十四冊目<黒煙>
僕は不完全だ。
僕は失敗作だ。
なぜなら僕は、父を母を怒らせてばかりだからだ。
でもある日、気づいてしまった。失敗作だったのは僕じゃない。両親だってことにー
「いつまで寝ているの!早く起きて、ご飯作らないとダメでしょ! 」
僕の朝は早い。夜中の3時。飲み歩いて帰ってきた両親が僕を叩き起こす。
それから、2人が飲み直すためのつまみを作り、起きた時の朝ごはん、昼ごはん、そして自分の弁当を作る。この生活を物心ついた頃からやっていた。慣れたとはいえ、楽しくはない。こんな生活のお陰で、友人と遊んだことなどなかった。
「どうぞ」
テーブルに置かれた枝豆と甘い卵焼きを、手で豪快に頬張る。美味しいなどの感想は一切ない。
「おい」
おつまみを置いたので、またキッチンに戻ろうとすると、急に呼び止められた。思わず体が震える。
「な……」
要件を聞くために振り返ると、いきなりガラスのコップを投げつけられた。コップは僕の肩にぶつかると、甲高い音を立てて粉々に砕け散った。
「酒は空になる前につぎにこいって言っただろ!もう空なんだよ! 」
「す、すみません……」
「ったく、使えねー」
コップがぶつかった所から血が出ている。鈍い痛みもある。正直言えば手当てをしたいが、この人たちが満足するくらい酒を飲んで眠るまで、僕に安寧の時はない。我慢だ。
「どうぞ」
「きたきた!もう一回乾杯しようぜ」
「いいわね!ちょっと!おつまみ足りないんだけど」
「す、すぐお待ちします」
僕はこの人たちの奴隷のようだった。間違いなく、2人から生まれた子供のはずなのに。まだ、中学生なのに。小さい頃は思わなかったが、何度か、酒に毒を盛ってやろうかと思ったこともある。しかし、それでは僕は牢屋行き。結局2人に人生を狂わせられてしまうと思い辞めた。
「はー。食ったし飲んだし寝ようかなー」
「そうね。あ、アラームだけかけておいてよ?私、夜は仕事なんだから」
「わかってるよ」
2人は当たり前のように飲み散らかしたまま、寝室へと消えていった。そのまま二度と目を覚さないでほしいと何回願ったことか。
僕は2人が消えたので、調理の手を一旦止め、肩の手当てをし始めた。
「うっ!痛いな……でもガラスの破片、取り除かないと……」
傷口からガラスを取り出すのは思いの外痛かった。ガラスが取り終わるころには、手は血で真っ赤に染まっていた。
午前7時。そろそろ、ご飯の支度も終わる。僕は学校に行く支度をする。学校に行っている時だけが、唯一2人から解放される時間だ。だから、7日間学校ならいいのにと思ったこともある。
「少し早いけど、行こうかな」
鞄を持って玄関に行くと、なんと、眠ったはずの父が玄関にいた。
「まだ早いだろ?ほらこいよ」
「いっ!は、離してっ! 」
僕は髪を父に掴まれ部屋へと引きずり込まれる。
「や、やだ、ごめんなさい!あ、あ、」
「うるせえ! 」
「ぐっ! 」
乱暴に床に投げ飛ばされ、倒れ込んだ僕の腹を何度も強く蹴る。これは、父がストレスが溜まった時にやることだ。僕を好きなだけ殴って、蹴っておいて、気が済むとスッキリした顔で去っていく。
「はー、イライラが吹き飛んだわ。やっぱりこれがストレス解消にはいいなあ。わかるか?俺みたいな大人はみんなストレスが溜まるんだよ。子供みたいに気楽に生きていけないんだよ。だから、お前で発散してるんだ。悪いことじゃない。みんなやってる。誰かに変なこと言うんじゃねえぞ」
「っ……はい……」
子供が気楽?子供で発散?なんの冗談だよ。僕はお前たちのせいで自分の時間なんてないのに。毎日暴力を振るわれて痛いのに!
僕は悔しかった。誰かに助けて欲しかった。
学校へ向かう足取りは重かった。お腹や肩が痛い。
「うっ……行かないと……」
楽しみである学校。そうだ、先生に相談してみよう。きっと解決してくれるかもしれない。変なことを言うなと言われたが、もう我慢出来なかった。
「先生、相談があるんですけど」
放課後、先生に時間をとってもらった。
「どうしたんだ?」
「実は僕、親に虐待されてて、朝も蹴られたし、殴られたんです。先生、助けてください! 」
「酷いな……先生と一緒に警察の人に話そう。先生だけだと、頼りないからな」
「先生……! 」
僕はこの時、この地獄から抜けられると思った。でもこれが、僕を地獄へと誘うことになるのだった。
「ということなんです」
先生と僕は、警察の人に事情を話した。僕の傷跡も見せた。
「糸杉果楠くんですね。事情は大方、先生の方から伺っています。ですので、お父さんに来ていただき、お話を先に伺っていました」
「え……」
先に警察に着いていた父は、伸ばし放題の髭を剃り、髪をセットしてスーツを着ていた。家で見る人とは別人だ。
「すみません。最近仕事が忙しくて、家にいないことが多いんです。そのためか、今回のように、誤解を招いてしまうこともしばしばでして。本当に申し訳ありません」
「ちょ、ちょっと待ってください!果楠には、明らかに虐待の傷があるじゃないですか! 」
「ああ。それは転んでできたものです。派手に転んでしまって、そそっかしいですよね」
父は知らない人みたいだった。穏やかな口調にやわらかい笑顔。この人は誰なのだろう。
「ですが、転んだ傷だとも言っていますし、しっかりとしたお父さんですので、虐待とは考えにくいかと」
「あ、あの! 」
「帰るぞ果楠。すみません、ご迷惑をお掛けしました」
僕は父に手を引かれ、警察を後にした。僕は絶望した。見た目がいつものようにだらしなかったら、もしかしたら虐待を信じてもらえたかもしれない。誰も、スーツを着こなした温和な父親が虐待をしているなんて思わないのだろう。というか、そういうイメージがついているのだ。見た目だけで信じて僕の話など信じてくれないなんて、大人が大人と呼ばれる利用者理由がわからなかった。僕は警察から帰った後、父に怒鳴られ、殴られた。その後、部屋に閉じ込められ、この日以来、家を出ることが叶わなくなった。
僕が家の中を歩くたび、重い鎖が床を擦る音が響く。警察に相談したあの日、家に帰ってから付けられたものだ。玄関を除いた場所までしか伸びない。
「ねえ、そろそろ仕事行くから送って行ってよー」
「仕方ねえな」
玄関の扉が閉まる音。車のエンジン音。2人は出かけたみたいだ。
「はあ。もう半月……永遠にこのままなのかな。このまま、誰も助けてくれないのかな? 」
「助けをお求めですか? 」
「なっ!」
僕は目を疑った。家は全てに鍵がかかっていて開けられないはずなのに、僕の目の前には、ツインテールのフリルがたくさんついた服を着た少女がいた。
「どこから入ったんですか? 」
「その質問にはお答えしかねます。私はただ、ある物の調達とあなたを両親にバレずに連れてくることを命じられただけですので。はい、足枷が外れました。行きましょう」
「でも、無断で家を出たらまた……」
「心配には及びません。しばらくは帰ってきませんので。しかしながら時間はありませんので、早く手を取ってください」
「わかった」
少女の手を掴むと、辺りが真っ白になり、眩しさに思わず目を閉じてしまった。
「あの、着いたので、そろそろ手を離して目を開けていただいてよろしいですか? 」
「え?あ!ああ、ごめん」
「いえ」
異性と手を繋いでるという実感が湧いた瞬間、恥ずかしくなり、慌てて手を離した。顔が熱い。
「史乃様。選ばれし者をお連れしました」
少女は、どこかを真っ直ぐ見つめ、そう言った。
「史乃様?誰? 」
僕も少女と同じ方向を見ると、図書館の本を貸し出す所に似た場所に、少女のようなフリルたっぷりの服を纏った人がいた。
「ようこそ。選ばれし者、糸杉果楠。私は伝承者の葉月史乃。そして君をここまで案内してくれたのは、私の手伝いをしてくれている女の子、二ノ宮ニイナだ」
「申し遅れました。二ノ宮ニイナです」
ニイナは史乃の後に続いて自己紹介をし、深々とお辞儀をした。
「ど、どうも。あの、それで僕に何のご用でしょうか? 」
「ああ、そうだったな。君には伝承を伝えてもらいたい。私の話を聞いた後、やってもらいたいことがある」
「はあ……でも僕、誰かに伝えることは不可能ですよ。両親が死なない限り、僕はあそこを、出ることはできません。大人たちは、外見や態度に惑わされて、子供の僕を助けてはくれません。だから、僕が死ぬか、両親が死ぬかしか、解決策はないんです」
「なるほど。時に糸杉果楠よ。私は普通の人間ではない。だから、普通の人間ができないこともできてしまう。例えば、人の寿命を見る、とかな」
普通の人ではないとは思っていたが、人の寿命が見えるなんて、最早それは死神なのではないだろうか。僕は驚きのあまり、言葉が何も出てこなくなってしまった。
「驚きだろう?だから、君が望むなら、両親の寿命と君の寿命を見てもいいのだぞ。君の言う解決策しかないのなら、地獄から解放されるのはいつなのかがわかるぞ」
「ええと……いえ。その必要はありません」
「なぜだ?」
「先に死ぬのは僕だからです。僕は死ぬために、今食事をほとんど食べていません。相手の退場を待つより、自身が退場するのが手っ取り早いですから。それに、飢え死にしていて、足枷もついていたのなら、大人たちも虐待を信じるしかないでしょう」
「確かに。それならば、見た目に騙されていた人たちも、現実を受け止めるしかなくなるな。だが、今から私の話を聞いてもらうのに、飲まず食わずではこちらの気分がよくない。ニイナ」
「はい。ご用意できております。どうぞ。フルーツタルトとハーブティーです」
光り輝くフルーツがたくさんのったケーキと、独特な香りがするのに、気持ちが不思議と落ち着いてくる紅茶。こんなものが食べられる日が来るなんて思わなかった。
「どうした?甘い物は苦手か? 」
「いえ……僕、ケーキとか紅茶とか、嗜好品と呼ばれる物を食べたことも飲んだこともないんです。そんな物、買えなかったし。だから、一度でも食べることができるなんて、嬉しいなって思ったんです。いただきます」
フルーツタルトを口の中に入れると、色々なフルーツたちが、パチパチと泡のように弾けた。その瞬間、甘味や酸味が口一杯に広がった。
「すごく美味しいです!これがケーキなんですね!なんだか、いくつでも食べれてしまいそうです」
「おかわりもあるぞ。何なら、1ホール食べてもよいのだぞ? 」
「いえ。食べてみたいですけど、そんなに食べたら、もう少し長生きしてしまいそうですから」
「どうあっても死ぬつもりなのだな」
「ええ。短い人生だと思うでしょうが、今のまま生きていても、生きてる実感ないので。自分が人であるうちに死にたいんですよ」
「夢とかはないのか?君くらいの歳なら1つくらいもっているのだろう? 」
「そうですね。強いて言えば、料理人でしょうか。あの人たちのためとは言え、料理は嫌いじゃなかったので。それに、以前、クラスの友達が、僕の弁当の卵焼きを盗み食いしたんです。その時、ものすごく絶賛してくれて。人に美味しいって言ってもらえるのって、嬉しいんだって気がつきました。これがきっかけで、料理人になりたいって思いました。小さなお店を経営して、近くでたくさんの人の笑顔をみて……まあ、叶うなんて思っていませんけどね」
夢を語るのはとても楽しかった。僕にも未来があるって思えて。この地獄も、少ししたら終わって、普通に過ごせるって。明確なビジョンも浮かぶ。でも、手を伸ばすと、腕に鎖が絡まり、届かないように僕の腕を引っ張るのだ。結局僕は、この世界では幸せになることはできない。
「随分楽しそうに話していたのに、急に暗い顔になったな。もう少し生きて、目指してはどうだ? 」
「無理ですよ。僕の心が耐えられません。もし生まれ変わりっていうのがあるのなら、その時に幸せになりますよ。だからこの世界には、さよならをするんです」
「そうか。ならば、これ以上言うことはない。だが、もう少し私に付き合ってほしいから、もう1切れだけ、ケーキを食べてくれ」
「はは。いいですよ」
「今からする話は何年も前の話だ」
僕は史乃の話を聞くために2切れ目のケーキを食べていた。
「昔、とある家族に子供が産まれた。産まれた瞬間は、両親も喜んだ。しかし、子供というのは、手がかかるものだ。産まれたばかりの赤ん坊は1人では何もできないから、お風呂を入れたり、食事をさせたり。両親の苦労は絶えなかった。だがそれは、どの家庭も同じこと。でもこの両親は、我慢できなかった」
「じゃあ、子供は、赤ちゃんのまま捨てられたってことですか? 」
「それが、5歳まで育てたらしい。その理由がな、我が子だから可愛いじゃないのだ。両親が5歳まで育てたのは、大変だった分、苦しめるためだったそうだ」
僕は近いものを、昔の子供に感じていた。僕も両親からはストレス発散の道具にされてり、奴隷のように扱われたりした。でもそれは、大人がみんなやっていることだと言っていた。子供を道具のように扱うのは、昔からあったことなんだ。
「最低ですね。僕の両親も似ているのでわかります。それで、その子はどうなったんですか?苦しんでしまったんですか? 」
「毎日暴力を振るわれたらしい。それに飽きた両親は、庭で火炙りにしたという。熱い熱いと、泣き喚く姿がたまらなく楽しかったそうだ。しかし、子供が黒焦げになると、異様なまでに黒煙が上がり、黒煙が家を包み込んだのだ。その瞬間、両親は、子供の気持ちが、煙から伝わってきて、恐怖したらしい。黒煙の中から出ることも出来ず、両親はそのまま死んだ。この出来事をきっかけに、子供が虐待を受けている家庭からは黒煙が上がるようになり、子供は虐待によって死んでしまうことはなくなったのだった」
「だけど、僕の家からは、黒煙なんて上がりませんでしたよ。そんなのが上がったなら、僕も助かったかもしれないのに」
「原因は、次第にこの話、つまり伝承が忘れ去られてしまったことだ。黒煙が上がっても、誰も何も知らないのでは意味がない。やがて黒煙は上がらなくなっていったというわけだ。だから君の家から黒煙は上がらなかったのさ」
「なるほど。じゃあ、僕がもう1度その話を広めたなら、虐待されている子供たちは助かるんですか? 」
「今よりは助かる子供も増えるだろう。見た目に騙されてしまうこともない」
「本当ですか!?じゃあ、僕、頑張って伝えま……」
僕はやる気に満ちていたが、すぐにそのやる気は消え失せた。なぜなら、伝えるにも、僕には自由がないのだ。家から出られないのに、どうやって伝えると言うのだ。
「ごめんなさい。僕、やっぱり無理です。家から出られないので」
胸が締め付けられる思いだった。僕が何もここで出来なければ、子供たちの未来を変えることはできない。情けない限りだ。
「問題ないぞ。君にしか出来ないやり方がある」
「それは? 」
「君は死ぬつもりなのだろう?ならば、死ぬ前にこれを書いてくれたまえ」
史乃は、テーブルの上に緑色のカードとボールペンを置いた。
「臓器提供意思表示カード……まさか、臓器を通して伝えるってことですか? 」
「察しがいいな。その通りだ。君の臓器に細工をした上で臓器提供をしてもらう。君は望み通り死ぬことができるだけでなく、人助けもできるというわけだ」
死にたいわけではない。しかし、今の僕を救うことは誰にもできないのだろう。史乃の言う通りした方がいいのかもしれない。どうせ、僕の死体だって、骨だって、興味ないだろうし。
「わかりました。臓器提供なんて、少し怖い気もしますが、これで誰かが助かるのなら別に構いません。あの人たちのために生かされるより、顔も知らない誰かのために死んだ方がいいです」
僕はボールペンでカードの裏面を埋めていく。手は軽く、あっという間に書けてしまった。
「ふむ。1の脳死と判定された死後、あるいは心臓が停止した死後に臓器を提供する場合に丸をしたのか。いいのか? 」
史乃は、僕の書き終えたカード難しい顔で見ていた。
「愚問ですよ。できる限りのことはしたいですし、ドナーが見つからない人も多いと聞きます。だから、提供できるものは多く提供したいんですよ」
「そうか。それでは最後に、これを体内に入れてもらいたい」
テーブルの上には、ジュエリートレイに乗せられた茶色くて丸いものが7つ出された。
「これは、伝承が消えかけたときに集められた黒煙の塊だ。名を悲鳴の煙玉という。これを今から液状化し、注射で投与する。そうすることで、7つの煙玉は、提供されるそれぞれの臓器に行き、君の代わりに伝え続けるだろう」
「わかりました。じゃあ、お願いします。時間もないでしょうから」
「わかった」
史乃は、試験官に、悲鳴の煙玉を全て入れると、透明な液体を注いだ。その瞬間、悲鳴の煙玉は溶け出し液状になった。それを注射器に入れると、ニイナに手渡した。
「少し痛いですが、我慢してください」
「はい。っ……思った以上に痛いですね……」
「すみません。すぐ終わりますから。お疲れ様です。終わりました」
「あの、ありがとうございます。僕の人生は無駄じゃなかったって思わせてくれて。あなたにとっての役目なのかもしれませんが、僕はあなたに救われました。きっとこれからの子供たちも救われます。ありがとうございました」
「いいや、こちらこそありがとう。これで、伝承は問題なく伝わるだろう。そろそろ、時間だ。あ、最後に、君を脳死にするために、今から帰ってくる父親が、飲酒運転の上、自宅に車で突っ込むというシナリオを準備した。君には突っ込んでくる車を避けないでほしい。約束できるか? 」
「最後の最後にすごい要望ですね。でもいいですね。あの人たちの家も壊せて、かつ、罪が増やせるなんて最高です。わかりました。約束します」
「君もなかなかの性格だな。ありがとう。では、永遠にさよならだ」
「はい。最期に、貴重な時間、ありがとうございました。さようなら」
僕は、史乃と握手を交わすと、死へと向かう扉を開けた。
気がつくと、足枷がはめられたまま、家の床に倒れていた。
「戻ってきたんだ。なんだか、不思議な気分だな。今から死ぬのに」
僕は笑っていた。すると、車を駐車する音が聞こえたと思ったら、急に耳をつんざくような音を立てながら、玄関の扉を破って車が侵入してきた。父は慌てた様子で運転していた。
「ざまあみろ」
僕は聞こえていないだろうが、父にそう笑顔で呟いた。次の瞬間、車とぶつかり、僕の15年という短い人生は終わりを告げた。
ここからは僕の知らない話。僕が死んだ後の話。
両親は逮捕された。虐待、飲酒運転などなど。多くの罪が2人に重くのしかかった。僕の話を信じてくれなかった人たちは、特に変わりなく過ごしている。
僕の臓器たちは、無事に困っている人に提供された。その影響もあって、虐待されている子供がいる家庭からは黒煙が上がるようになった。しかし、とある町には虐待をする人が多かったらしく、黒煙により、たくさん死人がでてしまい、町として保てなくなったんだとか。まあ、僕には関係ないことだが、黒煙に殺される人が多いというのも悲しいことだ。それだけ子供に暴力を振るったりしている証だから。
僕は間違っていなかったと思う。後悔もしていない。だから、どうか伝承を忘れないで。
小さな悲鳴よ、誰かに届けー。




