第十二話
「今日はサークルがあるから」
ヒカリさんとユメさんは部室の方向に歩いて行った。
「カスミ、今日忙しい? 今から飛宮まで服を見に行くんだけど、一緒に行かない?」
アカリさんはポニーテールを揺らして、私に向かって言った。
せっかく私を誘ってくれたんだから、断るのは悪いから一緒に行くことに決めた。
「うん、行く」
大学の最寄りの駅の“藍嶺坂”から電車で三駅ほど乗ったら“飛宮”に着く。テレビのファッション特集で良く聞く街だけど、今まで行ったことはなかった。
大学生になって、私服で通学するようになったので、服の種類を増やしたいと思っていた。自分に似合う服があったら良いな。
飛宮駅の駅構内から地下に降りるとサークルモールに繋がっている。放射線状に店が並んでいて大きな円状で繋がっているからその名前が付いたみたい。服を飾っている店はどこも華やかでお洒落だ。天井に設置してある照明がやけに明るく感じた。メタルハライドランプっていう太陽光に近い自然な光を放つ照明みたい。
「カスミはどんなコーデ? ガーリーっぽいのが似合いそうだけど。フェミニンも良さそう。ヒカリはカジュアルでしょ、ユメはボーイッシュ、それともマニッシュかな。それで私はフェミニン系が好き」
アカリさんはファッションに詳しくてすごいと思った。
「カジュアルかな」
「色々な服が売っているから、自分の好みの服が見つかるかも。ゴスロリとかもあるから見てみる? 気になるショップは一通り見ていこうよ。後でクレープ食べようよ」
「うん」
アカリさんと私は次から次へとショップを巡り、服を見てまわったら一時間半が過ぎた。
カワイイ服が山ほどあって欲しい服も沢山あった。その中でどうしても着てみたい服があった。ディスプレイに飾ってあり、しばらく見つめていた。
フレンチガーリー系のブランド物でアウター、トップス、ボトムスを合わせて二万一千円だった。買いたかったけど、今は所持金が足りなくて諦めた。シューズもバッグも一緒のブランドで合わせたいなぁ。




