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掌編

頂点へ

作者: 綴 詠士
掲載日:2025/12/11

 頂点へ立つ。それが俺の目標だ。

 それだけが俺の目標だ。

 

「うおおおおおおおおおお」

 

 俺は剣を持ってリウドに向かう。

 リウドはこちらを様子見している。

 

 ふざけるなよ。お前に俺は勝つ!

 

 俺は思いっきり近づいて、切り裂こうとする。

 

 だがリウドは簡単によける。

 

 そして俺は蹴り飛ばされる。


「ぐあ」

 

 剣ですらないのに、重い一撃に吐きそうになり、体が吹き飛んだ。

 

「まだまだぁ!!!」

 

 叫んで起き上がる。

 だがそこで容赦のない声が聞こえてきた。

 

「場外! 勝者、リウド!」

 

 歓声、あいつの不敵な笑み。俺は呆然として、立っていた。

 

 俺は負けたのだ。

 頂点に立ちたいのに、ここで負けたのだ。


 ***


「くそぉおおお!!!」

 

「うるさいなあ!!!」

 

 叫んでいると、俺以上にうるさい声が聞こえてきた。

 隣に腐れ縁のネスティがいる。

 

「あんた、うるさい! 少しは落ち着きなよ!」

 

「黙ってられるか! 俺は負けたんだ! うおおおおおおお! くそおおおお!」

 

「うるさいって、このデカぶつが!」

 

 ネスティにぶん殴られるが気にしない。

 

 こんなの蚊に刺されたのと一緒だ。

 リウドの一撃はそんなものじゃなかった。

 

「ああ、リウドめ! あいつに勝つ! とにかく特訓だ!」

 

 俺は特訓場に向かう。そんな俺をネスティは呆れた顔で見ていた。


 ***

 

「おらあ!!」

 

 剣を振るう。これではリウドに届かない。

 リウドの剣はこっちがどれだけ攻めても、水のように吸収し、その後爆発的な濁流が襲ってくる。


「……このままで俺は勝てるのか?」


 俺は自分に疑問を持ってしまった。

 何か別の方法を試すべきなんじゃないのか?

 リウドを倒すのに、力だけでいいのか?


 いや、違う。

 

「俺は馬鹿か! あいつ相手に小手先の一撃は通用しない! 今の俺の一撃を更に強くするんだ!」


 自分に言い聞かせる。

 

 だからこそ、俺は力を鍛えないといけない。

 

 あいつの剣が耐えられないほどの力で俺は立ち向かう。

 そのために俺は努力した。


 ***


 そして再び試合が始まる。

 周囲には観客たち、ネスティが退屈そうにしているのが見える。

 

 リウドがこちらを見る。余裕のある顔でリウドは剣を構えていた。

 

「前の俺とは違う! 侮るんじゃねえぞ!!」

 

 俺は向かった。特訓の成果を出すために。


 思いっきり剣に力を籠め、解き放つ。

 リウドはその一撃に目を見開き、剣を動かし受け止める。

 そしてリウドの身体が吹き飛んだ。


 彼の身体はボールのようにはね、試合会場の端でどうにか受け身を取っていた。

 

 観客やネスティは驚いて黙り込んでいた。

 誰もがリウドが簡単に勝つと思っていたからだ。


 肝心のリウドも真剣なまなざしで聞いてくる。

 

「……その力は何だ?」


 俺は答える。

 

「特訓の成果だ」


 俺は再び体に力を籠める。リウドを倒し、頂点に立つために。

 

 
















 

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