第177話「新居への引っ越し」
#第177話「新居への引っ越し」
エリナさんから好条件で契約させてもらったマンション二室――。
ついに、俺たち家族はそこへ引っ越すことになった。
樹と葵には申し訳ないが、ちょうど三連休を利用しての引っ越しだ。せっかくの休みが潰れることになるがそこは許して欲しい。
まずは一日目に荷物をまとめ、二日目・三日目で運搬という計画。
かなり大変かと思ったが予定を立ててしまえば意外と何とかなるものだ。引っ越し作業は順調に進んだ。
とはいえ、家の中はしばらく混乱気味になるだろう。
特に樹と葵は、学校の教材や小物がどこにいったのか探すのに苦労することになると思う。それも申し訳ないが許して欲しい。なんなら一緒に探すの手伝うからさ。
しかしオートロック付きのマンションはやはり安心感が違う。もちろん完璧ではないが前のアパートに比べれば格段に安全安心だ。
「こうやって番号を入力するとドアが開くんだ」
「分かったやってみる!」
そうして樹と葵が番号の入力をすると自動でドアが開いた。驚き嬉しそうにする2人、新しい仕組みを覚えると楽しいものだよね。実は俺も知ったかぶりをしているだけでほとんど経験がない。初めてみたいなものなのでちょっと嬉しい。
今回借りたマンションの二室のうち一室は、俺と樹と葵の3人家族で暮らす住居になる。
3DKなので、当然のようにそれぞれ一部屋ずつ割り当てた。自分専用の部屋を持てた樹と葵は大喜びだ。
「本当に自分の部屋がもらえるの!」
「私だけの部屋、嬉しい!」
2人共に年齢的には思春期だしプライベートもあるだろう。1人ずつの部屋ができて丁度良かった。
そしてそうやって喜んでくれるなら、それだけでちょっと報われる気分にもなる。頑張ってきた甲斐があったというものだ。
そしてもう一室は――当面はラムだけの部屋だ。
3DKに1人(1体)というのは少し寂しいかと思ったがどうやらしばらくは透子さんも一緒に泊まり込むらしい。透子さんはラムにまだまだいろいろと聞きたいことがあるようだ。
「私も家賃、半分出すから許してね」と言われたが、
いやいや、そういうわけにはいかない。
すでにルナが費用の半分を出すと言ってくれているのだ。でも出すというものを返すわけにもいかない?どうしたものか。
ともかくもう、この辺りの細かいことは考えないことにした。
いわゆる“明日の自分に任せよう”というやつだ。知らないうちに勝手に解決されるのを期待しよう。
とにかく今は引っ越し作業が最優先だ。
大まかな荷物の運搬は二日目午後までに終わり残すは設置のみ。でもそれもかなりスムーズに進んだ。
この引っ越しがスムーズに進んだのにはちょっとした裏事情もある。
――重たいものは、樹と葵に見つからないようラムに設置してもらったからだ。
それはもう、驚くほどの力だ。
机もパソコンも棚も冷蔵庫も、まるで空箱のように軽々と片手で持ち上げてしまう。なんで片手で軽く持ちあがるの?重力がおかしくなっているのでは?と思うぐらいだった。
そうして数時間かかると思っていた設置作業が、ものの数分で完了してしまった。人化しているとはいえ、やはり使役モンスターの力はとんでもない。そしてありがたい。
時にはばれないように力を発揮してもらうのもありかもしれないな。もちろんここまでの力はばれたら大変なので細心の注意が必要だけどね。
そして三日目は軽い荷物の整理と配置だけ。予定より早く引っ越しはほぼ完了した。もっと混乱すると思っていただけにありがたい。
「レン、この食器はこの棚の中にしまっておくね」
「うん、好きに配置していいよ。おそらく俺よりもひよりの方が使いそうだしな」
そう言うとひよりが「分かった」と嬉しそうにしている。そう考えると、まるで新婚さんの部屋のようでもある。これはかなり嬉しいかも。
ダイニングはかなり広いので料理を作るのもはかどりそうだ。この辺りはひよりにほぼお任せなので申し訳ないところだけどね。
そしてよく考えたらひよりはダンジョンにも入っている。それで家でも働かせたら過重労働だ。あまり家での仕事を任せすぎないようにも注意しないといけないな。
そうして家具もその中身もほぼ配置が終わった。明日からも普通に生活を始めることができそうだ。
これでダンジョンの外に出れる使役モンスターが増えても十分に対応できる。3DKで5体まで増えたら部屋の割り当てが難しくなるけどさすがにそこまで彼女たちは気にしないだろう。もちろん気にするようであればまた考えるけどね。
本当に、早めにエリナさんへ相談しておいてよかった。ルナ、ひよりのアドバイスもありがたかった。周りの人のおかげで全てがうまく進んでいる。しっかりと感謝しないといけないと思う。
新しい綺麗な住まい。それだけで嬉しくなる。ハンターになりダンジョンに入ってから3年近く、嬉しい変化が続々と出てきた。まだまだ今後もいろいろあるのだろうが、それでも頑張れば何とかなると思う。
――とりあえず次はリンたちがレベルアップするのを待つだけかな。
新しい拠点、新しい日常、そして次の進化。
胸の奥が少しだけ高鳴った。明日も明後日も頑張ろう!そう思えた。
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