちた。


「……え?」

「先日、魔法兵団から王城に極秘の報告書が上がっていました。『リィエル公爵家の令嬢たちが、翌朝の精霊の森で、人為的に強化された大型マッドウルフに襲撃された』と」


 私とお姉様は、ビクリと肩を震わせた。

 その事件は、私たちの記憶に新しい、あの死闘のことだ。

 魔法兵団の方々が、王城にまで――しかも、そこまで詳細な報告を上げていたなんて。


「報告書には、現場の状況から見て生き残るすべはなかったはずだが、彼女たちは無傷で生還した……『何らかの強力な自衛手段を持っていた可能性がある』と記されていました」


 ハーヴェー様の視線が、お姉様(闇)と私(光)を交互に捉える。


「不思議に思っていましたが、合点がいきました。……ただの『水』と『火』の使い手ではない」


 ハーヴェー様は、確信を持って告げた。


「君たちが、その隠された強大な力――光と闇を持っていたからこそ、あの理不尽な災厄から生き延びることができたのですね」

「……」 


 言い逃れはできなかった。

 この人は、私たちの正体だけでなく、私たちが「力を使って生き延びた」という事実まで、報告書と目の前の状況を結びつけて推測してしまった。


「アミア様。……あなたも、ですね」


 ハーヴェー様の問いかけに、私の顔から血の気が引いていく。

 私は震える手で、お姉様のドレスの裾を強く握りしめた。


 隠していた「光」の秘密。

 ネフェリアお姉様の「闇」の秘密。


 あの日、薄暗い洞窟の中で指切りをして誓った、二人だけの秘密。

 誰にも言わない、二人だけで生きていくための命綱。

 それが今、私たちの不手際で、あまりにもあっさりと白日の下に晒されたのだ。 


「……うぅ……」


 私は、泣き出しそうな顔で俯いた。

 隣のお姉様も、足元の力が抜けて崩れ落ちそうになっている。


 ――終わった。

 国に報告される。お姉様は処刑され、私は実験動物にされる。

 最悪の想像が頭を駆け巡る。


 しかし。

 次の瞬間、予想外の言葉が降ってきた。


「……ミリアナ!」

 ハーヴェー様が、腕の中のミリアナさんを強く揺さぶった。

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