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ZEROミッシングリンクⅥ【6】ZERO MISSING LINK 6  作者: タイニ
第四十八章 止まっているのか進んでいるのか

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56 全ては絡まった糸の中に



先生はもう少し続ける。


「早々に死んで存在さえなかったことになっている子供も何百何千億もいる。生命が付与されたのかも分からないお腹の命もあった。彼らの運命の序列も影響するんだ。長男でも本当の長男でないと、影響の法則が変わっていく。でも血の影響だけでなく、系図の影響もある。複雑すぎるんだ。」

「………。」

良く呑み込めなくて、話が見えない者もいるので、先生は昔の王家や犯罪者のいる家系などの例の図を出して説明していく。


絶家になっていく家系もあれば、不思議なことにボロボロなのに、もう一度盛り上がっていく霊線もある。



「それから後天的影響だ。

天の描いた時代の流れに逆らうと運気は下がっていく。例えばこのグローバル時代に閉塞の道を選び、それを他人にしいたらだんだん淘汰されていく。保守の欠点はそこだな。運命は生物の成長と同じだ。真っ直ぐ伸びようとするものを下に捻じれさせれば歪んでいく。」


先生は手で示す。

「他国の労働や資材を利用して生きているのに、自国だけで安全や利益を固めると、どんなに先進国であろうと時代と共に立場が逆転していく。段々安定国家ゆえのひ弱さが表に出てくる。


過激な難民問題と、これとは別だ。それを見失うと水は濁る。


昔のような植民地は成り立たない。たとえ、争いがあっても壁を作る者より向き合う者に、この時代運勢は流れていく。保守と前衛が争うのもそこだな。保守も様々な角度での守りと同時に、開放が必要なんだ。守備すること、開放すべきことのバランス。そこにどんな意味があるのは分かっていないといけない。これは今度しよう。

保守もいろいろあるんだ。」

先生はデバイスを見て考える。


「…あと、たとえその家系が悪くとも、天を、他者を愛した人物、小さくても何かを担ってそれを墓場まで持って行った人物からは、どこかで天啓を担う末裔が生まれる。」

「………。」


「だから、聖典の正統家系には娼婦もいただろ。彼女は絶望の中で揺るがず異邦の天の人を助けたんだ。


逆に、本来の神の家系であった、能力もあり異国の帝国の総理にもなった弟の血統は途切れてしまった。

夫にも天に愛された妹の実からメシアは産まれなかったんだ。彼らは人格者であったのにな。夫に疎まれた姉の子、争いに加わり高慢に思えた兄たちの一人から血統が続いた。姉の家系から神の家系が見いだされたんだ。


そして、そこから後の神の王族が生まれる。」

「………。」

「先生、何でですか?」


「まあ、これは別コマだ。全部理由がある。」


「人がどんな苦労をし、どんな重荷を負い、何を考え、何に苦しみ、何を憎み、何を愛おしんだかなんて、一介の人間には分からない。

全ては絡まった糸の中にあるからな。



そんな世界を君たちは自分で………垣間見ていくんだ。


誰でもなく………自分の心で。」




***




南海のコンビニ。


レジカウンター周りの品替えをしていたジェイの前にドンと何かの袋が置かれる。

「?!」


ジェイは無言でその人を見るとタウであった。

「よう。」

「あ、どうも…」

「………。」

接客業なのにこれ以上会話を続けられなジェイ。

「ジェイ。客にいらしゃいませくらい言えよ。」

「え?ああ…。いらっしゃいませ……」

客なのかと文句を言いたいが、タウがその袋をジェイに突き出す。

「イータから。」

「?」

「この前のお礼。いろいろ買ってきてくれただろ……。」


この前お見舞いに行った時に持って行ったコンビニ食の事であろう。

「いいよ。気にしないで。」

「うるせーな。大人しくもらえ、そんでこれも清算して。」

目の前にたくさん商品も置く。

「……袋いる?」

「入れといて。」

棒付きキャンディーやチョコ、グミ、タブレットなどレジにある物もガツッとつかんで清算させる。


「ん!」

タウは今清算した物も、ジェイに突き出す。

「…?」

「これは俺から。」

「えっ?」

「貰っておいてくれ。」

ジェイは棒付きキャンディーなど長いこと食べたことがない。

「え?いいよ。ターボ君たちにあげなよ。」

「いいから、ジェイにだよ。リーブラと食べろ。いらなかったら遊びに来る奴にでもあげろ。」

「………。」

暫く袋を見てしまう。


なぜこんな気を使われるのか分からない。


「まあ、ジェイは……。がんばってたよな。」

「は?」

ますます分からない。



「イータがジェイを尊敬してたぞ。」

「へ?」

遂に混乱し出す。イータが?なぜ?時々ターボ君の面倒を見てあげるからだろうか。でも子供の面倒はファクトやリゲルの方が上手いし、よっぽど自分よりよく見ている。

婚活おじさんことカーティンさんの部下になれたからだろうか?小間使いというか。密偵というか。中央アジア制するフォーチュンズ元CEOのお気に入りではあるらしい。なぜか。


「ごめんな。」

「え?」

「そんで、ありがとう。」

「ええ??」


「じゃ。打ち込みしてくるわ。」

それだけ言ってタウは去っていった。

「…?」



明日からタウは出勤する。場所は一旦ベガス内になる。




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