第215話「五階層の準備会議」
#第215話「五階層の準備会議」
とうとう俺たち全員8人(3人+5体)がレベル5になった。
となれば、次に目指すのは当然ながら五階層。ここで頑張ればレベル6への道が開かれる。
そのために、五階層の経験があるルナが中心となり俺たちはマンションの使役モンスター側の部屋に全員が集まってミーティングを開くことになった。
そこには五階層の映像が出ている。その映像から五階層からはオーク系のモンスターが加わっていることが分かった。
「すでに知っているだろうが、五階層はこの大きなモンスター、オーク系モンスターが出る。これがこの階層のボス格だな。パワー、スピード、防御力などが私達と同等かそれ以上だと考えて欲しい」とルナが切り出す。
「このオークがやっかいなのは間違いないが更に数も増える。雑魚モンスターが10〜20体ほど出現し、その中にオークが2〜4体混じっているという混成部隊だ」
「ということは単純に数が増えるというだけではないのか? それならば対応はそれほど難しいことでもないと思うけど?」と俺は質問した。
「いい質問だ」とルナ。
四階層にもボス格のウルフ系のモンスターがいた。そして他の雑魚モンスターとの混成部隊だ。その総数は5~15体。
五階層でボス格がオーク系モンスターに変わり総数が10~20体ならば数が単純に増えるだけではないのか?と俺は思ったのだがどうやらそこまで単純ではないらしい。
「この五階層は数が増えるだけではなく、四階層とは比べ物にならないぐらい厳しいと考えて欲しい。現実に、ほとんどのクランが10人ぐらいで挑んでいる。四階層では5人ぐらいだから警戒度が全く違うんだ」
「すなわち一般的なクランもそれまで以上にかなり難しいと考えているわけか?」
「そういうことだな」
「なら、その理由は? さっき言ったように数が多いのが理由か?」
俺はちょっと不思議に思った。単純に俺たちもレベルが上がって強くなっているのだからそこまで難易度が上がるというのが分からない。
それは敵モンスターの数が増えるからなのだろうか?でもそれだけで難易度が急に上がるというのが今一つピンと来ないのだ。
「もちろん、数の問題もある。しかしそれ以外の問題がある」
「大きさですか?」とラムが質問した。
「ああ、その通りだ。大きさはそれだけで驚異なんだ」
五階層が危険とされる理由は――
数もあるが、それよりオークそのものの“巨大さ”にあるらしい。
「オーク系はレベル5相当だと言われている。パワー、防御力、スピードが高い。それに加えてその大きさが難易度を上げている」とルナ。
「大きさが脅威になる理由はいくつかある。まずは大きいと見た目に脅威だ。それが人を惑わす。判断力の低下がそのまま戦力の低下に繋がる」
「そこまで脅威なのか? 迷うと言ってもそこまでの話になるのか?」
「ああ、ハンターと言えども人間だからな。大きい相手には恐怖心を持つ。すると動きが慎重になる。慎重に動くと囲まれてやっかいだというのは四階層で知っただろう。雑魚敵を一層する必要があるのに待っていては不利になる。また慎重になるだけならまだましだ。恐怖で動きが鈍ることもある」
「なるほど。確かに戦闘ではちょっとした迷いが命取りになることがある。敵が大きいとして慎重になることは大事だが、萎縮し判断に迷うと負けてしまう可能性が高くなる。それは避ける必要があるな。すなわち五階層に挑む前に敵をしっかり知って、心構えをしておけということか」
「そういうことだ」
なるほどね。確かに敵モンスターが大きいということだけでも怖いよな。でもそれで萎縮したり迷うのはかなりのマイナスになる。十分に心構えが必要と言えるだろう。
未知の巨大なモンスターを前にすれば動きが鈍りやすい。良い言い方をすれば慎重ということだが、それは委縮に変わりやすい。そうなると雑魚の一掃が遅れ、囲まれ危険な状況になる。
でもそれだけなら予め知っておけばなんてこともない気はするのだが。
しかし現実には他にも大きさは脅威になることがあるらしい。続けてルナが発言する。
「それだけでない。大きさはそれだけでも武器になる。学校の物理で習ったと思うがエネルギー、すなわち攻撃の重さは質量に比例するんだ。同じような攻撃でも、大きな敵からの攻撃はその重さが違う」
「なるほど、見た目に同じような攻撃でも重さが違うということだな」
「そうだ。だからこれまでと同じように相手の攻撃が普通に受けられるとは限らない。単純なつばぜり合いをするだけでも吹っ飛ばされてしまう可能性がある。これまでのような受け流しをしようとしたら相手の攻撃の重さで剣がとばされてしまうこともあるかもしれない」
なるほど、今までとは根本的に戦い方を変える必要もあるのかもしれない。受け流しが危険ならば躱すことを前提にした方がいいのかもしれないな。
「同じような理屈で単純な体当たりだけでも危険な攻撃になる」とルナ。
「そりゃ、そうだな」
質量はそのままエネルギーに繋がるとすれば体当たりも武器になる。プロレスのショルダータックルみたいなものか。
重いものがぶつかってくれば小柄な人間は吹き飛んでしまう。いや、吹き飛ぶだけならまだいいかもしれない。仮に下にたたき付けられれば、脳しんとうを起こすかもしれない。それだけでも致命的だ。
「格闘技に階級がある理由がよく分かるよな」
俺のつぶやきに、ルナが頷く。
「そう。格闘技では数キロ違うだけで別階級になり、あたかも別競技のように分けられている。それだけ大きさは脅威になるからだ。そしてオークはその比じゃないぐらいに大きい。だから、まともに戦ったら駄目なんだ」
そうだよな。ボクシングでも柔道でもほんのわずかな体重差でも階級が分けられている。それだけ、大きさは武器になると言うことなのだ。
これまでと同じような感覚でまともに戦ったら絶対に勝てないと考えなければいけないな。
「他にも問題はある。大きさは基本的にはリーチの長さにも直結する。こちらが十分に避けたつもりでも、オークの攻撃範囲は想像以上に広い。攻撃が届いてくる。最悪の場合には複数人が一撃で吹き飛ばされるケースもある。そうなると一気に崩れるな」
本当にやっかいだな。大きいと言うだけでレベル以上に強いということじゃないか。思った以上に五階層の相手は戦力がかなり高い。これは困ったな。
数が増えるのもやっかいだがそれ以上に実力が高いのは困る。
「あとオークは大きいだけでなくそれなりに知能があって面白い戦略をとってくることもある」
「面白い戦略とは?」
「いろいろトリッキーなことをやってくるんだ。例えば大きなオークに隠れて雑魚モンスターが死角から攻撃を仕掛けてきたり」
「そりゃ、嫌だな。見えないところからの攻撃はきつい」
「他にはオークに肩車された上からの攻撃」
「その手の変則的な攻撃も確かに嫌だな」
「あとは雑魚モンスターをこちらに投げてきて、驚いている隙に間合いを詰めてきたり」
「うへぇ、そんなことまでしてくるのか!」
「まあ、この辺りのトリッキーな攻撃は慣れればなんともないがな。それでも一応は知っておいた方がいい」
これまでとは違ったトリッキーな攻撃もいろいろあるらしい。五階層はなんとも面倒くさいな。ルナは慣れればなんともないというが慣れるものなのだろうか?
そこでルナは五階層の心構えや対策などについても教えてくれた。
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