第五話
一人になった私はそのまま帰ろうと思ったけど、大学内にある図書館へ行くことにした。
大学付属図書館が大学の校門から近くにある事は事前に調べて知っていた。
図書館の中に入ると、その広さに驚いた。地下一階から三階まで全部本が並んでいる。それに内装や本棚、階段がとてもお洒落で綺麗だった。本の匂い、建物の匂いがとても良い匂い。古い図書館を想像していたから、目の前の光景に珍しく私の心が開いた。
図書館に行きたかったのは、ここでHSPの本を読んで勉強をするため。自分のこのHSPという気質をもっと理解して、知識を深めたいと考えている。大学ではHSPについての講義は無いと思うので、ここで勉強する。大学の勉強ではなく、それは私の勉強。しばらくここで勉強したら東河さんに会いに行こうかな。
そういえば、光里さんと優芽さんは何のサークルに入ったのだろう……。
オリエンテーションの時にサークルの紹介説明はあったけど、私が入りたいと思うサークルは無かった。それにやっぱりサークル活動は疲れるから、というのが心の中にあった。特定のサークルには入らないけど、自分のしたい事をする時間にすれば良いと考えている。
今朝、ぶつかった人は同じ学部の人だった。もしかすると、あの人も建物を間違えたのかも。たぶん、そうかもしれないと思うと笑いが込み上げてきた。何て名前の人なんだろう……。
理学部の西井君はどうしているんだろう……。誰か良い人を見つけて付き合ったりするのかな……。私と付き合う可能性はあるかな……。でも、HSPな私なんかよりも、HSPじゃない良い人と出会った方が良いのかも……。もしも私と付き合う可能性があるのであれば、私はHSPで迷惑を掛けないように一生懸命頑張る。