第二十二話
私は“嫌な記憶”に対して想像をした。私なりに考えて導き出した苦肉の策を想像した。
“嫌な記憶”の中に新しい“想像の私”を創造した。
私の瞳は怒りに満ちてレッドサファイアのように赤く光っていた。
カラオケボックスで通路を歩いていたら、急に左腕を引っ張られて部屋に引き込まれた。知らないガイコツ男が私の腕を握っていた。部屋の中には他に誰もいない。
私はガイコツ男の顔を一瞬睨み、左腕を握られている手を振りほどいた。左拳でガイコツ男の右頬を殴りつけ、テーブルの向こうへ吹っ飛ばした。
そして、懐から細身の曲刀を取り出した。刀身がわずかに湾曲した曲刀は美しく煌めいた。
「じょ、冗談だよ、嬢ちゃん……」
ガイコツ男は苦笑いをしながら、ちょっと待ってという仕草をしている。
私が一歩踏み出して曲刀で薙ぎ払うと、ガイコツ男の手首から上が斬れて、無造作に床に落ちた。
「ぎゃぁぁーー」
手首が斬れたぐらいで、うるさい声で大げさに叫ぶガイコツ男がとても間抜けに見えた。ガイコツ男の身体を曲刀で突き、一気に心臓を貫いた。背中を貫通して壁に突き刺さった。
曲刀を素早く抜くとガイコツ男は力無くその場に倒れた。これで終わりか。でも、まだ許せない。
床に倒れたガイコツ男に対して、曲刀を振りかぶり背中から何度も何度もめった刺しにした。でも、まだ許せない。
思いっきり力を込めて曲刀を首筋に振り下ろした。うす汚い生首が床を転がった。
曲刀を床に突き刺して、私は杵のように巨大なハンマーを空間から出現させた。
そのハンマーで床の上にあるガイコツ男の生首を打ち付けた。形が無くなるまで打ち付けた。まだ許せない。
飛び出た目玉も形が無くなるまで打ち付けた。
静まった部屋の中で、一人ため息をつくと、ハンマーを握る力が抜けた。
これで良い。
ガイコツ男を殺した。




