第十七話
「今日こそはリベンジするよ! みんな良いね?」
ヒカリは城下町を走りながら皆に声をかけた。
今夜はみんなで “ディバインドラゴン・オンライン(略してディバドラ)”のゲームで遊んでいる。
「水曜はメンテナンスで出来なかったから、一週間ぶりだもんね。今日は倒せるでしょ!」
アカリはヒカリの後ろを走りながらそう言った。
「装備も新しいちょっと強い物に変えたし、今日はいけるさ。カスミも成長しているし」
ユメはヒカリの横を走りながら、私の事を話した。
レベルはヒカリとユメが十七、アカリが十二、カスミが十五。
「あー、いつの間にかカスミのレベルが上がってるじゃん! 私よりも上になってるじゃん! なんでー」
アカリは今になって気付いて驚いていた。
「……ん~とね、欲しい装備とかスキルとかを集めてたらレベル上がっちゃった」
私は負けて悔しかったのもあって、迷惑が掛からないようにレベルを上げていた。でも、欲しいスキルが沢山あって、最低限付けておきたいスキルを習得する為に一人でいっぱい戦った。
川沿いの道を抜けて森に辿り着いた。
この辺りまではどこに敵が潜んでいるか覚えている。いつも通り、雑魚敵はヒカリとアカリが速攻で倒す。ここまでは余裕。
森の中を進んでいると、大きな雄叫びとともに巨猿が突進をしてきた。キャラの二倍ぐらいの大きさで、動きも速い。
「任せといて」
ユメは大きな盾を棍棒で叩いて、巨猿の注意を引いている。
「えいっ」
ヒカリの狙った矢が何発か巨猿の顔面に当たり、目を回している。
「大きな猿さん、倒れて倒れて」
猿の膝をアカリが何度も何度も攻撃をしていると、巨猿が仰向けに大きく倒れた。
「チャンス!」
毎回、アカリとヒカリの声がハモる。
ヒカリ、アカリ、ユメの三人で巨猿を攻撃してダメージを与えている。
私はこのタイミングで魔法を唱え始めた。一時的に味方全員の防御力を上げる魔法。詠唱完了まで約六秒掛かる。
巨猿は立ち上がり、大きな雄叫びをあげると暴れだした。この狂暴状態でいつも負けてしまうから、魔法で仲間の防御力を上げてみた。
巨猿の攻撃でユメの体力ゲージの減る量も少なくなり、耐えられるようになっているみたい。
私は仲間三人の体力ゲージを確認し、減っていると近づいて回復魔法で回復させた。スキルアップしたので、詠唱完了まで約三秒。これなら詠唱中に邪魔される事は少ない。




