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  第6章  【阿蜜哩多】

 魔軍は悲愴な空気に包まれていた。

日に日に目に見えて、指揮が衰えて行くのが分かる。

自分達を率いていた闇の皇帝が亡くなったのだ。

皇帝陛下はただの人間であったが、不老不死であり、神々でさえ不可能な死者蘇生をして見せ、魔軍はここまで攻めて来れた。

だから陛下をただの人間だと見下す者はなく、むしろ敬愛していた。

須弥山しゅみせんまでは、あとわずかの距離だ。


皆、天帝絡みで怨みのある者ばかりだが、その後はどうなる?

天界を支配する?誰が?

陛下が存命であれば、それで良かった。

しかし亡くなった今は、1つしかない椅子の為に争う事になるのでは?

今日の友は、明日の敵になり得るのではないか?


陛下の夫だと称する項羽が、そのポストを狙ったとする。

誰もが認める強さから、その座を手にする事は出来るかも知れない。

しかし、維持するのは難しいだろう。

彼には陛下の様な慈愛に満ちた魅力がない。

力と恐怖で縛る政権は、長続きした試しが無いからだ。

その項羽は、腐敗してしまった陛下がいる馬車の中から出て来ようとはしない。


我らはどうなってしまうのだろうか?

そんな事を行軍しながら考えていると、神兵の襲撃を受けた。


「我は四天王が1人、托塔李天王である。我が息子の仇を討つ!」

托塔李天王は、多聞天や毘沙門天ヴァイシュラヴァナとして有名である。


毘沙門天ヴァイシュラヴァナ夜叉ヤシャと呼ばれる眷属の鬼神達を率いている。

夜叉は男をヤクシャ、女をヤクシニーと呼ぶ。

夜叉は人喰い鬼である。

しかし、毘沙門天ヴァイシュラヴァナが天界に帰依きえしてからは、共に仏法の守護者となった。


神兵は哪吒三太子の仇討ちと称して、その勢いは天をく勢いで指揮は高く、それに比べて陛下を亡くした魔兵は指揮が低く、戦闘が始まって数刻もしないうちに押され始めた。


夜叉ヤシャ達は鬼神である為、体力と力が強い上に頑丈で、少々の攻撃は物ともせずに圧倒的な膂力りょりょくで魔兵を蹴散らしていた。


棍棒で魔兵が当たると幸いに殴り付け粉砕し、その圧倒的な力で兜ごと頭を叩き潰す。

または、顔を殴られた者は、顔面がひしゃげて絶命した。


「ははは、お前達の陛下が亡くなったと言うのは本当らしいな?お前達は何の為に戦っているのだ?それ、馬車を奪え!死体をさらして見せ物にし、我が恨み晴らしてくれる!」

毘沙門天ヴァイシュラヴァナ夜叉ヤシャと共に、瑞稀の遺体が乗った馬車を襲撃した。


馬車からゆっくりと現れた項羽は夜叉ヤシャ以上に鬼の形相で、「馬車に指1本でも触れようとした者は殺す!」とにらんで立ちふさがった。


項羽の強さを知らずに、数百もの夜叉ヤシャが一斉に飛び掛かり、馬車を奪おうと襲いかかった。

一振りで10人は斬られ、吹き飛ばされて行く。

らちが開かないと、毘沙門天ヴァイシュラヴァナが項羽に打ち掛かった。


流石は天界随一の剛の者として知られる毘沙門天ヴァイシュラヴァナだ。

項羽の剛腕から繰り出される牙戟がげきの攻撃を受け止め、弾き、こちらも打ち込み返す。

鎧をかすめ、兜が飛ぶが、肉を切らせて骨を断つ。

項羽が大振りして来る瞬間のカウンターを狙いすましながら打ち合い、チャンスを伺っていた。


見る者は固唾かたずを飲んで見守っていた。

頭上から渾身の力を込めて振り下ろした三叉戟を牙戟で受け止め、振り払って牙戟を弾き返す。

打っては弾かれ、払っては受け流されて空を切り、突いてはわされ振り下ろされた牙戟をまた弾く。

10合、20合と打ち合うも互いに決定打に欠ける。

毘沙門天ヴァイシュラヴァナが、あの項羽と互角に渡り合っている。

魔軍はこの信じられない光景に目を疑った。

そこへ項羽の鎧が三叉戟を受けてヒビが入ると、毘沙門天ヴァイシュラヴァナの首が落ちていた。

カウンターを狙われていたのは、毘沙門天ヴァイシュラヴァナの方であった。


そこへ、他の四天王達が神兵を率いて突撃して来た。

乱戦となり、無勢の魔軍は次第に押され始め、敗走した。

勝利を確信した神兵は、しつこく追撃して来た。


壊滅寸前の魔軍を救ったのは、梵天ブラフマーを攻略に行ったビゼルやシヴァの軍勢だった。

その旗には梵天の文字もある。

梵天ブラフマーを降伏させて味方につけて駆け参じたのである。


勢いを取り戻した魔兵は、神兵を押し返した。

激闘の末、魔軍は勝利し、四天王はことごとく討ち取られ惨敗した。


「陛下は、何処いずこに?」


「陛下は…陛下は…」

ビゼル達に経緯を語った。


梵天ブラフマーが進み出て来て、陛下を看せて欲しいと頼んだ。

瑞稀の様子を見ると、

「これは、亡くなられているが、生きているとも言える状態です。この霊薬を使えば、陛下の不死の力で必ずや目覚めましょう」と言った。


梵天ブラフマーが取り出した霊薬は、阿蜜哩多アムリタと言って、天界に漂っている甘露かんろの原液の様な物で、飲んだ者を不死にすると言われているが、神々は不死では無いので、死ぬほどの致命傷からも傷1つ無く治る、と言う感じだろう。

分かりやすく例えるなら、HP1の状態からHPもMPも状態異常までもが全快で回復すると言った感じか。


瑞稀に与えると、光に包まれて首が繋がり、傷が消え、顔色が見る見るうちに良くなった。

そして指先がピクピクと動くと、薄っすらと目を開けた。


「あぁ、陛下。良かった、今度ばかりは終わりだと思ってました」と皆、涙を流して喜んだ。


梵天ブラフマーと申します、陛下。阿蜜哩多アムリタを使って陛下を生き返らせたのは、私でございます。」


「うん?ありがとう、助かったよ」

半身を起こして梵天ブラフマーにお礼を述べた。


「それで…陛下にお願いが御座います」

梵天ブラフマーが仲間になった理由でもあるが、シヴァが梵天ブラフマーを呼び出している間に、ビゼルが妻の弁財天サラスヴァティーさらって人質にしようとしたが抵抗され、揉み合い死なせてしまった。


梵天ブラフマーは烈火の如く怒ったが、陛下なら生き返らせられると説得され、一時的に仲間になったのである。

その約束で、妻を生き返らせてくれと、頼まれた。


万能の霊薬・阿蜜哩多アムリタがあるなら、それで生き返らせられるのでは?と尋ねると、死んでしまった者が飲んでも効果は無いと言う。

私の場合は、まだ魔力が身体に馴染んでなくて循環されず滞っていたそうで、阿蜜哩多アムリタをかけて循環を促したら、思った通り生き返ったとの事だった。


阿蜜哩多アムリタは恐らく、生きている間に飲んでおくと、致命傷を受けても1度だけ蘇生するのだろう。


私は梵天ブラフマーの望み通り、妻を生き返らせてあげた。

弁財天サラスヴァティーだけではなく、哪吒三太子や二郎真君、毘沙門天ヴァイシュラヴァナを含む四天王達も生き返らせて配下にした。

これで、天界の主だった武将の半数は、支配下においた事になる。


さて次は、いよいよ須弥山しゅみせんの攻略だ。

神々の総本山だ、総力戦となるだろう。

須弥山しゅみせんは地表部の高さが84000ヨージャナ(ヨージャナは古代インドの距離の単位で、1ヨージャナは約14.4㎞)、つまり約1209600㎞もある。

基礎部の直径が16000ヨージャナ(約230400㎞)で、頂上部の直径が32000ヨージャナ(約460800㎞)ほどあり、上に行くほど広くなる漏斗形ろうとけいをしている為に登りづらい。

分かりやすく言うと、山は下から上へ登って行く。

下が狭く上が広い、と言う事は極端に言えば、逆三角錐状になっていると言う事だ。

どれだけ登りにくいか想像出来るだろう。


私は、と言うと、馬車の中で阿籍ア・ジーに抱き締められたまま身動きも取れない状況だ。

今度ばかりは本当に私が死んでしまったと思い、しかも目の前で死なれてしまった為に、2度と離れない…と、それでこんな有様だ。


時折、外を覗かせてくれるので景色を見て気が紛れる。

そろそろ須弥山しゅみせんに着く頃だ。

須弥山しゅみせんは、漏斗形をしている為に直線上に登るのは無理だ。

道はあるが、ぐるぐると外周を回りながら上へ上へと螺旋階段の様に登って行くので、途方もない距離を登る事になる。

直線上に登っても約1209600㎞もある。

こんな形状になっているのも、例え須弥山しゅみせんが攻められても、守りやすい為だ。

螺旋状に登る道は一本道だし、伏兵も潜伏してるかも知れない。

それなら飛んで山頂に行けば良いのでは?と思うかも知れないが、飛んで向かうと須弥山しゅみせんに辿り着けないのだ。

異空間の様な場所に立っているのだろう。

須弥山しゅみせんの基礎部から登って行かないと、山頂には辿り着く事が出来ない仕組みだ。


須弥山しゅみせんが見えて来ると、前方に飛翔する戦車プシュパカ・ラタが待機していた。

あれには羅刹ラクシャーサの王・ラーヴァナが乗っているはずだ。


毘沙門天ヴァイシュラヴァナとは異母兄弟だ。

ラーヴァナは阿修羅アスラ神族の1つ、ダーナヴァ族の王・マヤの娘マンドーダリーを妃としている為、阿修羅アスラ神族とも親戚である。

ラーヴァナが敵に回るなら、阿修羅アスラ神族も敵になると言う事だ。

此方こちらには毘沙門天ヴァイシュラヴァナがいるから、まだ敵に回るとは決まっていない。


それにラーヴァナの息子のメーガナーダは、かつて帝釈天インドラを倒して捕らえ、捕虜としてランカー島に連行して、インドラジット(インドラに勝利した者)と言う名前を梵天ブラフマーから与えられて、冠しているではないか。


毘沙門天ヴァイシュラヴァナを横に控えて馬車を進めた。

戦うつもりなら羅刹ラクシャーサ達を引き連れて来ているはずだが、ラーヴァナの戦車1台しか見えない。

ラーヴァナは頭が10個で腕が20本もある、人間から見ると完全に化物で、何だかめっちゃ怖い。


「やぁ兄弟、久しぶりだな」

ラーヴァナは親しげに毘沙門天ヴァイシュラヴァナとハグをした。


私に向かって拝礼を取り、「陛下の麾下きかに加えて頂きたく、参上致しました」と言った。

そして、阿修羅神族も途中で合流すると言う。


「丁寧な挨拶、痛み入ります」

と、私は喜んで傘下に加えた。

耳元でルシエラが怪しいので警戒して下さいと言ったけど、なんだか水滸伝みたいな展開で、仲間になってくれるなら増えるに越した事は無いと思う。


阿修羅って、あの三面六臂さんめんろっぴの阿修羅でしょう?会ってみたいとテンションが上がった。

どうやら全員が腕が6本と言う訳では無いみたいだ。


新しい仲間が増えたら、歓迎の宴とか開くのだろうけど、今は敵地でその余裕も無い。

夜になったら簡単に飲み会でもしようと提案すると、須弥山しゅみせんには夜は来ませんよ、と言われた。

ずっと日が差しているらしい。

だから寝る時は、シェードの様な物で差し込む陽光を隠して、わざと寝室を暗くするそうだ。

時の鐘も鳴らすので時間は把握出来、皆それに従って生活していると言う。


それとラーヴァナの情報で知った事だが、天帝とは帝釈天インドラの事だった。

帝釈天インドラを倒した息子が味方だから、楽勝だと豪快に笑っていた。


相手を舐めていると足元をすくわれる。

歴史が好きな私は、そう考えて気を引き締めた。

阿籍ア・ジーだって鴻門の会で范増の言う通りに劉邦を殺しておけば、天下は阿籍ア・ジーのモノだった。

結果的に范増が危惧した通りになったのだ。


道中を急いで行軍する。

兵達に疲れが現れると、私が全体回復魔法で体力を回復する。

気が付けば中伏くらいまでは来た。

思ったより早く着くかも知れない。

そう思っていると、阿修羅神族が現れた。

ラーヴァナの言う通り、麾下に加えて欲しいと言って来た。

忉利天とうりてんから追い出された恨みを晴らし、返り咲きたいと言う。

喜んで仲間に迎えた。


阿修羅王は顔は凛々しく、パッと見、女性にも見えるイケメンで、確かに腕は6本ある。

生え際ってどうなってるのか気になる。

顔は1つで、3つじゃないんだ?と思っていると、戦闘になったりとかで感情が剥き出しになると出るって、フレイアが耳打ちしてくれた。


行軍を更に速めた。

大軍でもこの細道で攻撃されれば、数の意味も無くなる。

少なくとも頂上の方が、ここよりは安全に戦えるはずだ。

不思議な事に、須弥山しゅみせんを登り始めてからまだ1度も神兵を見かけていない。

阿修羅王が想像するに、天界の者達は、須弥山しゅみせんを登って来れる者などいないと、たかをくくっており、例え登って来ても辿り着くまで日数がかかるので、悠長に会議でもしているんだろうと言った。

阿修羅神族が須弥山しゅみせんを攻めた時も同様に、頂上までは神兵が現れなかったらしい。


敵も現れず、登れども登れども先が見えず、倦怠感が漂っていた。

馬車に揺られながら須弥山しゅみせんを登る事、71日。

時速およそ1000㎞もの速さを、不眠不休で行軍を続けて、ようやく山頂が見えた。


家屋敷なども見える。

善見宮も見えた。

その方角に進むと、迷路の様に入り組んでいて、迷いそうだったので、ラーヴァナや阿修羅王が来るのを待った。

住んでる気配が無いので、嫌な予感がした。


すると、天空から稲妻が走り雷が落ちたと思うと、雷鳴と共に男が立っていた。

「ようこそ、天界へ。私が帝釈天インドラです。そして、さようなら」

そう言うと、呆気に取られている魔軍に斬り込んで来た。


ロードの剣技に似ている。

宿敵を見つけ、復讐の炎で燃えるロードは単身、帝釈天インドラと斬り合いを始めた。


そこへ、ラーヴァナと、阿修羅王の軍勢がやって来て魔軍の背後に襲いかかった。

「えっ?」

完全に不意を突かれて浮き足だった魔軍は、次々と討死していく。


「ははは、俺たちが忉利天に返り咲く事は、既に契約済みよ。お前達を見事にハメる事が出来たらな。どうやら成功だ。皆、帰れるぞ!魔族を滅ぼせ!」


ラーヴァナと阿修羅王の軍勢によって、魔軍は蹴散らされ追い詰められた。

すると、突然に地面が無くなり、暗闇に真っ逆さまに魔兵が落ちて行く。


「あは、あははは。また、魔界へ逆戻りだな。あははは」

まるで落とし穴の様に魔兵が落ちて行く。

後から来た者も、後ろから来る者に押されて落ちて行く。

パニック状態の魔兵に、矢が雨の様に降り注いだ。


「死にたくない者は、堕ちろ。堕ちたくない者は、死ね!」

帝釈天インドラやラーヴァナの高笑いが聞こえる。


私は救いに行こうとしたが、サビ付いたブリキ人形の様に身体が徐々に動かなくなって来た。


「ふふふ、貴女は私が貰うので堕ちない様に誘導するの、苦労しましたよ?」

もう振り向く事も出来ないほど、身体が動かなくなった私の背後から声がして、後ろから腰に手を回された。


私は声を聞いて全て悟った。

見事にだまされていた。

帝釈天インドラが天帝だと言ったのは誰だった?

メーガナーダが帝釈天インドラを解き放ったのは、誰の仲裁だった?

インドラジット(インドラに勝利した者)の名を贈った者だ。

須弥山しゅみせんを登らせ、巧みに魔界堕ちのゲートに誘導したのは誰だ?

私に阿蜜哩多アムリタを与えて、不死の力を呼び戻したのは誰だった?

阿蜜哩多アムリタに細工が出来た者は誰だ?

梵天ブラフマーしかいない。

全ての黒幕は梵天ブラフマーで、彼の手のひらで踊らされていたのだ。


「ふふふははは。流石に私が誰だか分かったようだね?」


「……」

私はもう声を出す事も出来ない。


「じゃあ、そろそろフィナーレを飾りに行こうか?」

私を抱き抱えて何処かに連れて行く。


「さぁ、良く見えるかい?」

阿籍ア・ジーが神兵や羅刹ラクシャーサ、阿修羅神族の大軍に囲まれて1人で戦っている。


「ふふふ、あははは。魔軍の頼みの綱は、彼だ。あの化け物は、神々でも倒す事は無理だ。貴女がいなければね」


「項羽よ、これを見ろ!」

指1本動かせない私を、阿籍ア・ジーの前にも引きずり出した。


動揺して動きが止まった所へ、無数の連弩が放たれた。

払い落とせるレベルの矢数では無い。

全身に矢が刺さり、針鼠ハリネズミの様になった。

目を見開いて、私の下に身体を引きずりながら向かって来る。

涙が止まらないのに声を発する事も出来ない。

インドラジットが背中から胸に掛けて槍で貫いた。

阿籍ア・ジーは最期の力を振り絞り、牙戟をふるってインドラジットの身体を貫いた。

そこへ阿修羅王が走り込んで来て、阿籍ア・ジーの首を刎ねた。

私は言葉にならない声で、叫び声を上げた。

涙でもう何も見えない。


「ふふふ、絶望感で満たされているかい?もう1人、貴女の特別を壊してあげるよ」

そう言って今度は、ロードが帝釈天インドラと戦っている所に連れて来られた。


「おい、ロード!お前が最後の1人だ。もう終わりだよ」


「最後の1人になろうとも、お前だけは、お前だけはこの手で殺す!」


2人の剣技は良く似ている。

おまけにほとんど互角だ。


「ふふふ、帝釈天インドラはね、剣帝の1番弟子だったんだよ。だから、剣帝の妻、ロードの母親と面識があったんだ」


「さぁ、どっちが勝つか賭けてみようか?」


2人身体が交差する様に見えると、ロードの右手に握られた剣ごと腕が落ちた。

帝釈天インドラ深傷ふかでを負ったが、ラーヴァナが回復すると傷が消えた。


片手のハンデがありながらロードは善戦したが、羅刹ラクシャーサ達が面白がって矢を放ち、左太腿を射抜いてバランスを崩した所を帝釈天インドラが、ロードの残った左腕を斬り落とした。


蹴りを入れて抵抗するも足を掴まれ、右脚を斬り落とされた。

残った左脚で逃れようとするが、その脚を掴んで斬り落とした。


「両手両足を失い、まるで亀だな?ダルマか?憎いだろう?お前の親の仇だ。その憎っくき親の仇に抵抗も出来ず、犯されるんだよ」

他の神々が見ている目の前で、抵抗出来ないロードを裸にして、犯し始めた。


ロードはわめき散らし、叫んで抵抗するが、帝釈天インドラは全く意に返さず腰を振り続けた。

「どうだ?気持ち良いだろう?俺に抱かれた女は、俺の具合が忘れられなくなる。どうだ?仇にイカされる気分は?」


私は見ていられなくて、目をつぶっていた。

ロードの悲痛な叫び声も、身体が動くなら耳をふさぎたかった。


「陛下、申し訳ありません」

そう言うと、ロードは舌を噛み切って自害した。

帝釈天インドラはすぐに口をこじ開けて、ロードの舌を回復魔法で治療し、猿ぐつわを噛ませて舌を噛まない様にした。


「簡単に死ねると思うなよ?お前の母は手に入らなかったが、その代わり娘のお前が手に入った。剣帝の娘が俺のセッ◯ス人形になったのだ、あははは」

腰の動きを速めると、精をロードの膣内なかに吐き出した。

ロードはうめき声を上げて泣いた。


「ふぅ1発、って満足だ。これから可愛いがってやる。たっぷりと時間はあるしな」

ロードの髪を掴みながら耳元で、大人しくしないと羅刹ラクシャーサや阿修羅神族の神兵にも回させるぞ。

と脅してロードの抵抗を奪った。

そして、そのまま抱きかかえて、何処かに連れて行った。


「さて、魔族の全滅で終わりだな?貴女は、私が可愛いがってあげるよ」

梵天ブラフマーは片手で私の腰を抱いて、その場を去った。



梵天ブラフマーの居城なのだろうか?動かせるのは目だけだ。

私はいつの間にかに全裸にされていた。

右脚をさすったり、撫でたりしながら、足の裏に頬擦りをして、親指から順に口に含んで、ねっとりと指1本ずつ舐め回して来た。

張玉ヂャン・ユゥみたいだな?と思っていた。

足に異常な性癖を持つのは、中国人だけだと思っていたよ。

ゆっくりと時間をかけて舌をわせ、太腿の付け根まで舐めた後、今度は左脚を同様に始めた。

私の口の中に舌を入れて舐め回して来た。


「はぁあ、溜息が出るくらい可愛いよ。綺麗な脚、美しい胸のふくらみ。貴女の全てが私の理想だ」

相変わらず私は指1本動かす事が出来ない。

口の筋肉がなくなってしまったかの様に、口も動かせないので言葉を発する事が出来ない。

目だけがキョロキョロと動かす事が出来た。


梵天ブラフマーはゆっくりと時間をかけて、私の全身を隅々まで舐め回して来た。

その後、挿入れられた。

ほんの数回腰を動かしたかと思うと、私の膣内なかで果てていた。


たっぷり可愛いがるよ、と言っていた割には全くで、私を抱くのは1日1回あるか無いかで、私を人形の用に扱って人形棚に飾り、5日振りに来た事もあった。

ヴィシュヌの様に際限なくり続けられるのと比べると、ずっと楽だ。

あの時は毎日、誰か私を殺して!と祈っていたから。

1日が5日になり、5日が10日になり、10日が1月になって、段々と私から興味が無くなったのか?

私を抱くどころか、存在自体を忘れたかの様だ。


放置されたまま、500年もの月日が経っていた。


いつも読んで頂きまして、ありがとうございます。

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