表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一度殺された義妹令嬢ですが、処刑された闇魔法使いの姉と私の未来を全力で変えたいと思います  作者: 東明時裕夜
第三章 陰謀と失われた父

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/18

第十三話 闇魔法の理解者

 ――訓練開始から5日後


 訓練を始めてから、5日が経った。


 毎日、お姉様と一緒に地下図書室で魔法を練習している。


 お姉様の闇魔法は――日に日に、強くなっている。


 そして――お姉様の心も、少しずつ強くなっているように見えた。


「……アミア……見て……」


 お姉様が、手のひらを前に出す。


 黒い魔力が、手のひらに集まる。


 そして――


 黒い球体が――左手からゆっくりと浮かび上がった。


 ダークショット。


 でも――今までと違う。


 安定している。制御されている。


 一周目では――こんなに早く制御できなかった。


「……すごいです、お姉様……」


 私は、心から言った。


「もう……完璧にコントロールできていますね……」


「……ありがとう……アミア……」


 お姉様が、微笑む。


 その笑顔には――少しだけ、自信が見える。


「あなたのおかげよ……」


「いいえ」


 私は、首を振った。


「お姉様が……努力したからです……」


 二人で――しばらく、魔法を練習した。


 私のライトニングショットも――少しずつ威力が上がっている。


 そして――


「……そろそろ、休憩しましょうか……」


 お姉様が、提案する。


「はい」


 私たちは――本棚の近くに座った。


 地下図書室には――たくさんの本が並んでいる。


 魔法の本。歴史の本。様々な知識が――ここに眠っている。


「……ね、アミア……」


 お姉様が、本棚を見上げながら言う。


「この図書室には……闇魔法の本も……あるのかしら……?」


「……もしかしたら……」


 私は、周りを見回した。


 古い本が並ぶ棚。禁書の棚もある。


(……一周目では――ここで、お姉様がシャドウに出会った……)


(……でも――今は、まだシャドウは現れていない……)


 それは――きっと、お姉様が学園に入学してから。


 今は――まだ、安全。


「……探してみましょうか……」


 私は、立ち上がった。


「でも……」


 お姉様が、心配そうに言う。


「闇魔法の本なんて……見つかったら……」


「大丈夫です」


 私は、笑顔を作った。


「勉強のためですから……」


「それに……誰も来ません……」


 お姉様が――小さく頷く。


 私たちは――本棚の間を歩き始めた。


 古い本。埃をかぶった本。様々な魔法書。


 そして――奥の棚に――


「……これ……」


 私は、一冊の本を見つけた。


 黒い装丁の本。タイトルは――


『闇魔法の真実』


 手に取ろうとした――その時。



 ***



【予期せぬ来訪者】


「――おや? こんなところに、お客さんが……」


 背後から――男性の声が聞こえた。


 私とお姉様は――驚いて振り返った。


 そこには――


 金髪の短髪。優しそうな顔立ち。40代後半くらいの男性。


 落ち着いた雰囲気。高級そうな服装。


 そして――その隣には――


 青い髪の女性。30代前半くらい。胸にかかる程度の長さ。


 真面目そうな表情。秘書のような雰囲気。


「……あなたは……?」


 お姉様が、警戒しながら尋ねる。


「ああ、失礼」


 男性が、穏やかに微笑む。


「私はハーヴェ・カーフェーン。レイフェルズ王国の大臣をしています」


「大臣……?」


 私は、驚いた。


(……ハーヴェ・カーフェーン……?)


 一周目で――聞いたことがある名前。


 アメリアさんの――お父様。


「こちらは、私の秘書のミリアナです」


 ハーヴェが、隣の女性を紹介する。


「……ミリアナと申します……」


 青髪の女性――ミリアナが、丁寧に頭を下げる。


 その目は――私たちを警戒しているように見えた。


「私たちは――ネフェリア・リィエルと、アミア・レフィーナです……」


 お姉様が、丁寧に答える。


「ああ、リィエル公爵家の……」


 ハーヴェが、納得したように頷く。


「それにしても……こんな地下図書室で、何を?」


「……勉強です……」


 私は、咄嗟に答えた。


「魔法の……勉強のために……本を読んでいます……」


「なるほど」


 ハーヴェが、優しく微笑む。


「勉強熱心ですね」


 でも――その目は――何かを見抜いているような。


 そして――ハーヴェの視線が――私が手に取ろうとした本に向いた。


『闇魔法の真実』


 一瞬――空気が凍りつく。


「……それは……」


 ミリアナが、驚いた声を上げる。


「闇魔法の……本……!?」


「……っ」


 お姉様が、顔を青ざめる。


 私も――心臓が跳ね上がる。


(……見つかった……?)


(……どうしよう……)


 でも――ハーヴェは――


「――ふむ」


 穏やかに、呟いた。


「闇魔法の本を……読もうとしていたんですか?」


「……その……」


 私は、言葉に詰まる。


 言い訳を――考えないと――


「興味があるんです」


 お姉様が――突然、言った。


「……闇魔法に……」


「お姉様……!?」


 私は、驚いた。


 でも――お姉様は――まっすぐ、ハーヴェを見つめていた。


「闇魔法は……本当に、災厄なのか……」


「それを……知りたくて……」


 ハーヴェは――しばらく、黙っていた。


 そして――


「――興味深い」


 小さく、微笑んだ。


「あなた方は……若いのに……そんな疑問を持っているんですね」


「……ハーヴェ様……?」


 ミリアナが、不安そうに言う。


「闇魔法は……災厄の象徴です……」


「そんな本を読むなんて……」


「いや、ミリアナ」


 ハーヴェが、穏やかに制する。


「疑問を持つことは……悪いことじゃない」


 そして――ハーヴェは、私たちに向き直った。


「私も……実は……」


 声を落として――小さく言った。


「闇魔法について……研究しているんです」


「……えっ……?」


 私とお姉様は――驚いて顔を見合わせた。



 ***



【秘密の共有】


「ハーヴェ様! そんなことを……!」


 ミリアナが、慌てた様子で言う。


「大丈夫だよ、ミリアナ」


 ハーヴェが、優しく微笑む。


「この子たちは……信用できる」


 そして――私たちに向かって続ける。


「闇魔法は……確かに、強力です」


「でも――それは、災厄ではない」


「魔法に……善悪はないんです」


「使う人の心次第……」


「……!」


 お姉様が――息を呑む。


 それは――私が、いつもお姉様に言っている言葉。


「あなたも……そう思うんですか……?」


 お姉様が、震える声で尋ねる。


「ええ」


 ハーヴェが、頷く。


「私は――闇魔法使いを処刑する、この国の法律に……疑問を持っています」


「でも――私は、大臣」


「王の命令には……逆らえない」


 ハーヴェの目には――悲しみが浮かんでいた。


「だから……こっそり、研究しているんです」


「いつか……闇魔法の真実を……証明したい」


 私は――心が震えた。


(……この人は……)


(……お姉様の――味方になってくれるかもしれない……)


「あの……ハーヴェさん……」


 私は、勇気を出して言った。


「私たちも……闇魔法について……知りたいんです……」


「もし……よろしければ……教えていただけませんか……?」


 ハーヴェは――しばらく、私たちを見つめていた。


 そして――


「……いいでしょう」


 小さく、微笑んだ。


「ただし――これは、秘密です」


「誰にも……言わないでください」


「もちろんです!」


 お姉様が、強く頷く。


「私たちも――秘密にします……」


「約束します……」


「ハーヴェ様……」


 ミリアナが、不安そうに言う。


「本当に……大丈夫なんですか……?」


「大丈夫だよ、ミリアナ」


 ハーヴェが、優しく答える。


「この子たちは……純粋な探求心を持っている」


「きっと――未来を変える力になる」


 そして――ハーヴェは、本棚から『闇魔法の真実』を取り出した。


「では――少しだけ、お話ししましょう」


 私たちは――本棚の間の、静かな場所に座った。


 ハーヴェが、本を開く。


「闇魔法は――古代から存在する、最も原始的な魔法です」


「光魔法と対になる力……」


「でも――人々は、闇を恐れて……遠ざけてきた」


「その結果――闇魔法は、禁忌とされました」


 ハーヴェの声は――穏やかで、知的だった。


「でも――歴史を見れば分かります」


「闇魔法を使って、国を救った者もいる」


「災厄をもたらしたのは――魔法そのものではなく……」


「使う者の心だったんです」


 お姉様は――じっと、ハーヴェの言葉を聞いていた。


 その目には――涙が浮かんでいた。


「……そう……なんですね……」


 お姉様が、小さく呟く。


「……闇魔法は……悪くない……」



 ***



【魔力の見抜き】


 そして――ハーヴェは、しばらく、お姉様を見つめていた。


 その目が――少し、細められる。


「……あなた……」


 ハーヴェが、静かに呟いた。


 お姉様が、息を呑む。


 私も――緊張する。


(……まさか……)


(……ばれた……?)


「……実は……」


 ハーヴェが、言葉を続ける。


「闇の魔力を……持っているんですね」


「……!」


 お姉様と私は――驚いて顔を見合わせた。


「ハーヴェ様……!?」


 ミリアナが、驚いた声を上げる。


「本当に……そんな……!」


「ええ」


 ハーヴェが、穏やかに頷く。


「私は――長年、闇魔法の研究をしているうちに……」


「魔力の種類を……感じ取れるようになりました」


 そして――お姉様に向かって、優しく微笑む。


「あなたからは――闇の魔力を感じます」


「でも――それは、災厄の力ではない」


「とても……優しい魔力です」


 お姉様は――青ざめていた。


 その手が――震えている。


「……ばれて……しまったんですか……」


 お姉様の声は――小さく、震えていた。


「……私……処刑……されるんですか……」


「いいえ」


 ハーヴェが、強く首を振った。


「私は――あなたを、告発したりしません」


 そして――真剣な目で、お姉様を見つめる。


「むしろ――あなたの力を……正しく使えるように……」


「手助けしたいんです」


「……本当に……?」


 お姉様が、信じられないという目でハーヴェを見る。


「……私を……助けてくれるんですか……?」


「ええ」


 ハーヴェが、優しく微笑む。


「あなたは――まだ若い」


「そして――闇魔法を、恐れながらも……」


「正しく使おうとしている」


「その心が――何より大切なんです」



 ***



【実演と決意】


「……実は……」


 お姉様が――意を決したように言った。


「私……闇魔法が……使えるんです……」


「……見て……いただけますか……?」


 ハーヴェが、優しく頷く。


「ええ……どうぞ」


 お姉様は――立ち上がった。


 そして――手のひらを前に出す。


 黒い魔力が――ゆっくりと集まる。


 小さな黒い球体。


 ダークショット。


 安定している。制御されている。


「……これが……私の力です……」


 お姉様が、小さく言う。


 ハーヴェは――静かに、その魔法を見つめていた。


 そして――


「……素晴らしい」


 小さく、呟いた。


「完璧に制御されている」


「あなたは――闇魔法の才能がある」


「そして――その力を、恐れていない」


 ハーヴェが、お姉様に向かって微笑む。


「あなたなら――きっと、闇魔法を……」


「正しく使えるようになる」


 お姉様は――静かに泣いていた。


 でも――それは、悲しみの涙じゃない。


 安心の――涙。


「……ありがとうございます……」


 お姉様が、涙を拭いながら言った。


「……あなたの言葉で……」


「……少し……救われました……」


「どういたしまして」


 ハーヴェが、微笑む。


 そして――私に向かって言った。


「アミアさん……あなたも、魔法の訓練を……?」


「……はい……」


 私は、頷いた。


「そして……お姉さんを、守ろうとしている」


 ハーヴェの目が――優しく光る。


「素晴らしい絆です」


「どうか――その絆を、大切にしてください」


「……はい……」


 私は、強く頷いた。


 そして――お姉様の手を握った。



 ***



【新たな魔法の発見】


 それから――ハーヴェは、いくつかの本を紹介してくれた。


 闇魔法の歴史。古代の魔法理論。様々な知識。


 お姉様は――真剣な目で、本のページをめくっていた。


 そして――


「……これは……」


 お姉様が、本のページをめくる手を止めた。


 そこには――闇魔法の一つが記されていた。


『ダークブレード』


 何もない所から闇の刃を飛ばす魔法。


 どんな物も一瞬にして切る――上級闇魔法。


「……ダークブレード……」


 お姉様が、小さく呟く。


 その目は――真剣だった。


「これは――」


 ハーヴェが、本を覗き込む。


「ああ……ダークブレード」


「非常に高度な闇魔法です」


「無詠唱で発動できれば――即座に敵を無力化できる」


「でも――制御が難しい……」


「使い方を誤れば……取り返しのつかないことになる」


 お姉様は――じっと、そのページを見つめていた。


「……私にも……使えるでしょうか……」


「あなたなら――」


 ハーヴェが、穏やかに答える。


「きっと――使えるようになるでしょう」


「ダークショットを、あれだけ制御できるなら……」


「ただし――危険も伴います」


「訓練は――慎重に」


 お姉様は――静かに頷いた。


 そして――私を見る。


「……アミア……」


「……この魔法……覚えてもいい……?」


 私は――一瞬、躊躇した。


「……はい……」


 私は、頷いた。


「お姉様が……使いたいなら……」


「私が……そばにいます……」


「一緒に……訓練しましょう……」


「……ありがとう……アミア……」


 お姉様が、微笑む。


 その笑顔には――新しい決意が宿っていた。


 ハーヴェが、本を閉じる。


「では――この本を、借りていってください」


「ただし――誰にも見せないように」


「……はい……」


 お姉様が、本を受け取る。


 その手は――少し震えていた。


 でも――その目は――まっすぐ前を向いていた。



 ***



【別れと希望】


 そして――


「私は――週に一度、ここに来ます」


 ハーヴェが、立ち上がりながら言う。


「もし――また会えたら……」


「続きを、お話ししましょう」


「ありがとうございます!」


 お姉様が、深く頭を下げる。


「ぜひ……また……お願いします……」


「ええ」


 ハーヴェが、微笑む。


「では――また」


 ハーヴェとミリアナは――地下図書室を後にした。


 私とお姉様は――しばらく、その場に座っていた。


「……アミア……」


 お姉様が、静かに言った。


「……私……初めて……」


「……闇魔法を……認めてくれる人に会えた……」


「……はい……」


 私は、お姉様の手を握り返した。


「ハーヴェさんは……きっと……」


「将来……お姉様の味方になってくれる人です……」


「そして――」


 私は、思い出していた。


 ハーヴェの娘――アメリアさん。


 一周目で――お姉様を理解しようとしてくれた、唯一の友人。


(……アメリアさんも……きっと……)


(……お姉様の味方になってくれる……)


 希望が――少しずつ、見えてきた。


 私たちは――一人じゃない。


 味方が――必ずいる。


「……お姉様……」


 私は、立ち上がった。


「これから……もっと強くなりましょう……」


「そして……いつか……」


「……お姉様の力を……みんなに認めてもらいましょう……」


 お姉様は――涙を拭いて、微笑んだ。


「……うん……」


「……ありがとう……アミア……」


 私たちは――地下図書室を後にした。


 心の中には――新しい希望が灯っていた。


 ハーヴェという――理解者。


 ダークブレードという――新しい力。


 そして――いつか出会う、アメリアさん。


 未来は――きっと、変えられる。


 そう信じて――私たちは、前に進んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ