91 盗賊団の討伐1
「昨日話してた大規模な盗賊団の依頼が出てるな。」
「そうだね。近場で暴れてるみたいだから貼られるのも早かったみたいだね。」
「大体四十人から五十人くらいいるみたいね。王都周辺で活動しようと考えたらそれくらいの規模になるのかしら。」
四十人から五十人とはまた多いな。
それだけの人数がいるんなら商人たちにとっては脅威だろうな。
当然俺たちにも脅威だが。
数は力だ、少なくとも五十人に襲われたらどうにもならないだろう。
「いくつかのパーティーで共同依頼になるみたいだな。」
「数か数だからね。ランクにもよると思うけど二十人近く集めるかもしれないね。」
「多くないか?」
「随分被害も出てるみたいだし、戦闘にも手慣れてる可能性もあるからね。多めに募集すると思うよ。」
戦闘ができるんだったらハンターとしてやっていけばいいと思うんだが、そこはそれぞれ事情があるんだろうな。
それにしても王都周辺で盗賊なんかやったら、さっさと討伐されるってわかりそうなもんだけど、なんでこいつらはこんなバカなことをしたんだ。
いい迷惑だ。
「報酬も条件も悪くないわね。どうする?」
「ずっと休むのも体がなまっちゃいそうだし私はいいよ。」
「じゃあやるか。」
登録を済ませて人数が集まるのを待つことになった。
受付嬢が言うにはやっぱり二十人前後を目安に集めるみたいだ。
被害にあった人からの情報によると、武器をしっかりと扱える人がそこそこいるみたいで、そこらの盗賊とは危険度が違うためこっちの人数も多くなったとのこと。
なるべくDランクのパーティーも入れてのぞみたいと言っていたから、本当に危ない盗賊団なのかもしれない。
「その盗賊団は王都近郊でもやっていける自信があるのかね?」
「どうかしらね。取り締まりが厳しいことくらいわかってると思うから、荒稼ぎしてから逃げようとしてたんだと思うわ。」
「逃げるよりも早くギルドが動いたって事か。」
「そういうことでしょうね。」
「騎士団は動かないのか?」
こういう時のための騎士団じゃないのかと思う。
もう被害が出てるんだからさっさと倒してくれれば被害も減っただろうに。
それとも盗賊なんかには自分たちが出るまでもないっていう考えなのか?
だとしたらがっかりだ。
「時と場合によるわね。今回はそこまでではないって判断されたんじゃないかしら。」
「騎士団がすぐに動けばもっと被害を抑えられたのにね。」
「いざという時のための戦力でもあるから簡単に動かせないんじゃないかしらね。」
ハンターにも仕事がまわってくるから悪いことばかりじゃないんだろうけど、なんだか頼りなく感じるな。
集団が大きくなればなるほど動くのも大変になりそうだし仕方ないのかもしれないか。
「盗賊団の討伐を受けた方、お集まりください。」
「人が集まったみたいだな。」
見回してみると確かに二十人くらいいそうだ。
これだけいれば多少戦えても盗賊団くらいなら何とでもなりそうだ。
どうやら集まったのは四パーティーでDランクが一パーティー、Eランクが三パーティーらしい。
なんとかDランクのパーティーをねじ込んでくれたんだろうな。
受付嬢も大変だ。
リーダーに決められたDランクの人が今回の討伐の説明を始めた。
「今回は大規模な盗賊団の討伐だ。俺たちの方が人数は少ないが質では勝っているはず。そして根城にしている場所も調べてくれているからこっちが先手を打つことも可能だ。
作戦を話す。とはいえ単純だ、夜襲を仕掛ける。寝ている時間に見張りを静かに倒して洞窟に侵入、そのまま盗賊どもを全員ぶっ飛ばせばいい。弓が使えるものは先に名乗り出ておいてくれ。
何か質問は?」
「見張りを倒す時は魔法使いじゃダメなのか?」
「静かに終わらせたい。風の魔法が使えるのなら参加してもらって構わない。他には?」
「盗賊は捕らえて売れば金になる。なるべく捕らえたいんだが。」
「今回についてはほとんど殺すことになると思っていてくれ。奇襲がうまくいって無抵抗で制圧できた場合は当然捕らえるが難しいだろう。数が数だ、逃がさないようにすることが第一だと思ってくれ。
他には?・・・なさそうだな。準備を整えたら出発だ!」
「「「「「おう!!!!」」」」」
捕らえたがっていた人は少し残念そうにしてたが最終的に納得したようだ。
俺たちのパーティーは静かに倒すってことが苦手なところがあるからな、乗り込んでからが本番だと考えよう。
一度乗り込んでしまえばキリもエリィも存分に力を発揮できるというものだ。
にしてもDランクにもなるとこういったときのリーダーもやることになる時もあるのか。
もし自分がなった場合は誰かに押し付けたいが、そうも言ってられないんだろうな。
まぁまだ先の話だ、今気にするようなことじゃないか。
「私たちは特に用意するものは無いよね?」
「無いわね。王都からそんなに離れてないみたいだし携帯食料も今ある分で十分よ。」
「また携帯食料かー、美味しいお肉が食べたいなぁ。」
「王都にいる間は我慢するしかないわね。」
「うぅ、早くスタッカルドに戻りたくなってきたよ。」
「依頼中は元々そんなもんだって。我慢しような。」
俺も携帯食料よりは新鮮な肉の方が嬉しいが、王都周辺ではなかなか魔物が出てこないからな。
よく出てくるのはゴブリンだが、ゴブリンを食べるよりは携帯食料を選ぶ。
そうこうしているうちに全員の準備が終わった。
「よし、出発!!!」
向かうのはスタッカルドとは違う方角で歩いて一日位の距離。
まさに目と鼻の先だ。
勇気があるというか無謀というか、わけのわからない盗賊団だ。
盗賊団は洞窟を根城にしているらしく、比較的見晴らしもいいみたいだ。
俺たちは警戒網に引っかからないように、多少距離を取ったところを野営地にすることにした。
どうやら別のパーティーの盗賊が慎重に様子を見てくるみたいだ。
早ければ今夜にでも乗り込むことになるだろう。
「今夜行くと思うか?」
「盗賊団が逃げてない限り行くと思うわよ。後に伸ばしてもいいことは無いわ。」
「そうだよな。もしこのタイミングで逃げてたら大したもんだが。」
「私たちの姿を見られてない限り大丈夫だと思うよ。もし見られてたら今頃大慌てだろうね。」
「そこらへんも偵察の人が様子を見てくれるわよ。」
やっぱりパーティーに盗賊がいると色々便利なんだな。
俺たちはこういう時にできることが無いからなぁ。
単純に目的地に向かって標的を倒すってだけをしてきてるから、他にもできることが広がるようにもう少し手広くやるべきなんだろうか。
・・・無理だな。
現状三人ではそこまで複雑なことはできない。
人を増やす予定もないし。
餅は餅屋、こういったいくつかのパーティーでやる場合は俺たちは戦闘で役に立てるように頑張ればいいか。
ん。偵察に行った人が戻ってきたな。
「見て来ましたがのんびりしたものでしたよ。我々に気付いている様子もないし、移動しそうな動きもありませんでした。」
「そうか。なら今夜だ。今夜奇襲をかける!
全員、今のうちに少し休んでおけ。相手が寝静まったころに動き出すからな!」
相手からは見えないように気を付けて各自休息をとる。
のんびりしていたってことは盗賊団全員が凄腕ってわけじゃなさそうだな。
少しでも腕のある人間なら、こんなに王都に近いのにのんびりなんてしていられないだろう。
一部の人がまわりをまとめてるってことなんだろうな。
それなら十分に勝てそうだ。
パーティーで交代しながら夜まで休息をとった。




