第61話「盾役への挑戦」
#第61話「盾役への挑戦」
恩方ダンジョンの3階層。最初はクイックベアに苦戦したが、日を重ねるごとに少しずつ慣れてきた。その大きな理由は先日の面談だ。
先日、朝倉さんのオフィスで状況を聞かれた時に「そうですね。俺自身が盾役みたいになっていますから」と口にした時に、ふと思いついたのだ。――実際に俺が盾役をやればいいのではないかと。
その言葉通りに盾役に徹するとピタリとはまった。
俺もクイックベアに対して1対1なら倒せないまでも時間稼ぎすることには慣れてきたのだ。時には相手に剣を振って牽制し、攻撃が来たら受け流す。そうして常に一定の距離を保つ事で攻撃を受けることはほぼ無くなった。いくら縦横無尽の攻撃があるとは言ってもそれは距離が近い場合の話、距離があれば比較的簡単だ。
ボクシングでいうところのアウトボクシングだ。インファイトが得意な相手の距離で戦う必要はない。しかも距離を取ると相手はじれるのか攻撃が単調にもなった。これでほぼリスクもない。実際に盾を持っているわけではないが受け流しを主体にする盾役の1つの完成形だと感じた。
そこで、いつもはクイックベアが2体の時しか討伐に挑まなかったが今日は思い切って3体に挑むことにした。
作戦はシンプル。俺が2体を引き寄せて盾役になり、時間を稼ぐ。その間にラムとリンが残りの1体を討伐するという流れだ。
この作戦を伝えると、ラムとリンは強く反対した。
<<駄目です!ご主人様が危険すぎです!>>
<<私もそう思いますです。盾役は本来、使役モンスターが務めるものと思いますです>>
それでも俺は頼んだ。「一度でいい、試させてくれ。それで駄目なら諦めるから!」
――そして実戦。
「よし、来い!」大きな声を張り上げる。ゲームで言う「挑発」みたいなものだ。
狙い通りクイックベア3体が一斉に俺に突っ込んでくる。そのうちの1体をラムとリンが受け止めた。これで作戦通りだ。
俺は残りの2体を迎え撃つ。剣を斜めに構え、大きく見せつける。クイックベアたちは一瞬戸惑ったようだが、すぐに突進してきた。
俺は冷静に受け流し、常に動き挟まれない位置を取り続ける。ベア系は直感で動くからほぼ連携はしない。だから1対1になるような位置取りに持ち込めれば何とかなる。もちろん簡単ではない。1対1の時は距離を取るだけでよかったが今度は位置取りも大事になった。
やはり1対1の時よりも数段危険だな。少し前まで1体でも苦労していた相手を2体。ちょっとした失敗や油断が命取りになる。
慎重な捌き、距離、位置取りを何とか続けた。そうやって時間を稼いでいる間に、ラムとリンが1体を討伐。
すぐさまこちらの1体を引き受けてくれる。これで形勢は大きく変わった。もちろん油断はできないが1対1ならば慣れている。少し距離を取って軽く捌く。じれてきた相手の攻撃を捌くだけでなく攻撃を加えることもできるようになってきた。1体1でも時間を少し時間をかければ討伐もできそうな雰囲気だ。
更にラムとリンがもう1体を討伐。最後は3人で1体を囲み、集中攻撃で討伐。
「よし、これで3体でも倒せる!」
ラムとリンが「やっぱり危険だよ」という感じのジト目で見ているような気もするがそれはいいだろう、とにかく綺麗にはまった。これはいい!
この方法を続け、今日の討伐数は1人あたりおよそ60体。大幅にペースアップできた。
工夫次第でもっと伸ばせるかもしれない。戦い方の方針が一歩、固まった気がした。やはり相手によって討伐方法を工夫することは大事だと実感した。
ああ、思い起こせば過去のゲーム時代でもそうだったな。格上の相手でも工夫をすれば勝つことができた。もちろん簡単ではない。時間がかかることもある。一歩間違えれば逆にやられてしまうこともあるので常に気を付けて戦い続ける必要があった。他の人はオートでやっている間に自分はマニュアルでキャラをこの手で動かして効率よく進めていたんだ。
ただしゲームと同じような考えでやるわけにはいかない。現実ではちょっとした失敗が命取りになる。セーブもロードもない1回限りだ。それでも工夫することで財閥企業系クランと十分に渡り合えるのではないか?そんな気がした。
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