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一度殺された義妹令嬢ですが、処刑された闇魔法使いの姉と私の未来を全力で変えたいと思います  作者: 東明時裕夜
第三章 陰謀と失われた父

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第十一話 シャリアの秘密

 ――魔獣事件から、3日が経った。


 お姉様は、完全に回復した。普段通りの生活に戻っている。


 でも――私たちの間には、秘密がある。


 お姉様の闇魔法。絶対に、誰にも言わない。絶対に、使わない。


 そう約束した。


 そして――今日。


 私は、ついに動き出すことにした。


(……シャリアの秘密を……暴く……)


 朝、シャリアが屋敷を出た。


「城下町へ買い物に行ってきます」


 そう言って、馬車で出かけていった。今がチャンス。


 私は――屋敷の地下へ向かった。



 ***



【地下への階段】


 一階の廊下の奥――目立たない場所に、地下への扉がある。


 普段は、使用人以外立ち入り禁止。でも――今日は、誰もいない。


 私は、扉を開けた。


 ギィ……


 軽い音を立てて、扉が開く。中には――下へ続く、石の階段。


 薄暗い。松明の光だけが、かすかに照らしている。


 私は――階段を降り始めた。一段、一段。慎重に。


 足音が、石の階段に響く。心臓が、激しく跳ねている。


(……大丈夫……)


(……シャリアは、出かけた……)


(……今なら……調べられる……)


 地下は――冷たくて、湿っている。壁には、苔が生えている。


 階段を降りきると――長い廊下が続いている。


 廊下の両側には、いくつもの扉。倉庫だ。食料や、魔法薬の材料が保管されている。


 でも――私が探しているのは、それじゃない。


(……シャリアが……隠している部屋……)


 一周目の記憶では――シャリアは、地下で何かを作っていた。


 違法な魔法薬。それを、帝国に売っていた。


 証拠を――見つけないと。



 ***



【隠し部屋の発見】


 廊下の奥――一番端の扉。


 他の扉とは違う。頑丈な鉄の扉。鍵がかかっている。


(……これ……)


 私は――扉に手を当てた。冷たい。でも――中から、かすかに音が聞こえる。


 何かが……動いている。


(……鍵……開けないと……)


 私は――ポケットから、小さな針金を取り出した。


 一周目で――こっそり覚えた、鍵開けの技術。盗賊から教わった。


 針金を鍵穴に差し込んで――慎重に、回す。


 カチッ。


 鍵が開いた。


 私は――ゆっくりと、扉を開けた。



 ***



【地下の秘密――秘密の実験室】


 扉の向こうには――想像以上に広い部屋が広がっていた。


 部屋の中央には――大きな実験台。その上には――無数の瓶やフラスコ、蒸留器。


 紫色の液体。赤い粉。緑の結晶。黒く光る油。


 どれも――見たことがない。不気味な色をしている。


 部屋の奥には――もっと大きな装置。巨大なガラス製の蒸留器が、複雑に組み合わさっている。


 その下では――青白い炎が燃えている。魔法の炎だ。


 そして――床には――奇妙な魔法陣が描かれている。


 赤い線。黒い文字。見ただけで、背筋が寒くなる。


(……これ……)


(……本格的な……実験室……)


 私は――震える手で、部屋の中に入った。


 実験台に近づく。瓶を手に取る。


 ラベルには――


『魔獣誘導薬 試作型第12号』


 魔獣を……誘導する薬? 試作型……第12号……?


 こんなにたくさん作っていたの……?


 次の瓶には――


『魔獣狂暴化薬 完成版』


 完成版……。


 魔獣を……狂暴化させる……。


(……まさか……)


(……あの魔獣事件……)


(……シャリアが……仕組んだの……?)


 胸が、冷たくなる。


 私は――さらに実験台を調べた。


 他にも――たくさんの瓶がある。


『催眠強化薬』


『記憶改竄補助薬』


『魔力増幅薬(違法)』


『毒薬・痕跡なし型』


『魔法封じの粉』


 どれも――恐ろしい名前。


 そして――どれも――違法な魔法薬だ。


 私は――手が震えた。


(……シャリアは……)


(……こんなにたくさんの……違法薬を……)


 実験台の隅には――ノートがある。


 私は――ノートを開いた。


 そこには――びっしりと、文字が書かれている。


『魔獣誘導薬 実験記録』


『第1回実験:失敗。魔獣が誘導されず』


『第2回実験:失敗。効果時間が短すぎる』


『第3回実験:失敗。魔獣が暴走しすぎて制御不能』


『……』


『第12回実験:成功。森の東側に魔獣を誘導できた』


 森の東側……。


 それは――私たちがピクニックに行った場所……!


 次のページには――


『魔獣狂暴化薬 実験記録』


『実験日:○月○日』


『実験場所:リィエル公爵家領地内の森』


『実験対象:野生の魔獣(ウルフ種)』


『結果:成功。魔獣は狂暴化し、人間を襲った』


 その日付は――魔獣事件が起きた日……。


 私は――ノートを握りしめた。手が震える。


(……やっぱり……)


(……シャリアが……仕組んだ……)


(……私たちを……殺そうとした……)


 でも――なぜ?


 なぜ、私たちを殺そうとしたの?


 私は――さらに部屋を調べた。


 実験台の引き出しを開ける。


 中には――書類。取引の記録だ。


『取引記録帳』


『納品先:アセレリア帝国 魔法研究局』


『担当者:ヴォルフガング・シュトラウス大佐』


『品名:魔獣誘導薬 10瓶 単価:金貨50枚』


『品名:魔獣狂暴化薬 5瓶 単価:金貨100枚』


『品名:催眠強化薬 20瓶 単価:金貨30枚』


『品名:記憶改竄補助薬 15瓶 単価:金貨80枚』


『品名:毒薬・痕跡なし型 3瓶 単価:金貨200枚』


『合計金額:金貨……』


 莫大な金額だ。


 シャリアは――これで、どれだけ稼いだの……?


 次のページには――


『次回納品予定』


『納品日:来月15日』


『納品場所:城下町東側の廃倉庫』


『品名:上記全種類』


 城下町東側の廃倉庫……。


 そこで――帝国と取引している……。


 私は――書類を、ポケットに入れた。証拠だ。


 そして――もう一つ、別の書類を見つけた。


『ファミル伯爵家 秘密記録』


『アレト・ファミル伯爵 弱点リスト』


『1. 違法魔道具取引の記録(証拠あり)』


『2. 帝国との密約(証拠あり)』


『3. 娘アミアへの愛情(最大の弱点)』


『利用方法:上記弱点を利用し、アミアを養女として引き取る契約を結ばせた』


『目的:リィエル公爵家の財産と地位を利用し、帝国との取引を拡大』


 私は――息が止まった。


 父を……脅迫して……。


 私を……養女に……。


 すべて――計画されていた……。


(……シャリア……)


(……許せない……)


 怒りと悲しみが、胸の中で渦巻く。


 私は――その書類も、ポケットに入れた。


 そして――部屋の奥へ進んだ。


 奥には――もう一つ、棚がある。


 その棚には――ガラス瓶に入った、奇妙な生物。


 小さな魔獣の死骸。解剖されている。


 毒を持った虫。瓶の中で、まだ動いている。


 そして――人間の髪の毛。誰のものかは分からない。


 背筋が、凍る。


 シャリアは――ここで、どれだけ恐ろしいことをしていたの……?



 ***



【ネフェリアとの対面】


 これ以上――ここにいると、危険だ。


 私は――部屋を出ようとした。


 その時――


「……アミア……?」


 背後から――声がした。


 振り返ると――


 お姉様が、立っていた。廊下の入り口に。


「……お姉様……?」


「……どうして……ここに……?」


 お姉様は――不安そうな顔をしている。


「……アミアが……いなくなったから……」


「……心配で……探してたの……」


「……そしたら……地下への扉が開いていて……」


 お姉様は――部屋の中を見回す。


 実験台。薬の瓶。魔法陣。不気味な装置。


 顔が――青ざめていく。


「……ここ……何……?」


「……シャリアの……秘密の実験室……」


 私は――手に持っていた書類を、お姉様に差し出した。


「……これ……見て……」


 お姉様は――書類を受け取って、目を通す。


 取引記録。魔獣事件の記録。父への脅迫の記録。


 お姉様の手が――震え始める。


「……これ……本当なの……?」


 お姉様の声が――かすれている。


「……うん……」


 私は――頷いた。


「……シャリアは……帝国と取引してる……」


「……そして……魔獣事件も……シャリアが仕組んだ……」


「……私たちを……殺そうとした……」


 お姉様は――書類を握りしめた。手が震えている。


「……そんな……」


「……お母様が……」


「……私たちを……殺そうと……」


 お姉様の目から――涙が溢れそうになる。


 私は――お姉様の手を握った。


「……お姉様……」


「……シャリアは……私たちの母じゃない……」


「……最初から……利用するつもりだったんだ……」


 お姉様は――唇を噛んだ。涙を堪えて。


「……許せない……」


「……絶対に……許せない……」


 私は――お姉様を抱きしめた。


「……お姉様……」


「……大丈夫……」


「……私たち……二人で……シャリアを止める……」


 お姉様は――私の肩に顔を埋めた。震えている。


「……でも……どうやって……」


「……シャリアは……催眠魔法が使える……」


「……私たちじゃ……勝てない……」


「大丈夫」


 私は――強く言った。


「私には……光魔法がある……」


「光魔法は……催眠魔法に抵抗できる……」


「それに……」


 私は――お姉様の顔を見た。


「……お姉様には……闇魔法がある……」


「……お姉様の力は……すごく強い……」


「……二人で協力すれば……きっと……」


 お姉様は――涙を拭いた。


「……そうね……」


「……二人で……」


 私たちは――しばらく、抱き合っていた。


 そして――お姉様が、小さく呟いた。


「……ねえ、アミア……」


「……この部屋……もっと調べましょう……」


「……証拠を……全部集めないと……」


「うん」


 私は、頷いた。


 私たちは――二人で、部屋の中を調べ始めた。


 お姉様は――実験ノートを読んでいる。


「……ここに……実験の記録が……」


「……魔獣事件の日付も……全部書いてある……」


「……それから……帝国への納品記録も……」


「……これは……決定的な証拠ね……」


 私は――棚の中を調べている。


「……ここにも……書類が……」


「……ファミル伯爵家との契約書……」


「……あと……帝国の担当者との手紙……」


「……全部……証拠になる……」


 私たちは――見つけた書類を、すべて集めた。


 そして――お姉様が、ふと立ち止まった。


「……アミア……」


「……この魔法陣……」


 お姉様が指差したのは――床に描かれた、赤い魔法陣。


「……これ……召喚魔法の陣……」


「……何を……召喚しようとしてたの……?」


 私は――魔法陣を見つめた。


 不吉な予感がする。


「……分からない……」


「……でも……良くないもの……だと思う……」


 お姉様が――震えた声で言う。


「……この部屋……怖い……」


「……早く……出ましょう……」


「うん」


 私たちは――集めた証拠を持って、部屋を出た。


 扉を閉めて――鍵をかけ直す。


 そして――地下から、急いで出た。



 ***



【決意】


 一階に戻ると――私たちは、深く息をついた。


「……怖かった……」


 お姉様が、小さく呟く。


「……うん……」


 私も、まだ手が震えている。


 でも――証拠は手に入れた。


 私たちは――お姉様の部屋に戻った。


 そして――証拠を、本棚の裏に隠した。


「……これで……」


 お姉様が、不安そうに言う。


「……シャリアに……気づかれない……?」


「大丈夫」


 私は、答えた。


「シャリアは……今日、帰りが遅いはず……」


「城下町で……取引があるから……」


「それに……」


 私は――お姉様の手を握った。


「……私たち……普段通りに過ごせば……」


「……シャリアは……気づかない……」


 お姉様は――小さく頷いた。


「……そうね……」


「……普段通りに……」


 私たちは――しばらく、黙って座っていた。


 窓の外を眺める。青い空。平和な景色。


 でも――私たちの心は、もう平和じゃない。


 シャリアの秘密を知ってしまった。


 恐ろしい真実を――知ってしまった。


「……ねえ、アミア……」


 お姉様が、小さく呟く。


「……これから……どうするの……?」


「……まず……」


 私は、考えを整理しながら言った。


「……証拠を……安全な場所に保管する……」


「……それから……」


「……シャリアの動きを……監視する……」


「……次の取引の日を……確認する……」


「……そして……」


 私は――お姉様の目を見た。


「……いつか……シャリアを……止める……」


 お姉様は――真剣な顔で頷いた。


「……分かった……」


「……私も……協力する……」


「……二人で……」


「うん」


 私は――お姉様の手を強く握った。


「二人で……シャリアを止める……」


「そして……私たちの未来を……守る……」


 お姉様は――涙を堪えて、微笑んだ。


「……ありがとう……アミア……」


「……あなたが……いてくれて……」


 私は――お姉様を抱きしめた。


 長い戦いが――始まった。


 でも――私たちは、二人じゃない。


 二人で――立ち向かう。


 シャリアの陰謀に。帝国の脅威に。


 そして――運命を変える。


 絶対に――未来を守る。

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