第九話 変えられない運命
翌朝――私は、早くに目を覚ました。
窓から差し込む朝日が、部屋を照らしている。今日は――ピクニックの日。
そして――魔獣事件の日。
「……絶対に……迷子にならない……」
私は、小さく呟いた。お姉様の側を離れない。そうすれば――大丈夫なはず。
私は、ベッドから起き上がった。
リリナさんが部屋に来てくれて、着替えを手伝ってくれた。
白いブラウスに、動きやすいスカート。髪を整えて、準備完了。
「アミア様、今日はピクニックですね。楽しんできてください」
リリナさんが、優しく微笑んだ。
「……はい」
私は、小さく頷いた。
そして――一階へ降りて、朝食を済ませた。
お姉様は、嬉しそうだった。シャリアも、優しく微笑んでいた。
「さあ、そろそろ出発しましょう」
シャリアが、優雅に立ち上がる。
「はい、お母様」
お姉様が、元気に答える。
私は――シャリアを、じっと見つめた。
(……あなたの計画は……させない……)
心の中で、強く誓った。
そして――屋敷を出た。
## 馬車での移動
屋敷の前には、馬車が待っていた。立派な馬車。御者が、丁寧にお辞儀をする。
「お嬢様方、どうぞ」
シャリア、お姉様と私は、馬車に乗り込んだ。そして――メイドと衛兵も一緒に乗った。
メイドは、お姉様付きのメイド。衛兵は、屋敷が雇った護衛。
二人とも、シャリアが手配した。
馬車が、ゆっくりと動き出す。カタカタと、車輪の音が響く。
窓の外を見ると――リィエル公爵家の屋敷が、遠ざかっていく。
そして――城下町へ。
石畳の道を走る馬車。窓から見える街並み。商店、民家、人々の姿。
懐かしい。11歳の頃の、城下町。一周目では――もう見ることができないと思っていた景色。
「綺麗な天気ね」
シャリアが、窓の外を眺めながら言った。
「はい、お母様」
お姉様が、嬉しそうに答える。
馬車は、城下町を抜けていく。そして――森へと続く道へ。
木々が、道の両側に並んでいる。緑の葉が、風に揺れている。
「もうすぐ着くわね」
お姉様が、嬉しそうに言った。
「……はい」
私は、小さく頷いた。でも――心の中では、緊張していた。
(……魔獣……)
(……絶対に……迷子にならない……)
そして――馬車が止まった。
「到着しました、お嬢様方」
御者の声が聞こえる。
私たちは、馬車から降りた。そこは――森の入口。
木々に囲まれた、広い空間。草原が広がっていて、ピクニックに最適な場所。
「わあ、綺麗ね」
お姉様が、嬉しそうに笑った。
シャリアも、優雅に微笑んでいる。
メイドが、バスケットを持ってくる。中には、お弁当やお菓子が入っている。
衛兵は、周囲を警戒している。剣を腰に下げて、じっと森を見つめている。
「さあ、こちらに座りましょう」
シャリアが、草原の上を指さした。
メイドが、布を敷く。そして――私たち三人が座る。
シャリア、お姉様、そして私。
メイドが、お弁当を用意してくれる。
サンドイッチ、果物、お菓子。
「いただきます」
私たちは、食事を始めた。美味しい。温かい陽射し。心地よい風。
「ネフェリア、アミア、楽しんでいる?」
シャリアが、優しく尋ねる。
「はい、お母様!」
お姉様が、嬉しそうに答えた。
「……はい」
私も、小さく頷いた。
でも――心の中では、警戒していた。
(……一周目では……私が何かに夢中になって……迷子になった……)
私は、一周目のことを思い出した。
お姉様が地下牢で言っていた。
「あなたが……何かに夢中になって……迷子になったの」
「私が気づいて……お母様やメイドや衛兵の目を盗んで……探しに行ったの」
(……でも……今回は……絶対に迷子にならない……)
(……お姉様の側を離れない……)
私は、強く誓った。
## 平和な時間
時間が、過ぎていく。
シャリアは、優雅に紅茶を飲んでいる。
お姉様は、楽しそうに話している。
メイドも、笑顔で応えている。衛兵は、立ったまま周囲を見回している。
「ネフェリア、少し森を散歩しましょうか」
シャリアが、提案した。
「はい、お母様!」
お姉様が、嬉しそうに立ち上がる。
「アミアも一緒に来なさい」
シャリアが、私に言った。
「……はい」
私は、立ち上がった。
三人で――森の入口へ向かう。メイドと衛兵もついてくる。
木々の間を歩く。葉が揺れる音。鳥のさえずり。
「綺麗ね」
お姉様が、嬉しそうに言った。
そして――その時。
私の目に、何かが映った。
森の奥――木々の間に、何か光るものがある。
(……あれは……何……?)
小さな光。キラキラと輝いている。
花? それとも――宝石?
私は――その光に、引き寄せられた。
(……綺麗……)
足が、自然と動く。光の方へ。
「あ……」
気づいたら――私は、シャリアとお姉様から少し離れていた。
数メートルほど。でも――まだ見える距離。
「アミア? どうしたの?」
お姉様が、振り返った。
「……あそこに……何か光ってます……」
私は、光を指さした。
「光……?」
お姉様が、近づいてくる。
「本当ね……何かしら……」
お姉様も、光を見つめる。
「あまり奥に行かないでね」
シャリアが、後ろから声をかけた。
「はい、お母様」
お姉様が、答える。
私とお姉様は――光の方へ歩いた。少しずつ。
木々の間を抜けて。草を踏みしめて。
そして――光の正体が見えた。
小さな花。青白く光る、綺麗な花。
「わあ……綺麗……」
お姉様が、感嘆の声を上げる。
「……本当に……」
私も、その花を見つめた。
そして――その瞬間。
## 魔獣の出現
ガサガサ。
背後から――何かが近づいてくる音。
「――っ!」
私は、振り返った。
そこには――黒い影が、動いていた。いや――影じゃない。獣。
「……魔獣……!」
私は、叫んだ。
森の奥から――黒い獣が現れた。
四足歩行。鋭い牙。長い耳。体毛は、真っ黒。
マッドウルフ。
そして――その後ろから、もう一体。赤い体毛の獣。
レッドウルフ。
「お嬢様方!」
遠くから、衛兵の叫び声が聞こえる。
でも――私たちは、シャリアたちから離れすぎていた。
木々が邪魔をして、すぐには戻れない。
「な、何で……!」
衛兵が、驚いた声を上げる。
「魔獣は夜型のはず……! どうして昼間に……!」
(……そうだ……一周目とは違う……)
私は、思い出した。一周目では――私が迷子になって、一体の魔獣に襲われた。
でも――今回は違う。私は迷子になっていない。お姉様の側にいる。
なのに――魔獣が現れた。しかも、二体も。
(……何かが……変わってる……)
(……未来は……変わり始めてる……)
でも――魔獣は、こちらに向かってくる。ギラギラと光る目。殺気。
「ネフェリア! アミア! こちらへ!」
シャリアの声が聞こえる。
でも――魔獣が、私たちとシャリアたちの間を遮った。
「お嬢様方、逃げてください!」
衛兵が、叫んだ。剣を抜いて、マッドウルフに向かっていく。
でも――マッドウルフが、衛兵を弾き飛ばした。
「うわあっ!」
衛兵が、地面に倒れる。
「逃げて! お嬢様方!」
衛兵の叫び声。
「アミア、走りましょう!」
お姉様が、私の手を握った。
私たちは――走り出した。森の奥へ。
木々の間を。草を踏みしめて、枝を避けて。息が、荒くなる。
「ネフェリア! アミア!」
シャリアの声が、遠くなっていく。
でも――魔獣は、追ってくる。地面を蹴る音。木々の間を縫うように。
気づいたら――シャリア、メイド、衛兵と――完全に離れてしまった。
見えなくなっていた。
私たちは――お姉様と私だけ。
「……お姉様……」
私は、震える声で呟いた。
「大丈夫よ、アミア」
お姉様が、私の手を握ってくれる。
「一緒にいれば、大丈夫」
でも――その時。
ガサガサ。
木々の奥から――何かが近づいてくる。
そして――現れた。赤い体毛の獣。
レッドウルフ。一体。
ギラギラと光る目が、私たちを見つめている。
## 戦闘開始
「……っ!」
お姉様が、私を庇うように前に立った。
「アミア、私の後ろに!」
そして――お姉様は、手を前に出した。
「水よ、我に力を! ウォーターショット!」
お姉様の手から、透明な水の塊が飛び出した。レッドウルフに向かって。
でも――レッドウルフは、軽々と避けた。横に跳んで、水の塊をかわす。
そして――襲いかかってくる。
「きゃっ!」
お姉様が、咄嗟に横に飛ぶ。レッドウルフの牙が、空を切る。
「……っ! もう一度!」
お姉様が、再び水魔法を放つ。
「ウォーターショット!」
でも――また避けられる。レッドウルフは、素早い。
そして――再び襲いかかってくる。
「お姉様!」
私は、叫んだ。
でも――水魔法では――歯が立たない。
レッドウルフは、どんどん近づいてくる。お姉様は――疲れている。
魔力を使いすぎている。息が、荒い。
(……このままじゃ……!)
私は――咄嗟に前に出た。
「アミア!? 何してるの!?」
お姉様が、驚いた声を上げる。
でも――私は、手を前に出した。
(……光よ……!)
心の中で、叫ぶ。
(……私に……力を……!)
(……お姉様を……守りたい……!)
魔力を練る。手のひらに、力を込める。
昨日、部屋で練習した時のように。窓辺で、わずかに光った時のように。
でも――何も起きない。
(……っ……!)
レッドウルフが、襲いかかってくる。牙を剥き出しにして。
(……お姉様……!)
私は――必死に叫んだ。
(……お願い……!)
(……力を……!)
その瞬間――
手のひらが――熱くなった。
まるで、何かが燃えているような。
いや――違う。
これは――
「ライトニングショット!」
私の手から――光の玉が飛び出した。
まばゆい光。透明な氷とも、水とも違う。
光。
レッドウルフに向かって。
そして――命中した。
「ギャウッ!」
レッドウルフが、悲鳴を上げる。光の玉が――レッドウルフの耳を貫いた。
「……っ!」
私は、息を呑んだ。
(……出た……!)
(……奇跡的に……!)
手のひらを見る。まだ、熱い。魔力が、残っている。
でも――頭が、ぼんやりする。一度使っただけで、こんなに疲れるなんて。
レッドウルフは、怯んでいる。耳から、血が流れている。
でも――致命傷じゃない。まだ、動ける。
レッドウルフは――再び、こちらを睨んだ。
怒りに満ちた目。そして――襲いかかる体制を取る。
「アミア……!」
お姉様が、私の隣に立った。
「あなた……光魔法が使えるの……?」
「……分かりません……でも……」
私は、震える声で言った。
「……今……奇跡的に……出ました……」
「そう……」
お姉様が、強く頷いた。
「でも……もう魔力は……?」
「……ないです……」
私は、正直に答えた。頭がぼんやりする。もう一度使えるかどうか――分からない。
「分かったわ」
お姉様が、私を庇うように前に立つ。
「アミア、私の後ろに」
「お姉様……」
「大丈夫」
お姉様が、微笑んだ。
「私が……守るから」
レッドウルフが、襲いかかってくる。
「ウォーターショット!」
「ライトニングショット!」
水の塊と、光の玉が――同時に飛ぶ。
レッドウルフに向かって――
そして――
「ギャウッ!」
レッドウルフが、悲鳴を上げた。
水の塊が、顔面を直撃。光の玉が、脚を貫く。
レッドウルフは――よろめいた。
「もう一度!」
お姉様が、叫ぶ。
「ウォーターショット!」
「ライトニングショット!」
再び、水と光が飛ぶ。
そして――命中。
「ギャウゥゥ……」
レッドウルフが、地面に倒れた。動かない。
「……倒した……」
私は、息を切らしながら呟いた。
お姉様も、同じように息を切らしている。
「アミア……大丈夫……?」
「……はい……なんとか……」
私たちは、その場にへたり込んだ。
魔力を使いすぎた。頭が、ぼんやりする。
身体が、重い。
「……少し……休みましょう……」
お姉様が、優しく言った。
「……はい……」
私は、木の幹に寄りかかった。お姉様も、隣に座る。
(……倒した……)
(……二人で……なんとか……)
私は、安堵の息を吐いた。
でも――
(……まだ……もう一体いる……)
マッドウルフ。黒い魔獣。
あれは――どこに?
私は、周囲を警戒した。でも――何も見えない。
静かな森。木々の葉が、風に揺れている。
「……大丈夫……かしら……」
お姉様が、不安そうに呟く。
「シャリアお母様たちは……」
「……きっと……大丈夫です……」
私は、小さく答えた。
衛兵がいる。メイドもいる。シャリアもいる。
きっと――大丈夫。
そう信じたかった。
でも――
その時。
ガサガサ。
再び――何かが近づいてくる音。
「……っ!」
私とお姉様は、立ち上がった。
そして――現れた。
黒い体毛の獣。
マッドウルフ。
「……まだ……いた……」
お姉様が、震える声で呟く。
マッドウルフは――私たちを、じっと見つめている。
ギラギラと光る目。鋭い牙。
そして――襲いかかってきた。
「ウォーターショット!」
お姉様が、水魔法を放つ。
でも――マッドウルフは避ける。
私も、手を前に出した。
「ライトニングショット!」
光の玉が飛ぶ。でも――マッドウルフは横に跳んで避ける。
「……っ!」
マッドウルフが、再び襲いかかる。
「ウォーターショット!」
「ライトニングショット!」
水と光が飛ぶ。
でも――マッドウルフは、巧みに避ける。
レッドウルフよりも――速い。賢い。
「……くっ……!」
お姉様が、息を切らしている。
私も――限界が近い。
頭が、ぼんやりする。魔力が――もうほとんど残っていない。
マッドウルフは――私たちの疲労を見抜いている。
ゆっくりと、近づいてくる。
「アミア……後ろに……」
お姉様が、私を庇うように前に立つ。
「お姉様……」
「大丈夫……私が……守るから……」
お姉様の声は、震えていた。
でも――強い意志が込められていた。
マッドウルフが――襲いかかってきた。
「ウォーターショット!」
お姉様の水魔法。
でも――マッドウルフは避ける。
そして――もう一体のマッドウルフが現れた。
「……っ! 二体……!?」
お姉様が、驚いた声を上げる。
(……まずい……!)
二体のマッドウルフ。私たちは――もう魔力がほとんどない。
一体目のマッドウルフが、お姉様に向かっていく。
二体目のマッドウルフが――私に向かってくる。
「ライトニングショット!」
私は、必死に光魔法を放つ。
でも――光は弱々しい。マッドウルフの顔をかすめただけ。
マッドウルフは、怯まない。
そして――私の肩を狙って、襲いかかってきた。
「アミア!」
お姉様の叫び声。
私は――動けなかった。
魔力が切れている。身体が、動かない。
マッドウルフの牙が――私の肩に――
その瞬間。
「いやああああっ! アミアあああ!」
お姉様が、叫んだ。
そして――
お姉様の手から――黒い魔力が溢れ出た。
「ダークショット!」
黒い弾丸が――マッドウルフを貫いた。
「ギャウッ!」
マッドウルフが、悲鳴を上げる。
黒い弾丸は――そのまま、もう一体のマッドウルフも貫いた。
「ギャウゥゥ……」
二体のマッドウルフが――地面に倒れる。
動かない。
「……っ……」
私は、息を呑んだ。
(……闇魔法……)
(……お姉様が……闇魔法を……)
(……一周目と……同じ……)
(……未来が……変えられなかった……)
お姉様は――震える手を見つめていた。
黒い魔力が、手のひらから消えていく。
「……これ……何……?」
お姉様の声が、震える。
「……私の……手から……黒い……」
お姉様の顔が――青ざめていた。
自分の手を見つめて、恐怖に震えている。
「……何が……起きたの……?」
「お姉様……」
私は、お姉様に駆け寄ろうとした。
でも――その時。
お姉様の身体が――揺れた。
「お姉様!?」
お姉様は――そのまま、地面に倒れた。
気を失っていた。
「お姉様! お姉様!」
私は、お姉様に駆け寄った。
お姉様を抱き起こす。
「お姉様……!」
でも――お姉様は、反応しない。
目を閉じたまま。呼吸は――ある。
(……魔力を使いすぎた……)
(……闇魔法は……強力すぎる……)
(……お姉様の身体に……負担がかかった……)
私は――お姉様を抱きしめた。
「……ごめんなさい……」
涙が、溢れた。
「……ごめんなさい……お姉様……」
「……私のせいで……闇魔法を……使わせてしまった……」
一周目と同じ。
お姉様は、私を守るために、闇魔法を使った。
未来を変えたかった。
でも――変えられなかった。
「……っ……」
私は、拳を握りしめた。
(……でも……まだ……)
(……まだ……終わってない……)
(……シャリアには……バレていない……)
(……お姉様を……守れる……)
(……今度こそ……)
その時――
「ネフェリア! アミア!」
遠くから、シャリアの声が聞こえた。
「お嬢様方! どこですか!」
メイドの声。
「こちらです!」
私は、叫んだ。
「ここです!」
足音が近づいてくる。
そして――シャリア、メイド、衛兵が現れた。
「ネフェリア! アミア!」
シャリアが、駆け寄ってくる。
「大丈夫!? 怪我は!?」
「お姉様が……気を失って……」
私は、震える声で言った。
「魔獣と戦って……魔力を使いすぎて……」
「そう……」
シャリアが、お姉様の額に手を当てる。
「大丈夫……魔力切れね。少し休めば、目を覚ますわ」
「……本当ですか……」
「ええ」
シャリアが、優しく微笑む。
「衛兵、ネフェリアを運びなさい」
「はい」
衛兵が、お姉様を抱き上げる。
そして――シャリアが、私を見つめた。
「アミア……あなたは、大丈夫?」
「……はい……」
私は、小さく頷いた。
「魔獣は……?」
シャリアが、周囲を見回す。
そして――倒れているマッドウルフとレッドウルフを見つけた。
「……三体も……」
シャリアが、驚いた声を上げる。
シャリアが、しばらく倒れている魔獣を見つめていた。
そして――何かを考え込むような表情をする。
でも――何も言わなかった。
「帰りましょう。ネフェリアを休ませないと」
「……はい」
私たちは――森を出た。
馬車に乗り込む。衛兵が、お姉様を寝かせる。
私は――お姉様の隣に座った。
お姉様の手を、握る。
冷たい手。でも――温かい。生きている。
(……お姉様……)
私は、心の中で誓った。
(……今度こそ……守る……)
(……絶対に……)
馬車が、動き出した。
揺れる車内。窓の外には、森が遠ざかっていく。
私は――お姉様の手を、ずっと握り続けた。




