第52話「黒澤と高階の協定」
#第52話「黒澤と高階の協定」
とあるビルの会議室。
向かい合うのはクラン『暁の牙』トップの黒澤と、ハンター協会の公務員系クラン『蒼穹の盾』トップの高階エリナの2人だ。
実は二人はかつて同じクラン『暁の牙』に所属していたが今は別の立場にいる。
ハンター協会内部では財閥企業系と公務員系の勢力争いが続いていたが財閥企業系がその財力や実行力で発言力、権限が強くなりパワーバランスが崩れた。その状況を危惧したエリナが公務員側へ、黒澤はその背中を押した一人だった。
「随分、レンのことを買っているみたいね。暁の牙の“特別認可章”まで出したって聞いたわ。彼はまだレベル2よね。まだひよっこレベルの相手に“特別認可章”を出すって本気なの?」
「ああ。面白い奴だからな。それに俺たちがやれなかった救護活動までやってくれてる。何らかの見返りが必要だと思ったんだよ。ともかく俺はあいつのことをかなり認めている」
「ふーん。さすが黒澤さん目を付けるのが早いわね。そこまで彼を認めている人は他にはいないと思うわよ」
「まあな、最初はずっと”ゴミ漁り”しているおかしな奴だと思って気にかけていた程度だったんだがな、でも現実にはあいつのやっていることは全て理にかなっている。そしてどう見てもレベル2の実力じゃない。レベリングもせずにあの強さは凄い。認めざる得ない状況だ」
「奇遇ね。私も認めてるわ。時には一緒にダンジョンにも入ってるし」
「何? いつの間に? それはどういうことだ」
「ええ、その時は私とレンの“彼女”も一緒だったけどね。3人でダンジョン潜ったわよ」
「……何?あいつ、彼女いるのか? 不幸な境遇だと思っていたら、現実には幸せ者じゃねーか」
「あら、認めてる割に何も知らないのね」
黒澤はわずかに眉をひそめた。
「それにしても、お前とレンの接点は何だ? どこで知り合った? 何でそんなに親しい?」
「まあ、いろいろよ。でも詳しくは言えないかな。女にはいろいろ秘密があるの。黒澤さんにはいろいろとお世話になっているから教えたいのだけど今は無理かな。おそらくしばらくすれば分かるでしょうけどね」
黒澤は小さく舌打ちをし、話題を切り替えた。
「で、今日は何の用だ?」
「彼について、協定を結ばないかなと思って」
「協定だと?」
「ええ。レンは今は目立たない存在だけど今後はそうはいかないでしょ。数年以内、いや早ければ1年以内にも頭角を現すかもしれない。だから私たちで一緒に守った方がいい」
黒澤は数秒考え、頷いた。
「確かに、レンは今後更に急激に伸びるだろうし危険だから守る必要があるのは分かる。で、その協定内容は?」
「無理にクランへ勧誘しないこと。陰ながら動向を見て、必要があれば守ること。そして彼についての情報があれば、その情報共有ね」
「秘密があると言いながら情報共有か? 都合がいいな」
「でも私は"一緒にダンジョンにいったこと”や“彼女がいる”ことまで教えたわよ? 一方であなたからは何もないじゃない」
「……確かに言われるときついな。いいだろう、その条件で。俺もあいつを守るべきだと思っていた。だから“特別認可章”を出した。たいていのことはそれで乗り切れるだろうがそうもいかないことが出てくるかもしれない。連絡はなるべく密にとっていこう」
「了解。じゃ今後とも宜しくね。黒澤さん」
こうして二人は、レンを静かに見守る協定を結んだ。まだレベル2という、この2人から見ればひよっこに対しては異例のこと。
この協定がどういう結果に結びつくのか?もちろん2人はまだ何も知らない。
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