第83話「ローテーション」
#第83話「ローテーション」
攻撃後の半身の練習を続けて1週間。かなり身に付いてきたと思う。攻撃時はどうしても防御が甘くなるので攻撃後すぐに攻防兼用の構えにするということだ。
その結果、戦いの安全性は目に見えて上がった。以前はどうしても攻撃後が不安だったが今はその不安が軽減された。そしてリスクが減ったと体が判断したためか攻撃に威力が乗るようになったと思う。
ルナはここまで考えて稽古の順番を変えたのかもしれない。その臨機応変さは素直に凄いと思う。このままルナのいう通りにすれば強くなるのは間違いないだろう。あとは俺の頑張り次第だ。
そして今日は三階層のモンスター討伐時にローテーションも組んでみた。
俺も、ラムも、リンも――アタッカーも壁役(盾役)もできるので、数回ごとにアタッカーを交代するということだ。
俺が壁役として前に出るときは、ラムとリンの動きで良いと感じたところを真似た。
アタッカーが攻撃に入りやすい角度を作すことも意識したのだ。以前、俺が一人で盾役をしていた頃は、ただ「モンスターを押さえる」ことしか考えらなかったのでラムとリンは攻撃しづらかったことだろう。ちょっと申し訳ない。
ラムとリンは押さえながら攻撃の“通路”を作っていた。例えば二体を斜めに揃えて直線化し、背後のアタッカーが攻撃を流し込める道筋を置いていく。その意識を、ようやく自分も持てるようになってきた。
ラムとリンがお互いに違う方向から攻撃できるときはその両方から攻撃が入りやすいような位置取りも意識。様々なパターンが構築されていく。
今日の最初のアタッカーはラムだった。俺とリンが壁役になりラムの攻撃しやすい形を作っていく。
<<ご主人様凄いです!今回はすごく攻撃しやすかったです>>
まるで心を読まれたみたいだ。俺がやっていることを理解してくれているようで素直に嬉しい。
ラムの攻撃も確実にうまくなっている。俺の打ち込みを見て覚えたのだろう。ただ俺の攻撃を見て真似たのが悪いのか、それとも攻撃は難しいのか手打ちになることもあった。そこで俺は軽くラムにアドバイスをした。
<<ラム、剣をもう少し全身で運ぶといい。床を押して、体幹を回して。意識として刃は“運ぶだけ”で腕の力はもっと抜いていい。その方が体の力が加わる>>と軽く伝えると、
<<なるほど。体全体で運ぶようにですね>>とラム
<<了解です。私ももう少し力を抜いてみるです>>とリン
リンも一緒に頷いた。そしてその素振りを見て驚いた。すぐに良くなっている。なんだこの成長速度は?
……もしかしたら、そう遠くないうちに、盾役だけでなくアタッカーでも俺は二人に追い抜かれるかもしれないな。俺よりも確実に覚えが早いと思う。
ともあれ、人の動きを見て学ぶことも大切だ。俺の動きはどこが悪いのか?人の動きを見ることによって更に明確になっていく。
そして、ミーティングの時間も同じくらい大切だとわかった。戦闘の合間に短く集合して、良かった点・危なかった点を軽く話し合う。
良い部分は伸ばし、悪い点はすぐ修正――その繰り返しで、動きの精度が上がっていくのが実感できた。
<<ご主人様、今のは手打ちです。もう少し体の動きを意識するといいと思いますです>>とリン。
攻撃にうまく力が伝わっていない。容赦ない言葉にがっくりくるが全くその通りだと自分でも分かった。こうやって討伐ごとにアドバイスし合えるのは凄く貴重だ。
そうして俺たちは確実に進化した。そして相手モンスターが五体であっても余裕ができた。
「一人一体、残り二体は盾で保持。一体相手になったものがアタッカーで」
相手が出てきたら方針をその場で決める。もちろんすでに軽くシュミレーションしており短い指示でも特に混乱はない。俺が手前の一体を崩し討伐、ラムとリンは二体ずつを斜め後退で抱えてたのでそちらに回る。
すでに三階層のクイックベアは敵ではないと感じるようになった。相手が五体でも余裕がある。
威力のある攻撃、攻撃後の防御、そして攻撃しやすい盾役の位置取りなど様々なことがうまくはまっている。ミーティングで更に精度も上がる。
これは明らかに、ルナの稽古のおかげだな。
三階層の最初の頃の「とにかく相手の攻撃を押さえて耐える」戦いから誰もが相手を倒し、時には抑えるという役割を担えることができるようになった。3人(1人と2体)共にオールラウンダーの戦いができている。
あとは繰り返してもっと精度を上げていくだけだ。
今は1日1人50体以上も余裕になってきた。次のレベルアップは1年かかるかも、最悪裏技の宝箱も厳しいと思っていたがこの調子ならば半年もかからないだろう。
そうしてレベルが上がれば、また裏技の宝箱のチャンスがある。四階層への挑戦もできる。
更には稽古で新しいパターンを覚えることもできそうだ。
やりたいことが多すぎて困るくらいだな。でも、焦らない。
一本ずつ、役割一巡ごとに着実に進んでいこう。俺は不器用だから焦るとうまくいかない。
この全ての討伐1つ1つも無駄がないはずだ。それを全て自分の血肉に変えていく。
覚えたことを反芻するように俺は木刀の柄を握り直した。俺自身が不器用なことはもう分かった。それを嘆いても仕方がない。繰り返し頑張るだけだ。
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