第174話「司のアイデア(司視点)」
#第174話「司のアイデア(司視点)」
鷹見の提案で、俺は「コロナ」ということにしてしばらく休養を取っている。そろそろ3か月いや4か月ぐらいになるか?でも病気なんだから仕方がない。みんなもきっと心配していることだろう。
本当はそろそろクランに顔を出してやろうとは思っているけど、コロナという重病だから、どうしても仕方がないのだよな。診断書にも書いてある通りで俺が悪いわけではない。もう少し休もう。そう思ったら少しだるくなってきた。喉も痛いような気がする。やっぱり無理はいけない。
そしてクランに問題はないんだ。俺がいない間、クランの運営は本田という男に任せてある。あいつはなかなか優秀だ。俺の意向をよく理解していてその通りに動いているようだ。まとめ方もうまい。レベル3でくすぶっているあいつらからレベル4がもうすぐ出るらしい。確か佐藤だったか。今の一応はリーダーをやっている奴がレベル4になる。
佐藤は石動の言うことばかり聞く駄目人間だが本田はまずまずだ。俺の見る目は確かだったな。順調、順調。
――と思っていたのだが、最近になってどうにも嫌な情報が耳に入ってきた。
俺の極秘ルートで調べた結果、どうも“レン”の野郎が更に力をつけているっぽい。
すでに俺と同じレベル5なっているかもしれない。更にはレベル6に手が届く可能性があるかもしれない。
それはまずい。ありえない。
どうしてそうなった?短期間でそこまで上がるなんて常識的に考えて不可能だ。つまり――何か裏がある。以前、俺が推理した通りオレオレ詐欺などの犯罪に手を染めたのは間違いないところだろう。本当に困ったやつだ。今に社会から消えることになる。
そして、レンはあの超有名人のルナとつるんでいるらしい。ルナもまあ人生経験が浅く、人を見る目がなくいのだろう。それは仕方がないことだ。
しかし困ったな。このままレンを放っておけば、俺を抜いてしまう可能性がある。
それだけは許せない。俺が更に先行するか?でも俺がこの先、レベル6になるのは正直なところ少しきつい。まだ先になるだろう。どうしたものか?
待てよ?閃いたぞ!考えようによってはこれはチャンスではないのか?
――あいつを俺のクランに入れてやればいい。いや、あいつはもともとうちのクランにいたんだ。復帰という形だな。追放を無かったことにしてあげればいい、俺が広い心で許してやればいいのだ。
うちは企業系クランだ。安定しているし、スポンサーも多い。
「復帰させてやる」と言えば、あのレンだって飛びつくだろう。
多少の犯罪歴があっても、うちの看板で軽く守ってやれば済む話だ。あいつは涙を流して喜ぶかもしれないな。
そうすればレンがそれなりの戦力、ルナが広告塔で断トツの戦力、そして本田が実務的な運営となるな……
なんだ、これで完璧じゃないか。ルナがいれば入りたいと言ってくる奴もいるだろう。見込みがあれば俺が面接して入れてやればいい。戦力はますます増えていくことになる。
そして、俺は当然ながらこのクランの代表で看板だ。リーダーとして指示を出せばいい。クランは一気に急成長、俺はトップクランのリーダーとして脚光を浴びる。
ふふ、素晴らしい。我ながら冴えているな。短期間で考えただけなのに全く穴がない。完璧な計画じゃないか。これで全てうまくいく。俺はやはり天才かもしれん。
ただ問題は、どうやってレンに連絡を取るかだ。追放を無しにして許してやるにしても本人がいなければどうしようもない。これが俺の計画の唯一の穴か?これはどうする。
やはり紗月を使うか……?でも、あいつ経由でのレンへの連絡すること自体が気に入らん。何より、こちらからレンに自分から接触するという形は嫌だな。まるで媚びているようではないか。
こっちはクランに入れてやる側だぞ。レンが自ら頭を下げてやってくるのが筋だろうに。
とは言え放置していてはいつまで経っても話は進まない。それは駄目だ。
となれば……鷹見か本田あたりを使うのが妥当か。
鷹見なら裏でそれなりにレンの情報も掴んでいる可能性もあるだろう。そうでなくとも、その気になればすぐに連絡先を掴むこともできるだろう。それが1番、話も早いか。
そうだな。いずれにせよ、鷹見にタイミングを見て相談してみるか。うん、やっぱり俺は頭がいい。これで完璧だ。
となると、俺自身もそろそろ“復帰”の頃合いだろう。
「コロナで休養中」ではあるが、俺がいないとやはりクランは駄目だ。俺がリーダーになりクランをなんとかする必要がある。そう思えば体の調子もよくなってきた気がする。
久しぶりに顔を出せば、みんな喜ぶに違いない。
そして俺が頼りになるところを見せれば、再び俺を頼れるリーダーとして迎え入れる――そうなるはずだ。
よし、そろそろ本田と紗月に復帰の連絡を入れておくか。
久々の登場で、みんなを驚かせてやるのも悪くない。みんなの喜ぶ顔が目に浮かぶ。
ダンジョンに入るのは面倒だが……まあ仕方ない。たまには“本気の俺”を見せてやろう。モンスターを蹴散らしてリーダーらしいところを見せつけてやる。
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