八冊目〈てるてる坊主の逆襲〉
てるてる坊主は私にとって救世主だ。
私、空日和は心からそう思う。
天気は変わりやすい。昨日まで晴れだとテレビで言っていたのに、朝になると雨だと言うのだ。まるで人間だ。昨日と言っていることが変わるなんて日常茶飯事なのだから。でも、そんな不安定なものを安定させるものがある。それこそ、てるてる坊主なのだ。
私がこんな風に考えるようになったのは中学生のときだ。楽しみにしていた修学旅行。その日、天気予報は大雨だと告げた。
「えー……雨とか聞いてないし。テンション下がる……」
テレビの前でがっくりと肩を落とし落ち込んでいる私に、母は呆れていた。
「修学旅行って言っても、雨の中何かするわけじゃないんでしょう?何でそんなに落ち込むのよ。」
「はあ!?旅行に雨とかありえないんだけど。あーやだ。」
「あっそ。なら、てるてる坊主でも作ったら?」
「幼稚園児じゃないんだから……まあでも、何もしないよりかはマシか……」
別に深い意味はなかった。ただ軽い気持ちで母の提案を受け入れただけに過ぎない。
「よし、できた!」
間もなくしててるてる坊主が出来上がった。渾身の出来である。
「あら、上手じゃない。」
「ふふん。そうでしょ?力作なんだから。」
「明日晴れるといいわね。」
「うん。」
吊るされたてるてる坊主は風もないのにクルクルと回っていた。
翌日。
「うっそ!!ねえママ!今日晴れだって言ってるんだけど?!雨なんじゃなかったの!?」
いくら変わりやすいのが天気だとはいえ、ここまで大幅に変わったことはない。まさしく奇跡だ。
「よかったじゃない。てるてる坊主の効果かしら?」
「マジ嬉しいんだけど!やったー!テンション上がるー!」
私は飛び跳ねて喜んだ。この出来事をきっかけに、てるてる坊主を救世主だと思うようになり、晴れてほしい日には必ず吊るした。すると、100%晴れになった。私はてるてる坊主の力を信じずにはいられなかった。だからだと思う。一度の失敗さえ許せなくなってしまったのは。
私は高校生になった。未だにてるてる坊主のことは信じていて、修学旅行はもちろん、体育祭や文化祭の時も晴れてほしくて、てるてる坊主を吊るした。今日は体育祭。もちろん天気は晴れた。
「でも不思議だよねー。昨日まで雨だって言ってたのにー。」
「マジすごくない?てか、私がてるてる坊主吊るしたお陰だと思うんだけど?」
「日和様さすがー。」
「ちょっと!棒読みなんですけど?!」
てるてる坊主を吊るすだけで天気が晴れるというのはあまり誰も信じなかった。私だけ馬鹿みたいに信じている。時々それが妙に虚しいけど、天気が変わっているのは確かだし、感謝しかなかった。
「お疲れー。」
体育祭は無事雨が降ることなく終わった。
「ねえ打ち上げどこ行く?」
「あたし焼肉!」
「カラオケー。」
次々に打ち上げ会場が出てくる。
「日和は?」
「あー……今日はパス。」
「えー!日和来ないの?」
「ごめーん。今日母親の誕生日なんだよね。去年まで特に何もしてなかったんだけど、今日は外食するらしくて。ホント時期悪いよね。」
「残念だけど私らだけで行こうか。じゃあね日和。」
「また明日ー」
「うん。またね。」
クラスの友達たちが教室をでるのを見送ると、数分後に教室を出た。だって、行きたくなかったなんてバレたくなかったから。
「疲れたー。」
一人で歩く帰り道は静かでいい。毎日だと嫌だけどたまには悪くない。
「さて、てるてる坊主に何か買って帰らないとね。」
そう。私はてるてる坊主が天気を変えてくれた日には、お礼としてケーキなどのお菓子を買って帰っているのだ。もちろん、てるてる坊主は食べられないから後で自分が美味しく頂くのだが。
「うーん……あ!あそこの店良さそう!」
アンティークな外観。ケーキの看板もあるからケーキ屋だろう。私は期待に胸を膨らませ扉を開けた。
「え……」
夢でも見ているかのようだった。なんとそこはケーキ屋ではなく図書館のような場所だった。
「ケーキ屋……じゃない?」
「ようこそ。伝承者の館へ。」
「うわ!」
戸惑っている私に、誰かが声を掛けてきた。しかも図書館どころか伝承者の館って、余計に訳のわかんない場所。ちんぷんかんぷんだ。
「オバケでも見たかのような反応だな。時にその反応は失礼にあたるぞ。」
「いやいや!あんたが意味不明だからでしょ?!私はケーキを買いにきたはずだったの!」
「まあそう怒るでない。ああ、私は伝承者、葉月史乃だ。歓迎するぞ。選ばれし者、空日和。」
「なんで私のこと……」
「安心するがいい。てるてる坊主用のケーキも持ち帰り用に包んである。帰りに持って帰るといい。」
「ちょっ!どこまで知ってんの!?もしかしてストーカー?!ヤバいんだけど……」
「私がそんな野蛮な輩と同じに見えるのか?まあいい。本題に入ろうか。」
「本題?」
コントのようなやり取りが嫌になったのか、史乃はやれやれと呆れた様子だった。
「君、てるてる坊主を随分と信じているようだね。そんな君に聞きたいのだが、てるてる坊主の起源を聞きたい。」
「起源?そんなの知らないわ。昔、明日晴れてほしいって日の前の日にてるてる坊主でも作ったらってママに勧められたの。それで作ったら本当に晴れてさ。まあ一回くらい偶然だと思うじゃん?だけど、毎回晴れにしてくれるから、偶然じゃないって思ったから今も信じてるってだけ。」
「なるほど。起源と言っても諸説ある。だが、私の知っているのは、雨で苦しむ村で一人のお坊さんが、雨を止ませるためにお経を唱えたらしい。だが、雨が止むことはなく、嘘つき呼ばわりされたお坊さんは首を切られたらしい。そして、その首を白い布で包み見せしめとして吊るしたところ、雨が止んだというところから、今の姿のてるてる坊主になったという。どうだ?中々面白い話だろう?」
「はあ!?どこに面白い要素があったのよ!?残酷すぎるでしょ!??」
ぞっとするような話を平然とした上面白いだなんて、どうかしていると思わずにはいられなかった。
「面白いだろう。雨が人の力でどうにかできるわけないのに、勝手に力を借りて使い物にならなかったら切り捨てる。人間の身勝手さと惨虐さを象徴していて私は面白いと思ったよ。」
「ま、まあ……そういうことならわかる……かもしれないわね……」
渋々とはいえ、彼女の言っていることは最もだ。晴れにしなかっただけで打首だなんて酷すぎる。
「だから君には、そんな身勝手な人間になってほしくないのだよ。ほら、童謡にもあるだろう?晴れにしなかったてるてる坊主の結末。」
「まさか、首をちょん切るって、その話から来てるの?」
「諸説ありだがね。概ねそうだと思っているよ。それゆえ、てるてる坊主を信じてやまない君が、てるてる坊主の失敗を責め立てないか心配なのだよ。」
「大丈夫よ。そんなことしないわ。人間だって失敗することあるんだし。あんたの心配は取り越し苦労に終わるわよ。」
「そうか。なら足止めして悪かったな。ああ、それとこれ。持ち帰り用のケーキだ。」
「ありがとう。じゃ。」
私は礼を言うと図書館を後にした。
「うわあ!めちゃくちゃ美味しそうじゃん!」
史乃からもらったケーキはいちごがツヤツヤとした美しく、美味しそうなショートケーキだった。
「いつもありがとう。またよろしくね。」
そうてるてる坊主に感謝を告げると、私はケーキにかぶりついた。
数ヶ月後。学校の一大イベント、修学旅行の季節がいよいよ明日に迫っていた。だが、当日は大雨の予報だった。
「えー、大雨が予想されているので、外での活動は屋内の活動に変更します。」
「えー……」
外での活動を楽しみにしていた生徒も多く、教室中がざわつき始めた。
「先生も外での活動は楽しみにしていました。しかし天気をどうすることもできません。皆さんを危険な目に合わせるわけにはいきませんから。では、明日に備えて今日は早く帰ってくださいね。」
先生が教室を出た後も、生徒たちは口々に不満を言っていた。
「ねー日和。どうせ今日てるてる坊主吊るすんでしょ?」
「まあね。てか、全然信じてなかったくせにどうしたのよ。」
「いやー、いつもはそうだったんだけど、今は神だろうがてるてる坊主だろうが、縋りたい気分なんだよね。」
「あっそ。でも私も晴れてほしいしね。みんなが信じたら晴れになるかもね。」
「さすが日和様ー。頼りになるー。」
「はいはい。じゃあ帰るよー。」
いつもは信じない人たちも信じてくれた。明日は必ず快晴だ。そう思っていた。なのに……
ザアアア……
修学旅行当日、天気は雨。天気は天気予報通りだった。
「なんでよ……」
私の手は怒りに震えていた。
「ひ、日和。てるてる坊主なんておまじないみたいなものじゃない。そんなに怒らなくても……」
「怒るわよ!修学旅行よ?!こんな大事な時に……!!」
私は怒りのあまり我を失っていた。
「この役立たずが!!!」
チョキン!
私はてるてる坊主の首をハサミで切り落とした。
「これも!これも!これも!!」
今まで作ってきたてるてる坊主全ての首を、次々に切り落としていった。床にはてるてる坊主の白い頭が散らばった。無惨な光景である。
「日和!こんなことしないで!あんまりじゃない!」
母に腕を叩かれ、床にハサミを落とす。その音で私は我に返った。
「あ……私……」
「日和!雨が残念なのはわかるけど、てるてる坊主のせいではないわ!きっと、晴れにしようとしてくれていたと思うわ。でもできなかった。日和にだって、やろうとして失敗したことくらいあるでしょう?てるてる坊主は神様じゃないわ。天候を操れるわけないじゃない!」
母の言っていることは正論だった。確かにてるてる坊主はおまじない。てるてる坊主が天気をどうにかしてしまったら、大変なことになるだろう。そんなこと、頭ではわかっている。だけど、私の心は正論で納得することはできなかった。
「わかってる。頭ではわかっているの!てるてる坊主の首を切ったって晴れるわけないし、ひどいことしたなって思う。でも!今日は絶対晴れてほしかったの!だから……」
「日和……」
雨が止む様子はなく、静まり返った部屋は雨の音が響いていた。
「いってきます……」
「気を付けてね。」
大暴れした私はとりあえず時間になったので、学校に向かうことにした。
学校に着くと、私の元に昨日一緒に信じると言ってくれた女子たちが集まってきた。
「おはよう……」
「日和!めっちゃ雨なんだけど!」
「やっぱり偶然だったんだねー。」
彼女たちは勝手なことを次々に言った。
「偶然だったなら、それもそれですごいわよね。何年も続く偶然。つい信じてしまいたくなるでしょ?」
精一杯の強がり。負け惜しみに聞こえたかもしれないが、構わなかった。
「まあね。あーでも晴れてほしかったー。」
気にしない。気にすれば、私はきっとまた今朝のように暴れてしまいそうだったから。
「全員いるかー?」
と、私が限界を迎える前に、先生が来た。ナイスタイミングだ。
「班ごとに人数を確認して報告しに来てください。全員いることが確認できた班から、バスに乗り込んでください。」
「はーい。」
生徒たちは一斉に先生の元へ向かい人数を報告する。
そして、全員がバスに乗り終わると、雨の修学旅行が始まった。
私は他の人と話す気にもなれず、到着まで寝ていた。結構深い眠りで、隣の席の生徒に起こされるまで着いたことすら気が付かなかった。
「気を付けて降りるようにしてください。予想以上の雨風です。降りたらすぐに施設内に入ってください。」
先生が警告した通り、外は大荒れだった。傘を差しても意味がいないくらい酷かった。
「今日は最悪ね。はあ……」
テンションが上がらず、バスから降りる気にもなれなかった。そのため全員降り終わるころに渋々バスを降りた。
「ホントにひどっ……」
バスから降りて数歩歩いた私は、それ以上歩けなくなった。なぜ?なぜ私は空を見ているのか。寝転がっているのか?
「きゃあああああ!」
生徒たちが悲鳴を上げる。何事だろう?
「きゅ、救急車!はやく!」
なぜ救急車など呼ぶ必要があるのか、疑問に思ったが、目線を少しずらすと、なんと首のない自分の体が歩いている姿勢のまま止まっているのだ。なら、首はどこか。決まっている。まさに空を、自分の体を見上げている私こそが、首なのだ。
「ごめんね。晴れにできなくて。」
誰かにささやかれた。その瞬間、私の目には生徒たちの頭がすべててるてる坊主の頭に見えた。
「あ……あ……」
そして一斉に私を見る。その真っ白な顔たちは、赤い涙を流していた。ぞっとしたのと同時に、史乃の話を思い出した。私は後悔した。
「あ……ごめ……んな……」
声になっていたかはわからない。残りの力で謝ろうと思った。
「ごめんね。」
そのささやきと共に、私の視界は白い布に覆われた。それからの記憶はない。
この日の天気予報は雨。だがここだけ、血の雨が降り注いだ。
「う……」
私が次に目覚めたときは、史乃のいる図書館にいた。
「なんで?私……」
「ようやくお目覚めだね。気分はどうだい?」
「どうって……あ!私の首!」
思わず首を触る。きちんとそこの存在していた。
「よかった……夢だったんだ……」
バスで寝ているときに見た悪い夢なのだと思った。
「夢?違うよ。君の身に起きたことはすべて現実だよ。」
「な、なに言っているのよ。私生きているじゃない。」
「君は死んだよ。不慮の事故でね。」
「事故……?」
「そう。バスから降りた君に、風で鉄板みたいなものが飛んできたんだ。それが首に当たって、君の首が切れたんだ。」
「ま、待ってよ!そんな簡単に人の首は切れないでしょ?!」
「でも鉄板みたいなのが飛んできて君の首が切れたと目撃していた人が言っているよ。」
「そんな……」
雨で落ち込んでいたのとは比べ物にならないくらい悲しくなった。事故だなんて。
「ついてないわね。私……」
「なんて、表向きは事故だ。だが、君は誰かに話しかけられただろう?そして謝られたはずだ。」
「そういえば……」
私の意識が朦朧とし始めたとき、誰かに謝られたのだ。姿は見えなかったが……
「誰だと思う?」
「誰って……わからないわよ。」
「本当に?君は見たんじゃないのかい?赤い涙を流す、てるてる坊主たちの姿を。」
その瞬間、全身に鳥肌が立った。そして気分が悪くなり、思わずその場で吐いてしまった。
「うえぇ!ゲホッゲホッ!」
あの光景は思い出しただけでもぞっとするし、吐き気がする。
「表向きは事故といったね。だが本当は、てるてる坊主による復讐だよ。私は以前、君にこう言ったはずだ。君が、てるてる坊主の失敗を責めないか心配だと。そして君はそんなことしないといった。なのに君は今朝、てるてる坊主たちの首を切り落とした。晴れにできなかった彼らを恨んだ。」
「……」
何も言えなかった。その通りだ。あの日私は、一回くらいの失敗を責めたりしないといった。首を切るなんて酷いと言った。そんな私が、今日はどうだろう。役立たずと罵った挙句、首を切ったではないか。
「私……。」
「てるてる坊主たちは君を恨んだ。そして事故に見せかけて同じ目に遭わせた。」
「最低ね。私……」
「そうだね。ああでも、君の首が切られた後、しばらくしたら晴れたらしいよ。」
「そう……」
「君が伝承のてるてる坊主になったからだよ。布を被せられ吊るされる。そしたら雨が止むんだ。」
「嘘……でしょ?」
「最期、布を被せられただろう?彼らが布を被せ、吊るしたんだ。あと、もう一つ教えておいてあげよう。バスから降りた君の周りにはね、誰もいなかったんだよ。だって、君は生徒全員が施設に入ったとき、その中にいたんだから。」
「その中って……?」
「人数確認の際、君はいたんだよ。全員そろっているのを確認後、雨が真っ赤だと一人の生徒が気が付いた。だがその雨はすぐ止むと、雨だったはずの天気は晴れになっていた。生徒全員が予定変更で外に出ると、施設の入り口の屋根に布で覆われた何かが吊るされていた。そう。それが君の首だ。その下に転がる首のない君の遺体に生徒たちは大騒ぎしました。めでたしめでたし。」
「何よそれ……全然めでたしじゃない!私は死んだのよ!変なものが飛んでこなければ死ななかった!それに私がいたって何?どういうこと?!」
「てるてる坊主が君の代わりをしていただけだよ。鉄板みたいなものを飛ばして、他の人に当たりでもしたら危ないからね。」
「……私が、今朝したことで、私はこんな目に遭わないといけないの?確かに酷いことしたって思う!でも!こんなのって……」
「まだわからないのかい?君がしたことは、私が話した昔話の村人たちを同じことなんだよ。対象が人間じゃないなら何をしてもいいと言うつもりかい?」
「だって!てるてる坊主はものじゃない!」
「ものと人間と違うのかい?私には違いというのは自分で話して動くくらいの違いしか分からないのだが?」
「は……?違うでしょ?!だって、だって……!」
「君は彼らが泣いているのを見ただろう?それが答えだよ。彼らだって声を上げたりしないけど、首を切られたりしたら痛いんだよ。」
「っ……」
「もう少し反省しているのかと思ったけれど、違うんだね。」
史乃は明らかにあきれた様子だった。私は悔しかった。だが、身勝手なことをしたのは私だ。死ぬなんて思っていなかったが。
「こ、後悔はしたわ。あなたに言われたこと、守れなかったんだから。」
「まあ、後悔したならいいかな。もう遅いけれど。」
「あ、あの、それで私はなんでここに?」
死んだならあの世に行くはず。なのに私は死んだというのに史乃のところにいる。
「君と少し話すためだよ。あの世に行く前によってもらったのさ。君は選ばれし者。伝承を伝える役目は果たしてもらわないと。」
「じゃ、じゃあ私は何をすればいいの……?」
「別にないよ。もう終わったからね。」
「どういうこと?」
「君の首を覆った布が君が聞いたことをしっかり伝えてくれるよ。」
「っ!あんた!まさかてるてる坊主のせいにして、私を殺したんじゃないの?!」
「そんなわけないだろう。君の首に布を被せただけだよ。君を殺さずとも、伝える方法などいくらでもあるのだからね。」
「じゃあ本当に……」
にわかに信じがたいが、彼女が嘘を言っているようには見えなかった。
「さて、そろそろ時間だね。あ、これ。冥土の土産に持って行ってくれ。」
「これ……」
史乃が渡してきたのは、私が修学旅行の日のために作ったてるてる坊主だった。首と体は離れているが。
「君の最期の作品だ。これを見て、一生後悔するがいい。」
「はは……あなたって残酷ね。でもいいわ。ありがとう。」
私はてるてる坊主を受け取ると、館を出た。手のひらは赤く染まっていた。




