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一度殺された義妹令嬢ですが、処刑された闇魔法使いの姉と私の未来を全力で変えたいと思います  作者: 東明時裕夜
第三章 陰謀と失われた父

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第十二話 地下図書室での訓練

 ――魔獣事件から4日後



 お姉様の部屋に着くと――お姉様が、窓辺に座っていた。


 外を眺めている。赤い髪が、陽射しを受けて輝いている。


「お姉様」


 私が声をかけると、お姉様が振り返った。


「アミア! どこに行っていたの?」


「……ごめんなさい……少し散歩していました……」


 私は、嘘をついた。地下のことは――まだ、言えない。


 お姉様を心配させたくない。シャリアの秘密も、まだ時期じゃない。


「そう……心配したわ」


 お姉様が、優しく微笑む。


「さあ、こっちにいらっしゃい」


 お姉様が、隣の椅子を指差す。私は、お姉様の隣に座った。


 しばらく――二人で、窓の外を眺めていた。


 庭の景色。木々。青い空。平和な風景。


 でも――私の心は、落ち着かなかった。


 地下で見たもの。シャリアの秘密。帝国への薬の販売。


 そして――これからのこと。



 ***



「……お姉様」


 私は、意を決して口を開いた。


「はい?」


 お姉様が、私の方を向く。


「……お姉様と……一緒に……隠れて魔法を練習したいんです……」


「魔法を……練習?」


 お姉様が、不思議そうな顔をする。


「はい」


 私は、強く頷いた。


「私も……もっと強くならないといけないんです……」


「それに……お姉様も……」


 私は、お姉様の目をまっすぐ見つめた。


「……お姉様の力を……認めてくれる人がいれば……きっと……」


「……アミア?」


「もし、王族が――」


 私は、言葉を選んだ。


「――いえ、二度目で……何とかして……」


 私は、小さく呟いた。


(……アメリアさんと出会えば……きっと……)


 一周目では――アメリアさんは、大臣の娘。


 真面目で優しくて、正義感が強い人。金髪に水色の瞳。氷魔法使い。


 もし、アメリアさんがお姉様の力を知ったら――きっと、理解してくれる。


 そして――お姉様を守ってくれるかもしれない。


 でも――それは、まだ先の話。今は――まず、私たちが強くなること。


「……お姉様」


 私は、もう一度言った。


「一緒に……魔法を練習しましょう……」


「でも……」


 お姉様が、困ったような顔をする。


「……私の魔法は……闇魔法……」


「……使っちゃいけないって……約束したじゃない……」


「違います」


 私は、首を振った。


「練習するだけです……人に見せなければいいんです……」


「それに……」


 私は、お姉様の手を握った。


「お姉様の力は……悪いものじゃないです……」


「……アミア……」


「だから……一緒に強くなりましょう……」


 私は、強く言った。


「そして……いつか……お姉様の力を……認めてくれる人を見つけましょう……」


 お姉様は――しばらく、黙っていた。


 そして――小さく微笑んだ。


「……ありがとう……アミア……」


 お姉様の赤い瞳が――優しく光る。


「……分かったわ……」


「……一緒に……練習しましょう……」


「本当ですか!?」


 私は、嬉しそうに叫んだ。


「ええ」


 お姉様が、頷く。


「でも……どこで練習する?」


「……それは……」


 私は、考え込んだ。


(……どこで練習すれば……?)


 屋敷の中では――誰かに見られる危険がある。


 庭も――メイドや使用人が通る。森は――魔獣がいる。


(……安全で……誰にも見られない場所……)


 私は、考えた。そして――ある場所を思い出した。


「……お姉様」


 私は、顔を上げた。


「……地下図書室は……どうでしょう……?」


「地下図書室……?」


 お姉様が、考える表情をする。


「ああ……屋敷の西側にある……」


「はい」


 私は、頷いた。


 リィエル公爵家には、地下図書室がある。古い本がたくさん保管されている場所。


 あまり人が来ない。静かで、広い。


 そして――石の壁に囲まれているから、魔法を使っても安全。


「でも……」


 お姉様が、心配そうに言う。


「地下図書室は……お母様の許可がないと……」


「大丈夫です」


 私は、笑顔を作った。


「私たちは……本を読みに行くんです……」


「勉強のために……」


「……なるほど……」


 お姉様が、納得したように頷く。


「それなら……怪しまれないわね……」


「はい」


 私は、強く頷いた。


「では……明日から……地下図書室で練習しましょう……」


「……分かったわ……」


 お姉様が、微笑む。


 そして――私は、心の中で決意していた。


(……お姉様を……強くする……)


(……そして……いつか……)


(……お姉様の力を……認めてくれる人を……見つける……)


 一周目――お姉様は、学園でシャドウに出会い、洗脳された。


 地下図書室――それが、全ての始まりだった。


 でも――二度目は、違う。


 地下図書室は――今から、私たちの訓練場になる。


 お姉様が学園に入る前に――強くなる。


 心を強く、魔法を強く。


 そして――いつか――アメリアさんと出会う。


 アメリアさんなら――きっと、お姉様を理解してくれる。


 お姉様の力を認めてくれる。そう信じて。



 ***



【翌日――地下図書室へ】


 翌朝。


 私とお姉様は、朝食を済ませた後――地下図書室へ向かった。


「お母様、私たち、地下図書室で勉強してきます」


 お姉様が、シャリアに告げる。


「そう? いってらっしゃい」


 シャリアが、優しく微笑む。でも――その目は――何かを探っているように見えた。


 私は――警戒しながら、シャリアに頭を下げた。


 そして――お姉様と一緒に、屋敷の西側へ向かった。


 廊下を歩く。そして――目立たない場所にある、扉に辿り着いた。


「ここね」


 お姉様が、扉を開ける。中には――下へ続く階段。


 私たちは、階段を降りた。石の階段。ひんやりとした空気。


 そして――階段を降りきると――広い空間に出た。


 地下図書室。


 石の壁に囲まれた、広い部屋。天井は高く、アーチ状になっている。


 壁には――無数の本棚が並んでいる。


 古い本。魔法の本。歴史の本。様々な知識が、ここに眠っている。


「……すごい……」


 私は、思わず呟いた。一周目では――ここまでじっくり見たことがなかった。


「ここなら……誰にも見られないわね」


 お姉様が、周りを見回す。


「はい」


 私は、頷いた。


 地下図書室は――普段、ほとんど人が来ない。


 掃除のためにメイドが来るくらい。でも――今は、誰もいない。


「では……練習を始めましょう」


 お姉様が、部屋の中央へ歩く。私も、ついていく。


 広い空間。ここなら――魔法を使っても大丈夫。


「まず……私から……」


 私は、手のひらを前に出した。そして――集中する。


 魔力を練る。


「……光よ……」


 手のひらから――淡い光が灯る。


「ライトニングショット!」


 光の玉が――飛び出した。壁に向かって。


 そして――命中。


 パシッ。


 光の玉が、壁に当たって消える。


「……すごいわ、アミア……」


 お姉様が、驚いた顔をする。


「11歳で、もうこんなに……」


「……まだまだです……」


 私は、首を振った。


「もっと……強くならないと……」


 そして――お姉様の方を見た。


「……お姉様も……やってみてください……」


「……でも……」


 お姉様が、躊躇する。


「大丈夫です」


 私は、優しく言った。


「ここには……誰もいません……」


「それに……私が見ています……」


「……分かったわ……」


 お姉様が、深く息を吸う。


 そして――手のひらを前に出した。集中する。


 そして――お姉様の手から――黒い魔力が溢れ出した。


 闇魔法。


「……ダークショット……」


 お姉様の声が、小さく響く。黒い弾丸が――飛び出した。


 壁に向かって。そして――命中。


 ドスッ。


 重い音を立てて、壁に穴が開く。


「……っ」


 お姉様が、驚いた顔をする。


「……すごい……威力……」


 私も、驚いた。お姉様の闇魔法は――私の光魔法よりも、ずっと強い。


 壁に、深い穴が開いている。


「……お姉様……」


 私は、お姉様に近づいた。


「……お姉様の力は……すごいです……」


「でも……」


 お姉様が、悲しそうな顔をする。


「……これは……災厄の魔法……」


「違います」


 私は、強く言った。


「お姉様の力は……悪いものじゃないです……」


「力に……善悪はありません……」


「使う人の心次第です……」


「……アミア……」


 お姉様の目から――涙が溢れそうになる。


「だから……」


 私は、お姉様の手を握った。


「一緒に……強くなりましょう……」


「そして……いつか……お姉様の力を……認めてくれる人を……見つけましょう……」


 お姉様は――小さく頷いた。


 そして――私たちの秘密の訓練が――始まった。

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