90 王都のお店巡り
今日は休日の予定だが、何か変わった依頼がないかギルドに来ている。
ギルドに顔を出すのは習慣みたいなもので、一日の始まりには大抵顔を出すようにしている。
時々新しい情報や、気になる依頼があったりするから休日にも来るようになった。
「んー。今日は何も変わったことはなさそうだね。」
「さすがは王都、安定してるってことなのかね。」
「今聞いた話なんだけど、近いうちに大きめの盗賊の討伐依頼が出るかもしれないらしいわ。」
「盗賊?」
盗賊の討伐依頼ぐらいならどこにでもあるんじゃないのか?
「王都近辺に大規模な盗賊団が出るようになったらしいわ。被害も結構出ているみたいね。だからいくつかパーティーを募って討伐するつもりらしいわね。」
「へぇ、今は王都から出るのは少し危ないって事か。」
「そうなるわね。」
「しばらく休暇として討伐されるのを待ってもいいし、参加してもいいかもしれないな。」
「盗賊なら倒した経験はあるもんね。大規模だとどうなるかわからないけど。」
大規模な盗賊団か。
何人くらいいるんだろうな。
あまりにも人数が多いようなら危ない依頼になるし、依頼が貼られてから判断するしかないか。
「今はまだ貼られてないんだ、その情報だけ覚えておこう。」
「それじゃあ今日はお店をまわるんだっけ?」
「一応そのつもりだけど。とりあえず武器屋あたりから行こうと思ってる。」
「そこら辺の情報も受付嬢に聞いて来るわ。品ぞろえの悪いところへ行っても仕方ないから。」
「たのんだ。」
いくつか色々な種類のおすすめの場所を聞いてギルドを出た。
まずは武器屋に向かう。
王都は広い、その中でおすすめされている店なら期待できるかもしれない。
入ってみる。結構きれいな店だ。
「もっと乱雑に置かれてるかと思ったけどそんなことなかったな。」
「武器屋じゃないみたいだね。」
「見やすくていいじゃない。」
「そうなんだけど、なんだかイメージと違ったからさ。まぁ見てみるか。」
剣から見て回る。
さすがはおすすめされただけあって品ぞろえはよさそうだ。
低ランクから高ランクまで品物もそろっている。
ただ値段は少し高めだな。
おやっさんの店ならもう少し安く似たようなものが手に入ると思う。
ここらへんは王都だからってのもあるんだろうな。
「結構色々あるな。」
「そうね。練習用には高いけど、しっかりとした一本が欲しいならいいお店なんじゃないかしら。」
「種類もそろってるしね。」
長さも細かく分けられているのはいいところだな。
選ぶ人が困らないように配慮されている。
「丁度いい長さの剣も見つけやすいのはいいな。大きな店ならではの強みか。」
「普通のお店はそんなに細かく分けて置く場所が無いからね。」
「ジュンは剣の長さを変えるのよね。どれくらいにするの?」
「だいたいこれくらいかな。こうやって見るとようやく平均的な長さになるって感じだな。」
他にもハンマーや槍を見た。
こっちも品ぞろえはよかったが、どうしても槍や剣に比べるとハンマーは数が少なくなるみたいだ。
槍は長さも色々あって面白かった。
「中ランクまではお世話になりそうなお店だったね。」
「だな。多少お金は必要になりそうだけど。」
「魔物の素材で作った武器は少なかったわね。だいたいが鉄だったわ。」
「そこは王都周辺だと手に入りにくいのかもしれないな。そこまで魔物の数も多くないみたいだし。」
「そうね。ダンジョンも近場には少ないんだったかしら。」
「確かにハンターにはそこまでおいしくない場所だよね。」
周辺に魔物は少ないし、ダンジョンもあまりないならわざわざ王都にとどまる理由も少ないわけか。
高ランクハンターだとそうでもなさそうだけど、何か理由でもあるんだろうな。
王都を守る戦力として必要とされてるとかそんな感じかな。
他にもいくつか武器屋を見て回ったけどどこも似たようなもので変わり映えはしなかった。
次に向かうのは話によると今いる場所から近いらしいマジックアイテムを売っているお店だ。
一番期待しているお店でもある。
以前買った虫よけランプも割といい効果を発揮してくれているから、今回もそういったものが見つかればいいんだが。
いかにもな雰囲気を出しているお店に入った。
「ここか、何かあるかな?」
「どうだろうね。具体的に何か探してるわけじゃないからね。」
「商品に説明が書いてあるのは嬉しいわね。どんな効果があるのか一目でわかるわ。」
「やっぱりほしいのは夜営で役に立つアイテムかな?」
「私は松明の代わりになるアイテムも欲しいわね。遺跡の時に少し不便だったから。」
それぞれめぼしいものがないか探し始める。
何のためにあるのかわからないアイテムも多いな。
泡を出すだけのマジックアイテムとかあるし。
こういうよくわからないものもダンジョンで見つかることが多いらしい。
好事家が買っていくんだろうな。
俺たちに必要なものは実用性だ、わけのわからないものはいらない。
「ねぇ、中まで火が通りやすくなる串があったよ。これいいんじゃない?」
「じっくり焼けば変わらないだろうからなぁ。」
「でも焼ける時間は早くなると思う。」
「うーん。ってこれ使い捨てだぞ。」
「え?あ、本当だ。残念だなー。」
危ない、使い捨ての串なんか必要ない。
何度も使えるのなら、食事を素早く済ませることができるから考えても良かったんだけどな。
どうにも微妙な商品が多いな。
「これなんかどうかしら?」
エリィが持ってきたのは卵型のブルブル震える奴だった。
「なんでも疲れが取れるみたいよ。依頼でしばらく戻れないときなんかにあるといいんじゃないかしら。」
「エリィ。それはね、そっとあった場所に戻してくるんだ。」
「ダメかしら?」
「ダメかと言うと何とも言えないんだけど、それは色々な用途に使うものでもあるんだよ。見なかったことにするのが一番いいんだ。」
「よくわからないけどダメならやめておくわ。」
これは俺の他にも地球から来た奴がいるって事じゃないのか?
でもなんであんなもんを作ったんだ。
いや、宝箱からならああいったものが出ても不思議じゃないか?
・・・考えるのはやめよう。
俺もエリィも何も見なかった。それでいいんだ。
目の前のものが全てガラクタに見えてきた。
いかん、いまのでやる気が一気に削がれた。
マジックアイテムってそこまで便利じゃないのか?
便利なものは見つけたやつらが使ってるか。
どうでもいいものばっかり売られてるからこんなことになるんだな。
俺の目じゃいいものが分からない、大人しく店員さんに聞くとしよう。
「すみません。」
「はい。なんでしょうか?」
「実用性のあるマジックアイテムを探しに来たんですけど、何かおすすめはありませんか?」
「そうですね。例えばこちらなんかはいかがですか?魔力で歩く小型の人形です。」
「・・・どういった実用性があるんでしょうか?」
「遠くから罠を踏ませるとかですかね。」
それは実用性があるのか?
一応あるといえばあるかもしれないけど、罠を見つけてるんだったら解除するなり他の方法で起動するなり方法があると思うんだが。
「他のをお願いします。」
「ではこちらはどうでしょう。これはおすすめですよ、なんといっても薪が無くてもしばらく火が付いた状態を保てるマジックアイテムです。」
そうそう、そういったものが欲しかったんだよ。
あるじゃないかいいものが。
「それはなかなかよさそうですね。持続時間はどれくらいですか?」
「十五分くらいと言われています。ただ魔力を補充すればいくらでも使えるのでおすすめではありますね。」
「うーん。ちなみに補充するときの魔力はどれくらい使うんでしょう?」
「・・・平均的な魔法使いの方の一日分です。」
使い勝手悪いな!?
なかなかいいものが出てこない。
今は丁度いいものが無かったってことなんだろうか。
「あ、それではこれはいかがです?」
その後もしばらく店員さんと話していたが何の成果もあげられませんでした。




