第十話
土曜日の朝、私の心はモヤモヤとしていた。
昨夜プレイしたオンラインゲームで全く上手く動けなかった。すぐに倒れてしまい、逆にみんなの足をひっぱっていた感じがした。
誰も怒ることはなく、誰も責めることはしなかった。ヒカリさんは、最初はよく負けるから、とフォローしてくれたけど、みんなの迷惑にならないように私は練習をする事にした。
ゲームにログインして、部屋に入った。私だけしかいない。
プリーストは回復魔法が使えるけど、詠唱時間が長く、その間は無防備になる。倒されるときは詠唱しているときが多かった。
詠唱時間を計ってみると約六秒。長くて使いづらいから何とかならないかなぁ。
ステータスを見ていると、スキルというのがあって、新しい魔法を覚えられたり、敵から受けるダメージを減らしたり、魔法の回復量を増やしたり、詠唱時間を短くしたりできるみたい。
パッシブスキル? 何それ。あっ、これ良さそう。付けたいスキルがいっぱいある。
習得するにはスキルポイントが必要なのか……。
部屋を出て、一人でも受注できそうなクエストを掲示板で探した。“青い薬草を集める”採取のクエスト、“ゴブリンをやっつける”討伐のクエストなどがあったので受注した。
周りには知らないプレーヤーがいるが、話し掛けられても無視を徹底する。
ヒーラーは攻撃タイプじゃないからメイスで攻撃しても弱いし、距離も短い。
何度か採取クエストをして、レベルを幾つか上げた。
武器と防具も少しはマシな物に買い換えた。
そしてスキルも新しい魔法を覚えて、詠唱時間が少しだけ短くなった。まだまだスキルをアップさせたい。
やっとゴブリンを一人で倒せるようになってきた。
キャラの操作にも慣れてきて、敵の動きも目に入るようになってきた。
討伐クエストも何度か達成することができて少しだけレベルが上がった。
レベル十までは上げておきたいから、もう少しだけクエストを頑張ってやっておこうかな。
みんなの迷惑にならない為に。




