第43話「2階層の現状とひよりへの相談」
#第43話「2階層の現状とひよりへの相談」
俺は相談と報告を兼ねて、2階層での状況をひよりに伝えた。
まずはモンスターが増えて討伐の効率が良くなったことを伝えた。それは前回にも伝えたことでもある。
他にも救助が増えたこと、勧誘も増えたこと――これら面倒ごとも比例して増えたことを報告した。
「救助については感謝された?」
「大抵は感謝されたけど恨み言を言われることもあったな。気が動転していたのかもしれないけど助けて恨み言を言われると結構くるものがあるよ」
「それは災難だったわね。でもそういうことがあるのもダンジョンなのよね。そういった話は受付にも話しておくといいわよ。何かの時に味方になってもらいやすいし」
「分かった。そういったアドバイスはかなり助かる。受付に伝えるとか俺は思いもよらなかったよ」
「助けられた方は報告しづらいからね。助けた方が積極的に受付に伝えた方がいいと思うよ。助けられた方が確認を受けても嘘は付かないだろうし」
「あと、救助についてだけど、ハンター協会からは報奨金はよほどのことがないと出ないということは覚えておいてね。以前は出していたんだけどね最近は出なくなったのよ」
「そう言えば変だよな。それは何でだ?ハンター協会としては救助はかなりありがたいはずだろう?積極的に報奨金を出すべきではないのか?」
「それはね……」
理由を聞けば、昔は報奨金があったらしい。でもそれ目的の自作自演が横行したとのことだ。仲間同士で演技をして救助を装い、金を騙し取る。そんな行為をする人間がいたらしい。
そりゃ2階層で踏ん張るレベルだと稼ぎは雀の涙だ。だからこそ手段を選ばない者も出てくる。そうなると協会も報奨金は出せなくなくなるだろうな。
結果として自然と他人を助ける人は減る。そりゃ当たり前だ、他人を助けるだけならほぼリスクしかない。そうして自己責任の色が濃くなり弱者が切り捨てられる今の状況になっていったという。
ソロで頑張っていたほとんどの人は諦める。もしくは草クランに入る。だがそこでも儲からずやめていく人は多い。草クランもボランティアではないから手伝うだけでなくお金を要求する。そうなると細々と2階層程度でやっている人達は更に儲からず困窮していく。
黒澤さんのクラン『暁の牙』はまだいい方だ。あそこほど初心者でも安心して稼げるクランは他にほぼない。でもそんな『暁の牙』でも諦める人は多い。そりゃ暁の牙でも下のメンバーを常に全員見ることなんて無理だろう。自分の高層階の討伐も忙しいはずだ。
こうして一般人がハンターで生活していくのは厳しいという認識が広がっていったわけだ。今やハンターは一般人が命をかけても稼げない仕事というのが常識になっている。だから一般人がハンターになるケースが激減した。
現状、初心者から始めてまともに活動できるようになったハンターは財閥や企業系の最初から資金のある連中が多い。彼らは潤沢な資金でレベリングしてもらい。更には宝箱からの武具を与えられる。
もちろんその見返りに彼らが高層階で稼いだお金が財閥系企業に還元されていく。結局、ゲームの世界も現実の世界もお金持ちが有利、そして金持ちは更にお金を稼げるシステムを構築していく。全く変わらない。
でも……俺は絶対にそんな奴らを見返してやる。金持ちに2度も理不尽にクランも女も奪われ馬鹿にされたが今度は違う。何とか逆転してやる!
そんなことを思いつつ俺は更にひよりに相談した。3階層以降の件だ。
「今は裏技の件もあって2階層終わるまでは新宿で続けるけど、面倒ごとが増えているから3階層以降は少し過疎ってる場所でやった方がいいと思う。どこかいいところないかな?」
「そうね……この辺りじゃあまりないかな。その件は朝倉さんにも相談してみるね」
ひよりがそう言ってくれるだけで、胸が温かくなる。
本当にありがたい。俺が大きな問題もなくハンターを続けられるのは間違いなくひよりのおかげだと思う。彼女がいなかったらトラブルだらけだっただろうしここまで安定して稼げるようになっていない。
俺は彼女に助けられてばかりいる。このままではいけない。
……早く思いを伝えよう。3階層に挑戦する時か、それとも――ひよりの誕生日にでも告白するか。
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