第286話「北海道駒ヶ岳ダンジョン異変」
#第286話「北海道駒ヶ岳ダンジョン異変」
ラムとリンがレベル6に到達したことでダンジョン五階層の討伐効率は明らかに上がった。
2手に分かれて動く体制自体は変わらない。だが中身が全く違う。
ルナのチーム3人のうち1人がレベル6。
俺のチーム5人のうち1人もレベル6。
これが、想像以上に大きい。
「安全マージンが全然違うな」
両チームともに余裕が生まれた。最大の20体のモンスターが出てきても大丈夫だ。とくに無理をしなくても簡単に押し切れる。
結果として討伐スピードもぐんぐん上がっていった。
このままいけば――
ロア、ルフ、クー、そしてひよりも、これまでより早く、計画よりもかなり早くレベルアップするだろう。
順調だ。
そう思っていた矢先だった。
ダンジョン内で保持している特殊端末に通信が入った。俺とルナが持っている端末だ。
『北海道鹿部町の駒ヶ岳ダンジョンでモンスターの氾濫が発生』
その連絡を受け、すぐに空気が変わったように感じた。俺たちは即座に討伐を中止し、ダンジョン外へ。
すでに待機していた緊急車両で立川駐屯地へ向かった。
「すでに訓練しておいてよかったな」とルナが独り言のようにつぶやいた。
確かにそうだ。この流れは前回の訓練通りだ。訓練をしていなかったら必要以上に焦ったかもしれないが特に焦ることも迷うこともない。
ほどなくして俺たちを乗せた緊急車両が立川駐屯地に到着。そこには、すでに自衛隊ダンジョン特殊部隊10名が待機していた。
俺たちもすぐに合流し、ヘリへと向かった。
ここまでは前回と同じだ。やはり訓練しておいてよかった。いきなりヘリに乗ったら俺は間違いなく焦ってしまっただろう。
そしてここからが訓練と違った。
副隊長の藤原さんが、機内でおよその現地の地図を広げ状況説明を始めた。
「発生地点は北海道、鹿部町北西にある駒ヶ岳ダンジョンです」
やばい。地図を見ると函館からすぐだ。藤原さんによると鹿部町から函館までは車で1時間程度の距離らしい。
函館は大きな都市だ。そこにモンスターが流れ込めば大変なことになるだろう。
ダンジョンが氾濫した原因は確認中らしいがおそらくは3階層の常時スタッフ不足とのことだった。氾濫に気づくのが遅れたらしい。
3階層からモンスターがあふれ出た関係で2階層、1階層の見張りのハンターも避難。少数だが、1階層、2階層のモンスターも外へ出ているという。
そして藤原さんの説明が続いた。
「現在、住民は函館方面へ避難中。自衛隊は函館から約20km地点付近に簡易バリケードなどを作り重火器を配置するなど迎撃態勢を構築している」
バリケード設置、重火器配置。本格的な防衛線だ。もうこれだけでも十分なような気もするが……。
そう思っていたら藤原さんが俺たちの役割を説明した。
「そこでの君たちの任務はその防衛線に到達する前のモンスター討伐だ」
なるほどね。迎撃地点でモンスターを討伐できればいいが、当然のことながらそれよりも前の時点でモンスターを討伐できれば安全度が増す。
理想を言えばその地点に来るまでに全て討伐できればというところだろう。
すでに防犯カメラは遮断準備済み。俺たちが到着し、出動する前にオフにするという。
前回は訓練だった。
今回は――完全に本番だ。否応なく真剣度が高まった。
藤原さんが一言追加した。
「質問は?」
その問いに、ルナが口を開いた。
「話には聞いていると思いますが、今回は使役モンスターだけでなく、人間三人も出撃可能ですがどうしましょう?」
即答だった。
「可能であれば出撃してほしい。2~3人1組で行動。そのうち1人は無線で基地と連絡を」
すでに俺たちの情報はリーダーの佐伯さんから共有されているらしい。ならば話は早い。
「了解しました。私達も出動します」
俺も異論はない。五分の二の力とは言え俺とルナはレベル5相当以上、ひよりもレベル4相当以上だ。レベル3のモンスターならば余裕で戦える。
その後も軽く話をして俺たちは3チームに分かれることにした。
・俺、ラム(レベル6が2人の部隊)
・ルナ、ルフ、クー(レベル6が1人とレベル5が2人の3人部隊)
・ひより、リン、ロア(レベル6が1人とレベル5が2人の3人部隊)
すなわち俺のチームだけレベル6が2人、あとはレベル6とレベル5の混成チームになる。
ヘリは三時間近く飛び続けた。
「あと10分で到着」
アナウンスがあった。
そして現地から連絡を受けた藤原さんから最終の連絡があった。
現在、モンスターは鹿部町内に留まっているらしい。現時点では函館方面へ向かう個体はまだいないと思われるとのこと。
それは救いだった。
函館の人口は二十万人以上。そこにモンスターが流れ込めば、被害は想像できない。まずは大騒ぎ、そしてその後の被害はとんでもないことになるだろう。
そう思っていたらヘリが降下を始めた。降り立ったのは、民間の小さな飛行場らしき場所。
扉が開く。まだこちらは寒いな。冷たい北海道の空気が流れ込んできた。
――これは訓練ではなく実戦だ。俺は深く息を吸った。
「行こう」
俺にとっては初のダンジョン外での戦闘が始まろうとしていた。
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